戸叶武の発言 (外務委員会)
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○戸叶武君 この不均衡の是正というものは、たかだか過去のいろいろな実績の経緯もあって一朝一夕には簡単にいかない面もあるかと思いますが、アメリカはグローバルな時代において世界に向かって関税障壁を設けないように自由化の方向へ積極的に取り組めという命令をしておりながら、自国においては必ずしもそうではない。
貿易関係の不均衡是正のために、日本がドルを蓄積し過ぎるからドル減らしをやれ、アメリカの穀物か余っているから日本では麦なんかつくらないてアメリカの麦を買え、肉の方もそうだ、果物もそうだ、黙っていりゃ際限ない一つの他国に対する干渉がましいことをやる。そのときの大義名分は自由化を守ることだと言っておりますが、日本の歴代内閣が余りにも卑屈にアメリカの言うなりになってきたので今日の事態を招いてきたんじゃないかと思うんです。
私は、いまでは岸さんは評判が芳しくないけれども、総理大臣になった当初のときのダレスとの交渉に乗り込んだときにははっきり物を言っているので、私はやはり岸というのは頭がいいだけじゃなく腹もなかなかできた男かなと錯覚を感じたほどでありますが、そのときに岸さんの言った主張というものは、第一に、日米間の貿易のアンバランスを是正してもらいたい、このアンバランスを是正しないと日本の経済は立ち直らない。それから、貿易関係の不均衡の是正だけでなく、たとえば日本においては輸送に必要な船腹もある。アメリカからの品物をアメリカの船で送って、そうして往復ともやるというのでなくて、少なくとも帰りには日本の船を使うとか何とかという形において、日本の貿易外収入としての船の問題も考慮してもらいたいと、具体的に列挙して日米間の不平等の是正ということを説いたんです。
そのとき、ダレスという男と、あれはダッチ系統ですから、岸さんを見ると、片方は何か山口県あたりの小人のような感じで、片方はダッチ特有の大柄な男で、スズメがタカに見おろされているようなかっこうで、これじゃ岸さんも体の改造をやらないうちはなかなかダレスと取り組めないんじゃないかとすら私は感じたんです。
しかも、私はちょうどセネター・グリーンとセネター・ワイレーが外務委員長をやっていた関係で知っておりますから、案内で国会の中で聞いておりましたが、国会だけでなくて、ニューヨークの日米協会においても、あるいはプレスクラブの演説においても、岸さんのは、いままで私はアメリカを訪問した列国の首脳者の中であれほどシャープに物を表現できる人は少ないんじゃないかと、そのときに岸というものも捨てたもんじゃないなと思っておりましたが、いつの間にか岸さんも向こう岸の方へ漂流してしまって、そうして結局岸さんのそのときの演説でも三カ条ほどの不平等の是正を要求した後で拍手が一つも起きない、どっからも起きない。そうしてダレスの威圧のもとに小スズメのような、小バトのような――ハトにしちゃ余り上品じゃないが、そういう状態だ。それがこれじゃだめだと岸さんが感じてか、国際共産主義の脅威に対しては日本は断固として自由主義国家にくみしてこれを防衛するという演説と、やはり防衛に対する協力を誓う安保への方向づけを言ったときにのみ拍手です。
アメリカは自分の要請するものが入れられればいい、これはアメリカとしては当然でありましょうが、日本の外交というものは、強いものに巻かれろ、仕方ないやという卑屈な形で、自分の初心を貫くという性格がない。これが日本外交の一番アメリカにばかにされた原因じゃないかと思うんですか、私は今日においては、なかなか牛場さんなんかもおとなしい顔をしているが、言うべきところは言っている。言っているけれども、何か押しが足りない。また、福田さんが大切な出るべきところへは出ないで、出なくてもいいようなところへはちょこちょこ出る。この出処進退において、一国の政治家として、たとえば今度の国連の軍縮会議のようなとき、戦争への危機を払いのけるために全世界が協力してアメリカとソ連のひとりよがりと妥協を抑えようというところ衣で気合いがかかったときに、大切なとぎには空気が抜けて、福田さんは何か中学時代の修学旅行のような思い出が飛鳥のあたりであったなんて、何をのんきなことを言っているか、こういう状態。
私は、どこか日本の政治の中枢にいる人の焦点がぼけちゃっているんじゃないかと思うんですが、今度のこれはいろいろな問題がありますが、いまのようなぶざまで、アメリカの言うことに道理があるならばそれに従っていくべきであるし、また道理に合わないようなことに対しては、アメリカのためにも日本が強くそれを――パートナーというのは相手の立場をもやはり考慮しながら物申すだけの気魄と見識を持たなければ、アメリカのためにもならないし日本のためにもならない。航空の問題なんか当然是正さるべきであるが、いまだに是正されない根本的な理由はどこにあるんですか。
アメリカの政治は、あのロッキードとグラマンの競争を見てもわかりますように、ニクソンだってロッキードから援助を受けていて踊っていた政治家である。ニクソンと田中さんか組めば天下にこの秘密は漏れないと思っても、ちゃんと秘密は漏れていくようになっている。いろいろな奇っ怪な出来事がいま世界を揺すぶっているんですが、飛行機の問題はアメリカにおいてはエネルギーの問題と同様に非常に重要であります。一番アメリカとの間の不均衡か是正できないという理由をもっと明快に私はお伝え願いたいと思います。