高沢寅男の発言 (大蔵委員会)
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○高沢委員 主税局長にお尋ねをしたいのですが、これは、税制調査会が税制改正に関して出した答申の中の見解ですから、言うならば税制調査会の見解であるわけですが、しかし、それを受けて政府として、大蔵省として税制改正の実際の措置をとられたということから見れば、このことに関して見解をお聞きしたいと思います。
昭和五十年度の税調の答申、この中で所得減税についての考え方をこういうふうな言い方をしております。「昭和四十九年度における国民総生産の実質成長率はマイナスになると見込まれているが、なお物価の動向は予断を許さず、当面は、需要面から物価刺激要因が生ずることのないよう抑制的に経済を運営することが要請されている。したがって、昭和五十年度の予算編成に当っては、歳出の増加を極力抑制し、また、国債依存度の引下げを図るとともに、税制上においても、所得税や住民税について大幅な減税を行うようなことは避けなければならない。」こういうふうな答申が五十年度の答申で出て、実際の措置としては、この年はいわゆるミニ減税といいますか、非常に小幅減税で終わった、こういう経過があります。それから今度は五十一年度の、今年度に関する答申ですが、やはり所得減税の問題でこういう言い方をしております。景気刺激のために減税をやるべきだというような意見もあるけれども、「まず、景気刺激のための減税については、経済環境が現在予想されているものと大きく異なることとなるような場合には、税制によりこれに対処することが必要となることもあろうが、政府の経済見通しによれば、わが国の経済は徐々に回復すると見込まれていること、公債の市中消化能力には限度があり景気刺激のための減税に伴って多額の公債を追加発行することには問題が多いと思われること、最近における消費者行動の態様からすれば、減税をしてもそれによって増加する所得の相当部分が貯蓄に回ることも予想され、その場合には減税の景気刺激効果は公共事業支出ほどには期待し得ないと考えられること等の理由から、この際は景気刺激のための大幅減税という考え方はとるべきでないと認めた。」こういうふうな表現の答申で、結果は、ことしの所得税の減税はなしということで終わったわけであります。
この去年とことしの答申の中にある考え方、つまり、去年の場合には、これは一つの論理の問題、理屈の問題として、減税をやる、それによる勤労者の所得の増加、それは消費を拡大させて、そして景気刺激要因になるからやるべきでない、小幅だ、こういうことで、ことしの場合はその同じ減税、所得の増加、しかしそれはみんな貯蓄に回ってしまって消費刺激の効果はない。したがって、やっても効果がないからやらないというような結論になっているわけです。去年とことしでは論理は全然違うのであります。しかし結論は、減税を小幅にするなりあるいは減税をやらぬという結論では一致しているという、こんなような大変皮肉な結果になっているわけですが、こういうふうな税調のこれは考え方として出されたわけですが、主税局長としては、去年とことしの経済情勢は私はそんな変わりがあったとは思わないのですが、これだけの逆転した論理の使い方というものを一体どういうふうにお考えになるか、お聞きしたいと思います。