森武夫の発言 (文教委員会入試問題に関する小委員会)
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○森参考人 お答えをいたします。
これも大変むずかしい問題だと思うのですが、私は、今回の新しい大学入試改善の方向はある意味では教育における壮大な実験だというふうに受けとめております。そして、その方向が、いままでのペーパーテスト、学力テストだけによる入学試験という方向から大きく踏み出して、全人的に、大学にどのような人間を入れて、そして四年間あるいはそれ以上勉強させてどのように有為な人材が育成できるかということに向かっての壮大なる教育実験だと私は見ております。
そして、今回の仕組みの中でいままでと大きく違ったのは、国立一期校、二期校が一元化されました。また公立大学もほとんど大部分の学校が一緒に共通一次を共同利用するという方向に大きく前進した。したがって、高等学校側から見ましても、先ほどもありましたが、一期校、二期校が一元化されれば、チャンスが二回あったのが失われるじゃないか等々と問題がありまして、一元化されたために、今度国立、公立、ずらりと百二十大学にどのような質の生徒がどれだけの量受験するか、これが全然つかめません。そこに高等学校側から見る一つの大きな不安と混乱が起きているわけです。立場を変えますと、大学側でも同じように、今度は一期、二期が一元化され、各大学がずらりと並んだ場合、自分の大学にどのくらいの質の者がどれだけの量来てくれるのか、ある意味の期待と逆にまた不安と混乱があるということは同じだと私は考えております。したがって、いま附帯決議にあるような望ましい状況に対して、各大学は自分の大学で行うときに、共通一次及び自分の大学で行う二次試験あるいは実技、面接、小論文等きめ細かい試験をしてあげて、自分の大学にかなうような生徒を受け入れたい、そういう希望は十分おありだと思うのです。
ただ技術的に、最初の先般の第一次案で言いますと、三月三日、四日あたりに二次試験をやり、三月二十日に合格発表してくれ、約二週間ぐらいでそういう作業をするときに、定員千名なら千名に対して一万人も押し寄せたときに、そういう技術的な時間制限の中でどのくらいの量の受験生の面接その他が可能であるかということを御検討になったと思います。したがってこれはジレンマがありまして、なるべくなら足切りをしたくない、しかし実際に来た応募者がはなはだしく多い場合に、全部きめ細かい作業をやっていれば三月二十日の合格発表には間に合わない、時間切れになる、こういうジレンマの中で、やはり大学は最終的には自己防衛と言いますか、ガードをかたくせざるを得ない。こういうことで、現実には五大学しか足切りをやっていないのに、細かく言えば、学部で言うと四三%近くでしょうか、足切りをやる、あるいは足切りをやることを検討しているというのは、やはり端的に言って、それぞれの大学か不安と混乱の中で最悪の場合には自己防衛せざるを得ない、ガードをかたくした、そのためにふえたのだろう、私はこう考えております。したがって、いまのように、いままでの五大学が急に四十数%にふえたということは附帯決議を無視しているではないか、一般有権者の期待を裏切るものだと言ってしまえば身もふたもないので、これはやはり年数をかけて、恐らく今度の大学入試改善も十年あるいはそれ以上の長い年月をかけて持っていかなければならない、そういう壮大な教育実験だと思います。
特に、私たちの先ほど申し上げたいまの三つの中に入っている足切りという問題ですね、これはやはり心情的に受験生及び親御さんの非常な大きな不安がある。したがって、これを早急になくするためには、一回やってみる。そして第二年次以降については相当目安がついてくるのではないか、そういう点で早急に全廃の方向で御検討いただけるのではないか。何しろ一度もやらないで、完璧に理想主義で、すべてわれわれの言っていることを全部のんでくれということではないのでございまして、いまのような高等学校側の立場からしても、大学側でどのように考えてどう対応しておられるか、いろいろ大学側で特色がございます。あるいは近畿の方の大学では、一次、二次、どういうふうな点数の配分をするか、事前にうちの大学は公表しますよと言っておられる大学もございます。したがって、これを一律に法的規制でこの附帯決議を守らせるような方向というのは、私は現在としては余りいい方向ではないのじゃないか。話し合いの中で、実験を積み重ねる中で、いまのこの附帯決議の方向に漸進的に持っていく、しかも早急に、早い時期に持っていっていただけたらありがたい、そういう考えでおります。
以上でございます。