川村清一の発言 (外務委員会)
⚠️ コピーしたテキストを転載する際は、転載元URL(kokkai-data.com)および原典URL(kokkai.ndl.go.jp)を必ず残してください。発言内容の改変・出典削除は禁止です。
詳細は利用規約をご確認ください。
○川村清一君 それはわかるんですけれども、とにかく海洋法会議に対する対処の仕方もきわめて消極的であった。私なんかは農林水産委員会で農林大臣に海洋法会議に出る政府代表は大臣クラスの方、そういう大物を出すべきでないかということを申し上げておったが、そういったようなことについても一つも心配りがなかった、そうしてようやく賛成といいますか、その体制をまとめるように動き出したのは去年ぐらいからであって、それまではもう反対をしておった。
ところが、一体日本政府は、アメリカやソビエト、日本とともに反対しておった国がどういう動き方をしておるかということをちっとも見ておらない。われわれは必ずアメリカ、ソ連はこれに乗ってくるだろうというふうに見ておった。特にアメリカであります。アメリカがやったら必ずソ連もやるんだから、まずアメリカを抑えなければならない。いわゆる世界の全部の国が合意する前にアメリカが一方的に漁業専管水域二百海里なんというものを決めるようなことになったら、これは必ずソ連もやるから大変なことになるということで、アメリカを抑えるようにということをずいぶん進言してきました。
アメリカが一体何でやったか、反対しておったアメリカが何で一方的にこの二百海里を設定したか、その原因をつくったのはどこの国か、これは日本の国でしょう。いわゆるアメリカの水域に行って日本の船が余りにとりまくるものだからアラスカの漁民あたりから非常に苦情が出てきて、そうしてアラスカ州の国会議員が議員立法としてこの法案を出したわけですよ、御承知のように。そうしてアメリカの国会を通ってしまった。その時点でフォード大統領は拒否して署名しないであろうというような見方を外務省の方は持っておったんではないですか。日本のパートナーのアメリカが日本の反対を押し切ってやるなんということはないだろうといったような甘い見方をしておったんではないでしょうか。
フォードだってこれは政治家ですから、大統領選挙のときにアラスカ州から出たその議員立法に反対するようなことであったら選挙に大きな影響があるから、これはもう署名してしまって、そこでアメリカは一九七七年三月一日から沿岸二百海里を漁業専管水域にするという法律を制定してしまったんです。アメリカがやったら必ずソ連がやる、これはわかり切ったことじゃないですか、対抗上。なぜかならば、ソ連は日本以上に世界の遠洋漁業国。わが国が総漁獲量の中の四〇%から四五形を遠洋に依存しておるが、ソ連は総漁獲量の六〇%から六五%を遠洋で漁業している世界一の遠洋漁業国です。そのソ連がアメリカから締め出され、カナダからも締め出され、ヨーロッパ、ECからも締め出され、ノルウェーからも締め出されるということになったら、当然ソ連は自国の水域の資源を守るという立場の政策をとることは当然ではないですか。日本だってその立場になったらそういうような意見が出てくると思うんです。
ただ、アメリカの水域とソ連の水域の違うところは、アメリカの言っているのは、また後で質問しますが、日本のたとえばスケトウの漁獲にしましても、これは大手資本会社のいわゆる母船式の底びき船だ。ところがソ連の二百海里水域というものは、わが国の中小漁業の漁場である。しかも北洋漁業というのは決して、ソ連の二百海里の水域ではあるけれども、ソ連人が開拓した漁業ではないんです。全部日本の漁船が、特に北海道の漁業者が小さな船で、本当に血と汗を流して命がけで開発した漁業である。サケ・マス漁業に一つ例をとってみるというと、この十年間でサケ・マス漁業だけで死んだ漁師の方が百十五人いる。あの広い海のどこへ網を刺しても魚がいるというものではない、これは御存じのとおり。ツブ漁業一つとっても、エビ漁業をとっても、あるいはニシン、サケ・マスはもちろんのこと、スケトウにしても、どこへ行くというとそういう魚がいるか、どういう漁法でやればその資源をよくとれるか、これは全部北海道の漁民を主として日本の漁業者が本当に命がけで開拓した漁業なんです。そうして、この漁業というものは日本の国民経済の上に重大な影響を与えておる。特に北海道の経済さらに道民生活、日本国民全体の食糧の問題からいっても重大な問題であるから、したがってソ連がもしやるようなことになったらこれは大変なことになるので、アメリカを抑えるようにということをやってきたが、何も手を打ってない。ですから、ソ連も一九七七年三月一日からこれを実施するということを去年の十二月、最高会議幹部会において決定をして幹部会令として布告をしたではありませんか。それを受けてことしの二月、閣僚会議が決定をして全部具体的に線引きもやってしまった。そこでこっちの方は、日本の方はあわて出した。鈴木農林大臣は二月の末に訪ソされておるんです。その時点から日本政府があわて出して、そうして今日まで非常な心労をされて、国民は深刻な影響を受け、損害を受けておる、これが実態ではないですか。
一体、外務省の日本大使館なんというのは何をやっているんですか。アメリカの動きがどうだとか、ソ連の動きがどうだとかという、そういう情報を何かとっているのかどうか。情報もわからなかったら先に手を打ったって手を打てないでしょう。だから外交がすべて後手後手、そうしてその場限りの外交をやって、もはやその事態が発生してからあわてふためいているというのが、これが実態ではないですか、どうですか。これは外務大臣と農林大臣から御見解をお聞きしたい。