伊藤榮樹の発言 (法務委員会)
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○政府委員(伊藤榮樹君) まず私から御説明を申し上げます。
いまさら申し上げるまでもないところでございますが、現行の少年法と申しますのは、たてまえといたしまして少年については保護をしていく、そうして健全育成を図るという観点からできておるわけでございます。したがいまして、犯罪を犯した少年で家庭裁判所を経由して、また検察官の方へ逆送になって刑事手続に移りました場合には、当然「無罪の裁判」があれば鑑別所へ入っておった期間とかそういうものも刑事補償の対象になるわけでございますが、これに対しまして保護処分を行いました場合には、裁判所としては、いわゆる俗な言葉でいうシロ、クロをはっきりさせること必ずしもなく、要するにその少年が仮に具体的な犯罪を犯していなくても虞犯少年というようなカテゴリーもあって、要するに非行に陥った少年あるいは陥ろうとしておる少年を健全に保護育成しようという観点から保護処分をやるという、そういうたてまえをしておりますので、保護処分の関係につきましてはたてまえとして有罪、無罪の判定がなされないということでございますために刑事補償の対象にならないと、こういうシステムに現在なっておるわけでございます。
ところで、このような少年法の現在のあり方につきましては少年の権利保護に欠けるところが一面においてあるのではないかと、こういう御議論があるわけでございまして、そういう点を踏まえまして昨年六月に法制審議会が法務大臣に対して中間的に答申いたしましたその答申の中に、第一項として「少年の権利保障の強化」に関する措置が書かれておりまして、そのさらに中に「非行事実が認められない場合に行うべき決定」を設けると、こういうことになっております。すなわち罪とならないのだという場合にはそういう決定を行ってはっきりさせてやるという手続を設けるべきであるという答申がなされておるわけでございます。したがいまして、この線に沿って少年法の改正が行われます際には、当然刑事補償法の手直しをいたしまして、そういった非行事実が存在しなかったという決定があったような場合には、これに先立ちますすべての抑留、拘禁を補償の対象とするというような改正が行われてしかるべきではないかと、かように考えております。
しかしながら、先ほど申し上げましたように、現行少年法は国が少年の保護のためにいろいろなことをやってやるのだと、少年院送致もまた保護処分の一つの態様であるというような考え方でございますので、これに対しては、現在のたてまえをとっている以上はちょっと補償の対象とすることが困難である、かように考えております。