塩崎潤の発言 (文教委員会)
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○塩崎議員 ただいま議題となりました私立学校振興助成法案について、その提案理由及び内容の概要を御説明申し上げます。
周知のように昭和三十年代の後半から、わが国の高度経済成長に伴って学校教育に対する国民の需要ば急激に増大してきましたが、その需要の大部分の充足は、私立学校の教育に依存してまいりました。その結果として、たとえば、昭和四十九年度においては大学の学生数の七九%、幼稚園の幼児数の七六%は私立学校に依存しており、高等学校ですら三一%という高い数字を示すようになったのであります。
このような学校教育における私立学校依存の傾向にもかかわらず、また、昭和四十五年度から予算補助という形態で始めた国及び地方の経常費補助を毎年充実していったにもかかわらず、国の私立学校に対する財政援助のあり方等についての考え方は必ずしも確定せず、また、年々悪化していく私学財政の危機が果たして切り抜けられるかどうか、常に危ぶまれてきました。特に、最近における人件費の高騰と石油危機以降の物価の急上昇は、私立学校の経営に対して大きな打撃を与え、深刻な危機に直面させているのであります。これに対して私立学校は主として授業料その他の学校納付金の大幅引き上げと収容人員の増加等によって対処してきたのでありますが、このことは、反面、国、公立の学校に比べて父兄の学費負担を一層過重ならしめるとともに、私立学校の個性ある教育という理想を損なうのみならず、教育水準の一層の低下を招くこととなっているのであります。
このような私立学校の当面している危機的状態に対処するためには、まず第一にこれまでの予算補助の形態から一歩を進めて国民の明確なコンセンサスともいうべき法律の形態で私立学校振興助成についての国の基本的姿勢と財政援助の基本的方向を宣明するとともに、私立学校も国の財政援助についての法的保障のもとに経営の安定の努力を払えることにすることが必要であります。
次に、以上のような国の財政援助についての法的保障の創設に伴い補助金の執行の適正化をさらに図るとともに、国民の税金が真に有効に使用されることを担保するための措置をこの際採用することが必要であります。
以上が本法律案を御提案申し上げる必要な理由であります。
次に、本法律案の主な内容について申し上げます。
第一は、国が私立の大学及び高等専門学校の教育研究に係る経常的経費について、その二分の一以内を補助することができることとしている点であります。このことは、私立学校の全経費の七〇%以上を占めるといわれる経常的経費を取り上げて私立学校の特殊性を考慮して、二分の一という補助の目標を念頭に置きながらも、現下の苦しい国の財政事情を考慮して二分の一以内という裁量権を国に与えたものであります。
なお、経常的経費の範囲については、恣意的要素を排除して客観的に政令で規定することとしております。
第二は、都道府県が、私立の高等学校、小・中学校、盲・聾・養護学校及び幼稚園の教育に係る経常的経費について補助する場合には、国は、都道府県に対し、政令で定めるところによりその一部を補助することができることとしております。
御承知のように、高等学校以下の教育については、古くから都道府県の固有事務として地方自治の原則にゆだねられる一方、昭和四十五年度から国の私立大学等に対する財政援助に準じて助成が行われてきましたが、都道府県間のアンバランスと最近における地方財政の困難から来る財政援助の不十分さに対しては、もはや放置することができず国は都道府県に対して補助することにより、これを除去しようとするものであります。
なお、国の場合と異なり、都道府県の補助の割合を明示していないのは、財政に関する地方自治の原則を尊重するとともに、現に国が私立大学等に対して行うと同様の補助が法律の規定がなくとも行われている事実があるからであります。
第三は、この国の財政援助の有効性を担保するための各種の措置であります。まず、私立大学等の経常的経費に係る補助金について、その減額及び不交付に関する規定を設けることとしております。
これは、健全な私学の経営、教育研究の向上を図る観点から、日本私学振興財団法等の施行の経験に基づき、適正な補助金の執行を図るとともに、補助金の減額、不交付の理由を法律上明確にすることとしたものであります。
次は、文部大臣は、昭和五十六年三月三十一日までの間、特に必要があると認める場合を除き、私立大学、学部等の設置及び収容定員の増加を認可しないものとしております。このことは、国の財政援助の法的保障の創設に伴い当面は、私立大学は個性ある教育という私学の理想を高く掲げて量的拡大よりも質的向上を図ることが適切であり、また私立大学の一方の意思によって財政負担が無制限に膨張することを避けようとするものであります。
第四は、その他、関係法律について所要の規定を整備することとしております。
第五は、この法律は、昭和五十一年四月一日から施行することとしております。
以上が、本法律案の趣旨及び内容の概要であります。
何とぞ、御審議の上、速やかに御賛成くださるようお願い申し上げます。