坂井弘一の発言 (本会議)
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○坂井弘一君 ただいま趣旨説明がありました議院運営委員長田澤吉郎君の解任決議案について、公明党を代表しまして、若干の質疑を行うものであります。(拍手)
国会が国権の最高機関であり、議会制民主主義のルールにのっとった運営が行われなければならないことは、いまさら私が指摘するまでもありません。なかんずく、衆議院における議院運営委員長という立場は、議長と並んで衆議院の運営のかなめでございまして、国会の権威を高め、議会制民主主義の発展に資する重要な役割りを担うものであります。
ゆえに、議院運営委員長は、その運営に当たりましては、当然、一党一派に偏することなく、議会制民主主義のルールを最大限に尊重する決意と自覚を持ち、さらには、国会を私物化せんとする暴挙に対しましては、断固闘い、これを排除して、国会の権威を守り、高からしめるところの正義感と、高潔にして高邁なる精神と人格を具備する、真の政治家とも言うべき人物がその任に当たるべきであります。
田澤委員長は、青森の四枚腰といわれるその粘り強さ、がまん強さには定評がございます。なおかつ、二十代で県会議員、三十代で県会議長、そして三十五年の総選挙で国会入りを果たした人でございまして、みずからは東北のケネディと称しているそうであります。ケネディと自称しているその根拠につきましては、私の知るところではございません。しかしながら、少なくとも今世紀の代表的政治家と自負している以上は、国民の政治不信を高めるような暴挙は断じて行えなかったと思うのでありますが、東北のケネディたる田澤委員長をして、今回のような暴挙を行わしめた原因は一体どこにあったのか、まずお尋ねをいたしたいと思います。
また、田澤君は、昭和四十六年以来、議院運営委員長としてその手腕を発揮し、その底抜けの陽気さは、与野党に特に反感も抱かせることなく今日に至ったのであります。このまま従来の姿勢を堅持して正常な議会運営を行っていたならば、さぞかし東北のケネディとしての名声が内外に定着したことは想像にかたくありません。
しかるに、議会の申し子と自称している三木内閣になってからは、全くその性格を一変するがごとき暴挙を繰り返したことは、一体どういう理由からでしょうか。まことに不可思議と言わざるを得ないのであります。片や議会の申し子であり、片や東北のケネディなのであります。
さて、田澤君は、自民党にあって大平派に属し、党副幹事長、郵政政務次官というポストを歴任し、どちらかと言えば、じみな分野で活躍されてきたようでありますが、今回の酒、たばこ、郵便の三値上げ法案については、みずからの派閥の領袖である大平大蔵大臣を助けるために、あえて強行採決を行ったという説もありますが、この間の事情について、御存じであればお答え願いたいと思います。
また、今日の混乱国会を招いた元凶は、田澤議院運営委員長による値上げ三法案の委員会への強行付託にあると考えますが、この点につきまして、明確、かつ詳細なる御答弁をお願いいたしたいと存じます。
特に、値上げ三法案の提出に関しましては、九月十六日の議運理事会におきまして、「高度の政治判断で対処する」「従来の慣例にのっとり、与野党合意で扱いを決める」ということで正式な合意を見ていたわけでありますが、しかるに、二十六日には議運委員会を自民党単独で開き、本会議を一方的に省略して各委員会に付託するという、議会制民主主義と国民を全く裏切る暴挙を行ったのであります。本会議における趣旨説明を省略して委員会に付託したことは、本会議における議員の審議権を剥奪するものでありまして、議会制民主主義を根底から破壊する重大な問題であり、断じて許せないところであります。(拍手)
このような暴挙について、田澤君は、前国会で一院通過した法案については、本会議で趣旨説明を行わないで、そのまま当該委員会に付託されるという先例を盾にとって、その正当性を主張しておりました。しかし、インフレ、不況というかつてないこの深刻な状況下にありまして、いまや、国民生活に関連の深いこの値上げ三法案であります以上は、本会議で審議せよという野党の要求は、これまた当然と言わなければならないと存じます。慣例を盾にとりまして、国民生活に密着した値上げ三法案を委員会に強行付託した態度は、数を頼んだ、議会制民主主義を破壊する暴挙以外の何ものでもないことを重ねて断ずるものであります。この点につきまして、御見解を承りたいのであります。(拍手)
九月二十六日の田澤君の暴挙により、国会は完全にその機能をストップしたわけでありますが、正式に合意されたことがいとも簡単に破られるようでは、今後何を信頼し、法案の選択または国会での扱い方をすればよいというのでありましょうか。対話と協調は、三木内閣の表看板であります。しかるに、田澤君は、問答無用の方式を用いたのであります。これでは、真の国会正常化は達成でき得ないと思うものでありますが、いかがお考えでございましょうか。
しかも、許せないことには、再び同様の暴挙を田澤君が強行したことであります。すなわち、昨日の議運委員会において、委員長職権で一方的に計らい、二十四日午後二時本会議を開会することを公報に掲載させたのであります。一度ならずも二度も、議会制民主主義の精神である話し合いによる議会運営を踏みにじったことは、前代未聞のことでありまして、議会史に汚点を残すものであると思うのでございますが、この点に関しまして、提案者の御所見を伺いたいのでございます。
従来、各委員会委員長の解任決議案はたびたび本会議に提出されてまいりましたが、いまだかつて、議院運営委員長の解任決議案は、衆議院、参議院を通じまして、上程されたことはないと私は記憶をいたしております。議運委員長の解任決議案は前代未聞であると考えますが、この点については、いかがでありましょうか。
最後に、このような不名誉な決議案が採択される以前に、田澤君がみずからの暴挙を謙虚に反省し、みずからが委員長の座からおりることを強く要請いたしまして、私の質疑を終わる次第であります。(拍手)
〔藤田高敏君登壇〕