田尻宗昭の発言 (公害対策及び環境保全特別委員会)
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○参考人(田尻宗昭君) まず第一に、水深の問題でございますけれども、やはり私感じますのは、港湾関係の方というのは船のことをよく御存じないですね、船のことを。これはまことに残念です。非常に土木的な発想でやられちゃたまらぬですね。船は生きた人間が操船しているということを強調しておきたい。たとえば水島航路の、港内の航路の真ん中に十四・七メーターという浅いところがございます。これは岩盤でございますね。これは非常に危険なんです。現在水島港では十四・八メーターという水深で入港せよという指示をしておるんです。しておりますが、これでも細かく言うと十センチオーバーですね。それから現に昭和四十九年の十二月二十八日に日進丸が十五・八メーター、その浅いところよりもっと深い喫水で入っておるわけです。それはたまたま潮を利用しているんですね。その潮を利用するというのは危ないです、とっても。向こうからはるばるやってくるわけですから、バーレーンあたりからやってきて、まあセカンドポートですけれども、入ってくる船長というのは非常に時間を急いでおりますからね。したがって、こういうようなところを無理して入るということは事実ある。マラッカ海峡でも何度も底をこすりながら走ったという船長は聞くわけです。どうしても無理をする。船長という立場、弱いわけです。そこで、いまの水深の問題というのは、現実に十四・七メーターがあるということを運輸省は御存じなのかどうかということを私は逆に聞きたいと思います。
それから、先ほどのお尋ねで漏れておりますけれども、五万トン以上の船を規制せよと言ったのは、おっしゃるとおり禁止せよということです。五万トン以上の、つまり二十万トンタンカーなどを入れていたんではだれが操船をしても事故は必ずいつかは起こる。これは人間のやることでございますから。だからそこをきちっと禁止をしなければ、仮に水先人が乗りましてもこれは事故は起こるんであります。水島港の入り口で起こしました事故でも水先人が乗っておりました。あるいは室蘭で二十八日間港が燃えましたヘイバルド号事件でも水先人があの事故を起こしたわけです。水先人も同じ人間であります。
それから、なぜ五万トンと言いましたかといいますと、船の喫水、それから航路の幅、それから船がぐうっと旋回をいたしますと旋回圏といいまして、車のように急にくるっと回りませんから幅が要るわけです。この幅をきちっと計算をしますとこれちょうど五万トン当たりになるんですね。衝突を避けようとかあるいは座礁するのを避けようというとき、船は精いっぱいかじを取ってぐるっと回ってもとに戻る以外ないんですね。そういうときにその幅が要るではないか。そうすると、二十万トンでは千メーター要ります。いまの航路幅は四百メーターです。これは足りません。それで四百メーターというとちょうど五万トンぐらいなんですね。そういうことを計算すると、これは数字で出てまいるわけです。
そこで、いま日本の産業界、特に石油産業界も二十万トン、三十万トンという時代はもう転機に来ていると思います。といいますのは、日本のように複雑な海岸線ではもう三十万トンが入れる港というのはほとんどないんですね。ないのにタンカーだけ大きくしていったものだから、もうつじつまが合わなくなっているんですよ。ですから、ここら辺でやはりこれを見直さないと、一度事故が起こったら、恐らくその企業は立ち上がれないほどの打撃を経済的にも受けざるを得ないわけです。そのことを考えれば、やはり企業家というものはこういう事故の際の問題も考えて経営をしませんと、一たん事故を起こしたら企業経営も成り立たないということも考えなくてはいけないと思います。
それから、水先人の問題でございますけれども、水先人は足りないという話はあべこべでございまして、いままで全国で、何年か前までは五つしか水先人を義務づけた港はなかったんですね。これはだれが決めたかというと、占領軍が決めたんです。それから改正されてなかったんです。五つの港以外は水先をとらなくてもオーケーだったわけです。そういうことをやっぱり早く改正して、特に重要な港には水先人を早く義務づけておれば、水先人はどんどん養成もできたと思うんです。それから、今度瀬戸内海で水先人の義務づけを考えていることは私も知っておりますけれども、何といっても水島港でも義務づけるべきだと申し上げているわけです。瀬戸内海だけではいけない、水島港も義務づけるべきだということを申し上げているわけです。