田渕哲也の発言 (予算委員会)

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○田渕哲也君 石油ショック以来の狂乱物価、あるいはスタグフレーション、こういうものについて総需要抑制政策をとられて鎮静の方向に向かってきた、これは私は評価すべきことだと思います。しかし、その後の日本の経済の進み方を見ておりますと、依然として輸出主導型の景気回復をやったわけです。景気回復とまではいきませんけれども、輸出主導型の景気維持ということをやってきておるわけです。このパターンは、高度成長時代、石油ショック以前と全然変わっていない、それが私は現在の貿易収支の大幅な黒字、さらに円高、こういうことに結びついてきておると思うのですね。だから、福田総理は、非常にいいとか、よ過ぎるとか言われますけれども、そういう考え方自体が私は高度成長時代の感覚ではなかろうか、こういう気がするわけであります。
 現在、見てみますと、国民の貯蓄、個人貯蓄総額は実に二百兆を超えております。GNPに匹敵するぐらいの貯蓄を持っておるわけです。それから外貨は二百数十億ドル。まあ言うならば非常に金持ちの国になっておる。ところが、実際の国民生活はどうか。円は外に強く内に弱いと言われますけれども、どんどん円高になっておるけれども、これは輸出価格のレートに大体近づいておるというのがいまの状況ではないでしょうか。消費者物価で比べるならば、まだ円はドルに比べて三百二十円程度の価値しかない。一体これは何を意味するのかといいますと、国民は一生懸命努力をして輸出産業というものを育て上げ、少なくとも輸出産業では一ドル二百四十円を切るぐらいの強さになってきておる、全体とは言いませんけれども。輸出価格は大体二百三十何円という結果が出ておるわけです。ところが一方、生活費の方においては、佐々木委員長が衆議院の本会議でも指摘しましたけれども、牛肉、農産物、住宅、いずれにおいてもアメリカの国民に比べたら数倍から十数倍程度の負担を日本の国民は強いられておるわけです。
 私は、いま政府が考えるべきことは、この二百兆の国民の貯蓄、外貨が二百数十億ドルある、これをいかに国民の生活がよくなるために使うか、使えるようにするか、またその政策が行われたらこんなべらぼうな国際収支の黒字がたまるわけもない。また、どんどん円高に追い込まれて輸出産業が軒並み苦しくなる、さらに日本の経済が不況になる、こういう悪循環に陥るはずがないと思うのであります。総理は非常にうまくいっていると言いますけれども、私は全然うまくいっていない。うまくいっているというのは高度成長の発想から見た考え方である、このようにしか思われないのでありますけれども、いかがでしょうか。

発言情報

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発言者: 田渕哲也

speaker_id: 21232

日付: 1978-03-10

院: 参議院

会議名: 予算委員会