大平正芳の発言 (大蔵委員会)

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○大平国務大臣 問題を便宜二つに分けて答弁させていただきたいと思います。
 一つは、四十九年度の歳入不足の問題が一つでございます。これは結果的に御案内のように七千七百億の歳入不足になったわけでございます。これが明らかになりましたのは本年の四月に入ってからのことでございます。もっと早くわからなければならぬじゃないかという御指摘が本委員会でもございました。しかし、正直なところ、一月末までの各税目別の収入実績というのは比較的よろしかったわけなんでございます。ただ、十月ごろから法人税収入はこれは相当減るのではなかろうか、見積もりにも若干減るように考えておったわけでございますけれども、これが一月の決算法人あたりからうんと落ち込んできたわけでございます。それがわれわれのところに確実に捕捉されるというのは相当期間がかかってからでございます。いわんや三月十五日の確定申告の状況というのは、四月の予算が成立した四月二日の状態ではまだわかっていないわけなんでございます。したがって、衆参両院で、おまえはこの国会に対して忠実じゃない、予算を通したいばかりに、いまわかっておって国会に知らさぬのじゃないかというおしかりをたびたび受けたのですけれども、そうじゃなくて、実際にわかっていなかったのです。わかっていない状態でわかったような顔をして答えるのは一番私は悪いと思ったのです。つまり、国会に申し上げる数字は、間違った数字を申し上げることは大変私は国会に対する最大の軽視だと思うわけでございますから、的確な数字を踏まえた上で答えなければならぬと存じましたので、四十九年度の歳入の不足という問題は、確実にわかって初めてこれは報告すべきものと思っておりまして、途中でいいかげんな数字は申し上げるべきでないと固く私は思っておったわけでございます。そのことが悪いというおしかりを受けるなら私は甘んじて受けますけれども、私は、正直にそれが私の責任だと感じておったわけでございます。ところが、不幸にいたしまして、それが七千七百億もの巨額なものにのぼったわけでございまして、四月分の歳入を、納税義務が発生したのは、三月のものは前年度の歳入にするという政令を出すことによりまして、国会の手を煩わすことなく四十九年度の帳薄は締めさせていただいたわけでございます。
 ところが、そういう七千七百億の歳入欠陥が出たが、このままの状態で五十年度に延長した場合に、この歳入欠陥を反省して、五十年度どのぐらいの歳入欠陥が生ずるか、つまり、経済の見通しを別にいたしまして、歳入構造の問題からいきまして、こういう欠陥が生じたのが本年度に延長されるとすればどのくらいあるかという、これは公明党の御質問だったと思いますけれども、それに対して私は、いろいろ計算してみると九千億ぐらいは恐らくその影響で五十年度の歳入不足の原因になるだろうというような見通しは述べたことはございますけれども、しかし、全体として、いま三兆何千億の歳入欠陥全体について申し上げたつもりはないのです。その点、松浦さんにちょっと断わっておきたいと思うのです。
 それから経済の見通しでございますが、経済の見通しは、政府は御案内のように、四・三%の成長である、雇用所得は幾らの伸びである、物価はどれだけの見通しであるというのは、一応予算の編成のときに閣議で決めまして、それをベースにして歳入を見積もったわけでございますが、そのベースは四月の段階も五月の段階も政府は全然変えずに来ておるわけです。これは変えなければいかぬということはだれも気がついて、いずれ変えなければいかぬと思っておりましたけれども、年度が相当経過してみないと、どのように改定していいものやらまだ見当がつかないから、これを改定しないで補正予算のときにしようじゃないかということでございましたから、あの段階で私が、いやことしはずいぶん歳入欠陥が出そうでございますなんということを言えないのですよ、基本になる政府の見通しというのがまだ改定してないのでございますから。私が閣僚の一員としてあれはどうも早く改定しなければいかぬと思います、これでこのぐらいの歳入欠陥が出そうでございますなんということを早手回しに国会で言うほど軽率でございますならば、私は閣僚が勤まらぬだろうと思うのです。したがって、あの段階では、秋深くなっていろいろな歳入、歳出の要因が解明された後で見直して予算を補正する、あるいは経済の見通しを改定するというのが普通のやり方でございます。
 しかし、ことしは少し早目にやらなければいかぬ。というのは、すでにもうそういう歳入の欠陥をはらんでおったものでございますから、ことしはもう人事院の勧告も米価もいろいろな問題も大体見当がついてまいりましたので、早く補正予算をお願いして見通しも改定してということをいたしまして、九月の初めに国会をお願いして、私ども鋭意補正を急いで、補正予算とこの特例法案を出してきたのは従来よりずっと繰り上げてやっておるのが今日の姿でございます。
 すなわち、実態の歩みはあなたから見ると、政府がやっているのは、事態はもっと深刻であるのにどうも真実を国会に伝えていないのじゃないかという御不満があなたにあることは私もわかるのです。しかし、それを国会に正式に御報告する手順はまだ踏んでいないわけでございますから、補正予算を組み、その前提としての経済の見通しを決めて、初めて私は国会でこのように歳入欠陥はこれだけになります、公債はこれだけお願いしなければなりませんということを申し上げる立場を与えられるわけでございます。それが補正を組んでからになったわけでございますので、あの当時あなたに申し上げられなかったというのはそういう事情だったことを御了承いただきたいと思うのです。

発言情報

speech_id: 107604629X00419751119_017

発言者: 大平正芳

speaker_id: 28089

日付: 1975-11-19

院: 衆議院

会議名: 大蔵委員会