田中覚の発言 (社会労働委員会)

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○田中国務大臣 社会労働委員会の御審議に先立ち、厚生行政について所信の一端を申し述べたいと存じます。
 現在わが国の経済社会は、インフレと不況の同時解決、資源の制約、環境の汚染等数々の問題に直面しておりますが、とりわけ、物価の安定と社会的公正の確保は政府の中心的政策課題として全力を傾注しているところであります。
 国民の生活の安定と福祉の向上を図る上で物価の安定こそが最も肝要であり、政府としては、まず物価の抑制対策を強力に推進し、社会保障施策がインフレの後追いにならぬようこれが安定対策には積極的に取り組んでいく所存であります。
 このような時期に当たり、物価の上昇に伴う所得の分配面でのひずみを是正するなど、社会的公正を確保する観点から、厚生省としても従来にも増して、社会保障の充実を初めとする国民福祉の向上に総力を挙げる所存であります。
 明年度の予算編成に当たっては、このような考え方に立って、私としてもできるだけの努力を尽くしたところでありますが、福祉の向上を求める国民的な支援のもとに、国家予算全体としては昨年に引き続き抑制的な基調を堅持する中で、厚生省関係予算は、総額三兆九千六十七億円、対前年度比三六・二%増と、国家予算全体の伸び率をかなり上回る伸びを見たところであります。
 以下当面の主要課題について申し上げます。
 第一に社会福祉の充実であります。特に老人、心身障害者、母子世帯、生活保護世帯等社会的経済的に恵まれない人々の所得保障には最重点の配慮をいたしました。
 まず、老後生活の柱となる年金制度については、老齢福祉年金を月額七千五百円から一万二千円に引き上げる等福祉年金の相当な改善を図るとともに、厚生年金及び拠出制国民年金の物価スライドの実施時期を繰り上げることにいたしております。
 なお、年金制度につきましては、財政再計算期を昭和五十三年度から昭和五十一年度に繰り上げるとともに、その際に全般的な制度の根本的見直しを行うことにしております。
 心身障害者の福祉については、在宅の障害者に対する福祉施策の拡充に視点を向け、重度障害者のための福祉手当の創設、特別児童扶養手当の大幅増額を図ることとしております。
 また、児童の健全な育成を図るための児童手当を増額するほか、国民の最低生活を保障するための生活保護費について、生活扶助基準額を二三・五%引き上げるとともに、級地格差の是正を進めることにいたしております。
 社会福祉施設については、明年度も引き続き計画的に整備を進めるとともに、施設入所者の処遇改善を図ることにいたしております。また、施設で働く職員については、増員や給与の改善等について配慮をいたしました。
 第二に、国民医療の確保の基礎となる医療供給体制の整備であります。
 明年度においては、特に僻地医療対策及び医療従事者の養成確保対策に重点を置くこととしております。
 まず、僻地医療対策については、僻地中核病院の整備、無医地区への保健婦の配置、僻地診療所についての国庫補助率の引き上げ等を行うことにより、僻地における住民医療を確保することを目指しております。
 医療従事者の養成確保対策については、看護婦について自治体立の看護婦養成所の運営費の助成、看護研修研究センターの設立を図る等多角的に施策を推進することにいたしております。
 第三に、難病対策その他国民の健康の保持増進に関する施策の推進であります。
 難病対策については、調査研究及び医療の対象となる疾患を拡大するなど総合的な施策の拡充に努めていくことにいたしております。
 健康増進対策としては、健康増進センターの整備を推進するほか、妊産婦、乳幼児に対する健康診査を充実することにいたしております。
 原爆被爆者対策についても、新たに保健手当を創設するとともに、各種手当の大幅な増額を行うことにいたしております。
 第四に医療保険について申し上げます。
 昨年末に実現した日雇労働者健康保険法の改正により、医療保険の給付水準は全制度にわたりほぼ均衡のとれたものになったところであります。
 国民健康保険については、明年度予算におきまして、健全な国民健康保険財政を確保するため、保険者に対する助成措置を強化することにいたしております。
 しかしながら、医療保険に関しましては、基本的に検討を加えるべき幾つかの課題が残されており、国民医療の確保のため、これらの問題の処理について今後なお一層の努力をする所存であります。
 第五に生活環境の整備と消費者の安全確保対策であります。
 近年における生活水準の向上、都市化の進展等に対応して水道及び廃棄物処理施設の整備については一層の力を注いでまいる考えであります。
 また、消費者の安全確保対策については、食品、医薬品の安全性を確保するため、試験研究、監視体制を強化するとともに、食品添加物の安全性の再評価、医薬品副作用情報システムの整備、医薬品の再評価等所要の対策を講じていく所存であります。
 最後に、戦傷病者、戦没者遺族等の援護については、遺族年金等を大幅に増額するとともに、終戦三十周年に際し、戦没者の遺族に新たに特別弔慰金を支給することといたしております。
 以上が厚生行政の当面の主要課題でありますが、そのいずれをとりましても国民生活に密接な問題ばかりであります。
 私は、皆様の御支援を得つつ、全力を挙げて取り組む覚悟でありますので、何とぞよろしく御支援、御鞭撻をお願い申し上げます。(拍手)
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発言情報

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発言者: 田中覚

speaker_id: 27402

日付: 1975-02-08

院: 衆議院

会議名: 社会労働委員会