小林進の発言 (予算委員会)

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○小林(進)委員 この問題をやっておりますと時間を食い過ぎますから、残念ながら半端で終わりますけれども、あなたは参議院において、ベトナム援助の問題について、ベトナムという国が外交においても政治においても一つの大国に偏向した場合、そういう場合にはひとつ考えなければならない、自主独立路線を外れるようなことがあってはならない、ベトナムがアジア紛争の基地またはその地帯にならないように希望するということを言っておられます。これは私は大変大切なことだと思います。七五年から日本は百億に近い援助、七月七日には改めて外務次官の来日で百億円の借款の動きにもなっておりますが、この点はひとつくれぐれも御注意いただいて、間違いのないような方向に外交を進めていただきたいと思います。
 時間がありませんので急ぎますが、次は、やはり中国との、日中平和友好条約の問題に関連をいたしまして、今度は経済問題を一問通産大臣にお伺いをいたしておきたいと思うのでございます。
 日中平和友好条約の締結は、外務大臣をして言わしめれば日中の橋をかけたのであって、この橋をどう渡るかの問題はこれからの問題であるということを言われた。そのかけた日中平和友好条約の橋を第一番目に渡ったのが、政府要人としては通産大臣、あなたであります。あなたは中国へ行かれて、日中経済交流について大変内容の豊富なお話し合いをしていただきました。国民は心を割って歓迎をいたしております。しかし、このあなたの約束せられた日中経済の交流が将来どういう方向に発展していくかということは、国民はまだ全貌をつかみかねておるのであります。
 人によっては、日中平和友好条約は、経済交流など日本がそうあわてる必要はない、中国は何もかもないのだから、日本の経済が援助しなければならないのであるから、黙っていても日中の経済は大いに発展をしていくなどと言う人がおりますが、そういう楽観論を一体通産大臣はどうお考えになっているのか、これがまず第一問であります。
 私の調査によりますというと、そんなにぬれ手で日本と中国との関係が、経済が伸びていくという、そういう根拠はありません。それは最近五カ年間の中国に対するプラント商談であります。これは過去五カ年間の数字ですけれども、ECに対して五八・四%の商談ができ上がった。これに対して日本との商談が三二・七%、ECの約半分くらいしか日本と中国との経済交流はできておりません。それからまた、この二月も長期貿易は締結をされましたが、中国はそれに先立ってECとやはり長期の貿易協定を結んでおります。また、調査団を派遣する等の場合でも、中国はECに派遣するときには主任級の人物を団長にして経済派遣をいたしております。けれども、日本へ来る経済団の団長は副主任級です。その構成においてもECの方にうんとウエートを置いていることが明らかです。特にプラントの問題の内容を見ましても、ECに対しても電力プラント一一・三%、石油プラント五二・八%、その他一三・九%で、七八%もプラントの約束をいたしておりまするけれども、日本には鉄鋼プラントでわずかに二二%、非常に少ないのであります。
 こういうような状態でいけば、日本の貿易経済が世界から全部はみ出されて、黒字をためてけしからぬというときのこの日本の経済を、快く迎えてくれるものは中国しかないのです。日本の経済のはけ口は中国なんです。その中国にそういう思い上がった楽観論でいると、このままの形でいって、中国においても、経済的競争ということも適当ではありませんけれども、敗北に陥る危険がある。
 時間もありませんから、私は、ここで一発そのものを通産大臣にお伺いしたいことは、日本の中国に対するいわゆる輸入であります。
 いまプラントでも八十億ドルですか、九十億ドルに近い何か商談が続けられていますけれども、その日本の輸出の見返りに中国から受けるものは――日中の経済は、外交交渉にもあるように、相互扶助、互恵平等であります。こっちが売っただけのものは向こうから買わなくちゃいけない、向こうから買ったものはそれだけこちらは売らなければいけない。互恵平等の原則でいくというこの条約の基本からいけば、日本がプラントを初め多くのプロジェクトを売りたいというためには、中国から買うものは何だ、石油しかないのであります。通産大臣、石油しかない。このECにおける大きな中国に対する発展を横目で見ながら、日本がこれに負けないように日中の経済を進めていくとすれば、買うものは石油しかない。右炭も非鉄もあるだろうけれども、これは金額としてはわずかなものなんだ。日本の輸出に相賄うものは石油しかない。あとのものは小さなものだ。ファクターがない。金額が高まらぬ。
 その石油を買うことに対して、最近のいわゆる産業界、経済界、財界の姿勢がよくない。特に電力界などというものははなはだ姿勢がよろしくない。三十年たてば電気がなくなる。いわゆる燃料がなくなる。石油がなくなる。だから、国民の健康や生命を犠牲にしても原子力発電の開拓をやらなければならぬ。
 科学技術庁長官、熊谷さん、余り眠ったような顔をしないで聞いていてください。問題が後であなたに行くのだから、黙って聞いていなさい。
 そういうことをやって発電をやらなければだめだと言っておきながら、いま中国が渤海から、東シナ海から、大慶から、至るところに新油田を発見して無尽蔵に石油が出るというのだ。三十年たてば石油が絶えるなんという心配はなくなった。その石油を買ったらいいじゃないか。その石油を買えば、その見返りとして、世界からはみ出された日本の経済が無限に中国に伸びていく。
 それに対して、電力会社は中国の石油を買わないということをあなたに申し込んでおるじゃないか。余っている中国の石油を買わないで、なおかつ、原子力発電でわが新潟県等の住民の命を奪うような、そこに三兆、五兆の金を注ぎ込んでむだな原子力発電所を持つというこの論理的矛盾は一体どこからきておるか。こんな矛盾が一体許されていいのですか。彼らは、やれ中国の石油は重質油だ、ガソリンの含有量が少ないとか言うけれども、それは一つの化学的分解でできることなんだ。
 そこで、われわれが、これは日中議連でありますけれども、超党派の議員連盟、約五百有余名の国会議員、その幹部会も開いた。日中のかけ橋をつくった。平和友好条約を将来、その道を改めさせて、この間をなくするものはだれだと思うか。それは文化交流でもない、学者の交流でもない、技術の交流でもない。経済人だ、産業人だ。かつて田中総理が東南アジアを回ったときに、インドネシアのあそこでも、いわゆる日本の経済人のあの不当な進出に基づいてあれだけの排撃を受けた。その形が再び中国の中にあらわれてくるのではないか。この経済人の姿勢こそ今後の日中平和友好条約で最も注意しなければならぬというのが定着した国民の世論なんだ。
 いいですか。日中平和友好条約における一つの特徴は何だ。一つは覇権主義反対です。これは世界にない例だ。いま一つは無賠償、無分割の原則がこの平和条約の中に定着したということだ。戦勝国が戦敗国に対して一銭の賠償金も取らないというのです。一歩の土地も分割しないというのです。これが日中平和条約の中に定着した。
 そのときに、この平和条約を結ぶ前までに、自民党の、名前を言いますよ、いま引退したけれども、賀屋興宣などという、自民党、大蔵官僚の大臣頭が何と言ったか。日中平和条約締結絶対反対だ、もし締結すると中国は五百億ドルの賠償金を日本へ要求する、五百億も賠償金を取られたら日本は立っていけないだろう、だから日中平和条約反対だ、こういう暴論を吐いていた。
 その中国が一銭の賠償金も取らない。その恩義を胸に秘めて、これからは経済交流も、相互の人民に奉仕する、日中両国の国民に奉仕するという気持ちで経済を進めていかなければならぬ。石油を買わぬとは何事ですか。この問題に対して、通産大臣の御答弁とともに、こういう間違った業界の利益オンリーの考え方を厳しく監視、監督する、そういう立場で御答弁をいただきたいと私は思うのであります。

発言情報

speech_id: 108505261X00519781006_010

発言者: 小林進

speaker_id: 8598

日付: 1978-10-06

院: 衆議院

会議名: 予算委員会