大森誠一の発言 (外務委員会)
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○大森政府委員 先ほど先生がおっしゃいましたように、サンフランシスコ平和条約第一条というものがございます。このサンフランシスコ平和条約には中華民国は参加しなかったわけでございます。そこで先生も御指摘のように、当時の中華民国とわが国との間で平和条約を結ぶ、こういうことになったわけでございます。わが国といたしましては、ポツダム宣言を受諾しました、そのポツダム宣言に参加している中国というものが中華民国政府であったというような諸事情も勘案しまして、当時わが国としては中国という一つの国を正統に代表する政府といたしましては、中華民国政府をそのような政府として承認するという立場から、日華平和条約を結んだ次第でございます。
したがいまして、この中華民国との平和条約第一条によりまして、中国という国と日本国との間の戦争状態は、その条約が効力を生ずる日に終了した、これがわが方の一貫した法的立場なわけでございます。
そこで、次に、日中共同声明の先ほど先生がお読みになりましたくだりでございますけれども、昨日も私から申し上げたところでございますが、当時、かかるわが国の法的立場ということに関連いたしまして、中華人民共和国政府は別の見解をとっておりました。すなわち、日華平和条約というものは当初から不法、無効なものである、このような立場をとっていたわけでございます。しかしながらわが国といたしましては、日華平和条約、中華民国とわが国との間の平和条約というものは、わが国政府がわが国憲法上の規定に従いまして、国会の御承認も得た上で批准したものであり、かつ憲法第九十八条の規定により、これらの条約、この条約を含めまして、条約というものは誠実に遵守するという義務も定められているところでございまして、わが国としては、先ほど申し上げましたような法的立場を崩すわけにはまいらぬという経緯があったわけでございます。
このように、日中間におきまして戦争状態の終結あるいはその他の戦後処理の問題をめぐりまして、法的立場に相違があったわけでございますけれども、この相違を、日中間の国交を正常化するという大目的のために、これらの困難を克服して日中共同声明の文言に合意したという経緯がございます。
そのような経緯を反映いたしまして、日中共同声明の前文では、先生御指摘になりましたように、「戦争状態の終結」という言葉がうたわれているわけでございますけれども、本文の第一項におきましては、これらの問題一切をひっくるめまして、日中間のすべての過去の不正常な状態は、この共同声明が発出される日に終了する、つまり戦後処理の問題は、すべて、この日中共同声明によって最終的に処理する、解決するという趣旨で、このような文言で合意に達した次第でございます。