大平正芳の発言 (大蔵委員会)

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○大平国務大臣 昭和四十九年度の税収につきましては、先般、参議院予算委員会におきまして、最近の経済情勢を反映して税収が相当落ち込む懸念があり、いずれ具体的な計数が判明した際に、処置してまいりたいと考えておる旨申し述べたところでございます。
 現段階では、まだ最終的な計数は確定いたしておりませんが、最近までの収納状況等から見ますと、四十九年度の税収につきましては、八千億円程度の不足を生ずると見込まれるに至りました。
 四十九年度に多額の税収不足が生じましたのは、企業収益の著しい低下、土地譲渡の減少等が税収面に反映し、予期せざる減収をもたらしたことによるものと考えます。今後の安定成長下におきましては、従来のように自然増収に多くを期待することは困難となり、わが国財政は、財源面から厳しい制約に直面せざるを得ないと思われます。この際、当面の財政事情について御説明いたしますとともに、各位の御理解と御協力をお願いしたいと考える次第であります。
 四十九年度の税収不足につきましては、税収の所属年度区分の改正によって新たに四十九年度所属となる税収があるほか、税外収入にかなりの増収が見込まれ、また、歳出面においてもある程度の不用を生ずる見込みでありますので、これらによって補てんし得るものと考えております。
 税収の所属年度区分につきましては、本日、国税収納金整理資金に関する法律施行令の改正について、閣議決定を行ったところであります。この改正の趣旨は、四月に収納される税収を新旧いずれの年度に所属させるかについて、区分する基準を合理化し、納税義務が成立する日によって区分することに改めるものであります。この改正により、新たに四十九年度所属の税収となる額は、約四千億円と見込まれます。
 次に、このような四十九年度税収不足に関連して、五十年度財政が直面する問題について申し述べます。
 歳入面につきましては、四十九年度の税収減が五十年度税収にも影響を及ぼすことは避けられないものと思われますが、五十年度の税収が最終的にどのようになるかにつきましては、現在、年度開始直後でもあり、確たることを申し上げることは困難であります。今後の経済情勢の推移を十分注視してまいるほかはないと考えますが、いずれにいたしましても、従来のように自然増収を期待することは困難であり、むしろ、自然減収が生ずる事態も考えておかなければなりません。この場合、公債の増発によって対処すべしとする考え方もありましょうが、安易な公債の増発は厳に慎むべきことは言うまでもないところであります。
 このような歳入面の制約に対しては、まず、行政経費の節約を初めとする既定経費の見直しにより、極力歳出の節減を図る必要があると考えます。さらに、公務員の給与改善問題、米価問題等年度途中に予想される追加財政需要につきましては、厳に慎重な態度で臨む所存であります。なお、これらにつきましては、別途、各省庁と十分協議しながら、具体的な措置を講じてまいりたいと考えております。
 また、地方財政につきましても、最近の経済情勢を反映しまして、五十年度の財政事情は国と同様厳しいものになると思われ、さらに、国税三税の減収が生ずる場合には、これに伴って地方交付税にも当然影響が及ぶことになりますので、国と同一基調のもとに経費の節減等に努め、節度ある運営を図るよう要請いたしたいと考えております。
 以上申し述べたとおり、五十年度の財政は財源面において深刻な困難に直面しておりますが、今後の財政は、安定成長下において、引き続き財源面に厳しい制約を免れ得ないものと思われます。このような制約条件に対応していくためには、財政のあり方を抜本的に改善してまいる必要があります。
 このため、財政支出の面におきましては財政の負担によって実施すべき施策を厳しく選択し、補助金等の既定経費について、従来の制度、慣行にとらわれず根本的な見直しを行いますとともに、定員、機構の簡素合理化等によって行政コストの節減を図る必要があります。
 一方、財源面におきましては、新たな税収確保の方策について検討するほか、社会保険についても費用負担のあり方を見直す必要があります。また、公共料金につきましては、物価の安定に極力配慮することは申すまでもありませんが、安易な財政依存を厳に排除し、利用者負担の原則に立って、コストとの関連における適正な水準の料金を設定する必要があります。
 これらの問題につきましては、財政制度審議会、税制調査会等の御意見も伺いながら早急に検討を進め、結論を得たものにつきましては速やかに実行に移していく所存であります。
 以上、四十九年度の税収不足に関連して、当面の財政事情について申し述べましたが、わが国財政の直面する困難を打開するため全力を傾ける所存であり、重ねて各位の御理解と御協力をお願いする次第であります。
 なお、最後に、当面の財政金融政策について一言申し述べたいと思います。
 財政金融政策の運営に当たりましては、物価の安定を第一の政策目標として、すでに長期にわたり総需要抑制の政策基調のもとで各般の施策を行い、着実にその成果を上げてまいっております。
 この間にあって、政策の遂行に伴うひずみや摩擦現象に対処するため、きめ細かい配意を行ってまいったところでありますが、さらに本年二月十四日、三月二十四日の二回にわたり経済対策閣僚会議において当面講ずべき景気対策を取りまとめ、実施に移してまいりましたことも御案内のとおりであります。
 最近の経済情勢を見ますと、景気はおおむね下げどまりの状況に入ったと見られますけれども、今後の政策運営に当たりましては、物価の安定に配慮しながら、景気を着実な回復軌道に乗せるため、当面すでに実施した景気対策の効果を見守りながら、経済情勢の推移に即応し、引き続き適切かつ機動的な政策運営を行ってまいる考えでございます。
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発言情報

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発言者: 大平正芳

speaker_id: 28089

日付: 1975-04-15

院: 衆議院

会議名: 大蔵委員会