小林進の発言 (予算委員会)

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○小林(進)委員 四十八年十一月一日に韓国の金鍾泌総理が日本に参られた。当時の田中総理、大平外務大臣に面接されて、金大中事件については一応陳謝の意を表せられた。ここで大平外相は、日本に対する主権侵害の問題は解決した、政治的に解決した、こういう一方的な判断をされた。これは日本の独立と主権とを売った歴史上永遠に消えない大きな汚点です。しかし、その問題はしばらく置くとして、そのときの政治的結着の条件として、一つは金大中氏の身柄をどう処置をするかということ、これは留保された。二つ目には金大中氏の出国の自由が了解された。以上二つであります。これが政治的解決というときの条件なんです。ところがこれが一つも解決されていない。いま外務大臣のお話の中では、まあ韓国並みの自由は与えられている、しかし選挙違反の裁判問題がある、彼は拒否しているから、その問題で若干の拘束を受けているのではないかというふうな、まあ想像も加えたどうもあいまいな説明があった。
 これは外務大臣に申し上げておきますが、あなたは最も優良な官僚出身です。あなたと同じ型なのに前に愛知揆一という秀才がおられた。われわれは、愛知揆一、宮澤氏を、官僚の頂点における、これほどそつのない、しかも無性格な国務大臣はないと評価をしている。だから、まごまごしていると白を黒とも言い含める、そういう官僚的技能をあなたは非常に巧みに持っておられる方だだ。けれども国会です。特に外務大臣などというものは、筋と哲学を持たなければ勤まらない。官僚は官僚でいいのです。これは無性格でやっていればいいが、あなたは国務大臣として、少し哲学のある、渋みのある、信念のある回答をしてもらわなければいけないのでありますが、金大中氏は、最近みずからの心境をこう語っている。語った日にちを言いましょう。一九七四年十一月二十九日です。彼はソウル市における自宅の中で、いままで一度も口にしなかった日韓両国の政府に対して、事件処理の仕方について初めて批判の談話を発表した。いいですか、大平さん。あなたも前外務大臣なんだから、あなたの罪は一番大きいのだから、よく聞いてください。
 彼はこう言っている。一年前の七三年十一月一日に両国政府は何を決着したのだ。政治的決着です。結局、いまになってみると、何も決着をつけていないということになってしまった。私の自由の問題も、すなわち金大中氏の自由の問題も、事件の真相究明も非常に遺憾である、こう言っているのであります。あなたはこの談話を御存じでありましょう。知っておられますね。頭を下げられましたから、知っておられることにしましょう。なお加えて、この両国政府の決着に対して、最初から疑問を持ち納得ができないと言っている。金大中氏は納得ができない。世論を無視したこの両国政府の責任は重い、彼はこうはっきり言っていますよ。私個人としては、最初からこれは決着にならないと予見していたから驚かないが、両国間の虚構に対しては——虚構です。真実を偽って虚構をつくり上げた。虚構に対しては、私の事件だからというだけでなく、この事件を踏み台として両国の本当の親善を熱望していたので、怒りを禁じ得ないのが私の現在の心境です、こう言っているのであります。
 日本の政府、三木総理大臣、国民はあなたの外交姿勢には相当の信頼を置いております。三木外交には筋があるという見方をしておりますが、この金大中氏の最近の発言をあなたはどうおとりになりますか。そのときにもあなたは閣僚の一員でいられたはずであります。

発言情報

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発言者: 小林進

speaker_id: 8598

日付: 1975-03-04

院: 衆議院

会議名: 予算委員会