伊藤榮樹の発言 (法務委員会)
⚠️ コピーしたテキストを転載する際は、転載元URL(kokkai-data.com)および原典URL(kokkai.ndl.go.jp)を必ず残してください。発言内容の改変・出典削除は禁止です。
詳細は利用規約をご確認ください。
○政府委員(伊藤榮樹君) 御指摘の刑事補償法第三条の第二号の規定があるわけでございますが、この第三条第二号が趣旨としておりますところは、この拘束が無罪となった罪を理由としたものではなく、かつその罪の捜査、審判に利用されていないと認められる場合には補償の全部を行わなくてもよろしい、そうでなくて拘束が無罪となった罪を理由としたものであるとき、あるいはその罪の捜査、審判に利用されたと認められる場合には補償の全部または少なくとも一部について補償すべきであると、こういう趣旨になると思います。
そこで、ちょっとおわかりにくいかもしれませんので例を用いますと、たとえばAという窃盗の事実によって逮捕、勾留されました者が、追起訴などを含めてA、B、C、D等々の多数回にわたり窃盗の事実で審判を受けたと、そのうち、A以外のBの事実、たとえばBの事実だけが有罪となって他の事実はすべて無罪となったと、こういうような場合を想定いたしまして、これは御指摘のケースと似ているわけですが、Bの事実については本来逮捕、勾留の必要はなかったのだというような場合には、先ほど申し上げました、第三条第二号の趣旨から言いまして、この第三条第二号の規定を適用しないで、本則に従って全額の補償をするのが相当であろうというふうに思われます。もっとも、こういった判断は、具体的な事案に応じて裁判所が健全な裁量でやることでございますけれども、ちなみに、法曹時報という雑誌のことし二月に出ましたものに、最高裁判所事務総局刑事局の調査結果が出ておりますが、刑事補償法が施行されましてから最高裁刑事局が承知しておる限りでは、未決の抑留または拘禁がもっぱら無罪部分の審理に利用された事案について決定がなされた事例を挙げております。これが合計七件ございます。そのうち六件は第三条二号を適用しないで全額補償しておると、こういうことでございまして、先ほど御指摘のようなケースについては、ただいま申し上げましたように、実務上も三条二号を適用しないで全額補償するという運用が一般のようでございます。