田渕哲也の発言 (予算委員会)

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○田渕哲也君 総理は、故意にわが国の円高を招いた原因というものがあるにもかかわらず、避けておられるわけです。これはいまさら言うまでもありません、わが国の国際収支の黒字がどんどん大きくなっていくことが円高を招いておるわが国側の要素であります。
 私は、それについて質問をしたいのでありますけれども、そういう背景というものを招いた原因というのはやはり福田内閣の政策の失敗にある。一つは短期的な要素で考えてみたいと思います。短期的な要素で見た場合には、福田総理は余りにも健全財政主義を固執された。だから昨年において景気対策というものがツーレート、ツーリトル、こういうことが言われておりますけれども、常にタイミングがおくれ、小出しに過ぎた。それがわが国の不況を深刻にし、また円高を急激なものにした、こういうことが一般的に言われておるわけであります。これがまず一つの問題。
 しかし、私は、もう少しさかのぼって考えてみたいと思うのです。石油ショック以来の自民党内閣の政策というものの基本的な誤りがあったのではないか。
 福田総理は、石油ショック以来、田中内閣時代には大蔵大臣、三木内閣時代には経済企画庁長官、そして現在は総理、それぞれ枢要な地位におられたわけであります。しかも経済担当の枢要な地位を占めてこられた。したがって、この石油ショック以来の日本の政治の対応というものは、やはり福田さん、あなたの考え方というものの誤りにあった、このように私は考えておるわけです。どういうことかと言いますと、あなたは高度成長への反省ということはしばしば言われます。しかし、高度成長への反省とは一体何なのか。安定成長というのは、ただ単に成長率を下げればいいというものではないと思うのであります。やはり新しい社会に対する展望というものがなくてはならない。いままでと質的に違った展望が要るんです。それから経済の構造変化に対する施策というものが要る。こういう中長期の展望と、それに対応する政策があなたの場合全くなかったと思うのです。
 確かにいろいろのことを言われております。福田総理が、この石油ショック以来、特に国会の演説の中で言われた言葉を挙げてみますと、高度成長から安定成長へ、物や金だけではなくて心のゆとりのある社会へ、公正な社会、協調と連帯、成長中心から生活中心へ、こういうことを言われております。私はこれはいずれも非常にりっぱな言葉だと思いますけれども、非常に抽象的であるし、具体的に日本の政治というもの、経済というものがどういう方向に行くのかという具体的な絵というものを国民には何にも示されていない。全治三年の重症だということも言われました。あるいはトンネルの出口が見えておるとも言われますけれども、三年の期間の病気が治った後の体はどうなるのか、トンネルを出たところは一体何なのか、雪国なのか桃源郷なのかさっぱりわからない。確かにこの数年間というものは非常に荒波にもまれてきた時代であります。日本丸が転覆しないように船長として一生懸命努力されたことは認めますけれども、とにかく荒波の中で転覆しないように努めてこられただけで、船がどっちの方向に向いて進んでおるのかさっぱりわからない。こういう中長期の展望を欠いておる。ここに一番大きな原因があったと思うのでありますけれども、いかがでしょうか。

発言情報

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発言者: 田渕哲也

speaker_id: 21232

日付: 1978-03-10

院: 参議院

会議名: 予算委員会