三木武夫の発言 (予算委員会)

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○三木内閣総理大臣 私の政治姿勢に関連して不破さん御質問でございましたが、これは、不破さんにも国民の皆さんにも、この事情は御理解を願いたいと思うのであります。
 私は、環境庁長官に就任しまして、そして一生懸命に環境庁長官として、国民の生命と健康の保持に取り組んできたことは、これはもう国民も皆さんもおわかりのとおりでございます。これは、日本はアメリカ等に比べても、自動車の台数が平地の面積当たり八倍も九倍も多い。こういうことで、自動車から出る排気ガスの一つの健康に対しての悪影響というものは、無関心ではいられるわけはないわけです。五十年度規制にも、不破さん、あれには、アメリカが延ばしたから延ばしてくれということをいろいろと強く言われたけれども、五十年規制は守られるというメーカーがあったから、私は強行したのですよ。五十一年度規制も、この窒素酸化物が、いま御指摘になった光化学スモッグのやはり大きな原因であると言われていることは、学者などもいろいろと立証されておるわけでありますから、ぜひとも五十一年度の規制は実行したかった。環境庁長官をやめる直前まで、メーカーを呼んで私が言ったことは、もういろいろなデータをそろえて、〇・二五という基準が実行できなければ、何とかそれに近づけないかということを説得したのですよ。これは新聞なんかにも報道されました。
 ところが、御承知のようなことで、内閣の初閣議にこれはかかってきたのです、私の初閣議に。そして、大気部会で決めまして、これは告示するということであった。私はそれを差しとめたわけだ。普通の場合は、大気部会で決めたら、それなりに告示になっているのですよ、いままで。しかし、健康に与える影響の重大なことを考えて、それではいけない。これは従来ないことですよ。それを中公審の総会で、やはり慎重に国民的立場から検討すべきであるということで、それを中公審の総会の議に付するのでなければ、大気部会だけでは決めてはいけないというのが初閣議の決定であったわけですね。初閣議はいろんなことをやらないわけですけれども、それをやったわけであります。
 それで、中公審にかかって、中公審は一日で終わるはずが一日で終わらなかった。中公審のメンバーは、御承知のように九十名くらいあったと思いますよ。労働組合からも入っています。学者もたくさんに入って、市民の代表も入っておれば、また地方自治の団体も入って、あのメンバーが偏ったメンバーだとは思わないですよ、不破さん、あの九十名。その人たちが何日かかかって慎重に検討した結果、どうしてもやはりいまは技術開発の面で——窒素酸化物というものはどこも取り扱っていないですよ、規制を。それだから、日本だけがもし窒素酸化物に対する技術開発ができれば、世界に率先するわけですからね。無理なことを、できないことを強要するということは、技術開発ができないことになれば、自動車はやはり製造をやめなければならぬというようなことになって、今日の近代的な社会において、そういうことはできませんから、いろいろ検討の結果、二年間延期したわけですね。そして大型車に対しては〇・八五、小型車については〇・六ということで、中公審が、こうしていろいろな附帯決議がついていますが、決めた。それだけの人が決めたものを、私は技術的なデータを持ってないのですから、それはいかぬ、政府はやはり予定どおりやるというようなことは、それは勇気を持ってやれと、不破さん、あなたは非常に合理主義者ですから、まさかそういうことをおっしゃいませんでしょうが、しかし、それはできないのですよ、そこまで来れば。
 それで、政府が認めたけれども、それだけではいかぬと思って、この排出ガスに対する閣僚協議会というものを私は設けまして、この善後措置を、税制上からも、あるいは交通の規制の問題からもございましょうし、いろいろな技術開発の面もあって、それをもう一遍検討して、これはやむを得ないにしても、できるだけ窒素酸化物に対する被害を少なくするために、いま閣僚協議会で、もう何回も会議をやりましたが、これに対して、いろいろなそういう条件のもとでも、なおかつ、いま御指摘のような、国民の被害をできるだけ最小限度に食いとめるような一つの善後措置を講じておるわけです。二年延ばしましたけれども、これからできるだけ督促して、その二年を短縮するように努力をしたいと思っておるので、三木内閣の、国民サイドかメーカーサイドかという試金石だとおっしゃるのですから、どうか私が、国民サイドに立って政治をやろうとしておるということは御了承を願いたいのでございます。

発言情報

speech_id: 107505261X00319750131_005

発言者: 三木武夫

speaker_id: 13903

日付: 1975-01-31

院: 衆議院

会議名: 予算委員会