村本周三の発言 (予算委員会公聴会)

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○村本公述人 ただいまの加藤先生の御質問についてお答えいたしたいと思います。
 第一点は、七%成長率ということについてどう考えるかということでございますが、第一勧業銀行といたしましては、成長率がこうだという数字を別に公表いたしておるわけではございません。しかし、もちろん内部で研究はいたしております。
 率直に申し上げまして、一人のエコノミストとして考えますと、このたびの政府の七%成長という目標はなかなか並み並みならぬ努力を要するものだと考えております。
 私どもがさように考えます点、特に政府のお見通しとの違いの一番大きな点は、設備投資それからまた個人消費がどのくらいふえるか、そして第三番目には住宅投資があれほどふえるであろうか、ふえることは申すまでもないけれども、あれほどふえるであろうかということの三点であろうかと思います。
 私ども、設備投資につきましては、現在の需給ギャップということを考えますと、そのままにしておいて設備投資がふえていくとは思えないわけでございます。しかし、一方で現在、需要の拡大ということが国家として必要でありますならば、その需要がわれわれだけでなく、子々孫々に至るまで利益をもたらすようなことに使われるならば、それは結構であろうと思います。これが現在の、たとえば民間の電力がこれからだんだん必要になっていくことは明らかでございますから、需要を起こしても矛盾の起きないいまのうちにそういう設備投資をしっかりしておくのがいいということについては、私どももまことにそうだと思います。ただ、それだけで、ことし政府が目標としておられるような一〇%近い設備投資の増加が可能であるかどうか。われわれといたしましては、先ほどもお願いいたしましたように、予算を執行なさる過程におきまして、そしてまた、電力のそういった設備投資を実際に行っていく過程におきまして、いろいろな問題点があろうかと思いますが、そういう問題点に政府もお力をおかしいただきまして、何とかそういう点を克服していきたい、かように存じておるわけであります。
 しかし、現在のいわばエコノミストとしての感じはそうであり、昨年の恐らく秋ごろまでの経済の推移を一応延長してお考えになった民間の見通しの発表が大部分であろうかと思いますが、そういう意味で、今回の五十三年度予算に対する政府の御決意、その円滑な執行による影響というものが、そういった民間の経済見通しをおつくりになった段階においては、まだそれほどはっきり感じておられなかったという面もあろうかと思います。しかし、金融界といたしましては、いまの見通しはと聞かれますれば、現在、日本にとって需要の拡大、そういった七%成長ということが非常に大事なことであります限り、それに対するいわばエコノミスト的な批判よりも、総理が言われるような、われわれもできる限りの御協力をして、何とか七%の成長に持っていきたい。
 それには、現在まだ潮の流れが変わっているとは言えないと思います。潮はやはりいままでの悪い方向でございますが、昨年の暮れからの補正予算の執行その他に伴いまして、風の中に浮かんでおるストローと申しますか、それはあちらこちら、少しいままでの方向と違った風の吹き方もいたしております。たとえばセメントあるいはその他の公共事業関係の資材は、かなり在庫投資も進んでまいりましたし、状況が好転してきております。そういうことが全般的な景気の上昇に結びついて、政府がお考えになるような七%になれるかどうかということは、ここで在庫投資がどういうふうに進んでいき、在庫調整がどう行われるか、それとうまくつながって、十五カ月予算の執行が、中央政府として、また地方自治体と御一緒になられて、そして前倒しに行われて、みんなの気分が明るくなる、企業家の気持ちが明るくなれば、個人といたしましても、雇用の問題についてはるかに楽観的になれば、個人消費が増大していく、そういういいパターンの方に向かって変わっていける、そういうような現在の情勢であろうかと思います。
 第二点は、先生御指摘の、一体個人投資はどのぐらいがいいのかという問題、これは大変倫理的な問題も含んでおりまして、どちらか申せば、われわれの方が先生方からお教えをいただきたいというような感じのことでございます。もちろん、日本は残念ながら資源に乏しい国でございます。しかしながら、勤勉な人間を持っておるという点で、われわれは世界の中でりっぱにやっていけるだけの力を持っておると思います。そういったりっぱにやっていけるだけの力の中で、できるだけ個人消費を向上さしていきたい。ただ、それはぜいたくな消費、使い捨てということではなくて、国民全般の福祉が上昇するという形で個人消費が進んで拡大していくのが望ましい、かように考えておる次第でございます。
 第三番目の、戦時国債の後遺症はどうだろうかという御質問でございます。私、加藤先生よりも大分年をとっておりますので、戦争中は兵役にも徴集されましたし、それから、帰ってくるやたちまちいわゆる軍事国債の破棄ということでいろいろ苦労をした次第でございます。確かにそういったわれわれから上の年齢の方々の中には、戦争中は戦時国債を毎月毎月隣組経由で買わされて、結局パアになってえらい損したなあという思いが残ってないとは言えなかろうと思います。
 ただ、現在の国債と当時の国債との問題は、当時は、一方で非常に多額の国債を発行いたしました。たしか昭和二十年におきましては、国家予算の公債依存度は四〇%を超えたと思います。そういうふうな巨額なインフレの種をまきながら、一方では物を非常にむだに戦争のために使っていた、どんどんぱちぱちで使っていたわけでありますから、その戦争が終わって、物と金というものの残りを計算いたしましたときに非常なアンバランスが生じていた、それがインフレーションのもとになったということが言えるのではなかろうかと思います。
 それに対して、現在は原則として建設国債でございます。これはわれわれが子々孫々に至るまでその利益が残っていくような物を片一方で残しながらの国債の発行でございますから、そのこと自体は、私は戦争中のインフレ要因とはまるで違うと思います。
 ただ、今回も出ておりますような特例国債、これはやはり経費として、いわば経常的支出として消えていくものでございますから、これが余り大きくなってはどうかと存ずる次第でございます。
 政府は、昨年の補正後の最高二〇%をちょっと超えたのに対して、今後はそれ以下ということを歯どめとして、財政の節度を守り、かつ、なるべく早く赤字国債から脱却したいという御計画のように承っておりますが、その国債をわれわれとしてはお引き受けをし、また国民の方々に買っていただいて、しかし、その国民の方々が決して将来損をしたとお感じにはならないようにいたしたいというのがわれわれの社会的責任でございますから、どうか政府、国会の皆様方におかれましても、以上のようなつもりでこれからの国債政策、国債管理政策を進めていただきたい、かように存じておる次第でございます。

発言情報

speech_id: 108405262X00119780209_010

発言者: 村本周三

speaker_id: 466

日付: 1978-02-09

院: 衆議院

会議名: 予算委員会公聴会