文教委員会

1975-06-04 衆議院 全160発言

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会議録情報#0
昭和五十年六月四日(水曜日)
    午前十時三十七分開議
 出席委員
   委員長 久保田円次君
   理事 河野 洋平君 理事 塩崎  潤君
   理事 西岡 武夫君 理事 藤波 孝生君
   理事 三塚  博君 理事 木島喜兵衞君
   理事 嶋崎  譲君 理事 山原健二郎君
      臼井 莊一君    床次 徳二君
      楢橋  進君    西村 英一君
      羽生田 進君    深谷 隆司君
      森  喜朗君    小林 信一君
      辻原 弘市君    長谷川正三君
      山口 鶴男君    栗田  翠君
      有島 重武君    高橋  繁君
 出席国務大臣
        文 部 大 臣 永井 道雄君
 出席政府委員
        人事院事務総局
        給与局長    茨木  広君
        文部政務次官  山崎平八郎君
        文部大臣官房長 清水 成之君
        文部省大学局長 井内慶次郎君
        文部省学術国際
        局長      木田  宏君
 委員外の出席者
        警察庁警備局公
        安第三課長   柴田 善憲君
        行政管理庁行政
        管理局管理官  向坂  浩君
        文部省大学局大
        学課長     大崎  仁君
        文教委員会調査
        室長      石田 幸男君
    ―――――――――――――
委員の異動
六月三日
 辞任         補欠選任
  楢橋  進君     粕谷  茂君
同日
 辞任         補欠選任
  粕谷  茂君     楢橋  進君
同月四日
 辞任         補欠選任
  高橋  繁君     林  孝矩君
同日
 辞任         補欠選任
  林  孝矩君     高橋  繁君
    ―――――――――――――
本日の会議に付した案件
 参考人出頭要求に関する件
 学校教育法の一部を改正する法律案(内閣提出
 第五一号)
     ――――◇―――――
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久保田円次#1
○久保田委員長 これより会議を開きます。
 内閣提出、学校教育法の一部を改正する法律案を議題といたします。
 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。嶋崎譲君。
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嶋崎譲#2
○嶋崎委員 今回の学校教育法の一部改正に関連して、実態の伴わない、何か教育政策の立法的な性格を持っているような気がいたしまして、いままでの法の枠の中で考えてみても、なかなかイメージがわかないところもありますし、幾つか質問をさしていただきたいと思います。
 条文に即していきますが、まず最初に大臣の提案理由の中で第一番目に言っている大学院の研究科の設置廃止を認可事項とするという第四条の問題から質問さしていただきます。
 「大学院の設置廃止が認可事項とされておりますが、研究科が学部にのみ依存することなく、独自に組織編成できるようにされたこととも関連し、大学院の基本となる組織である研究科の設置廃止についても、大学における学部の設置廃止及び短期大学における学科の設置廃止の場合と同様、これを認可事項としようとするものであります。」こういう趣旨説明に基づいて第四条を見ますと、新しく入った「大学院及び大学院の研究科」という点が改正に際しての問題だと思いますが、これは公私立の学校の場合に主に問題になると思うのですけれども、大学院というものを大学の学部と同じように認可の対象にするという趣旨でございますね。
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井内慶次郎#3
○井内政府委員 ただいまお話ございましたように、従来大学院は充実した学部の基礎の上に設置するものとされ、研究科はおおむね特定の学部を基礎とし、これに対応して設置されるものとして運用をされてまいりました。学部の設置、廃止が認可事項とされながら、研究科が学部に相当する大学院の基本組織でありますのに、その設置、廃止が認可事項とされていなかったことは、このこととの関連によるものと思われるわけですが、このたびの改正により、学部段階の組織を全く有しない独立大学院の設置を可能としようとすること、また、先般の大学院設置基準の制定により研究科の独自性が強まったことに対応して、この際このような改正を行い、大学院の基本組織でございます研究科を認可の対象としようとするものであります。
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嶋崎譲#4
○嶋崎委員 問題を少し整理してお聞きしますが、この場合に、国立の場合にはここの第四条の初めに「国立学校及びこの法律によって設置義務を負う者の設置する学校のほか、」と書いてあります。しかし、いままでの場合で、国立の場合ですと、大学の学部は法律で明示しましたですね。大学院は政令でもって、事実上学部の上に大学院を設置するということが、大学の方で方針を決めて、そしてそれを申請をして、設置基準に合わせて行政措置的に処理していく、ある意味ではやはり同じ認可でしょうけれども、そういう形をとってきたと思います。今度の場合に重要なのは、大学院の研究科が認可事項になるわけですね。そうすると、この大学院は、研究科が幾つか集まって一つの大学院を構成するという場合もあれば、研究科が一つで大学院を構成するという場合もある。その場合の研究科というものを特に認可の対象としていくという考え方になるわけですか。
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井内慶次郎#5
○井内政府委員 お説のとおりでございまして、従前、公私立大学につきましては、当該大学に大学院そのものを設置するときに認可に係らしめまして認可をする。そして、ある、たとえば工学部を基礎として工学研究科が認可された、大学院そのものの設置が認可されたという大学で、今度は他の分野で法学研究科を設置したいというときは、従前の扱いはやはり文部省の方に申請を出していただきまして、認可でなくて、協議に応ずるという形で大学設置審議会に諮問をし、実際の運用におきましては認可の場合とほぼ同様な運用を行ってオーケーを出す、こういう形で研究科の増設を図ってまいったわけでございます。したがいまして、当該大学に初めて大学院を設置するときは認可であって、すでに大学院が認可された後において、工学に続いてたとえば法学の研究科を置くというときは、意見伺いということで設置審議会に諮問をし、審査をする、こういう運用でまいったわけですが、逐次、大学院の研究科と学部との関係が、大学院研究科がその組織の仕方において、学部以外の者も中へ入れてくるとか、あるいは東工大のような独立研究科という問題も出てくる状況に至りましたので、文部省としまして、特に公私立大学関係者の方にも意見を徴し、この際、大学院を整備していく上から申しましても、基本組織である研究科そのものを今後は認可事項にしようではないか、こういうことで意見を求めまして、一応関係団体等の了承もとれましたので、今回の改正をお願いしている次第でございます。
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嶋崎譲#6
○嶋崎委員 そうしますと、従来の運用では学部が基礎になっておりましたから、学部を前提にして、そして、一定の大学院をつくる基準に合っているというふうに判断すれば――大学院をまず設置することは、いままでの運用と、今度の新しい認可という、この監督庁の認可を受けなければならないということとの間にはどういう違いが生まれたのですか。
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井内慶次郎#7
○井内政府委員 嶋崎先生御案内のように、現在の公私立大学の研究科の増設等の運用は、先ほどお答え申し上げたとおりでございますが、これは大学院そのものの設置認可の際に、その後の研究科の増設については協議を受けなければならないという条件と申しましょうか、そういうことにしておきまして、協議を受けた件については、大学設置審議会に意見伺いということで意見を伺って、判定をお願いしてまいりました。
 研究科の設置、廃止が認可事項にということで今回の改正をお願いしておるところでございますが、研究科の設置、廃止が認可事項とされますると、運用面がどういうことになってくるかということでございますが、研究科の設置手続の実態そのものは、意見伺いということで従前やっておりましたものと大きく変わることは実際ないだろうと思います。しかし、制度の整備に伴い、現地視察であるとか、従来よりも慎重な審査が行われるようになろうかと存じます。
 なお、ただいまのお尋ねの中に、しからば、認可に相なった後においてその審査をいたしまする場合の基準そのものは一体どうするのだというお尋ねもございましたが、学校教育法なり大学院設置基準等の諸規定が適用されることは当然でございます。また、大学設置審議会の内規として審査基準が定められておるところでございまするが、現在のやり方と申しますか、いままでの運用におきましては、施設でありますとか設備でございますとか図書でございますとか校地、校舎の問題等、学部との共用ということが実態でございましたので、従来、有資格教員の質、量という点が厳密な主たる審査対象になってまいっておりました。大学院の研究科を認可の対象とし、学部から相対的に独立をしていく独立大学院であるとか、こういったものも制度の道を開こうということで御提案申し上げておるわけでございますので、従前、学部との共用を原則としてやっておりました関係で、有資格教員の数のほかは、施設とか設備とか図書とか、こういったものにつきまして特に計量化した基準を持っていなかったわけでございます。実際のやり方といたしましては、大学設置審議会の方で現地視察等も行われるわけでございますけれども、そのときの審査の具体観点は、学部そのものの充実の度合いが大学設置基準に照らしどこまで整備しておるか、大学院を認可し、大学院の研究指導等を行うに足りるだけの施設なり設備なり図書等があるかないかを実地に見ていただいて総合的に御判断を願っておった、具体に即して個別の判断にゆだねておったというのが従来のやり方でございます。したがいまして、今回の法改正に伴い、独立研究科あるいは独立大学院等の問題が出てまいりまするので、大学院としての自主的な水準を確保し、これを前進させまするためには、どうしても先生御指摘のように有資格教員の数以外の分野につきましても、必要なものにつきまして計量化、数量化をする基準の作成を要すると私どもも考えております。
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嶋崎譲#8
○嶋崎委員 局長は少し先走って回答しているようですが、まだそっちへ入ってなかったのですけれども、それじゃその問題に合わせていきますと、大学の場合には大学設置基準というものがございます。大学設置基準は、ここにありますように、大学設置に当たって数量的な基準をかなり細かに決めてございます。そういう意味では客観的な判断が可能であったわけであります。ですから、いままでの学校教育法で言う大学という場合には、もういままでの長い経験の中から、ここの大学設置基準で言っているような数量化が可能であったわけであります。ところが、昨年の六月につくられましたこの大学院設置基準というのは、これは大学設置基準に比べまして、これ自身にも私問題をたくさん感じますが、大学院というものの大まかな組織を決めただけであって、いわゆる設置基準に相当するような、内容に相当するものはありません。ところが、いまおっしゃいましたように、いままでは学部を中心にしてその上に大学院をつくる、そういうたてまえで大学院というものを考えてきましたから、しかも大学院というのは研究科委員会であって、組織としては教授会ではなかったわけですから、つまり学部の研究教育に必要な条件、基準というものをきちっと決めておけば、それを前提にすればほぼ大学院は行けるという判断に立って、大学院というのは特別に認可というような考え方をとらなくても、ある意味では協議でもって事を処理していくことが可能であったと思うのです。
 ところが今度は、学部を持たない大学という六十八条の新しい大学院大学構想というものを一方で含みながら、大学院というものを多様化しようという立法政策上の意図が一方にありますから、そうなりますと、その大学院というもののいわば設置基準、もう少し数量化された基準というものを持っていないと、いまおっしゃるように協議から認可事項にして、よりその条件についてシビアな検討をやらざるを得ないでしょうということになるとすると、認可権だけが前に出ていて、そして認可をするに当たっての客観的基準というものができていないということになりますと、文部省サイドないしは大学設置基準の中でその大学院のつくり方についての客観的基準がないために、いままである意味では政治家が仲に入ってできた大学院もあれば、そういうことはチェックしようという意図かもしれませんけれども、しかしその客観的基準のないところで、いまから協議を認可にするというような変え方をすると、逆に認可権の方が強化されていって、それを判断する客観的基準というものがないという場合に、この大学院の設置認可というものに問題点を起こしはしないか。仮に大学の内部で自主的に判断をして、もううちでは博士課程はよろしいとか、新しい大学院の構想をつくることができると一方で判断しても、それに対しての客観的基準というものがないまま行って、認可権だけが前に出たときに、大学の自治だとか学問の研究の自由だとかいう問題にかかわり合いを持ってこないだろうかということを私大変不安に思うわけであります。
 そういう意味で、ここで言っている大学院及び大学院の研究科というものを監督庁の認可の対象とするというこの考え方の中には、もっと全国の今日の大学院というものを検討してみて、現に学部の上に大学院のある大学は国公私立を含めていっぱいあるわけですから、そういう観点からした場合には、一定の大学設置基準に相当するような大学院の設置基準について、いまの段階で少なくとも客観的な数量化は一定程度可能ではなかろうかと思います。その点どう思いますか。
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井内慶次郎#9
○井内政府委員 ただいま御指摘のございました大学院につきましての基準の問題につきましては、大学院設置基準の中におきましても、ただいま御指摘のように、現在の大学院の設置基準の二十二条では「大学院は、教育研究上支障を生じない場合には、学部、大学附置の研究所等の施設及び設備を共用することができる。」という規定があり、具体的な数量化された基準というのが、御指摘のように、大学の学部を設置いたします場合の基準と比較いたしますと全部抽象的な規定になっておって、第二十二条で共用というものを認めておる。そして、現に今日ございます国公私立大学の大学院は、大部分と申しますか、ほとんど全部が学部との共用ということで設置審議会の審査も受けて、いままで認可もされてきておる、これが現状でございます。
 この点につきまして、ただいま御指摘のように独立大学院の制度、学部から相対的に独立をした研究科の問題でありますとか、こういった道を開く以上は、研究科そのものを制度的に認可事項にかかわらしめるべきであろうという考え方に立ちまして、いま御提案申し上げておるわけですが、この道を開くことに伴いまして、ただいま御指摘のように、しからば従前学部と共用ということを基本的な現実としながら認可され運用されてきた大学院が、学部から相対的に独立を制度的にもし得るようになる以上は、そういう場合の認可の基準については計量化し、数量化すべき分野が相当出てくると私どもは考えております。
 この点につきましては、ただいまお話しございましたように、新しい大学院制度発足以来大学設置審議会で現実を判断をし、認可もいままでやってきていただいたわけでございますが、御案内のように大学設置審議会には、基準を制定します基準分科会と、その基準を使って認可をいたします設置分科会とから成っております。私どもといたしましては、学部から相対的な独立性を強めていく研究科あるいは学部が存在しない大学院の問題等につきましては、この制度の道が開かれると同時に、大学設置審議会に対しまして、この辺を計量化する基準の検討作成方を正式に諮問いたしたい、かように考えておるところでございます。
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嶋崎譲#10
○嶋崎委員 いままでの学部の設置基準のときは、あれはぼくは基準協会みたいに思っておりましたが、あれは独立しておりませんでしたか。設置審議会の中の一分科会でしたか。いずれにせよその組織を一つお聞きします。
 それを前提にして、少なくとも設置審議会とそれからその基準をつくるものとの間に十分な協議が行われて、客観的な基準というものがっくられて、大学に対して大学設置基準というものを設けてきたと思うのです。ところがいままでの大学院の場合は、いわば設置審議会の申し合わせみたいな程度のものなんじゃないかとぼくは思うのですが、そういうものを前提にしているから、現在ある大学院が高いとか低いとか申し上げませんけれども、申し合わせ程度のようなもので認可はしておるけれども、実際には協議的内容のものであったから、ある意味ではどんどん大学院ができたわけであります。そういう大学院を一方でつくっておいて、今度から大学院というものを認可事項にして、そして今度から厳しく対処していくというような側面が前に出てまいりますと、いままでつくった大学院と、これから新たに創設しようとして動き出したところの大学院に対しまして、片一方は申し合わせ的なもので、ある意味では、ルーズと言っては悪いけれども、できていたにもかかわらず、今度は厳しくやりますと、すでに存在しているものの中に、質が悪いと言ってはいかぬけれども、仮にそういうものがあり得るわけです。そういうものを片一方で認めておいて、今度から出てくるものについては非常に厳しい対処をしていくということが運用上行われることがありはしないかという点が危惧されるわけであります。この点どういうふうに判断されているのか。
 この問題の質問はこれでやめますが、第三番目に、しからば大学院の設置基準というものを少なくとも学部の設置基準と同じように一定の数量化した基準に持っていくというのをいつごろまでに考え、そして諮問してどういう時期くらいまでに一定の数量化をやり遂げながら、その認可の客観点な基準を設けようとされておるのか、その点についての判断を三番目にお聞きします。
 初めは組織ですね。そして二番目は、いままでの申し合わせ的な認可の仕方、協議に基づいて認可してきたやり方と、今度の新しい認可という問題について、運用上、内部矛盾が起きないか、大学内部に不満が起きないか。それから学術研究という観点からして、今度からは厳しくなるかどうかは別として、実際上の運用は当分は申し合わせですから、いままでどおりでしょう。しかし基準が次第にその中でつくられていくようになってまいりますと、その基準に伴って大学院のつくり方というものがいままでと違った運用になってくる可能性を含む場合に、公私立大学における大学院の格差の問題に関連して問題点が出てきやしないか。そして最後に、その基準をどういうふうに判断して、いつごろの見通しでそういうものを考えておられるのか、それをお聞きしたいと思います。
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井内慶次郎#11
○井内政府委員 従前の大学院の基準等の問題につきましては、昨年六月に大学院の設置基準が制定されるまでの間は、先生御指摘のように、大学基準協会が決定しておりました大学院基準というものが一つございまして、その大学院基準というものを一つの基礎とし、もととしながら大学設置審議会の大学設置分科会が決定いたしました大学院設置審査基準要項という審査の具体的なあり方、これをもととして従前、大学院の審査等が行われてまいっておったわけでございます。昨年六月に大学院の設置基準が省令で制定をされました。この大学院の設置基準を制定するに当たりましては、数年にわたり関係者の協議を経、大学設置審議会の基準分科会において取りまとめ、中間発表もし、意見をお取りまとめいただきまして、それをもとといたしまして文部省の省令で制定をして今日に参っておるわけでございます。したがいまして昨年の六月、大学院設置基準を制定した後におきましては、大学院設置基準と大学院設置審査基準要項と両方が根拠となりまして審査の仕事等が具体におきまして行われてまいっております。
 第二の問題として御指摘のございました、従前認可されておりました大学院と今後学部から相対的に独立性を強めてくる研究科でありますとか独立大学院でありますとか、その辺の基準が、従前学部のものを共用するというやり方でやっておったものと、新たに定数化すべき要素も出てきた、それによって認可されるものとの間の質的な差と申しますか、審査の基準の緩急の問題であるとか、こういった問題についてはどうかというお尋ねでございましたが、私どもといたしましては、今後大学院の設置認可申請が出てくるに当たりましては、学部を基礎とし、充実した学部の上に大学院を設置してまいりました従来の経緯というのは、大学院を設置する場合のきわめて自然な大学院の設置の一つの仕方であろうと存じております。したがいまして、学部から相対的に独立した独立研究科的なものに今後新たなる問題として取り組むわけでございますが、その際むしろ私どもとしましては、大学設置審議会の方にその基準等も諮問をいたすわけですけれども、その基準を考えるに当たりましては、現在までにありまする大学院の学問研究水準とか学位審査の際の基準、水準であるとか、こういったものを下げるようなことになってはならない、その点はまず明確にしておく必要があろう、そして従前の大学院の組織の仕方でありますとかそういう点において、どちらかと申しますと、従前の大学院が学部学科に対応した専攻を基礎とする研究科ということでやっておったわけですけれども、学問の進歩発達に伴い、また高度の研究指導という観点に立ちました際に、学部学科に対応した専攻よりなる研究科という従前のやり方だけではカバーできない分野がいろいろな面で出てきておる。そういった面について真に従前の学部学科を基礎とした大学院ではどうしても研究面の促進なり研究指導の促進なりにおいて十分の効果の上げ得ないような分野につき、教育研究上、相当厳密な検討を経たものについて学部学科から独立した大学院という道も開いていったらどうかというのが、大学設置審議会から私ども御意見をいただきましたときの大学設置審議会等の御意見の大本でございます。その意味で、従前の大学院と学部から相対的に独立した大学院の質的な問題につきましては、どちらが上、どちらが下ということではなくて、従前の大学院の水準はあくまでも確保し得るような場合、その必要性のある場合に限りそういったものを慎重に基準をつくり、審査もしていただくということでやってまいるべきではないか、私どもとしてはかように考えております。
 なお、しからば制度の道を開いた際にそういった基準の問題はいつごろまでにどうするかということでございますが、今回御提案申し上げております学校教育法の一部改正の附則第一項におきまして、「この法律は、公布の日から起算して三月を超えない範囲内において政令で定める日から施行する。」という条項を置いておりますが、独立大学院なり後期三年の博士課程なりの道をお開きいただきましたら、公布の日から起算して三月を超えない範囲内において政令で定める日からこの一部改正法が施行になりますので、直ちに大学設置審議会に基準の諮問をし、そしてこの法律施行の日までには今回の法改正に伴いまする基準の必要なものにつきましては制定をさしていただきたい、かように考えております。
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嶋崎譲#12
○嶋崎委員 いまの回答で二つ問題がありますが、一つは、大学院というものの基準を考えるときに、いままで大学設置基準で学部の数量化された基準を前提にして大学院を考えてきたんですね。それ以下にしてはならぬというのはあたりまえのこと。問題は、いままでの学部を中心にしてきたその大学設置基準で大学院というものが充足されているんだろうか、この点をまずお聞きしたいですね。
 それが一つと、それからもう一つは、いまの話でこの附則に基づいていきますと、非常に短い期間に一定の客観的な判断を出してこなければなりませんね。それは可能なんですか。
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井内慶次郎#13
○井内政府委員 先ほど申しました学部から相対的に独立した独立の研究科なりあるいは独立大学院なりを考えます際に、現在の大学院の具体的な水準を下げてはならぬぞというのが大学設置審議会の御意見でありまして、その水準という意味は学部の水準という意味ではなくて申し上げたつもりでおります。
 それから現在の大学院がその研究を促進し研究指導を行うに当たって、現状はこれに十分な諸条件が整っておるかどうか、あるいは従前の認可の際の審査が十分であったかどうか、こういった点のお尋ねもあったかと存じますが、この点につきましては、わが国の大学全体の今後の整備充実の方向におきまして、既設の大学院というものをどのように整備充実していくかということが重要な課題だと私ども心得ております。現状で決して十分なものとは考えておりません。
 それから第二に、大学設置審議会に諮問をしてそう短期間に一体基準ができるのかというお尋ねでございました。この点につきましては、今回の法改正が、昨年の三月に大学設置審議会の方からめ答申に基づいて省令制定を行い、今回の法改正を御提案申し上げておる次第でございます。今回の法改正を国会に御提案するに当たりまして、さらに大学基準分科会の御意見を徴したわけでございます。その際に大学基準分科会では次のような御意見をいただきました。「本基準分科会は、昭和四十九年三月三十日付けで行った本審議会の答申のうち法律改正を要する事項について提示された試案に即して検討を行つた。その結果、別紙の方向で」と申しますのは、ただいま御提案申し上げておる内容のものでございますが、その方向で「法律改正を行うことについては先に答申した趣旨を実現するものであり異論はないが、新たな制度の導入であり、影響するところも大きいため、その実現を図るにあたっては、特に下記の諸点に留意する必要があると考える。」ということで、この新しい制度の道を開くに当たりまして大学設置審議会の基準分科会におきましても、実は数点すでに問題意識を持っておっていただきまして、この点につきましては、大学院問題について具体の議論をフリーにやっていただく必要もございますので、大学院問題懇談会におきましても、ただいま並行していろんな議論をしていただいておりますが、私どもとしましては、この新たな創設をお願いしております制度自体が大学基準分科会、大学設置審議会からの御意見に基づくことでございますし、かっこの法案を提案するに当たりまして、基準分科会ですでに具体において次の数点は特に留意しなければいかぬということを御指摘もいただいておりますので、私どもとしましては、省令制定から法律改正に至る一連の問題として設置審議会でも問題を御検討願っておりますので、新しい制度創設の基準の制定と申しますか、あるいは現在の大学院設置基準につきましてどう特例を設けるかということにもなろうかと思いますが、この点につきましては、ただいま申しました大体三カ月ぐらいの日程でこなしていただけるもの、そのような意味で考えておるわけでございます。
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嶋崎譲#14
○嶋崎委員 いまこの第一の四条に関連しては、いま言ったような問題点を残して個別に入りますけれども、要するに第四条で今度大学院の研究科というものを設置認可の対象にしていく、この考え方といままでの運用との間に変化が起きてくるとすれば、この認可権が一方で強化されてきているのにそれに伴う客観的基準というものが非常に不明確なまま法改正の提案が行われている。そういう意味で、この監督庁の認可権が強化されるということに伴う大学との間のトラブルや問題が起きはしないかという点を疑問に残して、そして次の質問に移っていきます。個別に連合大学院や何かをやった中でまた最後に返ります。
 それでいまの問題でもちょっと気になるのは、設置基準を考えるときに、国立大学指導型、つまり現実に国立大学を頭に置いて、それで国立大学でいままで行われてきた大学院の実態に合わせて、そこに今度一つの基準みたいなものが出てきて、そしてそれに私学や公立が合わされるというようなことになる点も心配なわけです。というのは、私学の大学院は私学の持っている伝統的な特性がありますから、それに応じたオリジナルな大学院というものを構想し得るわけですから、だからそういう意味で、私学、公立のいわば大学院の問題を考えるときに、何か国立大学指導型の印象を受けないような考え方をどこかに出しておくことが必要だと思うのです。特に私学の方は今度の法改正に伴って監督庁の認可権が強化されてくると、いままで協議的に処理できたものがかなり強く、シビアにコントロールされはしないか、そういうことからくる批判や不満みたいなものがぼくはあるように思いますので、その点について特に留意しながら検討していただきたいということをちょっとつけ加えておきたいと思います。これは回答要りません。
 さて、二番目の問題に移りますが、二番目は、四十九年の六月の大学院設置基準という省令と今回の法改正との関連でございます。最初一般的にお聞きしますが、四十九年六月二十日ですか、ここに出された文部省の省令、これは施行は、後を見ますと五十年四月一日から施行するわけですから、四月以降の施行でございます。去年の六月にこれが出されているわけでありますが、この大学院設置基準というものをつくってみて、そして今度新たに法律改正をやらなければならないという、この省令と法改正との関連の一般的な考え方をまず聞きたいと思います。
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井内慶次郎#15
○井内政府委員 昭和四十七年以来、大学設置審議会で大学院の基準につきましての検討をいろいろ行っていただきまして、大学院の制度の改善につきましての答申を昨年の三月にいただいたわけでございますが、その大学設置審議会からの御意見は、わが国の大学院の構成の仕方、それから修士課程並びに博士課程の目的、性格を明示すること、それから履修方法のこと、入学資格のこと、組織編成、それから教員組織等、こういった各般にわたる今後のわが国の大学院の制度の整備の方向につきましての御意見をいただいたわけでございます。
 昨年三月のこの答申に基づきまして、大学院制度の整備に文部省としても取りかかったのでございますが、この御答申の中で、省令をもって措置し得るものは昨年六月に省令をもって措置し、法律をもって措置しなければならないものは今回法改正ということで御提案を申し上げておる次第でございまして、その意味では昨年六月の省令の制定並びに今回の法改正、これがやはり一連のものとしまして、大学設置審議会からの御答申を具体化していくこととして私どもやらしていただいておるわけでございます。その意味におきましては、昨年の六月に大学院の設置基準を制定いたしまして、五十年から新たにスタートした大学院につきましては、新しい基準で認可をされたということになります。で、五十年四月からスタートを切っておる。そのことと、この法改正による新しい問題との相関はどうかというお尋ねでございますが、これはただいま申しましたように、省令の制定並びに法改正、これが一連の設置審議会のわが国の今日の大学院の制度整備についての方向である、このように御理解賜りたいと思います。
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嶋崎譲#16
○嶋崎委員 そうしますと、昨年の六月のこの大学院設置基準というのは、いままでの大学院で新しい方向を持っていても処理できるものはこれでまず処理をして、処理できないものについて法律改正をしょう、こういうことになるわけですね。まずこれをちょっと伺って、次へすぐ入りますから……。
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井内慶次郎#17
○井内政府委員 設置審議会の御答申の中で、省令で措置し得るものと法律をもって措置しなければならないものとがございましたので、省令で措置すべきものは省令で措置し、法律を要しますものは今回法改正を御提案申し上げておる、こういうことでございます。
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嶋崎譲#18
○嶋崎委員 そこで、きのう課長にも申し上げておきましたが、この省令が出てからことしの三月までの間にそれぞれの大学で学則改正をやった大学は幾つで、幾つのタイプに――きのうは資料をもらえませんでしたから、幾つのタイプにそれが分けられるか、その資料をちょっと提出願いたいと思います。
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井内慶次郎#19
○井内政府委員 ただいま私どもが一応把握しておりますところでは、大学院の学則と学位規定と両面にわたる点がございますが、大学院の学則につきましては、国立十六、私立二十五、計四十一大学におきまして改正をすでにやっているようでございます。それから学位規定につきましては、国立十三、私立十二、計二十五が改正を行っておるようでございます。このことにつきましては、一応把握している限りにおきましては、お尋ねがございますれば私どもお答えしたいと思います。
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嶋崎譲#20
○嶋崎委員 去年の六月に文部省の設置基準ができて、施行は今年の四月一日以降ですね。その間においてそれぞれの大学で学則の改正と学位の規則の改正が行われるに当たって、文部省はこの基準を示していろいろサゼスチョンをしてきたんでしょう。いかがですか。
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井内慶次郎#21
○井内政府委員 大学設置審議会からの答申をいただきました段階で、これも各大学等にも示しましたが、大学院の設置基準を昨年六月に制定した後におきまして、その新しい大学院設置基準の説明会でございますとか、そういう二とも行い、関係資料等も作成配布いたしまして、この新しい大学院設置基準につきましての理解を、各大学関係者の方に私どもいろいろ努力して深めておるところでございます。
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嶋崎譲#22
○嶋崎委員 その学則改正に当たって、それぞれの大学から――国立が十六。ぼくのデータは十七とあるんだが、どうして一つ狂っているのか、それを見ないとわかりませんがね。それから私立は二十五。ぼくのところは二十七だけれども、幾つですか。二十五ですか。おかしいな。
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井内慶次郎#23
○井内政府委員 いま大学課の方で把握しておりますのは二十五でありますが、後ほど調整します。
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嶋崎譲#24
○嶋崎委員 まあいいわ。
 それで、その学則改正をやるときに、大学側から文部省に問い合わせが幾つかあったと思いますが、その問い合わせに当たっての問題点はどうつかんでおりますか。
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井内慶次郎#25
○井内政府委員 大学院の設置基準の制定等に伴いまして、各大学の大学院に関します学則あるいは学位規定の改正に当たって、各大学の方から文部省の方に事前の御相談等もいろいろございます。その際、修士課程あるいは博士課程の目的を今回の大学院設置基準で明示いたしました関係もありまして、課程の目的をどのように明確にしていくかといった問題についての御相談、それから特に博士課程につきまして、この点が従前の大学院の制度と実際の運用との一つの問題点であったわけですが、今回一部改正でお願いをいたしておりまする大学院に入学し得る者の資格の規定というところから、後期三年の博士課程の改正をお願いいたしているわけですけれども、制度的には修士課程と博士課程という二つの制度で新しい戦後の大学院制度が発足をいたしました。発足をいたしましたが、実際の運用において、いわゆる積み上げ方式ということで呼ばれておりますように、修士課程の上に三年の博士課程を実際は積み上げておるがごとき運用が現には相当行われてまいっておったということが一つあろうかと思います。しかし制度的には、そこに修士課程があるか博士課程があるかだ。博士課程を前期二年の課程と後期三年の課程に制度的にやはり明確に割る場合は、割るとしたらどうであろうかといったこと等がやはり関係者の間で一つ問題でございました。今回の大学院の設置基準の制定に当たりまして、博士課程のつくり方について、これは修業年限を一応五年とする。前期二年、後期三年の課程と分けて、前期、後期というふうにつくってもよろしいんだ。そして、各大学あるいは大学院の方針によりましては、区分を設けないで五年一貫の課程として博士課程を設けてもよろしいんだ。二年の課程で社会へ出る者、これについては、そこのところは修士課程として扱ってよろしい、こういうふうに一応、制度と運用との面について、博士課程に明確に二年の課程と三年の課程を区分し得るのだということを明らかに今回の大学院設置基準でいたしたわけですが、この点等につきましては、現実の運用が二年の修士課程と三年の博士課程のような運用がなされておった関係等もあって、各大学における大学院博士課程の区分の仕方を、従前のやり方と新しいたてまえとの間を具体の運用においてどのように矛盾なく、従前のやり方を生かしながらやってまいるか、こういった点等につきましては特に御相談等が各大学からもあったように聞いております。
 その他、修了要件に関するもの、それから博士課程の修業年限は標準五年ということにしましたが、いろいろな事情により、またその学生の研究能力でありますとかあるいは論文作成の状況でございますとか、こういうものによっては最短三年ということも認めたらどうかというふうなこと等にもいたじましたので、博士課程の修業年限標準五年の点、それから他大学院等への研究指導の委託をどのようにするか、それから他大学の大学院学生の研究指導を逆に引き受ける場合とか、こういうふうな場合の規定をどのように入れてこようかとか、こういった点等が主として協議、相談等があった点のように報告を聞いております。
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嶋崎譲#26
○嶋崎委員 いまの報告の中で二つの問題点を中心に議論しますが、設置基準によりますと、第三条で「修士課程は、広い視野に立って精深な学識を授け、専攻分野における研究能力又は高度の専門性を要する職業等に必要な高度の能力を養うことを目的とする。」こう今度変えたわけですね。前の大学設置基準では、マスター、ドクターというようなことについては非常に簡単な規定でございました。御承知のとおりであります。法律では、学校教育法の中では、大学院というのは非常に簡単な規定でございます。ちなみに学校教育法でいきますと、学校教育法の六十五条は「大学院は、学術の理論及び応用を教授研究し、その深奥をきわめて、文化の進展に寄与することを目的とする。」そして「大学院には、数個の研究科を置く」と読んただけであります、法律では。つまりこの学校教育法で考えてきた大学院と今度の省令で言っている三条の大学院の中の修士課程というものの考え方の中に、いままでのやつも含んではいるが、新しいものも意図しているという解釈が私はできるのではないかと思うのです。前段を読みますと「専攻分野における研究能力」深い学識を持っていて専攻分野における研究能力というものをつけるのは当然だ。これはいままでの大学院の考え方、学部の上に出てきたものだと思います。ところが「又は高度の専門性を要する職業等に必要な高度の能力を養うことを目的とする。」という、今度はマスターに専門的職業人の能力というのが三条に入っているわけであります。これはどういうことを念頭に置いて、たとえば具体的にどういう大学の大学院を頭に置いて、この二つを並列して、「又は」という後の部分が出てきたのですか。
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井内慶次郎#27
○井内政府委員 ただいまのお尋ねの点は、昨年六月の大学院の設置基準におきまして修士課程の目的それから博士課程の目的を一応明確にいたしたわけでございますが、そのことは従前の大学院の目的あるいは学校教育法に定める大学院の目的との相関において問題がないかというお尋ねかと思いますが、学校教育法の第六十五条において「大学院は、学術の理論及び応用を教授研究し、その深奥をきわめて、文化の進展に寄与することを目的とする。」というのが学校教育法に規定する大学院の目的でございますが、大学院設置基準の制定等もこの学校教育法第六十五条の法の趣旨の中における基準の制定ということになるのが当然であろうかと思います。
 そこで「学術の理論及び応用を教授研究」するというその表現の中からどこまでのことを一体読み取れるんだということになろうかと存じます。この点につきましては、先ほども申し上げました大学設置審議会の昨年三月の御答申におきまして、特に修士課程の点でございますけれども、修士課程の問題につきましては、科学技術のいろいろな発展であるとか、社会が複雑化し高度化していくことに伴いまして、各分野において高度の知識、能力を有する人材の必要性が非常に増大しておる。このような状況のもとにおいて社会人がさらに高度の教育を受ける必要性も高まってきておるけれども、修士課程についてはそういったいろいろな要請にもこたえ、多様な役割りを果たすことが期待されていいのではないか。このような事情を考慮し、修士課程は基本的には特定の専攻分野における研究能力の涵養を目指すものではありますが、各大学院の方針により、高度の専門職業教育あるいは社会人に対する高度の教育等に重点を置く修士課程も設置できるようにする必要があるのではなかろうか、こういった御答申をいただいたわけでございます。
 そこで文部省としましては、このような趣旨をどのように表現してまいるかということでいろいろな検討も重ねたわけでございますが、先ほども申し上げましたように従前は大学院設置基準が制定されていなくて、大学基準協会の方の大学院基準がございました。その大学院基準におきましては、修士につきましては次のようなこととしてございました。「修士の学位を与える課程は学部における一般的並びに専門的教養の基礎の上に、広い視野に立って、精深な学識を修め、専門分野における理論と応用の研究能力を養うことを目的とする。」というのが大学院基準の規定でございました。これも受けまして、省令の学位規則におきまして修士の学位につきましては省令においては次のような規定をいたしておりました。「修士の学位は、広い視野に立って、専攻の学問分野について、精深な学識と精深な研究をする能力とを有する者に授与するものとする。」これが従前の学位規則でございました。これに対しまして、先ほど申しましたような大学設置審議会の御答申の趣旨ももととしながら昨年六月に制定をいたしました大学院設置基準におきましては、基本的な構え方といたしまして学校教育法に定める大学院の目的を具現するという基本観点の上に、修士課程につきましては「修士課程は、広い視野に立って精深な学識を授け、専攻分野における研究能力又は高度の専門性を要する職業等に必要な高度の能力を養うことを目的とする。」というふうに大学院設置基準第三条で修士課程の目標を明らかにし、かつ学位規則の改正も行いまして、「修士の学位は、広い視野に立って精深な学識を修め、専攻分野における研究能力又は高度の専門性を要する職業等に必要な高度の能力を有する者に授与するものとする。」かように改めさせていただいたわけでございます。
 それで、あくまでも大学院は学校教育法に定める大学院の目的を具現することでございますから、いわゆるある職業を行うに必要な研修所的なものに堕するというようなことは許されるわけでもございませんし、あくまでも学校教育法に定める大学院の目的を具現する具現の仕方として修士課程については先ほど申し上げましたような規定を置き、今後修士課程が機能する分野がいろいろな要請にもこたえ、大学院の基本を堅持しながらやはり拡大をしていくという方向に向かってしかるべきではないだろうか、こういう考え方に基づくものであります。
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嶋崎譲#28
○嶋崎委員 具体的に言いますと、いまのこの三条で、たとえば法学部の関係、ほかのはちょっとわかりませんが、ほかにもいろんな分野が出てきますが、たとえば法学部の大学院のマスターで司法官試験を受けるというのは、これはある意味で高度の専門性を要する職業への能力の問題になるわけであります。そうしますと、いままでの大学院のマスターというのは、つまり司法官試験とか外交官試験とかそういう特殊な専門性のある職業を前提としたようにカリキュラムは組んでありません。学部を前提にしてここに言うかなり高度な専門的な総合的な知識を前提にし、そして研究者として一定の水準を確保できるところにすべてのカリキュラムが組まれているのが大体常識だと思います。
 そうしますと、この三条をこういうふうに省令で一般的に言いますと、大学の中で常に問題になるのは、たとえば法学部の修士の場合に、なぜ司法官試験を頭に置いたカリキュラムの組み方や指導が行われないのかというのが院生との間の一つの争点でございます。対立点でございます。ですから大学ではこれをめぐって長い間非常に苦慮してきました。ですから大学院のマスターというのはそうじゃありませんよ、いわば司法官試験の階段ではないのですよ、そういう意味でマスターというものはそういうところに焦点を合わせたカリキュラムや指導は、それは特殊に個人的に教授がやる場合はあっても、そういうふうにはやっていないのがたてまえであります。だからこういう問題が出てまいりますと、恐らく当然大学の中で、いままで公にはなっていない問題、大学院教授会と研究科委員会と院生との間でいつも討論の対象になっていたような問題が、この三条ならば、当然司法官試験を受ける学生諸君についてのあり方というものを検討すべきではないかという問題点が必ずいわば全国の大学のマスターの中で今後問題になってくるであろうという点がございます。それは既存の大学の大学院の場合ですけれども、それと同じように今度はそうでない大学で職業的な、たとえば社会に一回出ていって、そうして帰ってきて専門的な職業を身につける、たとえば筑波のマスターの教育の課程みたいなものだとか、それから今後の問題になる技術科学大学院における大学院の位置づけとかそういう場合には、この後段が問題になってくると思います。しかしいままでの学校教育法で言う大学院というのは、そういうつまり専門性の高い職業教育というものを前提にした制度ではないというところにいわば新しい道を開くことになると判断するわけであります。
 そうしますと、これは学位というものの内容にも関係してくるのですが、マスターというものの論文は、御承知のように、何も事業目的や職業目的で書かれるものではありません。これは後の共同利用を前提にした場合や技術科学大学院や一切の問題に関連してきますから、ここでちょっとサゼスチョンして、後でまたもう一遍やりますけれども。
 だから、いままでの法律で言われてきた大学院制度のあり方に対して、この省令では、少なくともいままでの大学院のあり方とは違ったカリキュラムのつくり方やマスターの与え方というようなものが、制度的に道が開かれる性質の改正であるというふうに判断せざるを得ないのではないかと私は思うのです。
 そうしますと、これは省令事項でやれる問題なのか、国の、つまり新しい大学院の制度というようなものを今後考えていくときの学位のあり方という根本に触れる問題に関連するから、簡単に省令の三条でその基準としてこういうものをつくっていいのかどうかという疑問点が出てくるわけであります。この点について、後でまた御回答を願います。――それを先にやってもらいますか。
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井内慶次郎#29
○井内政府委員 修士課程につきまして、先生御指摘のように、高度の専門性を要する職業等に必要な高度の能力を養う、目的の中にこう入れてきたと申しましょうか、修士課程の目的につきまして、その面を大学院設置基準で出してきたわけでございますけれども、しかし、先ほどもお答えしましたように、それはあくまでも学校教育法第六十五条の、学術の理論及び応用を教授研究するんだという、大学院の法で定める規定の範囲内の問題ということがやはり基本かと思います。
 したがいまして、ただいま先生から御指摘のございました、たとえば司法試験との関連における問題でありますとか、あるいは医師法による、医学部を出て臨床研修ということを現にやっておりますが、ここのところが、医学の大学院制度との相関というのが非常に問題があって、これにつきましては、いま関係者の間でもいろいろ議論は願っておるのですけれども、現実はそう単純に割り切れる問題ではないわけでございます。したがいまして、その辺は、大学院が堅持すべき、大学院の法で定める目的というものを基本のプリンシプルに押さえながら、現実に起こってきておる具体の要請というものをどのように調和させていくかという問題が、やはり非常にむずかしいこれからの取り組まなければならない課題と私どもは心得ております。その際に、たとえば司法試験の関連であるとか、あるいは医師養成との関連であるとか、こういった他の諸制度が特にあるもの等につきましては、ここのところは十分慎重に対処しなければなるまい、かように考えております。
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