小平忠の発言 (予算委員会)

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○小平(忠)委員 政府予算案は、わが国が迫られている平和、福祉、公正、そして新しい国際協調を主眼とする真の政策転換を断行するに足るものではないと思うのであります。むしろ、これまでの自民党内閣がとってきました政策を惰性的に踏襲している予算案と言うべきであります。
 わが党は、昭和五十年度こそ真の福祉国家を建設する出発年とするため、最低限、明年度予算を次の趣旨に基づき組み替えるべきだと確信するものであります。
 私は、民社党を代表して、次に述べる趣旨により、政府案を撤回のうえ編成替えを求める動議を提出するものであります。
 すなわち、明年度予算は、第一に、大幅な大衆減税の実施と税制による富の公平化、第二に、社会保障の画期的な充実、第三に、住宅、生活環境の整備、教育などの飛躍的向上、そして何よりも物価の安定とインフレの完全鎮静化を目指し、こうした基本的諸政策の推進と相まって、深刻化する不況の克服にきめの細かい対策を講ずることにより、国民福祉の全面的な向上を図るべきであります。
 このためには、勤労者の所得税は税額控除方式により、標準とする四人世帯の課税最低限を二百五十万円まで引き上げるとともに、酒税の増税など大衆の負担増につながる諸施策を中止して、大幅な減税を行うべきであります。
 これにより、少なくとも歳入面では一兆一千九百五十億円の減額を図り、同時に、法人税率の引き上げ、利子・配当などの租税特別措置の思い切った改廃と交際費課税の強化などにより、四千七百五十億円の増税を行うとともに、高度成長政策を進めて以来の顕在化したインフレ、そして最近の異常インフレ等によって膨大な資産利得を得ている資産階層に対する富裕税の創設を行い、明年度においては最低七千二百億円の増収を図るなど、税制における不公正是正を断行すべきであります。
 こうした公正を図る制度の改革を行わずして、口先だけの不公正是正を唱えるにおいては、単に政府に対する国民一般の信頼を失わしめるだけでなく、ひいては政治全般への不信さえつのらせ、ついには民主主義政治体制の根源に及ぶと言わなければならないのであります。政府はこれについて真剣な反省を行うべきであります。
 次に、明年度政府予算の歳出については、過去数次にわたって改革を指摘されてきた行政経費が、依然として大幅な増額を予定しており、しかも産業優先的な考え方のもとに、産業投資特別会計への出資の継続、電算機産業への補助、産業用に供されることの多い有料道路の建設を促進するほか、防衛費の増額、膨大な予備費を計上するなど、国民が要望する予算にそぐわないものとなっておるのであります。したがって、産業投資特別会計への出資を三百三十億円減額するのを初め、行政経費の二千六百八十一億円、宅地開発公団への出資取りやめで五十億円、日本道路公団への出資減二百五十億円、防衛費で新規装備と定員増の中止により七百六十八億円、予備費のうち一千億円などの減額を行うことにより、総額で五千二百六十四億円の歳出増を行うべきであります。
 こうして生ずる財源を、すべての国民が期待する事項に振り向け、総合的に施策を講じつつ、福祉を全体的に向上さすべきは言をまたないところであります。
 その第一は、老齢福祉年金を今年十月より月額二万円に引き上げるほか、これに準じて障害、母子、準母子などの福祉年金、手当の引き上げを行うべきであります。
 もちろん、こうするためには膨大な一般財源を必要といたしますが、すでに国民的コンセンサスとなっている年金の賦課方式への移行という点からして、拠出制年金積立金から、福祉年金の増額に要する財源の三分の一を充当する修正賦課方式を取り入れることとして、一般会計においては、なお二千二百三十八億円の増額を行うべきであります。
 これと同時に、保母、寮母などの増員と給与の引き上げ、社会福祉施設従事者の措置費の増額、国民健康保険への財政調整交付金の増額、在宅重度障害者の電話料の無料化などに四百六十五億円を増額計上して、社会保障関係費に総額二千七百七億円を加える必要があります。
 第二は、住宅難にあえぐ国民の要求にこたえると同時に、このような国民生活上の需要に応じて、直面している不況の打開に寄与するためにも、公営住宅建設戸数の増大、高騰する公団家賃の抑制により、快適な住宅生活を国民に提供するため、一千九十六億円を増額計上する必要があります。
 第三には、国民多数が利用し、他物価への波及効果の少なからざる郵便料金の引き上げを中止するため、政府が予定している増収額一千数百億円に相当するものを財政投融資資金から融資することとして、その利子相当額を一般会計で負担するほか、公取委の強化、食料品の流通近代化、そして庶民の預金目減り補償対策の一環として、元本保証の少額貯蓄国債を発行するなど、総合的な物価対策関係費として、百五十五億円を増額計上すべきであります。
 第四は、教頭職の法定により増員すべき教員の確保、人口急増地域の小・中・高校の増設費の補助及び私立高校への財政援助など、緊急を要する文教政策経費を少なくとも二百九十二億円増額し、いわれるところの教育改革に通ずる第一歩を、明年度予算において踏み出すべきであります。
 第五は、立ちおくれている公害防止技術の開発に国が積極的に取り組むとともに、最近に起きた水島の重油流出を初めとする各地における油濁事故の追跡調査と、それによる環境保全対策に資するため、特別に三十四億円を公害対策費として増額する必要があります。
 第六は、勤労者の財産形成を促進し、インフレの被害からの救済に資するため、一定の条件を設けて財形貯蓄に割増金を給付するほか、中小企業の中でも小規模な企業経営の改善融資を拡大し、農業に対しては、今日、最も重大化している飼料問題に対処するため、緊急粗飼料増産対策費など、労働、中小企業及び農業対策の向上に要する経費として、総額七百七十九億円を増額計上する必要があります。
 第七には、新しいエネルギー源として開発を促進すべき原子力の平和利用についてであります。
 少なくとも、今世紀中の実用炉である軽水炉の完全な安全化を期するため、安全行政、安全研究の徹底的な推進を図るとともに、原子力発電の従業員が、年々増大する被曝線量による健康被害を防止するため必要な被曝管理センターなどの早急な設置が必要であることは、もはや言をまたないところであります。
 このため、原子力安全対策費として、最小限十六億円を増額計上するほか、地方公共団体による公共用土地取得のネックである資金不足の解決に資すると同時に、過疎地交通の確保、石油コンビナート防災対策の強化に要する経費の補助など、地方財政の強化対策として、少なくとも出資分を含めて総額百八十五億円を増額計上する必要があるのであります。
 要するに、わが党は、以上において述べましたように、国の財政が果たす所得の再配分機能を明確化すると同時に、その機能を高め、そしてわが国が、内外の事情に照らして新たな進路を確定する上で、必要とする政策の一大転換を図るためには、政府予算案をぜひとも撤回し、前記の趣旨に基づき、組み替えの上再提出する必要があるので、これを要求しつつ、動議の提出をいたした次第であります。
 何とぞ、この動議に御賛同くださるようお願いいたしまして、私の趣旨説明を終わる次第であります。(拍手)

発言情報

speech_id: 107505261X02219750304_086

発言者: 小平忠

speaker_id: 11712

日付: 1975-03-04

院: 衆議院

会議名: 予算委員会