金丸信の発言 (内閣委員会)
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○国務大臣(金丸信君) 私は、六月二十日に米国のブラウン国防長官を訪問し、会談をいたしましたが、この機会に六月十三日から二十六日まで二週間にわたり、ヨーロッパ及び米国を視察してまいりました。
ここに、その結果について御報告申し上げますが、その前に、私の出発が訪問先の都合等から、さきの国会開会中とならざるを得ず、本委員会の委員長初め皆様方に多大の御迷惑をおかけいたしましたことを、深くおわび申し上げる次第であります。
さてヨーロッパでは、ベルギー、西独においてルンスNATO事務総長、ヘイグ欧州連合軍最高司令官、アペル西独国防大臣等の要人とひざを交えて意見交換を行いました。先方からはこもごもに、ソ連の軍事力増強を憂慮していること、通常兵器の面での西側の劣勢をカバーするため、NATOの長期防衛計画の決定が行われた旨の説明がありました。
また、ルンス総長は、日本がいまや太平洋、ひいては世界の安定勢力となり、かつ防衛努力を強化していることに称賛の意を表明しておりました。
ヘイグ司令官は、自由世界の安全をグローバルにとらえると、NATOの問題も太平洋の問題も一緒にとらえるべきだとの意見でありました。
アペル大臣は、西独の防衛努力がNATO全体の安全保障に大きく寄与しているが、米国が経済力を強化し、欧州を守る能力を維持し、欧州に駐留し続けることが重要であり、このため米国との友好関係の維持が不可欠であるとの見解でした。
私は、NATOの現況、米国とNATOとの関係等につき認識を深めるとともに、各国が平和と安全を守るために払っている真摯な努力に対し深い感銘を受けてまいりました。
米国では、ブラウン国防長官を初め、ブレジンスキー大統領特別補佐官等の政公関係者並びにプライス下院軍事委員長、ウルフ下院アジア太平洋問題小委員長及びグレン上院東アジア太平洋地区小委員長ら議会関係者と懇談し、世界及びアジアの軍事情勢、日米が相互に関心を有する安全保障上の諸問題等について率直に意見を交換し、相互の理解を深めてまいりました。
特にブラウン国防長官と私の会談においては、私から日米安全保障体制の重要性を強調し、同体制の信頼性をより向上させるため両国が相互に密接な接触と率直な対話を進めることが必要であると述べたのに対し、同長官は強く賛同の意を表するとともに、今秋予定されている訪日をぜひ実現したいとの意向を表明しました。
また、ブラウン長官は、いわゆる米国のアジア離れを明確に否定するとともに、日米安全保障体制の重要性を再確認し、アジアにおける軍事的プレゼンスについては、計画されている在韓米地上軍の撤退を除いては、現在水準が維持され、在韓米地上軍の撤退は、朝鮮半島の安全を維持し得るスケジュールによってのみ行う旨述べました。
なお、駐留軍経費の問題については、私から思いやりの立場で地位協定の範囲内でできる限りの努力を払いたいと考えており、現在具体的数字を挙げて約束することはできないが、ブラウン長官の訪日までに防衛庁の考え方をより詳細に説明できるよう努力する旨述べたところ、ブラウン長官はこれを高く評価し、特に米側から要望はありませんでした。
さらに、沖繩の日本人従業員の雇用の確保についてブラウン長官に米側の配慮を要望したところ、これに対して同長官はできるだけの努力をする旨約しました。
また、この間のベルギー、西独及び米国において、各種の軍事施設を訪れ、欧米各軍の現状をつぶさに視察してまいりました。
私の見るところ、各国部隊の練度は高く、上級指揮官から一兵卒に至るまで、自由と平和を守るため、真剣に任務に励んでいる姿が印象的でありました。
また、いずれの国においても、軍事施設、教育訓練環境は、わが国をはるかにしのぐものがあり、これらの面でのわが国の立ちおくれを痛感した次第です。
以上、簡単ではございますが、私の訪欧、訪米報告を終わります。