井内慶次郎の発言 (文教委員会)

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○井内政府委員 ただいまのお尋ねの点は、昨年六月の大学院の設置基準におきまして修士課程の目的それから博士課程の目的を一応明確にいたしたわけでございますが、そのことは従前の大学院の目的あるいは学校教育法に定める大学院の目的との相関において問題がないかというお尋ねかと思いますが、学校教育法の第六十五条において「大学院は、学術の理論及び応用を教授研究し、その深奥をきわめて、文化の進展に寄与することを目的とする。」というのが学校教育法に規定する大学院の目的でございますが、大学院設置基準の制定等もこの学校教育法第六十五条の法の趣旨の中における基準の制定ということになるのが当然であろうかと思います。
 そこで「学術の理論及び応用を教授研究」するというその表現の中からどこまでのことを一体読み取れるんだということになろうかと存じます。この点につきましては、先ほども申し上げました大学設置審議会の昨年三月の御答申におきまして、特に修士課程の点でございますけれども、修士課程の問題につきましては、科学技術のいろいろな発展であるとか、社会が複雑化し高度化していくことに伴いまして、各分野において高度の知識、能力を有する人材の必要性が非常に増大しておる。このような状況のもとにおいて社会人がさらに高度の教育を受ける必要性も高まってきておるけれども、修士課程についてはそういったいろいろな要請にもこたえ、多様な役割りを果たすことが期待されていいのではないか。このような事情を考慮し、修士課程は基本的には特定の専攻分野における研究能力の涵養を目指すものではありますが、各大学院の方針により、高度の専門職業教育あるいは社会人に対する高度の教育等に重点を置く修士課程も設置できるようにする必要があるのではなかろうか、こういった御答申をいただいたわけでございます。
 そこで文部省としましては、このような趣旨をどのように表現してまいるかということでいろいろな検討も重ねたわけでございますが、先ほども申し上げましたように従前は大学院設置基準が制定されていなくて、大学基準協会の方の大学院基準がございました。その大学院基準におきましては、修士につきましては次のようなこととしてございました。「修士の学位を与える課程は学部における一般的並びに専門的教養の基礎の上に、広い視野に立って、精深な学識を修め、専門分野における理論と応用の研究能力を養うことを目的とする。」というのが大学院基準の規定でございました。これも受けまして、省令の学位規則におきまして修士の学位につきましては省令においては次のような規定をいたしておりました。「修士の学位は、広い視野に立って、専攻の学問分野について、精深な学識と精深な研究をする能力とを有する者に授与するものとする。」これが従前の学位規則でございました。これに対しまして、先ほど申しましたような大学設置審議会の御答申の趣旨ももととしながら昨年六月に制定をいたしました大学院設置基準におきましては、基本的な構え方といたしまして学校教育法に定める大学院の目的を具現するという基本観点の上に、修士課程につきましては「修士課程は、広い視野に立って精深な学識を授け、専攻分野における研究能力又は高度の専門性を要する職業等に必要な高度の能力を養うことを目的とする。」というふうに大学院設置基準第三条で修士課程の目標を明らかにし、かつ学位規則の改正も行いまして、「修士の学位は、広い視野に立って精深な学識を修め、専攻分野における研究能力又は高度の専門性を要する職業等に必要な高度の能力を有する者に授与するものとする。」かように改めさせていただいたわけでございます。
 それで、あくまでも大学院は学校教育法に定める大学院の目的を具現することでございますから、いわゆるある職業を行うに必要な研修所的なものに堕するというようなことは許されるわけでもございませんし、あくまでも学校教育法に定める大学院の目的を具現する具現の仕方として修士課程については先ほど申し上げましたような規定を置き、今後修士課程が機能する分野がいろいろな要請にもこたえ、大学院の基本を堅持しながらやはり拡大をしていくという方向に向かってしかるべきではないだろうか、こういう考え方に基づくものであります。

発言情報

speech_id: 107505077X01319750604_027

発言者: 井内慶次郎

speaker_id: 11707

日付: 1975-06-04

院: 衆議院

会議名: 文教委員会