名東孝二の発言 (予算委員会公聴会)
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○名東公述人 ます最初に、結論から申し上げます。
負の所得税、すなわちネガティブインカムタックス、課税最低限を上げるかわりに年収二百万円以下の人たちに補助を与える、こういう考え方であります。その負の所得税一兆円と、最低生活保障のための、曲拠出、金を出さない方々の福祉年金アップのための一兆円と、黒字減らしのためにも開発途上国のため、政府開発援助をGNPの一%、別枠として確保するようにお願いいたします。
あわせて、国債管理の円滑化のために、赤字国債の償還十五カ年計画を示したいと考えております。
まず、理由から申し上げますと、現在の失速しかねない日本経済を安定軌道に軟着陸させるためには、やはり七%成長を必要とします。しかし、いまの見込みでは五%程度でありますから、その差二%、すなわち名目で計算すると、GNPで大体四兆円ということになりますか、貯蓄率の逆数である乗数を小さく見て二といたしますと、二兆円の追加でよいということになります。
その次は、二兆円の使い方でございますか、基本的には、行財政の抜本的改革と行財政整理を含む歳出の節減と合理化を必要といたしますか、不況とインフレの共存する長期停滞のもとでは、公平なる痛み分けか最も大切であると考えます。したがって、格差の拡大に泣く低所得者のために、負の所得税と最低生活保障のために使うことをお願いします。
まず、負の所得税でございますか、年収二百万円以下に負の所得税で補助いたしますと、二千二百万人か助かります。これは課税最低限アップで潤う人は、二百一万五千円以上の約千五百五十万人よりも六百五十万人ほど多くなります。一兆円をこの二千二百万人に補助いたしますと、一人当たり四万五千円少しになります。これはほとんど消費に充てられ、低所得者の方々はほとんど貯蓄しませんから乗数効果が高くて、景気のてこ入れになると考えます。
次は、年金問題でございますが、御存じのように、厚生年金における賦課方式への移行の問題がございますが、西ドイツの先例にかんがみて、積立金の取り崩しはやはり慎重にやった方がよいと考えます。国民年金の抜本的改正も必要でございます。しかし、基本的には、各種年金の間のアンバランスの是正、それから最低生活を保障する基礎年金制、すなわちナショナルミニマム年金制、それと所得比例年金制を確立する必要がございます。
ここでは、他の年金への波及問題を一応おいて、最低生活を中心に、最低額の支給、すなわち無拠出の福祉年金受給者に限って現在の月額一万五千円プラス一万九千円、したがって一二万四千円とする。差額一万九千円に無拠出の受給者四百四十一万人を掛けますと、大体一兆円の追加補助となります。
厚生省は、七十五年度には社会給付費が国民所得の約一九%にまで激増すると言っておりますが、しかし、現状のような国民一律の国民皆保険とか国民皆年金制を洗い直して、悪平等を避けて福祉の重点化を図ったらいかがでしょうか。ばらまき福祉ではいけないのではないかと考えております。
ちなみに、大蔵省の批判に対して反批判を加えておきますと、昨年の戻し税はほとんど効果がなかったというお説でございますが、実施のやり方がまずかったと考えます。せっかくやる以上は、ボーナス以前に大袋入りで手渡すとか、そういうふうにきめ細かくやっていただきたい。三千億円では小出し過ぎる。すなわち、個人消費支出の〇・三%にすぎない。公共事業にしましても、何回となく追加を打ち出してこそ、やっとある程度の効果が出るのではないでしょうか。減税でも、毎年連続してやるからこそ、安心して個人消費に回すことができるのではないでしょうか。欧米各国とも、個人消費を刺激するため大幅な減税を実施しつつあることを忘れてはいけません。日本の為政者の方々は、世界的停滞の実態を少し甘く見過ぎておるのではないでしょうか。公共投資の拡大は、下手をすると調整インフレを誘発するとともに、これまでの生産中心、輸出主導型の産業構造を温存して、再び行き詰まることになるのではないでしょうか。
もし財源に制約があるというのであれば、捻出可能な範囲で最下層から実施すれば、相当以上の効果があるのではないかと考えます。
また、担税率が低いということを大蔵省は言っておるようでございますが、これに対しては、治めやすい日本の行財政費はアメリカの三分の一、すなわち三〇%の三分の一の一〇%でよい、現在の約二〇%をさらに節減の要あり、これは私が言っているのではなくして、あのおえらい松下幸之助さんがそういうことを言っておりますので、これを引用いたしておきます。
それから、今度は二兆円調達の方法でございますが、一般消費税のような一般増税ではなくして、選択増税の問題であると思います。何を選択するかといいますと、行財政の行き詰まった今日、緊急の課題は、この際原点にもう一回戻りまして、総合申告制と総合課税制に立ち戻るということじゃないかと思うのです。すなわち、だれもが平等に申告できて、現在サラリーマンであれば年末調整でおしまいというわけでありますが、漏れなくすべての所得を上乗せして累進税率を適用する。現在御存じのようにタックスイロージョン、税の浸食が非常に多く行われております。そういったように、すべての所得を上乗せして累進税率を適用する、このやり方に復元するといいますか、復帰することであると思います。
一般消費税については、消費は社会的恩恵によるから消費課税は当然であるというお話もございますが、御存じのように直接税中心の英米系の国では、すなわち日本もこれに入りますが、まず所得課税の不公平を是正して、資産課税を行って、しかる後に消費課税という順番になるのではないでしょうか。
それで、利子所得、配当所得、譲渡所得等の総合課税化を図るためにも、まず富裕税の新設を行います。西ドイツは御存じのようにすでにやっておりますし、わが国の高い貯蓄率を低めるという効果もあるのではないでしょうか。ここでは余り金額を取る必要はなくて、金額よりも洗い直すことによって資産を把握する、脱税を把握するということがねらいじゃないかと思うのです。そうして有価証券売買益金課税とともにすべての総合課税化を行う。すなわち、原点に戻りまして、この際あか落としをやったらどうかということでございます。同時に、租税特別措置の総洗い直しを行います。さらに、法人税の実効税率を国際並みにする。いま大体二%ほど低いと考えますので、これをやはり国際水準に並べた方がいいのじゃないかと考えるわけです。これらの一連の措置によって、一時的な税収の落ち込みを考慮しましても二兆円の増収となろう。この試算内容はもし御質問があればお示ししたいと思いますが、これらの一連の措置によって二兆円の増収となろうと考えています。これを五十三年度から徐々にやりまして、五十六年度からフル回転する。余りショックがきついといけませんから、徐々にやっていくという考えであります。
他方、特例赤字国債の累計を見ますと、政府案の振りかえに伴う一兆五千億円増と仮定しますと、五十三年度末で十六兆二千億ほどになります。これに五十四年度、五十五年度、五十六年度と、やはり赤字国債を出さざるを得ないと考えますので、これが合計が九兆七千億円追加されるといたします。それからまた、経済審議会や大蔵省の財政収支試算にならいまして、それとの比較対応のために五十七年度からは赤字国債の発行はなしといたします。それで赤字国債の合計は約二十六兆円ということになりますが、前に申し上げました増税措置が発効いたし始めますと、五十七年度末には二十兆円程度になります。したがって、以後十年ほどすれば、これで大体償還できるんじゃないかということになるわけです。細かい数字は時間の関係で省略いたしましたが、御質問があればお答えしたいと思います。
それで、最後に要望を二つほど申し上げたいと考えます。
一つは、なぜ勤労者にだけ必要経費を認めないかということでありますが、これは理論的にも非常に根拠が薄弱だと言わざるを得ないわけであります。また、生活費非課税の原則からしましてもおかしいし、また、費用がかからない問題じゃないかと思うのです。何億円なんて金はかからないと思うのです。そういう意味で必要経費の実額控除制ですね、かかった費用を申告する、その申告の併用ですね。別に源泉徴収制を否定するわけじゃございませんので、せめて申告するぐらい認めてくれたっていいんじゃないか。なぜならば、現在総合申告制ですから、申告の自由をなぜサラリーマンからだけ奪うかということであります。なぜサラリーマンにだけ必要経費を認めないのかと旧いうことを申し上げたい。
第二番目は、行政整理等からはみ出た者には技能習得をさせて、海外協力隊に参加していただいたらどうか。現在のように帰ってきた者は就職の口にも困っておるというようなことでは困るのでありまして、大いに優遇してあげたらどうかと思うのです。開発途上国援助を本格化するため、まずもって政府開発援助、これを現在の〇・三%なんということじゃなくして、GNPの一%にまで高めることをお願いしたいと思うわけであります。こういうような、いわゆる第二の開国だと思うのでありますが、幕末、明治以来の第二の開国をしてこそ最も望ましい黒字減らし対策である、こういうふうに考えるわけであります。
時間は少し余ったようでございますが、大体の要旨を申し上げた次第でございます。どうも失礼しました。(拍手)