中村茂の発言 (本会議)
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○中村茂君 私は、日本社会党を代表して、久保等君から提案になりました逓信委員長地崎宇三郎君の解任決議案に対し、賛成する立場から、若干の質問を行うものであります。(拍手)
いま国民は、インフレと物価高、不況による中小企業の倒産や、失業者の増大、六価クロムなどの産業公害、地方自治体の行き詰まり、農業の危機、税金の悩みなど、生活の苦しみや、健康に対する不安でいっぱいであります。このような事態は、大企業優先、生産中心の人間性を無視した経済成長政策が生み出した自民党政治の積年の病根であります。これらの病根は悪質であり、根治することは困難であります。
このような厳しい条件の中で開かれた臨時国会であります。しかるに、自民党三木内閣は、国民生活を守る国会の使命に反し、酒、たばこ、郵便料金の値上げ三法案に固執し、前国会で廃案になり、国民の審判が明らかになったにもかかわらず、逓信委員会を自民党単独で開会し、一方的に郵便法の一部を改正する法律案の採決を強行いたしました。このような自民党の暴挙は、議会制民主主義を根本から否定するものであり、絶対に許すことのできないところであります。(拍手)
この際、どうしても解明しておかなければならないことは、酒、たばこ、郵便料金の大幅値上げという、国民生活に関係の深い、しかも、廃案になった法案を、補正予算案の審議終了前に衆議院を通過させようとする自民党内閣の政治姿勢であります。
自民党の単独審議という、議会制民主主義を根本から破壊する暴挙までして強行しなければならない事情がどこにあるのか、全く理解に苦しむものであります。この党利党略を、国民の多くの人たちが一番疑問に思っているところであります。しかも、「対話と協調」を常に唱える三木総理の手でこの暴挙が進められているということであります。自民党は議席数を多数占めているから、どんな法案でも、原案どおり議決させなければ、自民党のメンツの問題であるということだとすれば、そのことが、国会の民主的な運営やルールを破壊している一番大きな原因ではないかと思うのであります。提案者に、自民党の党利党略の背景について解明していただきたいと思うのであります。(拍手)
第二の質問は、常任委員長の態度であります。
常任委員長は、国会の役員として、委員会の運営に当たっては、公正かつ厳正でなければなりません。各党の意見を尊重しなければなりません。自民党の党利党略に基づく強行採決に加担し、議会制民主主義の破壊行為を直接指揮し、実行した逓信委員長地崎宇三郎君は、常任委員長として、委員会の運営が公正かつ厳正であったのかどうか、提案者から具体的な説明をお伺いいたしたいのであります。(拍手)
第三の質問は、強行採決を行った自民党の党利党略の内容であります。
酒、たばこ、郵便料金値上げ三法案の優先審議を固執する余り、国会運営を混乱させ、補正予算案及び生活関連法案の国会提出をおくらせてきた自民党・三木内閣の政治責任を許すわけにはいきません。
この値上げ法案先行のやり方を逓信委員会で見た場合、郵便法の一部を改正する法律案は、九月二十日国会提出となっています。それに対し、昭和二十四年五月以前の簡易生命保険契約に関する特別措置法案及び郵便貯金法の一部を改正する法律案並びに簡易生命保険法の一部を改正する法律案は、十月十一日提出となっています。約二十日間おくらせて提出しているのであります。しかも、これはわが党の要請によって、やっと提出されたものであります。郵便料金値上げ法案もその他の法案も、前国会において廃案になった法案であるという条件は同じであります。
自民党の値上げ法案優先審議の態度を、政府がそのままうのみにしている三木内閣の自主性を喪失した姿は、三木総理の運命を如実にあらわしているものであると思います。
政府とその与党が一体となって、党利党略を国会に持ち込んだ場合の国会運営は、特に議長及び常任委員長の公正、厳正な態度が強く要請されなければなりません。逓信委員長地崎宇三郎君の逓信委員会運営の態度は、不法不当、問答無用の一方的な暴挙であり、国会の権威のために、国民とともに断じて許すことのできないものであります。(拍手)
このように、郵便料金の値上げ法案だけ可決すれば、他の法案はどうなってもよいという自民党の国民不在の暴挙をそのまま受け入れた地崎宇三郎君の態度は、常任委員長として、国会法に照らし不適格者であると思いますが、提案者の見解をお聞きいたします。(拍手)
第四の質問は、強行採決の内容であります。
逓信委員会議録第一号によれば、
○地崎委員長 これより会議を開きます。(発言する者多し)もう開会をいたしましたから……(発言する者多く、聴取不能)大臣の趣旨説明を求めます。(発言する者多し)
○村上国務大臣 ……(発言する者多く、聴取不能)昭和四十六年度に……(聴取不能)この間、
というようになっており、なお議事録は続いているのでありますが、何を説明しているのか、全くわかりません。
このようないいかげんの審議内容で法案の可決は有効であるとしているところに、仮谷建設大臣の失言問題のような土壌があると言わざるを得ないのであります。(拍手)
国会の審議は、形式よりも審議の内容が重要であります。国民の意見が十分反映されていなければならないのであります。こんな審議内容で強行採決した逓信委員長地崎宇三郎君の責任は重大であり、言語道断と言わざるを得ません。もっと時間をかけて審議を尽くすべきであります。このような国会審議軽視の態度に対し、提案者の見解を承りたいと思うのであります。
第五の質問は、郵便法の一部を改正する法律案そのものの内容であります。
前国会で審議した法案であるからと言いますが、国民の意見が十分反映されていません。十月二十一日付の日本農業新聞は、このように報道しております。「農民の知る権利奪う郵便料金の改定、とくに、新聞や機関紙などの第三種郵便料金の大幅値上げを政府が強行しようとしていることに対して、系統農協は一丸となって絶対阻止、を合言葉に反対運動に取り組んでいる。」と訴えています。
値上げ幅は、はがきの十円が二十円で二倍、書状の二十円が五十円で二・五倍、第三種の六円が三十円で五倍となっています。特に第三種郵便物は省令改正事項となっており、郵便物は認可が必要となっています。そして、その認可条件は、郵便法第二十三条で、定期刊行物であること、また「政治、経済、文化その他公共的な事項を報道し、又は論議することを目的とし、あまねく発売されるものであること。」となっています。このような政治、経済、文化その他の公共的な事項を報道する新聞の郵便料金を五倍も値上げするということは、言論の自由、国民の知る権利に重大な支障のあることは、火を見るよりも明らかであります。
国民生活を無視し、国民の基本的権利をじゅうりんした郵便料金大幅値上げ法案を、自民党の単独審議、単独採決の強行、審議時間二十分、審議内容不明確、委員会の問答無用の運営などの独善的な議会制民主主義の破壊行為を許すわけにはいきません。郵便料金値上げが、国民の知る権利に与える影響について提案者の御所見を承りたいのであります。
私は、以上五点にわたって、解任決議案に対し質問したのでありますが、逓信委員長地崎宇三郎君が、常任委員長として職責をわきまえ、議会制民主主義を守り、国民から信頼される国会運営を行うという信念と正常な判断力を持ち合わせていたならば、自民党の無謀な党利党略に流されることがなかったと思うのであります。地崎君のためにまことに残念であります。このような不名誉な記録は、将来、わが国会の歴史に長く残されることを地崎宇三郎君はよく知るべきであります。
以上で、解任決議案に対する質問を終わります。(拍手)
〔久保等君登壇〕