不破哲三の発言 (予算委員会)

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○不破委員 私はここに自動車公害専門委員会の議事録の要旨を持っています。これはどこから出たものかと言いますと、自動車工業会が業界の加盟各社に配ったものであります。それも最初のうちはタイプ刷りです。だんだん審議が激しくなってきて対策を立てる必要が出てくると、もう自動車工業会の便せんに——恐らく会議に参加した人がメモしたものでしょう、便せんそのままのリコピーが全部加盟各社に配られている。これを私は言うのです。あなたはいま、そういう委員の方はおられないと言いましたが、その中にはちゃんと委員名を書いて、何とかメモと書いてあるのまであります。それで、国民に非公開でありながら業界には筒抜けだ。済んでから配るのなら、まだ話は多少は了解の余地があるかもしれません。しかし、刻々加盟各社には、この専門委員会ではこういうことが議論になっているぞということが、恐らく業界代表でしょう、業界代表の手からこういう形で流れて、対策が立てられている。まさに手のひらの上であなた方は審議をしたわけじゃありませんか。
 それで、これは非常に読みにくいので、私、総理への参考のためにタイプ刷りにしてまいりましたので、差し上げておきますから、ちょっとこのメモをごらんになっていただきます。
 しかも、問題はその手続だけじゃないのです。私はこの議事メモを読みまして大変驚きました。いままで政府の方は、昨年の十二月の国会でも、ここに集まられている先生方は権威のある先生ばかりである、だから非常に技術的、専門的な討論をやられているので、しかも、それを周りに煩わされないで率直に意見交換ができるように非公開にしているんだということを、たしか政府委員の方は、衆議院でも参議院でも答弁されているはずであります。
 ところが、ここには大体主な委員会の議事録が全部出ておりますが、その内容を見ますと、内容がまた驚くべきものであります。これは私、天下の批判にさらすために、欲しい方にはどなたにでも差し上げるつもりで、公開するつもりでありますが——私がやったのではない。自動車工業会が公開したのですから。しかしこれを見ると、私ども国民が健康と安全をゆだねている委員会というものが、企業サイドでつくられた場合にどういう実態になるか、まさに驚くべきものであります。
 第一に、八月三日の大気部会、八月九日の最初の自動車公害専門委員会で、委員長である八田氏自身が言っている言葉があります。
 それは何かというと、五十年対策は自動車産業として初めて扱うシステムだから、これから先への前進は大変むずかしいんだ。五十年対策を実行して、そのフォローアップだけでも大変なんだから、その上五十一年対策を行うのは困難である。五十年対策だけでも燃料費が悪化している。エネルギー問題がひどくなる。日本だけ厳しい規制をとると輸出に影響を与える。そういうことが心配だが何かはやらなきゃいかぬ。価格、維持費のアップ、燃費の悪化、運転性の悪化等から、これ以上規制を厳しくして果たしてユーザー、使用者が使うかどうか。使用者が低公害車を使用した方が有利というふうにしないと、委員会としては問題になる。政府が決めたNO2の環境基準についても、少し問題がないか、委員会としても取り上げられるだろう。この五十一年度規制を技術的にどこまでやるかという話が一行もなくて、やったら大変だという話が八田委員長の口から大気部会にも出され、それから最初の自動車公害専門委員会でも述べられている。
 そればかりか、その最初の会議をやって、三社の自動車メーカーを視察に行きます。それからまた集まったときには、事もあろうに通産省が資料を出して、公害をこれ以上厳しくするとどんな大変な経済結果が起きるかということを、具体的なこういう数字まで挙げて詳細に説明をして、初めから水をかけているわけであります。
 そして、そういう議論がずうっと続くもんですから、十一月二十日、もう審議の最終段階のころですが、環境庁の方から、余りのことに困ったのでしょう、この議論を国民の健康優先の議論として展開し直さないと説得力がないから、燃費の問題だとか運転性の問題だとかいうことは、なるべく後回しの議論にしようではないかという提案が、わざわざ環境庁から十一月の二十日に出ている。それも国民への説得力という角度からの問題提起であります。これが第一。
 それから第二には、先ほど環境庁長官は、専門的に十分な学識があると言われました。ところが、九月の二日の会議で八田委員長自身が、エンジン専門家の先生に、五十一年度規制に関する考え方や暫定値の考えを聞く必要がある一いまのお話ですと、八田委員長は大変なエンジンの専門家だと言われましたが、八田委員長自体が、エンジン専門家の先生に五十一年規制に対する考え方、暫定値の考え方を聞いたらどうかということを提案している。それでだれが否定したかというと、日本石油連盟の片山委員であります。否定の理由は、「技術的面に関しては専門家の先生方の情報の質と量がメーカーより優れているとは考えられない。」もうこれでエンジン専門家を呼ぶという話は最後までお流れであります。ここにも、この委員会がメーカーの提供する技術的なデータだけではなしに、その判断までうのみにしたことが明瞭にあらわれているわけであります。これが第二点。
 第三点、時間がありませんから簡潔に述べますが、十二月五日、この委員会が〇・八五という最終的な決定をしたときの議事録が出ております。各委員にどうしたらいいかというアンケート調査をしております。出席していた委員は九名であります。そのうち八名までが〇・九ということを上限として提案をしているわけです。ただ一人の委員だけが〇・八を最高にしている。ところが、それがなぜだめになったかというと、環境庁から出ている方から、「トヨタは〇・九なら出来ると言っている。メーカーの言いなりである。事務当局としては、〇・九を戴いてもどうしようもない。」こういう発言があって、そうしたら八田委員長が、この議事メモによると、じゃ〇・八五でどうか。まるでバナナのたたき売りであります。
 しかもそのときに、私、驚くべきことだと思うのですが、トヨタの〇・九ができるというデータは一体どこから来たのか、われわれ委員会はそんなものはもらっていないということが問題になりました。そうすると、環境庁から出ている方が、ある先生から長官が渡された資料である。ある先生というのですから国会議員ではないかと思いますが、それ経由で長官から渡された資料に、トヨタは〇・九ならできるということがあった。ところが、委員会に渡されている技術的なデータは、〇・九は不可能だ、一・〇から一・一だということが渡されていたわけであります。それで、これが紛糾しまして、そんなものがあるとすれば委員会に配られた資料との関係はどうなるのかとか、メーカーの言うことは信用できないとかいうことがここで議論になって、かなり紛糾している。つまり、メーカーの出した技術的な資料をうのみにしてやってきたが、最後になって、いわばそれが正確なものでなかったということが委員会自体にもわかる、これが十二月五日の最後の委員会であります。
 そして、そういういきさつを経て、〇・八五ということが決められた。それについてある委員が言っております。どうも十分に裏づけられているとは思えない、〇・八と〇・九を足して二で割って〇・八五にしたというのは多少ひっかかる。私、飛び読みをしているわけでありますが、全部を読んでも似たような議論であります。これが資本から独立した、技術的な専門知識と技術的な判断を持った委員会の討論であるかどうか。私は、この問題に対してほんとうに真剣に考えている国民や専門家の皆さんがこの議事内容を見たら、ともかくびっくりすると思うのです。びっくりするどころか、まさに政治に対する不信を新たにするし、政治に対する怒りを覚えると思うのです。
 環境庁長官は、こういう審議の経過について多少とも報告を受けた上で、いま言われたようなことを述べられているのか、それとも、私どもがいただいているような、このごく簡単な資料だけの報告を受けて答弁をされておられるのか、そこら辺を伺いたいと思います。

発言情報

speech_id: 107505261X00319750131_012

発言者: 不破哲三

speaker_id: 31749

日付: 1975-01-31

院: 衆議院

会議名: 予算委員会