予算委員会

1975-03-04 衆議院 全109発言

⚠️ 発言のコピー・転載時は出典元URL(kokkai.ndl.go.jpおよびkokkai-data.com)を必ず残してください。改変・出典削除は禁止です。 詳細は利用規約をご確認ください。

会議録情報#0
昭和五十年三月四日(火曜日)
   午前十時四分開議
 出席委員
   委員長 荒舩清十郎君
   理事 小山 長規君 理事 竹下  登君
   理事 谷川 和穗君 理事 湊  徹郎君
   理事 山村新治郎君 理事 小林  進君
   理事 田中 武夫君 理事 林  百郎君
      植木庚子郎君    大久保武雄君
      大野 市郎君    奥野 誠亮君
      北澤 直吉君    倉成  正君
      黒金 泰美君    櫻内 義雄君
      笹山茂太郎君    正示啓次郎君
      瀬戸山三男君    田中 龍夫君
      谷垣 專一君    塚原 俊郎君
      西村 直己君    根本龍太郎君
      野田 卯一君    藤井 勝志君
      保利  茂君    前田 正男君
      松浦周太郎君    森山 欽司君
      綿貫 民輔君    安宅 常彦君
      阿部 昭吾君    阿部 助哉君
      石野 久男君    岡田 春夫君
      多賀谷真稔君    楯 兼次郎君
      楢崎弥之助君    堀  昌雄君
      湯山  勇君    田代 文久君
      中川利三郎君    平田 藤吉君
      坂井 弘一君    広沢 直樹君
      安里積千代君    小平  忠君
 出席国務大臣
        内閣総理大臣  三木 武夫君
        国務大臣
        (経済企画庁長
        官)      福田 赳夫君
        法 務 大 臣 稻葉  修君
        外 務 大 臣 宮澤 喜一君
        大 蔵 大 臣 大平 正芳君
        文 部 大 臣 永井 道雄君
        厚 生 大 臣 田中 正巳君
        農 林 大 臣 安倍晋太郎君
        通商産業大臣  河本 敏夫君
        運 輸 大 臣 木村 睦男君
        郵 政 大 臣 村上  勇君
        労 働 大 臣 長谷川 峻君
        建 設 大 臣 仮谷 忠男君
        自 治 大 臣
        国家公安委員会
        委員長
        北海道開発庁長
        官       福田  一君
        国 務 大 臣
        (内閣官房長官)井出一太郎君
        国 務 大 臣
        (総理府総務長
        官)
        (沖繩開発庁長
        官)      植木 光教君
        国 務 大 臣
        (行政管理庁長
        官)      松澤 雄藏君
        国 務 大 臣
        (防衛庁長官) 坂田 道太君
        国 務 大 臣
        (科学技術庁長
        官)      佐々木義武君
        国 務 大 臣
        (環境庁長官) 小沢 辰男君
        国 務 大 臣
        (国土庁長官) 金丸  信君
 出席政府委員
        内閣法制局長官 吉國 一郎君
        内閣法制局第一
        部長      角田礼次郎君
        警察庁長官   浅沼清太郎君
        警察庁警備局長 三井  脩君
        防衛庁防衛局長 丸山  昂君
        防衛庁経理局長 亘理  彰君
        防衛施設庁総務
        部長      安斉 正邦君
        経済企画庁調整
        局長      青木 慎三君
        経済企画庁国民
        生活局長    岩田 幸基君
        経済企画庁総合
        計画局長    小島 英敏君
        科学技術庁原子
        力局長     生田 豊朗君
        外務省アジア局
        長       高島 益郎君
        外務省条約局長 松永 信雄君
        大蔵大臣官房審
        議官      旦  弘昌君
        大蔵大臣官房審
        議官      藤井 淑男君
        大蔵大臣官房審
        議官      後藤 達太君
        大蔵大臣官房日
        本専売公社監理
        官       西沢 公慶君
        大蔵省主計局長 竹内 道雄君
        厚生省年金局長 曾根田郁夫君
        農林大臣官房
        長      大河原太一郎君
        水産庁長官   内村 良英君
        通商産業審議官 天谷 直弘君
        資源エネルギー
        庁長官     増田  実君
        資源エネルギー
        庁長官官房審議
        官       井上  力君
        資源エネルギー
        庁石油部長   左近友三郎君
        労働省労政局長 道正 邦彦君
        労働省労働基準
        局賃金福祉部長 水谷 剛蔵君
        自治大臣官房審
        議官      石見 隆三君
 委員外の出席者
        予算委員会調査
        室長      野路 武敏君
    —————————————
委員の異動
三月四日
 辞任         補欠選任
  江崎 真澄君     綿貫 民輔君
  山村新治郎君     松野 頼三君
  金子 満広君     田代 文久君
  紺野与次郎君     平田 藤吉君
  正木 良明君     坂井 弘一君
  矢野 絢也君     広沢 直樹君
同日
 辞任         補欠選任
  綿貫 民輔君     江崎 真澄君
  坂井 弘一君     正木 良明君
  広沢 直樹君     矢野 絢也君
同日
 理事山村新治郎君が同日理事を辞任した。
    —————————————
本日の会議に付した案件
 理事の辞任
 昭和五十年度一般会計予算
 昭和五十年度特別会計予算
 昭和五十年度政府関係機関予算
     ————◇—————
この発言だけを見る →
荒舩清十郎#1
○荒舩委員長 これより会議を開きます。
 昭和五十年度一般会計予算、昭和五十年度特別会計予算及び昭和五十年度政府関係機関予算、以上三案を一括して議題とし、質疑を進めます。小林進君。
この発言だけを見る →
小林進#2
○小林(進)委員 私は、総括質問に入る前に、いま国民が一番関心を持ち、なおかつ恐れております間組本社爆発の問題についてお尋ねをいたしたいと存じます。
 三菱重工の爆撃から始まって大成建設など、この民主的な平和なわが日本には考えられぬような、凶悪な一連の爆発事件が連続して行われておるのであります。しかもこれに加えて、頻繁として要所要所には、まだ実行行為には至りませんけれども、爆発予告とも言うべき脅迫の電話等が行われて、世道人心はまことに戦々恐々たるものがあるのでございまして、これに対しましては、私も実は数カ月をかけて私なりに資料を集め、きょうその資料に基づいて実は御質問申し上げるという予告もしていたのでありまするけれども、どうもしかし、私の集めた資料にはまだ的確な証拠がない。自信がありませんので、これを後日にしたわけでありますが、それにいたしましても、捜査当局の御苦心は並み並みならぬものがあると思います。特に現警視総監は、そのために直接に被害・を受けて愛妻を失われた方でもあります。それは精魂を傾けて問題解決のために御努力願っていると思うのでありますけれども、特に、いままだ生々しいこの間組事件の問題について、どういうぐあいに調査をつけ、どういうぐあいな状況になっているのか、これをひとつお尋ねをいたしたいと思うのであります。
この発言だけを見る →
福田一#3
○福田(一)国務大臣 御指摘のこの凶悪犯、爆弾事件に関する問題につきましては、警察当局といたしまして、一般の皆様方の非常な不安を巻き起こしており、何としてもこの事件は解決をしなければならないという決心で、総力を挙げて努力をいたしておるのでございまするが、今日に至るまでまだその解決を見るに至らない、犯人の逮捕を見るに至らないことについては、まことに遺憾に存じておりまするが、今後も大いにひとつこの問題の解決のために警察の総力を挙げて努力をいたしたい、かように考えておりまするが、ただいま御質問がございました具体的の捜査の内容その他につきましては、政府委員から答弁をさせていただきたいと思います。
この発言だけを見る →
三井脩#4
○三井政府委員 間組の事件は、過去に昨年八月三十日、三菱重工の事件が発生いたしましてから、続いて三井物産の事件、帝人中央研究所の事件、そして大成建設。また、被害は少のうございましたけれども、昨年十二月二十三日には鹿島建設内装研究所において爆破事件がございました。
 これに続いて起こった事件でございまして、事件は、二月二十八日金曜日、午後八時ごろ、ほとんど同時に三カ所において爆破いたしました。第一回目は間組本社の九階において、それから三十秒ないし一分の後に同じく六階において爆破をいたしました。同時にまた、埼玉県与野市にあります間組の大宮工場におきまして、八時ごろこの爆破が起こったわけでございます。簡単に申しますと、三件がほとんど同時に発生をいたしたという状況でございまして、このうち、間組本社におきます爆発におきましては、重傷者一名を出しておるわけであります。
 本件発生と同時に、警察では現場に急行するとともに、緊急配備等を実施いたしまして、現場における犯人の捕捉また目撃者の確保等に努力をいたしました。引き続きまして、当日から始めておりますが、現場における実況見分を行っておるところであります。
 現在までのところ、この現場の状況から申しますと、火薬の種類並びにその威力等につきましては、まだはっきりいたしておりませんが、三菱重工に次ぐかなりのものであろうというように考えるわけであります。
 また、この事件をめぐりまして、埼玉県与野市の大宮工場の関係におきましては、この事件直前の七時四十五分ごろ、大宮工場に隣接をいたします日通の倉庫の事務所に対しまして、日通前の通りに爆弾を仕掛けた、したがってすぐ交通遮断をしなさい、こういう予告電話がございました。ここでは、間組の大宮工場という名前を挙げておりませんが、交通遮断、交通阻止線をつくったらどうかというようなことを言っておりますので、もしそのとおりに行動いたしますと、ちょうど爆発がその阻止線のところで起こる、こういうようなところで人に対する加害をねらったものというような感じもいたすわけであります。
 その後、この間組本社の事件に関しまして通告文が参りました。これは、実際に到着いたしましたのは、都内の新聞社に対しまして三月二日に到着しておりますが、この通告文の消印等を見ますと、事件翌日の三月一日の正午から午後六時の間に、都内の中央郵便局管内のポスト等に投函したものと思われるわけであります。
 この通告文の中身は、「東アジア反日武装戦線さそり」という名前で、活字を切り張りしたものをリコピーしたものでありますけれども、内容といたしましては、間組に対してキソダニ・テメンゴール作戦としてこの爆破を行った、こういうふうに、簡単でありますが、言っておるわけであります。この「東アジア反日武装戦線さそり」という名称は、昨年十二月二十三日、ただいま申しました鹿島建設の内装研究所に対して、威力が小さいものでありましたけれども、仕掛けた爆発物の事件の関係で、その後に参りました通告文に同じくこのような記載がございます。この鹿島建設の際には、この「さそり」というのは、「東アジア反日武装戦線に参画するさそり」、こういうような言い方をしておりますが、今回ははっきりと「東アジア反日武装戦線さそり」、こう言って活字を切り張りしておる、こういうことであります。
 また、爆発の状況等を見ますと、単なる爆発だけでなくて、何らかの燃焼効果をねらったという特徴が、他の事件とは違って鹿島建設並びに本件の間組の場合には見られるわけであります。したがいまして、九階等でかなりの火災の状態だったというところも、爆発以外の燃焼による被害の拡大ということもねらって行ったものというように考えるわけであります。
 そういう意味におきまして、現在の捜査段階は、現場は火災消火のために水浸しになったという状況もありますので、現場の検証とともに、破片その他を全部収集をして、さらにこれをふるい分け乾かすというようなことから始めまして、現場からのいわゆる地取り捜査というものに力を入れておる段階でありますが、同時に、ただいまこの通告文をよこしました「さそり」なるものが、どういうグループであり、どういうものであるかということについても、鋭意捜査を進めておる段階でございます。
この発言だけを見る →
小林進#5
○小林(進)委員 こうした凶悪な、しかも科学的な犯罪に対しては、日本の警察当局は、裏表ない、精魂を傾けてその犯人検挙のために努力されておるという、その点においては国民はひとしく疑うところはないと思います。しかし、いまの御報告にもありますがごとく、まだ犯人の本体はつかんでいない。まことに残念にたえない次第でありますが、この際、さらに英知を傾けて御努力を請うとともに、私はこの際総理にもひとつお願いをしておきたい。
 こういう知能犯といいますか、しかも科学的な犯罪を計画している者は、やはりいままでのような捜査方式では、困難。素人でありまする私の考えでは、国民的規模において国民が警察当局に協力する、そういう体制がやはりでき上がらなければならない。わが隣に住む人は何者ぞ、疑っちゃ悪いけれども、どうも少し出入りがおかしいじゃないか。まあ悪いけれども、警察当局に協力する意味においてそういう話もしてみようかという、善人を悪人と見立てるような間違いがあっては困りますけれども、そういう被害を避けながらも、国民的協力、市民的協力、町民的協力というものをやはりどこかの場で国民に要望し、協力を頼むという姿勢が出てこなければならぬ。だれがそれをやるか。やはり私は、総理大臣等政府の口を通じて国民にそういうことを求めるのも、この際大変重要な仕事じゃないかと思いますので、あえて総理のこの問題に対する発言を求めたいと思うのであります。
この発言だけを見る →
三木武夫#6
○三木内閣総理大臣 小林議員の御指摘のように、こういう知能犯的な犯罪は、国民的な協力を得て捜査の情報などを収集しないと、警察の手だけでは十分でないことは御指摘のとおりだと思います。したがって、機会を通じて国民の皆さんにも、これは非常な社会不安のもとになるわけですから、こういうことで協力を願うような方法は講じてまいりたいと思います。
この発言だけを見る →
小林進#7
○小林(進)委員 警察当局にも、御苦労さまですが、さらにひとつ全力を傾けて、一日も早く事件の解決のためにお努力されることを願いまして、本論の質問に入りたいと思います。
 総括でございますから、この一カ月有余の間における残された問題の中で、さらに重要という問題を二、三取り上げて私なりに質問を続けてまいりたいと思います。
 第一は、韓国問題全般についてでございます。
 金大中事件でございますが、金大中氏の事件は、一つはわが日本の主権の侵害の問題であります。いま一つは、金大中氏という人の内外の出入を兼ねた身の自由ということであります。自由を確保するというこの二つの問題が絡まっているわけでありますが、この金大中氏拉致事件につれてわが日本の主権と独立が侵されたということは、これは建国の歴史の上にもかつてないのです。非常に重大な問題だ。だれがどうとるかは別といたしましても、これは日本の歴史の上にはとうてい黙過することのできない問題でありまするから、私は大平外務大臣のときから数十回に及んでこの問題の解決を強く要望いたしてまいりました。そのほかに、主権の侵害に関する質問主意書というものも私は文書にして、昭和四十八年の十二月二十日、衆議院議長前尾繁三郎氏を通じて田中総理大臣にこれを求めた。これに対して時の総理大臣田中角榮氏から、昭和四十八年十二月二十八日に回答を得た。その回答は満足なものではありません。改めて昭和四十九年の一月十四日、衆議院議長前尾繁三郎氏を通じて再び質問主意書を提出をいたしました。続いて四十九年一月二十二日、再び内閣総理大臣田中角榮氏を通じて返答が参りました。まだ満足なものではございません。しかしその中に一つ確定したものがある。それは何かと言えば、金大中氏の自由に関する問題でありまするが、この問題については、再度にわたる回答書の中で、いわゆる金大中氏の自由は確保せられておる、そういう了解が両国の間にでき上がっている、こういうことが繰り返し述べられていることと、いま一つは、後でも申し上げましょうが、金東雲一等書記官が金大中氏拉致行為に関与していたという、この事実は政府側も明らかに認めている。ただ、彼が一等書記官であるというだけで、韓国という公権力の発動による行為であるか否かは不明だ、ただ金東雲一等書記官が関係しているというだけで、韓国の公権力に基づく日本の主権の侵害という結論は出すわけにはいかない、こういう答弁なんでありまして、いわゆる金大中氏拉致事件に金東雲氏が関係をしているということは、政府の答弁書の中にも明らかになっておる。
 ところが、今日に至るまで、まだ金大中氏は、わが日本へ来ることも、アメリカへ行きたいという旅券を韓国政府に出して二年有余たってもアメリカへ行けないという現状にある。その後の金大中氏のいわゆる出国も含めての自由の保障の問題が一体どうなっておるのか、まず外務大臣にお尋ねをいたしたいと思います。
この発言だけを見る →
宮澤喜一#8
○宮澤国務大臣 問題が二つ提起されておりますので、そのおのおのについて申し上げます。
 まず、金東雲氏の問題でございますが、昨年の八月に韓国政府から、金東雲書記官がいわゆる拉致行為に加担したとの証拠が得られなかったため捜査を中止する旨を通報してまいりましたけれども、わが国としては、この韓国の捜査結果には納得がいかないというふうな立場でございまして、現在、韓国側に対してさらに詳細な説明を求めているところでございます。昨年の十月二十五日付でこの点について照会をいたしておりますが、その後なお回答に接しておりませんので、今年の一月三十一日にさらに韓国側に回答を求めるための催促をいたしておるわけでございます。これが金東雲書記官関係の問題でございます。
 次に、金大中氏につきましては、私ども直接に十分な情報を持っておるわけではございませんけれども、最近、報道等々によりますと、韓国のいろいろな政治活動に、野党系の政治家数名とともに参加をしておられるように見受けられますので、この点では、もとよりわが国のような自由な政治活動というわけではございませんでしょうけれども、韓国の一般市民と差別待遇されていない程度の政治活動の自由を持っているのではないかという判断をいたしております。ただ、最近また、一日限りであったようでございますけれども、自由を拘束されたという報道がございまして、これにつきましては、過去の経緯もございますので、韓国側に対して、それがどのような性質のものであったかということを照会をいたしております。実は、韓国が連休でございました由で、したがいまして、昨日、月曜日に、先般のことにつきまして照会をいたしたところでございます。
 次に、同氏の出国の自由の問題でございますが、御承知のように、同氏に過去に選挙違反事件があったという容疑で裁判が行われまして、同氏が裁判官の忌避をしたということが、大法院において、いわばその主張のゆえに裁判が差し戻しになるというようなことになっておりますから、そういう公判が継続中であるということがあって、出国というものが簡単に認められないということが韓国政府の立場のようでございますので、この点は、その選挙違反事件の終結というものを、われわれは注意を持って見守っているというのが現状でございます。
この発言だけを見る →
小林進#9
○小林(進)委員 四十八年十一月一日に韓国の金鍾泌総理が日本に参られた。当時の田中総理、大平外務大臣に面接されて、金大中事件については一応陳謝の意を表せられた。ここで大平外相は、日本に対する主権侵害の問題は解決した、政治的に解決した、こういう一方的な判断をされた。これは日本の独立と主権とを売った歴史上永遠に消えない大きな汚点です。しかし、その問題はしばらく置くとして、そのときの政治的結着の条件として、一つは金大中氏の身柄をどう処置をするかということ、これは留保された。二つ目には金大中氏の出国の自由が了解された。以上二つであります。これが政治的解決というときの条件なんです。ところがこれが一つも解決されていない。いま外務大臣のお話の中では、まあ韓国並みの自由は与えられている、しかし選挙違反の裁判問題がある、彼は拒否しているから、その問題で若干の拘束を受けているのではないかというふうな、まあ想像も加えたどうもあいまいな説明があった。
 これは外務大臣に申し上げておきますが、あなたは最も優良な官僚出身です。あなたと同じ型なのに前に愛知揆一という秀才がおられた。われわれは、愛知揆一、宮澤氏を、官僚の頂点における、これほどそつのない、しかも無性格な国務大臣はないと評価をしている。だから、まごまごしていると白を黒とも言い含める、そういう官僚的技能をあなたは非常に巧みに持っておられる方だだ。けれども国会です。特に外務大臣などというものは、筋と哲学を持たなければ勤まらない。官僚は官僚でいいのです。これは無性格でやっていればいいが、あなたは国務大臣として、少し哲学のある、渋みのある、信念のある回答をしてもらわなければいけないのでありますが、金大中氏は、最近みずからの心境をこう語っている。語った日にちを言いましょう。一九七四年十一月二十九日です。彼はソウル市における自宅の中で、いままで一度も口にしなかった日韓両国の政府に対して、事件処理の仕方について初めて批判の談話を発表した。いいですか、大平さん。あなたも前外務大臣なんだから、あなたの罪は一番大きいのだから、よく聞いてください。
 彼はこう言っている。一年前の七三年十一月一日に両国政府は何を決着したのだ。政治的決着です。結局、いまになってみると、何も決着をつけていないということになってしまった。私の自由の問題も、すなわち金大中氏の自由の問題も、事件の真相究明も非常に遺憾である、こう言っているのであります。あなたはこの談話を御存じでありましょう。知っておられますね。頭を下げられましたから、知っておられることにしましょう。なお加えて、この両国政府の決着に対して、最初から疑問を持ち納得ができないと言っている。金大中氏は納得ができない。世論を無視したこの両国政府の責任は重い、彼はこうはっきり言っていますよ。私個人としては、最初からこれは決着にならないと予見していたから驚かないが、両国間の虚構に対しては——虚構です。真実を偽って虚構をつくり上げた。虚構に対しては、私の事件だからというだけでなく、この事件を踏み台として両国の本当の親善を熱望していたので、怒りを禁じ得ないのが私の現在の心境です、こう言っているのであります。
 日本の政府、三木総理大臣、国民はあなたの外交姿勢には相当の信頼を置いております。三木外交には筋があるという見方をしておりますが、この金大中氏の最近の発言をあなたはどうおとりになりますか。そのときにもあなたは閣僚の一員でいられたはずであります。
この発言だけを見る →
三木武夫#10
○三木内閣総理大臣 金大中氏が日本に滞在を許されておって、それを日本の政府が保護する責任があるわけですね。それがああいうふうに強制的に拉致された。したがって金大中氏の人権という問題に対して非常な関心を私は持っておるのです。日本政府としては責任を果たしていない面があるわけです。そういう点で、しばしば韓国政府についても、金大中氏の普通人、一般の人と同じような自由の回復というものに対しては非常な関心を持っておるわけです。
 最近では、御承知のように、新聞、報道機関などを通じて、いろいろな政府に対して批判的な演説などもされておるようなことがあるやに聞いておりますので、その自由が相当回復されつつあるということに対して、われわれも、そういうことは人権問題からいって一つの——こういうふうになっていくことに対して、われわれ自身も評価をしておったわけですが、しかし、私はまだ少し釈然としないのは、金大中氏自身がいろいろなときに発言するときに、いろいろな発言に気にかかることがあるわけですから、今後とも金大中氏の人権問題というものに対しては、重大な関心を日本の政府は持ってまいります。あらゆる機会を通じて金大中氏の人権が回復されるように努力をしていくつもりであります。いま、選挙違反というような、これは国内法の問題でありますから、私がとやかく言うことはございませんけれども、とにかく滞在を許されておった金大中氏の人権の回復というものに対して、日本は関心を持つ道義的な責任を持っておると考えております。
この発言だけを見る →
小林進#11
○小林(進)委員 金大中氏の選挙違反といえども、一九七〇年、朴さんと大統領を争ったそのときの選挙違反です。五年も六年も前にやったものをおとりにというか、材料にして彼の身柄を拘束している。そのやり方がいいか悪いかは別といたしまして、総理が金大中氏の人権に重大な関心を持っていただくということは、これは日本国民として一つの救いであります。
 しかし金大中氏はこう言っている。私の事件の解決の二つの柱、一つは私の韓国の内外での自由、これであります。いま一つは私が拉致された事件の真相の究明である。この二つは全くいまでは無意味なものになってしまった。国外への旅行はおろか、国内の活動の自由も完全に封ぜられて、二十四時間厳しい監視のもとに置かれている、彼自身はこう言っている。事件の捜査についても、私に関しては何の具体的な進展もなかった。たとえば、事件当時、九段のホテル・グランドパレスにいた三人、金大中氏と梁一東民主統一党党首、それに金敬仁国会議員と、金東雲当時の駐日大使館一等書記官との対面もなされていない。せめてこの対面くらいさせてくれてもいいじゃないか、捜査の必要があるならば。この対面もされていない。
 結論的に言って、両国政府は事件を解決する本当の誠意があったのかとさえ、いまは疑問を持っている。日本の政府が、日本の外務省が本当に私の問題を解決するという誠意があったのかということさえ、いまは疑問を持っている。日本に対して言いたいことは、日本政府が努力した面は評価するが、日本政府がもっと透徹した態度、毅然とした態度を見せていたら、あるいは私の事件をめぐる世界の日本政府に対する評価も違っていたと思う、こういうことを言っているのであります。
 また、日韓関係が朴大統領夫人狙撃事件を契機として悪化した問題についても、金大中氏は両国関係について、何回繰り返しても同じだが、国民不在の外交をやめて、両国民の納得を意識した外交をやりなさい、これ以外に言葉はない。残念ながら両国政府の、国民の意思を度外視したやり方で行っている今日の外交が、だんだん国民レベルでも後退をしていることは残念にたえません、こう言っているのであります。
 この金大中の言葉から見れば、これは日本政府のいままでの答弁は、大平前外務大臣の答弁も含めて、全くうそを言っていたことになる。政府は国会議員のわれわれをだまし、国民をだましていたということになるのであります。その責任を一体どうおとりになりますか。そして今後この問題をどう処置されますか。外務大臣、ひとつ真剣にお答え願いたいと思います。
この発言だけを見る →
宮澤喜一#12
○宮澤国務大臣 金大中氏が、真の自由を求めるという立場から、ただいまのように不満を漏らされたという心境は、私どもも想像するにかたくございません。そのただいま御紹介になりました金氏の発言の中で、日本政府の尽くした誠意は認めるがということがございましたように、確かに当時から政府としても誠意は尽くしておったつもりでございます。これは金氏も一応認めておられるわけでございます。しかしながら、先ほど申し上げましたように、わが国の捜査当局が誠意を尽くしました結果と韓国の捜査当局の結果とが、なお突き合っておりませず、その点については、日本政府としましては満足いたしておりませんので、韓国に対してさらに照会し、説明を求めておりますことは、先刻申し上げましたとおりでございます。
 なお、わが国の外交方針について金氏がいろいろに批判をされますことは、これは金氏の自由でございますけれども、私どもとしては、韓国との友好関係、ことにいろいろな経済援助等々、韓国の国民の民生の安定と向上ということが即両国の友好関係の基本であるというふうに考えまして、そのような配意のもとに外交関係を続けておりますつもりでございます。
この発言だけを見る →
小林進#13
○小林(進)委員 残念ながら外務大臣の御答弁に了解をするわけにはまいりません。特に外務大臣が、両国国民の幸せのために経済その他の外交を進めるとおっしゃっておりますが、日本国民も韓国の大衆も、そのように理解してはおりません。しかし、三木首相がこの予算委員会の中で、前回、両国の国民いずれの国を問わず、国民の基盤に立った外交でなければならないということも、だれかの質問に言われた。そのときは、場内の聞いている者は、確かに胸を打たれたはずであります。しかし、宮澤外交の中に、かつての大平外交の中に、民衆の基盤に立った外交姿勢があると国民はだれも考えていない。あなた方の外交は密室の外交です。両国の一部の者の利用と利益、そういう者のために行われている外交だ。いわゆる宮澤外交だ。昔の宮廷外交ですよ。今日の言葉でいけば官僚外交です。その残滓を残している。それば三木外交と宮澤外交の本質は全く違っている。国民はばかじゃないんですから、大衆は利口なんですから、ちゃんとその本質は見抜いていますよ。
 そこで、私は申し上げますけれども、警察庁にお尋ねしたい。
 警察庁は、ホテルにいた三人と金東雲一等書記官について、その後一体どういう捜査を行われたのか。私は中間までの報告は聞いているが、その後一年間ばかりの警察当局の捜査の進展状況は聞いていないので、あるいはソウル等にも行かれて、金大中氏等にも一直接会って、こういう真実を捜査してこられたのかどうか。そのことも含めて警察庁長官からお伺いをいたしたいと思うのであります。
この発言だけを見る →
三井脩#14
○三井政府委員 まず、私からお答えいたしますが、ただいまお話のありましたグランドパレスホテルにおける三名の人たちの問題でありますが、このうち梁一東氏並びに金敬仁氏につきましては、事件発生後なおわが国に滞在中に事情を聞かしていただきました。滞在を延期して聞かしていただいたわけでありますが、なお、これだけでは十分でありませんので、一たんお帰りになってからまた来ていただきたいということを当時お願いをし、またその後、そういう要請を韓国側に対していたしておるところであります。
 なお、金東雲書記官につきましては、御存じのように、九月五日に出頭を求めたわけでありますけれども、その当時はすでに日本におらず、また出頭について応じていただいておらない、こういう状況でございます。
 この事件を解明し真相を明らかにするために最も大切なことは、事件の現場におった人たち、この関係者について、事情を直接にわが警察が、捜査当局が聞くということが事件解明のための常道であり、本質的に大切なことでございます。したがいまして、そのような努力をただいま申したような方法でいたし、要請をいたしておりますが、今日まで実現に至っておらないということであります。
 なお、金東雲書記官を調べるために韓国に捜査員を派遣するかという問題につきましては、私たちは、このためには韓国側の了解が要るという手続上のこともありますけれども、何といいましても、わが国において発生した事件で、わが国における部分につきまして、日本の捜査当局がこれを取り調べる、事情を聴取するということはわが国において行うことが、捜査といたしましてベストであるというように考えておりますので、関係者のわが国への再来日を求めて調べる、これを基本方針といたして努力を続けておるという状況でございます。
この発言だけを見る →
浅沼清太郎#15
○浅沼政府委員 ただいまもお答えいたしましたが、警察といたしましては、金大中氏、あるいは梁一東、金敬仁両氏、これら関係者の供述を得ることが本事件の真相解明に一番必要であるという観点で、外務省を通じていろいろお願いをしておりまするし、また、その経緯は外務大臣からもお答えのとおりでございますが、なお、先ほど御質問にもありましたように、四十八年の十一月二日に金鍾泌首相が来られました際に、金東雲書記官については、韓国における捜査の結果を日本の警察に通報するということを約束されておられまするので、われわれとしては、その通報を得てなお真相の究明を図りたい、このように考えておる次第でございます。
この発言だけを見る →
小林進#16
○小林(進)委員 ちょっと待ちなさい。その通報は来ましたでしょう。去年の八月十四日、いわゆる捜査の結果犯罪の事実がない、証拠がないと言われた、その通報に対して、その後どう措置をされたのか承りたいと思います。
この発言だけを見る →
浅沼清太郎#17
○浅沼政府委員 昨年の通報は、梁一東、金敬仁両氏が金東雲書記官を目撃していないということ、あるいは金大中氏も金東雲書記官を現場において目撃していないということ、また金東雲氏自身も現場におらないし、犯行について否認をしておるというような内容のもとに、本件捜査を中止するということでございまして、その内容におきましては、私どもも、金東雲一等書記官の遺留指紋の問題、あるいはいわゆる犯行に使われたと思われる車両の問題、それら物的証拠につきましては、何らの回答に接しておりませんので、先ほどもお答えがありましたが、私どもとしては、それらの結果について、なお具体的、詳細な通報を得るようにお願いをしておるということでございます。
この発言だけを見る →
小林進#18
○小林(進)委員 まだ具体的な通報を求めているという、韓国の返事待ちということで、どうもその後の具体的な捜査は何もおやりになっていないような形でございますが、これはまことに残念にたえません。そういうところに私どもは納得ができない。外務省の姿勢なりあるいは警察庁の姿勢なりを国民は疑わざるを得ない。何か目に見えない黒い力でも後ろにあるんじゃないか、何かの取引があるんじゃないかと、どうしても疑わざるを得ないのであります。こういうことを解明してもらわなければ、われわれは日本の外交に信頼を置くわけにはいかないのであります。
 昭和四十九年、去年の十一月五日であります。韓国側から、日韓閣僚会議を開きたい、それができなければ外相会談を開きたいと言ってきたのであります。そのときの外務大臣が木村俊夫さんであります。その木村前外務大臣はこれに対し、外相会談などが開かれるためには日韓の間にもっと友好的な雰囲気が生まれなければならぬ、金大中事件について韓国側は了解事項を実践する必要があると、強硬にこれを突っぱねているのであります。これを国民はみんな知っているんだ。確かに木村外交は骨がある、筋が通る、りっぱなものだという、これが国民の気持ちの中に親炙しておりまするから、彼の外務大臣の在職期間は短いけれども、まだ木村外相に対する国民の信頼というものは深く静かに流れておりますよ。今度の三木内閣改造に、だれをやめさしても木村外相だけはひとつ置いてもらいたいというのが、祈るような国民の気持ちだった。これはあなたの最大の人事のミスでしたよ。
 新聞なんかによりますと、宮澤さんは、この国会が終わると五月にも、金大中事件をそのままにして閣僚会議を開く、そして金を貸したり何かするのは、もう閣僚会議じゃあまり世間が了承せぬから、その下の事務屋レベルのぺースにさせて、またどんどん国民の税金でも韓国に貸してやろうかというような、そういう計画をお進めになっているということでありますが、真相であるかどうか、外務大臣にお伺いします。
この発言だけを見る →
宮澤喜一#19
○宮澤国務大臣 この問題につきましては、従来から政府の態度は一貫しておると考えておりまして、実は最近韓国の副総理が見えられまして、私と会談をいたしました。その際この問題が話題になりまして、私から、閣僚会議を開くとすれば、これはいままでの問題がきれいになって、本当に将来への友好ということの最初のステップになる、最初の具体的なあらわれになるというような雰囲気のもとに、閣僚会議を開くとすれば開くべきものだ。どうも私としては、いまそのような環境が熟しているとは判断いたさないということを申しましたのに対しまして、先方の副総理から、自分としても、閣僚会議を開くとすればそのような雰囲気のもとに開くべきものと思う、この際特に急いでやるというような問題ではないであろうという発言がありまして、この点は、政府の立場は先方も了承しておられるものと考えております。
この発言だけを見る →
小林進#20
○小林(進)委員 いまの外務大臣の御答弁、それがそのまま真実なものであれば、私ども非常に喜びにたえません。ぜひそうしてもらいたいと思う。いままでのもやもやの問題を洗い直す、そういうことの上に将来閣僚会議を開いて、一切きれいになった上に日韓両国国民の永遠の友好のステップを踏み出したいというなら、これは賛成です。そのための第一のもやもやが金大中事件。しかしこれ一つではありません。まず金大中問題を国民が納得する形できっぱりとしていただきたい。これは日本国民だけではありません。韓国の国民大衆もまた同じような願望を持っておるのでありますから、これは警察当局もきちっとやってもらいたい。これが宮澤答弁に対する第一の解決しなければならない問題。
 第二の問題として、あなたが本当にいままでの問題を洗い直すと言えば、第二の問題は、先ほど言われた金東雲一等書記官の問題です。この金東雲一等書記官の問題についても、国民は非常に疑惑を持っております。何で疑惑を持っているか。去年の八月十四日に、当時の在韓日本大使の例の後宮君が韓国の外相に呼ばれた。そこで金東雲一等書記官は証拠がないからシロだよと、こう三十分ばかりの間に言われて、それが済むとすぐ韓国の情報は、もはや韓国における金大中拉致事件の捜査本部は解散した、もう捜査をやめた、しかし、将来新しい証拠でも出ればその時点で韓国は考えるが、これはもうこれで解決だ、こういうふうにやった。くどいようですが言いますよ。それが八月の十四日だ。その後の次の十五日に何が起こりましたか。その翌日の八月十五日に何が起こりましたか。いわゆる文世光による朴夫人の狙撃事件が起きた。余りにもタイミングが合い過ぎるじゃないか。国民はみんな疑っておりますよ。もし八月十四日に、日本の警察が金東雲一等書記官の指紋までもとらえたこの嚇々たる犯罪事実を、韓国は一方的に、これはシロでございます、証拠はありませんから、捜査をやめましたと言ってくれば、八月十五日における日本国内の世論や国民の怒りが、それは日本国内じゅうを覆い隠しましたよ。日本国民は挙げてこの不信に基づいて、韓国政府の一方的な回答に対しての怒りが爆発したでしょう。その爆発するという八月十五日に朴大統領夫人の狙撃事件が起きたのだから、舞台はくるっと変わってしまった。今度その翌日になったら、韓国側は日本に向けて、この朴夫人を殺した文世光は日本に住んでいたのだ、日本の警察のピストルを盗んだのだ、日本は陳謝に来い、わが大統領の夫人を殺したことに対しては日本政府も日本国民の責任があるから陳謝に来いと言って、主客が転倒してしまった。今度は日本が謝ったり、イチャモンをつけられたり、あるいは被告の立場に立つという状態に一夜にして変わってしまった。あまり物事のできぐあいがいいじゃないかというのが国民の世論である。また国民が深い疑惑を残しているもとなんであります。
 そこで、次の問題点。一体、金東雲一等書記官の問題もわれわれはどうしても了承をすることができないが、それと文世光の問題をなぜ切りかえしてしまわなければならぬのかという問題。金東雲一等書記官の問題は、金東雲一等書記官の問題としてあくまで追及すべきである。朴大統領の陸夫人を撃った文世光の問題は文世光の問題として、これを徹底的に真実を追及していただけばよろしい。だから金東雲の問題も、あなたの答弁が真実ならば、これを解決してください。
 第三の問題は、いま私が言った文世光の問題だ。この問題についても、外務当局、警察当局の明快な回答を得なければ、日韓会談は私は軌道に乗せることはできないと思う。第三点として、文世光事件についてまず椎名副総裁の訪韓の問題から私は御質問申し上げたい。
 椎名氏は、昨年の九月十九日、政府の特使として韓国を訪問された。そして朴大統領と会談された。当時の首相田中氏の親書を手渡しするとともに、六項目のメモなるものを差し出された。そのメモは、新聞の報道によれば、陸大統領夫人の悲劇的最期について謹んで哀悼の意を表する、これが一項目。第二項目として、日本政府としても、狙撃事件の犯人が日本政府発行の旅券を入手したこと、日本の警察のピストルが盗まれたことなど、犯行の準備が日本国内で行われた点についてはそれなりの責任を感ずるものであり、遺憾の意を表する。第三点、事件は繰り返されてはならず、日本政府は再発防止に最善を尽くす。第四点、日本政府としても捜査を行っているが、韓国側の協力を得てさらに事実の究明を行い、その結果に応じて必要な措置をとる。法を犯した者に対しては厳正に処罰をする。五点、韓国政府の転覆を意図する犯罪行為や要人へのテロ活動は厳正に取り締まる。これは朝鮮総連など団体構成員であると否とを問わず、犯罪行為を取り締まるということだ。第六点、今回の事件によって日韓関係が危うくなることは日韓両国いずれにとっても利益にならない。両国政府は、相互の関係を強固な基盤の上に置くよう努力すべきだという内容であります。
 この椎名メモについて私は質問いたしますが、事件の真相が明らかになっていないというのに、田中総理の訪韓に続いて政府特使を重ねて送るという、史上類例のない外交処置をとった、その外務省の判断は一体何か。これが一つであります。韓国政府は特使派遣を要求し、さらには特使の人選についてまで要求してきたという。まあこれは新聞報道でありまするが、それは一体事実かどうか。二点であります。政府は、こういう韓国政府の要求を内政干渉と一体考えないのかどうか。また、世界の外交慣例から見ても当然な要求と見ているのかどうか。以上について外相の答弁をお願いしたい。
この発言だけを見る →
宮澤喜一#21
○宮澤国務大臣 当時、椎名特使が訪韓されましたことにつきまして、関係の記録、関係者の話を総合して申し上げますと、政府の立場は、朴大統領狙撃事件につきまして、わが国の立場を韓国政府の最高首脳部に正確にお伝えするということと、何分にも隣国の大統領夫人が亡くなられたことでありますので、そのことについて哀悼の意を表する、こういう目的であったと承知をいたしております。
この発言だけを見る →
小林進#22
○小林(進)委員 隣国の大統領夫人がお亡くなりになったのでありますから、哀悼の意を表するのは当然、そのためにいわゆるナンバーワンの田中総理が間髪を入れず哀悼の意を表し、弔意を表しに行っておられるのであります。私はそのことを聞いているのじゃない。椎名副総裁を派遣をした、その外務省の判断は一体何かと言うんだ。
 第二番目は、名指しで特派大使の派遣を要求されてきた、それが本当か。こういう韓国政府の要求、指名までされて特使が出かけて行くことは一体内政干渉ではないのか。世界にこんな例があるのか、これを聞いているんです、それを答えていただけばいいんです。
この発言だけを見る →
宮澤喜一#23
○宮澤国務大臣 特使派遣の目的は、先ほど第一に申し上げましたことば、この事件についてわが国の立場を韓国政府の最高首脳部に正確に伝えるということであったわけでございますが、本件につきまして、特使の派遣あるいは具体的な人名を名指してというようなことが韓国側から要請がございましたということは、私は承知をいたしておりません。
この発言だけを見る →
小林進#24
○小林(進)委員 こういうところになると、いわゆる宮澤外交の真価が出てくるのです。明々白々だ。みんなが知っていることだ。みんなが知っていることです。それをあなたはけろりとして、そういう人名まで指定されてきたことなんか私は承知をしておりません、こう言って逃げる。これはいわゆる秀才官僚の答弁だと私は先ほどから申し上げておる。あなたはそれで私への答弁は逃げられるでしょうけれども、国民はそれで了承しますか。この中にいる人は一人でも了承しますか。うまい答弁だなと思うくらいのものであります。私は、時間がありませんからもう言いませんが、それは了承できません。この問題は、きょうの予算委員会における一つの留保の問題です。改めてまたどこでも私はやります。
    〔委員長退席、谷川委員長代理着席〕
 椎名メモとはどういう性格のものなんです。次にお尋ねいたします。六項目のメモを出しました。そのメモの性格についてひとつお尋ねをいたします。
この発言だけを見る →
宮澤喜一#25
○宮澤国務大臣 いわゆる椎名メモと言われるものでございますが、椎名特派大使は田中首相の親書を携行され、大統領に意のあるところを伝えられたのでございますけれども、その際、その内容につきまして口頭で敷衍をされました。そして、その発言内容は、誤解を生じませんようにメモにして先方に手渡したという性格のものでございます。その内容は、先ほど小林委員が、こういうものと理解をしておるがと仰せられましたことが、まず概してその内容をなすものでございますが、したがいまして、このメモ自身の性格は、両者で合意をしたものであるとか、あるいは法的拘束力を持つとかいうものではございませんで、口頭で述べられましたことを、誤りがありませんように文字にしてメモとして手交をした、こういうものと承知をいたしております。
この発言だけを見る →
小林進#26
○小林(進)委員 ここにも大変議論のあるところでありますが、だんだん予定の時間よりはずっと経過いたしまして、一切の質問を終わるわけにはまいりませんので、これも私は残しておきます。これも了承できません。
 第三番目の質問として申し上げますが、文世光は日本の警察官のピストルを盗んだ、盗まれた日本国民が被害者で、盗んだ犯人は韓国人の文世光だ、しかも韓国の政情との関係において発生したこの盗難事件に対し、責任を感じ陳謝をすべきものは犯人の所属をしている韓国政府ではないかというのが国民感情なんです。韓国政府に対する激しい怒りが生じているが、この日本の国民感情に対して政府はどう解釈されるのか。逆なんだ、政府は。政府は、日本の警察がピストルを盗まれたから日本の方に責任があると言って謝りに行っているのだが、これは国民の感情としてはどうしても了解できない。たとえば、反対に今度は日本人が、あるいはイギリスでもいいが、外国の警察官からピストルを奪ってきて日本で犯罪を犯した場合に、政府は、その英国なり盗まれた外国の政府に対して謝罪を要求しますか。要求できると考えますか、われわれの常識として。あなた、できますか。この国民感情、あなたどう考えられますか。答弁を願いたい。
この発言だけを見る →
宮澤喜一#27
○宮澤国務大臣 この点は、お尋ねの厳密な意味におきましては、恐らく法律関係あるいは犯罪そのものの事実関係に関係がございますと思いますので、その点はそれぞれの専門家に、もしなんでございましたらお尋ねをちょうだいしたいと思いますが、私ども一般に考えましたことは、日本の旅券の不法入手というようなことがあったと考えられること、また拳銃がわが国の中で窃取された、盗取されたというようなことがあったと考えられること、この二つのことは、わが国の行政に関係のあることでございますので、その限りにおいてわが国が無関係とは言えない。両方ともいわば行政上の、申してみれば瑕疵と申し上げることができると思うのでございますが、そういうことに関係がございますので、そういう意味では無関係とは申せないというふうに考えたものと存じておりますけれども、具体的な法律問題あるいは犯罪そのものの事実関係は、お求めがありますれば政府委員から御説明を申し上げるべきものと考えます。
この発言だけを見る →
小林進#28
○小林(進)委員 私は何も関係がないとは言ってない。そんなこと聞いているのじゃないのです。外国人が日本の警察からピストルを盗んでいって外国で犯罪を起こしたのに、一体何で日本が謝らなければならないのか、こっちは被害者じゃないかということを私は申し上げているだけの話だ。関係があるないを聞いているのじゃないのです。あなたの話はいつもそうやってポイントが外れる。これが官僚答弁というのだ。だめですよ、あなた。被害者が加害者の国へ謝りに行くとは、そんなばかな話がどこの世界の常識にあるかと私は言っている。国民感情は承知しませんよ、あなた。しかし、いまの拳銃の問題や旅券の問題は後で質問しましょう。
 次に、あなたに質問いたしますが、韓国では椎名特使を陳謝特使と報道をしている。日本ではそのように報道されていないのです。一体いずれの国の政府がその国の国民をだましているのか、これをお尋ねをしたい。椎名さんは本当に陳謝の特使なのか、特使でないのか。特使でないならば、韓国政府はうそを言っているということになる。陳謝の特使ならば、日本の政府がうそを言っていることになる。お聞かせを願いたいと思う。
この発言だけを見る →
宮澤喜一#29
○宮澤国務大臣 その点につきましては、椎名特使は、このたびの朴大統領夫人の死去に際しまして深い哀悼の意を表しておられますけれども、厳密な意味でわが国を代表して陳謝をされたというようなことはございませんし、したがいまして、厳密な意味でそれを陳謝特使と言うことは適当でないというふうに私どもは考えております。
この発言だけを見る →
← 戻る