名東孝二の発言 (予算委員会公聴会)

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○名東公述人 まず最初の国債の問題でございますが、御指摘のように、五十三年度末の国債残高四十三兆円を含めまして公共債の予定九十五兆円でございますね。九十五兆円ということは、一億一千万で割ってみますと、子供、老人全部含めまして一人当たり九十万円の負担だと思うのです。そうしますと、九十万円としますと、四人家族であると仮定すると三百六十万円の負債ということになるわけです。いま現在の一世帯当たりの貯蓄額が大体三百万くらいだと聞いておるわけですが、そうしますとプラス・マイナス若干赤字じゃないか、国民の皆さん貯金したような気持ちになっているけれども、実際は赤字じゃないかと思うのですね。そういうことを考えますと、これは非常に大きな問題たらざるを得ないと考えるわけであります。したがって、私の見るところ、やはり調整インフレ、失礼な言い方かしれませんが、調整インフレにならざるを得ない。どうも村本さんがおって失礼でありますけれども、日本の財界というのは、やはりどうもインフレを好む体質があるんじゃないか。そういう過剰流動性のもとに、これから公共料金を初めとしていろいろなコストプッシュが起こって、やはりインフレ的になっていくことによって何か、実際は景気は上がってないのに、インフレのために上がった——いまそういう現象が出かかっているわけですが、何か物が上がってきてインフレになってくると助かったような気になるんじゃないか。そうすると、しばらくすると、これがまたがくっとくるんじゃないかということを心配しているわけです。いまここで喜んでいますと、またがくっとくるということを非常に心配しておるわけであります。
 それに関連しまして、やはりこれから消費は多様化してまいりますね。多様化しますから、少なくとも今までの大量生産、大量販売というような形で産業界が伸びていくことはむずかしいですね。昔のように、大きいことはいいことだというわけではないので、スモール・イズ・ビューティフルで、やはり小さいことでないと、これからは産業界もなかなか生きていくことはむずかしいのではないでしょうか。
 それから二番目の、ミックスポリシーですね。ミックスポリシーは、やはり常識としてあらゆる手段を誘導、動かすということになれば所得減税をやらざるを得ないということになるわけであります。御指摘のあった乗数は、いろいろな説がありまして、もちろん階層とか、たとえばいろいろな人々によって違いますし、業種によって違いますので、一概には言えませんが、大蔵省あたりは二五・一%が貯蓄率だということを言っています。ということは、貯蓄率の逆数でありますので、波及効果なんでありますから、波及効果ですから逆数になるわけです。だから、大蔵省のように二五%だということは、四分の一だということは、逆数の四倍だということになるわけで、かなり高くなるわけですね。大蔵省の御見解を私新聞で拝見しますと、どうもおかしいんですね。片っ方、公共投資は一兆四千億円以上、消費の方は一年度、最初の年というふうに限っておりますが八千億円、こういうふうに差別しておられるわけですが、しかし、二五%だということ自体は、もうすでに四倍の四兆円になるということを前提としていると言わざるを得ない。これは経済学の常識なんでして、大蔵省の言い方は、うまく最初の一年目というふうにちょっと逃げていますけれども、あればごまかしじゃないかと思うのです。
 それから第三番目、不公平税制の問題でございますが、これは三つございます。私はきょう最初に、二兆円が何とか出るのではないかと申し上げたわけです。それは、個々に掲げまして、委員長さんに事前に提出しておきましたのですが、国民税調というのがございまして、これの作成したもの、昨年の末でございますが、これに私、一部手直しをしたのでございます。たとえば有価証券譲渡所得の、いわゆるキャピタルゲインの課税が入っていませんので、それを入れたり、多少手直ししたわけでございます。もちろん、社会診療報酬の廃止、それから有価証券取引税の引き上げとか、こういったようなもの、土地増価税は、非常に大きなものになると思うわけであります。御存じのように、大体いま土地の評価は四百三十兆円と言われていますから、三百兆値上がりしたとしたところで一%で三兆円ございますね。しかし、これは余り大き過ぎるから除外いたしまして、やはり内輪に見て、というのは、かなりこれを実施するとがくっと税収が減るんじゃないかということが言われていますので、かなり用心して控え目にとっているわけでございます。具体的には、最初申し上げましたように、やはり名目的にせよ、西ドイツのやったように富裕税を導入しまして、それで資産を洗い直してそれから優遇措置をかける、それから分離を直していくというふうにすれば、国民背番号なんというようなことをしなくたって済むのじゃないかと思うのですね。それで、大きなところさえ押さえてしまえばそれで事足りるんじゃないか、こういうふうに考えるわけであります。それで、優遇措置、分離課税、それから法人税はもちろん国際競争力がやはり必要なんでありまして、いまのように黒字のときは結構でありますが、万一赤字になり得ることもあるわけであります。そういたしますと、やはり国際競争力並み、国際並みの法人税にするということが各国の納得を得る道だ、こう考えております。
 それから二番目は、徴税上の不公平でございますが、これはちょっと小さい声で言った方がいいと思うのですが、トーゴーサンピンと言われておりまして、トーゴーサンピンのピンは政治資金でございましてね。もちろんいろいろな不公平が言われておりますが、しかし、どうもわれわれみたいな素人の方からしますと、はなはだ言いにくいわけでありますが、やはり政治資金がいろいろな名目がつけられ、りっぱな、通過理論だとかいろいろな名前の理論がつけられて、まことに結構だと思うのです。しかしその点は、やはりお手本を示していただく。お手本を示していただくということが大事なんでありまして、私なんか多少雑所得をいただいて、半分ほど持っていかれるわけでございますので、どうも皆さん方も御協力を願った方がいいのじゃないか。こういうふうに、失礼でございますが……。
 第三番目は、税金使途、使い道でございます。これはやはりかなり産業優先生言われております。したがって、生活優先というのは少しどうかと思いますけれども、やはりアンバランスをだんだんとなくしていただくということが重税感をなくする道じゃないかと思うのです。そういう意味で、課税上と徴税上と税金の使い道、この三点が重税感の出どころである、こういうふうにわれわれ考えておりますので、よろしくお願い申し上げます。
 それで、時間の関係で、最後の一般消費税の問題でございますが、これはいま御指摘のように確かに逆進性がありますし、かなりいろいろな問題があるわけでございます。ところが、私の調べたところによりますと、これをやりますとかなり簡単に取れるんですね。たとえば五十一年度全産業の粗利益、いま大蔵省が考えておりますのは粗利益に課税しようという考え方のように思いますが、粗利益の合計額が五十五兆円、といいますのは、年間の売上高が五百兆ございますので、それの一一%、これは三菱総研の企業経営の分析からとったわけです。そうしますと、五十五兆円の粗利益に対しまして一〇%の課税の税率にしますと、それで五兆五千億、これはかなり巨額の金が出てくるので、それで、やはり大蔵省さんを初めとしてこういったような大きなものが完全に取れるということ、それから、いま私が申し上げていますように、大企業とか、別に恨みはないのですが有資産の方々、お金持ちの方々の抵抗ということを考えますと、どうもよほどしっかり為政者の方々にがんばっていただかないと、やはり誘惑に負けて、簡単に取りやすい方から取ろうということになるおそれがないとはいえないと考えているわけであります。しかし、きょうはおかげで発言させていただいておりますが、一般には、物言わない消費者とか大衆の利害というものは、これを長く阻害いたしますと、必ずやそういったような制度は崩壊するということは、これは歴史の教えるところであると思います。そういう意味におきまして、このりっぱな、非常に得がたい日本の民主主義を長く永続するためには、やはり言葉の単なる意味の革新じゃなくして、実際上のイノベーションをやっていただく、これは単なるイデオロギーにとらわれずに、やはり着実なイノベーションをやっていただく以外には民主主義は生き残っていくことはできないのじゃないか、こういうことを特にお願い申し上げたいと思います。
 失礼しました。

発言情報

speech_id: 108405262X00119780209_014

発言者: 名東孝二

speaker_id: 25105

日付: 1978-02-09

院: 衆議院

会議名: 予算委員会公聴会