予算委員会

1978-10-06 衆議院 全475発言

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会議録情報#0
昭和五十三年十月六日(金曜日)
    午前九時三十二分開議
 出席委員
   委員長 中野 四郎君
  理事 小此木彦三郎君 理事 加藤 六月君
   理事 栗原 祐幸君 理事 毛利 松平君
   理事 山下 元利君 理事 安宅 常彦君
   理事 大出  俊君 理事 近江巳記夫君
   理事 竹本 孫一君
      足立 篤郎君    伊東 正義君
      大坪健一郎君    海部 俊樹君
      金子 一平君    笹山茂太郎君
      塩崎  潤君    澁谷 直藏君
      正示啓次郎君    白浜 仁吉君
      田中 龍夫君    田中 正巳君
      谷川 寛三君    玉沢徳一郎君
      根本龍太郎君    藤田 義光君
      古井 喜實君    坊  秀男君
      松澤 雄藏君    松野 頼三君
      森   清君    井上 普方君
      石野 久男君    石橋 政嗣君
      岡田 利春君    川俣健二郎君
      小林  進君    沢田  広君
      藤田 高敏君    武藤 山治君
      横路 孝弘君    坂井 弘一君
      玉城 栄一君    広沢 直樹君
      二見 伸明君    正木 良明君
      大内 啓伍君    河村  勝君
      中井  洽君    安藤  巖君
      工藤  晃君    津川 武一君
      寺前  巖君    大原 一三君
      小林 正巳君    中馬 弘毅君
 出席国務大臣
        内閣総理大臣  福田 赳夫君
        法 務 大 臣 瀬戸山三男君
        外 務 大 臣 園田  直君
        大 蔵 大 臣 村山 達雄君
        文 部 大 臣 砂田 重民君
        厚 生 大 臣 小沢 辰男君
        農林水産大臣  中川 一郎君
        通商産業大臣  河本 敏夫君
        運 輸 大 臣 福永 健司君
        郵 政 大 臣 服部 安司君
        労 働 大 臣 藤井 勝志君
        建 設 大 臣
        国土庁長官   櫻内 義雄君
        自 治 大 臣
        国家公安委員会
        委員長
        北海道開発庁長
        官       加藤 武徳君
        国 務 大 臣
        (内閣官房長
        官)      安倍晋太郎君
        国 務 大 臣
        (総理府総務長
        官)
        (沖繩開発庁長
        官)     稻村佐近四郎君
        国 務 大 臣
        (行政管理庁長
        官)      荒舩清十郎君
        国 務 大 臣
        (防衛庁長官) 金丸  信君
        国 務 大 臣
        (経済企画庁長
        官)      宮澤 喜一君
        国 務 大 臣
        (科学技術庁長
        官)      熊谷太三郎君
        国 務 大 臣
        (環境庁長官) 山田 久就君
        国 務 大 臣 牛場 信彦君
 出席政府委員
        内閣官房内閣審
        議室長
        兼内閣総理大臣
        官房審議室長  清水  汪君
        内閣法制局長官 真田 秀夫君
        内閣法制局第一
        部長      茂串  俊君
        国防会議事務局
        長       久保 卓也君
        内閣総理大臣官
        房同和対策室長 黒川  弘君
        総理府賞勲局長 川村 皓章君
        総理府恩給局長 小熊 鐵雄君
        総理府統計局長 島村 史郎君
        公正取引委員会
        委員長     橋口  收君
        公正取引委員会
        事務局取引部長 長谷川 古君
        警察庁刑事局保
        安部長     森永正比古君
        警察庁警備局長 鈴木 貞敏君
        宮内庁次長   山本  悟君
        行政管理庁行政
        監察局長    佐倉  尚君
        防衛庁参事官  夏目 晴雄君
        防衛庁参事官  古賀 速雄君
        防衛庁参事官  番匠 敦彦君
        防衛庁防衛局長 伊藤 圭一君
        防衛庁経理局長 原   徹君
        防衛庁装備局長 間淵 直三君
        防衛施設庁施設
        部長      高島 正一君
        経済企画庁調整
        局長      宮崎  勇君
        経済企画庁調整
        局審議官    廣江 運弘君
        経済企画庁物価
        局長      藤井 直樹君
        経済企画庁総合
        計画局長    喜多村治雄君
        科学技術庁原子
        力局長     山野 正登君
        科学技術庁原子
        力安全局長   牧村 信之君
        法務省刑事局長 伊藤 榮樹君
        法務省訟務局長 蓑田 速夫君
        外務省アジア局
        長       中江 要介君
        外務省アメリカ
        局長      中島敏次郎君
        外務省欧亜局長 宮澤  泰君
        外務省経済局長 手島れい志君
        外務省経済協力
        局長      武藤 利昭君
        外務省条約局長 大森 誠一君
        外務省国際連合
        局長      大川 美雄君
        外務省情報文化
        局長      加賀美秀夫君
        大蔵省主計局長 長岡  實君
        大蔵省主税局長 高橋  元君
        大蔵省関税局長 副島 有年君
        大蔵省理財局長 田中  敬君
        大蔵省理財局次
        長       吉本  宏君
        大蔵省銀行局長 徳田 博美君
        大蔵省国際金融
        局長      宮崎 知雄君
        国税庁長官   磯邊 律男君
        文部省初等中等
        教育局長    諸澤 正道君
        文部省大学局長 佐野文一郎君
        文部省体育局長 柳川 覺治君
        文化庁次長   吉久 勝美君
        厚生省環境衛生
        局長      山中  和君
        厚生省薬務局長 中野 徹雄君
        厚生省保険局長 石野 清治君
        社会保険庁医療
        保険部長    今泉 昭雄君
        農林水産大臣官
        房長      松本 作衛君
        農林水産大臣官
        房技術審議官  松山 良三君
        農林水産省経済
        局長      今村 宣夫君
        農林水産省構造
        改善局長    大場 敏彦君
        農林水産省農蚕
        園芸局長    二瓶  博君
        農林水産省食品
        流通局長    犬伏 孝治君
        食糧庁長官   澤邊  守君
        通商産業大臣官
        房審議官    島田 春樹君
        通商産業省通商
        政策局次長   高橋  清君
        通商産業省貿易
        局長      水野上晃章君
        通商産業省産業
        政策局長    矢野俊比古君
        通商産業省機械
        情報産業局長  森山 信吾君
        通商産業省生活
        産業局長    栗原 昭平君
        資源エネルギー
        庁長官     天谷 直弘君
        中小企業庁長官 左近友三郎君
        運輸大臣官房長 中村 四郎君
        運輸省海運局長 真島  健君
        運輸省船舶局長 謝敷 宗登君
        運輸省自動車局
        長       梶原  清君
        運輸省航空局長 松本  操君
        郵政大臣官房電
        気通信監理官  寺島 角夫君
        郵政大臣官房電
        気通信監理官  神保 健二君
        郵政省郵務局長 江上 貞利君
        郵政省貯金局長 佐藤 昭一君
        郵政省人事局長 守住 有信君
        労働省職業安定
        局長      細野  正君
        労働省職業訓練
        局長      石井 甲二君
        建設省計画局長 丸山 良仁君
        建設省道路局長 山根  孟君
        自治省財政局長 森岡  敞君
        自治省税務局長 土屋 佳照君
 委員外の出席者
        外務大臣官房領
        事移住部外務参
        事官      橋本  恕君
        会計検査院事務
        総局第四局長  岡峯佐一郎君
        日本輸出入銀行
        総裁      澄田  智君
        参  考  人
        (日本銀行総
        裁)      森永貞一郎君
        予算委員会調査
        室長      三樹 秀夫君
    ―――――――――――――
委員の異動
十月六日
 辞任         補欠選任
  伊東 正義君     大坪健一郎君
  奥野 誠亮君     森   清君
  金子 一平君     玉沢徳一郎君
  塩崎  潤君     田村  元君
  谷川 寛三君     三原 朝雄君
  岡田 春夫君     沢田  広君
  正木 良明君     浅井 美幸君
  矢野 絢也君     玉城 栄一君
  河村  勝君     中井  洽君
  寺前  巖君     松本 善明君
  藤原ひろ子君     津川 武一君
  小林 正巳君     中馬 弘毅君
同日
 辞任         補欠選任
  大坪健一郎君     伊東 正義君
  玉沢徳一郎君     金子 一平君
  森   清君     奥野 誠亮君
  沢田  広君     岡田 春夫君
  玉城 栄一君     矢野 絢也君
  中井  洽君     小平  忠君
  津川 武一君     安藤  巖君
  中馬 弘毅君     小林 正巳君
同日
 辞任         補欠選任
  安藤  巖君     工藤  晃君
同日
 辞任         補欠選任
  工藤  晃君     不破 哲三君
    ―――――――――――――
本日の会議に付した案件
 昭和五十三年度一般会計補正予算(第1号)
 昭和五十三年度特別会計補正予算(特第1号)
 昭和五十三年度政府関係機関補正予算(機第1
 号)
     ――――◇―――――
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中野四郎#1
○中野委員長 これより会議を開きます。
 昭和五十三年度一般会計補正予算(第1号)、昭和五十三年度特別会計補正予算(特第4号)及び昭和五十三年度政府関係機関補正予算(機第1号)、以上三件を一括して議題とし、質疑を行います。小林進君。
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小林進#2
○小林(進)委員 私は、与えられた一時間半で多くの質問を持っておりますので、若干要旨が緻密を欠いて粗雑になるかもしれませんけれども、言葉の足らざるところはひとつ政府側でよく判断をしていただいて、的確にして要領のいい回答をしていただきたいと思います。
 まず第一に外交問題でございますが、私は、園田外交にはいままでの官僚外交とは違った、二味も三味も味のよい外交をやっていただいたと、これは率直に感謝をいたしたいと思います。もちろんその内容は何かといえば、第一は、日中平和友好条約を締結された。第二番目には、国連の軍縮総会において、いままでの官僚大臣のやり得ない非常に国民の魂を打つ演説をおやりになった。第三番目は、これはまだ進行中でありまするが、朝鮮半島の問題についても、いままでの官僚大臣には見えない一つの味をわれわれは察知することができるのであります。もちろん、外務大臣といえども福田内閣の外務大臣でございまするから、大臣をして、かく、いままでにない、国民の感情に訴え、国民の魂を揺すぶるような、いわゆる国民外交といいましょうか、進めていただいたのは、やはり後ろにいられる福田総理の的確なる決断と勇気によるところでございましょうから、その点、福田総理にも感謝の意を表しておきたいと思うのでございます。
 それらの問題に関連をいたしまして、まず、日中条約締結後のアジア外交、それに対する総理、外務大臣の所見を承っておきたいと思うのであります。せっかく国民になりかわって感謝申し上げたけれども、その後どうも期待に反してマイナス、プラス・マイナス・ゼロということになったのでは非常にわれわれの失望を買うわけでございまするので、この日中平和条約を結んだという基盤の上に立って、アジア外交を国民の魂に訴えるような方向で進めていただきたい、私はこう思うのでございます。
 その第一は、やはり朝鮮問題であります。
 朝鮮問題は、俗に申し上げまするけれども、北の朝鮮には中国とソ連が後ろにいる、南の朝鮮にはアメリカと日本がついておる、三十八度線を境にして南北対立して、戦争の危機があるというのが古典的に言い古された非常に古い考え方だと思う。ところが、この日中平和友好条約に基づいて、中国はアジア太平洋地域において覇権国家にはならない、いわゆる力による威嚇や暴力をもって他国に対して圧力を加えないということは、そのまま朝鮮半島に適用される問題だと私は思うのであります。北には中国がついているというその中国が、日中平和友好条約によって、圧力を加えないということを約束いたしました。これは今後の日中国交を進めていく上に重大な一つの変化であると私は思います。
 いま一つは、この平和友好条約を通じて中国はあなたに、南北朝鮮の統一を心から願っているということを明らかにせられました。これは総理もそうですが、外務大臣の八十五国会における本会議の発言の中でも、南北朝鮮の対立統一のためによき環境づくりを行うということを国民に約束をしていられる。中国も南北の統一を望んでいる。これは日中同じであります。ここまで進んできた。これはやっぱり日中平和条約の一つの成果です。これをどう具体的に一体持っていかれようとするのか。何しろ時間がありませんから……。私は少ししゃべり過ぎると言われるかもしれませんけれども、いま少ししゃべります。これが一つ。
 いま一つは、仮にソ連が北と組んで覇権行為に出たとしても、日本と中国はその行為に反対するという基盤ができ上がった。これが一つ。
 いま一つは、これは今度は南でありまするけれども、正確に言えば大韓民国でございましょう。これがしばしばソ連へ行って、いま人事交流をやっております。現に大韓民国の外務大臣もソ連へ行っていられる。この間に交流があるということは、いわゆる雪解けが始まっていると見てよろしい。これが一つです。三十八度線がなくなりつつあるじゃありませんか。これが第二番目。
 第三番目にひとつ申し上げまするが、これは総理大臣は、今度の本会議にわが党の下平君の質問に答えて、南北の緊張緩和のためには軍事的均衡がなければならないと言って、やはり南に対する経済援助、軍事援助をまだまだ続けていかなければならぬようなことを思わせる答弁をしておいでになりまするが、一体いま南はどうでありまするか。二、三日前に何とか行事をやりましたけれども、そこには朴大統領みずからがあの大きな韓国の武装力を宣伝しながら、兵力においては世界で韓国は第五番目だ、しかもミサイルは持っている、北朝鮮は全部で一撃を受ける、われわれは名実ともに北に対して優秀な軍事力を持つことができた、彼みずからが世界に向かって宣言をいたしました。これが第三番目。
 こういう三つの条件をそろえて、もはや南北が対立をしていなければならぬ理由は一つもないのでありまするから、そこで、日中の平和条約を結んだあなたのすぐれたる外交手腕と英知をもってひとつこの南北の統一、南北の平和を招来する、そういう具体的な行動をお起こしになる意思はないかどうか。そのためにはアメリカも事前に了解がなければならぬでしょう。ソ連もいま申し上げました状況にあるのでありまするから、ソ連と事前に話をすることもあなたには可能でございましょう。日中アメリカ三国を中心にして、ソ連にもこの問題の話を通じて、南北統一のための具体的なお話をお進めになるという勇気と決断と行動力をお持ちになっているかどうか、これはひとつ総理にお聞きをいたしたいと思うのであります。
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福田赳夫#3
○福田内閣総理大臣 私は、朝鮮半島の平和は南北の平和的統一、これが最終的な目標とならなければならぬ、そのように考えてそれを強調しておるわけでありまするが、今回の日中平和友好条約、これは小林さんが御指摘になりましたように、私は、南北和平の問題につきましてこれは環境づくりの一つと、こう理解をいたしておるわけであります。しかし、それだけで南北統一がすぐ実現できるかというと、そうじゃない。この上とも環境の成熟を助長し、またわが方といたしましても、南北の平和的統一ということが最終的な目標であるという認識のもとに努力いたしてまいりたい、そういうふうに考えております。
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小林進#4
○小林(進)委員 総理の御答弁をちょうだいいたしましたが、ともかく時期は熟しているというのが私の考え方です。日中平和条約ができたことによって朝鮮問題に真剣に取り組むような情勢はできたぞ、いつおやりになるか、その具体的な進み方はどうか、これを聞いているのであります。外務大臣、いかがでございましょう。
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園田直#5
○園田国務大臣 朝鮮半島における平和と安定及び半島の統一は各国の願うところでありまして、そういう意味から南北の緊張は、諸情報を総合し環境を見まするに、対立することはあり得ない。したがいまして、先般から米国は米国で両方の対話のことをやったわけでありますが、今度またソ連の方は韓国から会議に厚生大臣を呼んでおるわけでありますが、こういう対話が始まることはきわめて歓迎すべきことだと考えております。そこで、わが方といたしましても、いま総理がお答えになりましたとおり、事あるごとに交流と相互理解を深めるために、安定、統一、両国の話し合いができるような国際環境をつくることに逐次努力をしていきたいと考えております。
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小林進#6
○小林(進)委員 まだ私は物足りないのでございまして、もう環境はできている、アメリカも朝鮮民主主義人民共和国――北朝鮮と言うとちょっと語弊がありまするから、朝鮮民主主義人民共和国と言いましょう。――との話し合いも非公式にできている。ソ連も、韓国いわゆる大韓民国と話し合いができている。言うなれば一番近隣、一番近いと総理大臣はしばしばおっしゃる、その近い日本に一番関係ある問題でありまするから、逐次環境づくりなどという言葉でなくて、むしろ具体的な行動に出ていただいたらいいのではないか。具体的な行動です。それを進めていただけないかということであります。外務大臣、いかがですか。
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園田直#7
○園田国務大臣 ただいまおっしゃったような方向に動いてはおりますものの、米国の両方の対話の問題、ルーマニアその他の調停、それからソ連の韓国の閣僚の招待等もまだその段階でありまして、その話し合いがついているわけではございません。こういう現状もにらみ合わせながら、逐次やっていきたいと思っております。
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小林進#8
○小林(進)委員 これはともかく日本の存亡に関する重大問題でありまするから、質問はきょうをもって終わるわけではありません。そのお話を次から次へと押していくとここでひとつ申し上げます。
 これだけにこだわっていると時間が過ぎていきますから、私も焦るのでありますけれども、一つは、やはり同じくアジア外交の一つのベトナム問題であります。ベトナム、カンボジアです。これもやはりアジアにおける安全と平和のためには非常にまずい問題であります。
 これに対しては、先般のベトナムに対する中国の行為は覇権行為ではないかなんという質問に対して、外務大臣は、いや、あれは紛争だという実に適切な答弁をされておりました。あれも名答弁でございました。あれは決して覇権行為ではございません。ベトナムにおける華僑十六万人を引き揚げた、その引き揚げることによって莫大な費用がかかるから、その費用を賄うためにベトナムに対するいままでの援助、これはできないという中国の言い分、必要がないからといって中国本国におけるベトナムの総領事館を三カ所閉鎖を申し入れたということで、まだ武力や圧力などというものは一つも加わっていないのであります。いないが、こういう問題が尾を引いていくということはアジアにおいて不幸である。これも日中の平和条約ができ上がったという基盤のもとに、私はアジア外交に対する日本の発言力も相当に出てきたと見ております。私はあなたの物を言う場所が出てきたと思います。
 これは時間がありませんけれども、いま日本の政府はベトナムに対して相当の援助をおやりになっている。あるいはいままでの債権を打ち切ったり、新しい援助条約をされたり、またベトナムの外務次官が来ることによって新しく長期の貸し付けの契約をされたりいたしておりますけれども、こういうようなことをおやりになることが、アジアの平和、中国とベトナムとの妥結への方向へ力をかすことにならないで、むしろ両者の間隔を広げる方向へ行く危険がないかどうか。あるいはベトナムがいま非常に援助、協力を求めている別の超大国との関係をむしろ偏向の方向へ持っていくおそれがないか、この点を外務大臣はどうお考えになるか。朝鮮の問題とともに、ベトナム、カンボジア等の問題についても、アジアの平和という一つの目的に向かって、正しく、方向を誤らぬように進んでもらいたいと思うのでありますが、いかがでございましょうか。
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園田直#9
○園田国務大臣 先般中国に参りましたときに、他の意見はことごとく合意されたわけでありますが、ベトナム問題では意見が合いませずに、小林委員のおっしゃったような趣旨の発言が中国からございました。そこで、これに対して私の答えたのは、九割九分はよく理解いたしました、しかし、わが日本の外交方針は、いかなる理由であろうとも、アジアの一角で火を噴かないようにするということがわが外交方針の目的であります。したがって、ベトナムにも援助しておるが、対決しているカンボジアに対しても応分の援助をしている、ベトナム、カンボジア両国の指導者に対して、お互いに紛争は起こさないで平和的に話し合って、そうして中国との問題も平和的に話し合って、まず自立を得られることが適当ではないか、こういう返答をしておきましたが、それが私の考え方でございます。
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小林進#10
○小林(進)委員 この問題をやっておりますと時間を食い過ぎますから、残念ながら半端で終わりますけれども、あなたは参議院において、ベトナム援助の問題について、ベトナムという国が外交においても政治においても一つの大国に偏向した場合、そういう場合にはひとつ考えなければならない、自主独立路線を外れるようなことがあってはならない、ベトナムがアジア紛争の基地またはその地帯にならないように希望するということを言っておられます。これは私は大変大切なことだと思います。七五年から日本は百億に近い援助、七月七日には改めて外務次官の来日で百億円の借款の動きにもなっておりますが、この点はひとつくれぐれも御注意いただいて、間違いのないような方向に外交を進めていただきたいと思います。
 時間がありませんので急ぎますが、次は、やはり中国との、日中平和友好条約の問題に関連をいたしまして、今度は経済問題を一問通産大臣にお伺いをいたしておきたいと思うのでございます。
 日中平和友好条約の締結は、外務大臣をして言わしめれば日中の橋をかけたのであって、この橋をどう渡るかの問題はこれからの問題であるということを言われた。そのかけた日中平和友好条約の橋を第一番目に渡ったのが、政府要人としては通産大臣、あなたであります。あなたは中国へ行かれて、日中経済交流について大変内容の豊富なお話し合いをしていただきました。国民は心を割って歓迎をいたしております。しかし、このあなたの約束せられた日中経済の交流が将来どういう方向に発展していくかということは、国民はまだ全貌をつかみかねておるのであります。
 人によっては、日中平和友好条約は、経済交流など日本がそうあわてる必要はない、中国は何もかもないのだから、日本の経済が援助しなければならないのであるから、黙っていても日中の経済は大いに発展をしていくなどと言う人がおりますが、そういう楽観論を一体通産大臣はどうお考えになっているのか、これがまず第一問であります。
 私の調査によりますというと、そんなにぬれ手で日本と中国との関係が、経済が伸びていくという、そういう根拠はありません。それは最近五カ年間の中国に対するプラント商談であります。これは過去五カ年間の数字ですけれども、ECに対して五八・四%の商談ができ上がった。これに対して日本との商談が三二・七%、ECの約半分くらいしか日本と中国との経済交流はできておりません。それからまた、この二月も長期貿易は締結をされましたが、中国はそれに先立ってECとやはり長期の貿易協定を結んでおります。また、調査団を派遣する等の場合でも、中国はECに派遣するときには主任級の人物を団長にして経済派遣をいたしております。けれども、日本へ来る経済団の団長は副主任級です。その構成においてもECの方にうんとウエートを置いていることが明らかです。特にプラントの問題の内容を見ましても、ECに対しても電力プラント一一・三%、石油プラント五二・八%、その他一三・九%で、七八%もプラントの約束をいたしておりまするけれども、日本には鉄鋼プラントでわずかに二二%、非常に少ないのであります。
 こういうような状態でいけば、日本の貿易経済が世界から全部はみ出されて、黒字をためてけしからぬというときのこの日本の経済を、快く迎えてくれるものは中国しかないのです。日本の経済のはけ口は中国なんです。その中国にそういう思い上がった楽観論でいると、このままの形でいって、中国においても、経済的競争ということも適当ではありませんけれども、敗北に陥る危険がある。
 時間もありませんから、私は、ここで一発そのものを通産大臣にお伺いしたいことは、日本の中国に対するいわゆる輸入であります。
 いまプラントでも八十億ドルですか、九十億ドルに近い何か商談が続けられていますけれども、その日本の輸出の見返りに中国から受けるものは――日中の経済は、外交交渉にもあるように、相互扶助、互恵平等であります。こっちが売っただけのものは向こうから買わなくちゃいけない、向こうから買ったものはそれだけこちらは売らなければいけない。互恵平等の原則でいくというこの条約の基本からいけば、日本がプラントを初め多くのプロジェクトを売りたいというためには、中国から買うものは何だ、石油しかないのであります。通産大臣、石油しかない。このECにおける大きな中国に対する発展を横目で見ながら、日本がこれに負けないように日中の経済を進めていくとすれば、買うものは石油しかない。右炭も非鉄もあるだろうけれども、これは金額としてはわずかなものなんだ。日本の輸出に相賄うものは石油しかない。あとのものは小さなものだ。ファクターがない。金額が高まらぬ。
 その石油を買うことに対して、最近のいわゆる産業界、経済界、財界の姿勢がよくない。特に電力界などというものははなはだ姿勢がよろしくない。三十年たてば電気がなくなる。いわゆる燃料がなくなる。石油がなくなる。だから、国民の健康や生命を犠牲にしても原子力発電の開拓をやらなければならぬ。
 科学技術庁長官、熊谷さん、余り眠ったような顔をしないで聞いていてください。問題が後であなたに行くのだから、黙って聞いていなさい。
 そういうことをやって発電をやらなければだめだと言っておきながら、いま中国が渤海から、東シナ海から、大慶から、至るところに新油田を発見して無尽蔵に石油が出るというのだ。三十年たてば石油が絶えるなんという心配はなくなった。その石油を買ったらいいじゃないか。その石油を買えば、その見返りとして、世界からはみ出された日本の経済が無限に中国に伸びていく。
 それに対して、電力会社は中国の石油を買わないということをあなたに申し込んでおるじゃないか。余っている中国の石油を買わないで、なおかつ、原子力発電でわが新潟県等の住民の命を奪うような、そこに三兆、五兆の金を注ぎ込んでむだな原子力発電所を持つというこの論理的矛盾は一体どこからきておるか。こんな矛盾が一体許されていいのですか。彼らは、やれ中国の石油は重質油だ、ガソリンの含有量が少ないとか言うけれども、それは一つの化学的分解でできることなんだ。
 そこで、われわれが、これは日中議連でありますけれども、超党派の議員連盟、約五百有余名の国会議員、その幹部会も開いた。日中のかけ橋をつくった。平和友好条約を将来、その道を改めさせて、この間をなくするものはだれだと思うか。それは文化交流でもない、学者の交流でもない、技術の交流でもない。経済人だ、産業人だ。かつて田中総理が東南アジアを回ったときに、インドネシアのあそこでも、いわゆる日本の経済人のあの不当な進出に基づいてあれだけの排撃を受けた。その形が再び中国の中にあらわれてくるのではないか。この経済人の姿勢こそ今後の日中平和友好条約で最も注意しなければならぬというのが定着した国民の世論なんだ。
 いいですか。日中平和友好条約における一つの特徴は何だ。一つは覇権主義反対です。これは世界にない例だ。いま一つは無賠償、無分割の原則がこの平和条約の中に定着したということだ。戦勝国が戦敗国に対して一銭の賠償金も取らないというのです。一歩の土地も分割しないというのです。これが日中平和条約の中に定着した。
 そのときに、この平和条約を結ぶ前までに、自民党の、名前を言いますよ、いま引退したけれども、賀屋興宣などという、自民党、大蔵官僚の大臣頭が何と言ったか。日中平和条約締結絶対反対だ、もし締結すると中国は五百億ドルの賠償金を日本へ要求する、五百億も賠償金を取られたら日本は立っていけないだろう、だから日中平和条約反対だ、こういう暴論を吐いていた。
 その中国が一銭の賠償金も取らない。その恩義を胸に秘めて、これからは経済交流も、相互の人民に奉仕する、日中両国の国民に奉仕するという気持ちで経済を進めていかなければならぬ。石油を買わぬとは何事ですか。この問題に対して、通産大臣の御答弁とともに、こういう間違った業界の利益オンリーの考え方を厳しく監視、監督する、そういう立場で御答弁をいただきたいと私は思うのであります。
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河本敏夫#11
○河本国務大臣 ただいま日中の経済関係につきましていろいろお話がございましたが、まず第一番に、中国の国家建設計画、一九八五年までの十カ年計画は、昨年来完全に軌道に乗りつつあると私どもは判断をいたしております。欧米諸国の判断も同じだと思います。
 いま御指摘がございましたが、特にことしになりましてから、中国と欧米諸国との経済交流はきわめて盛んであります。欧米諸国からも要人がたくさん中国に行っておりますし、また中国からもやはり要人がたくさん先方に出向いております。きわめて交流が盛んになっております。したがいまして、日本だけが特別に有利な立場にあるということではございません。すべて経済原則に基づきまして、国際競争力という観点に立って中国との間の経済諸問題は進められておるということでございます。
 ところが、わが国の場合は、最近円高等の事情もございまして、非常にやりにくい分野がふえております。しかしながら、これはいろいろな努力によりまして解決しなければならぬと考えておりますが、まず、その前提条件といたしまして、貿易の枠を思い切って拡大すみということが肝心だと思います。いまそういう方向で具体的に話が進んでおります。貿易の枠を拡大するにいたしましても、いまお話しのように、日本が中国から石油引き取りの枠を拡大いたしませんとそれは実現をいたしません。
 そこで、日本がどの程度の石油を中国から引き取れるかということがこれからの最大の課題だと思います。幸いにいたしまして、わが国の将来の石油事情を考えますと、今後六%成長が続きますと、大体昭和六十年には、省エネルギーなどで相当節約いたしましても、現在の国内の消費量二億九千万トンがほぼ五割ふえまして、四億三千二百万トンとふえる予定になっております。これは昨年八月に総合エネルギー調査会が中間報告を出しましたが、その中に明記されておる数字でございます。
 それから、もう一つは、重質油といいましても、世界全体が重質油の傾向にいまなりつつあります。中近東の主だった国におきましても重質油の生産がだんだんとふえております。したがいまして、日本がこれから七、八年の間に一億四千万トンという消費を伸ばしていくということのためには、重質油も相当買わなければならぬ。それは世界の大勢だと私は思います。
 そういうことで、政府では最近重質油問題に対応するために重質油懇談会というものをつくりまして、民間の権威者に集まっていただきまして、重質油に関係するすべての問題をいま整理して検討中でございます。特に重質油を分解精製するための技術開発が非常におくれておりますので、ごく最近二組のチームを欧米諸国に送りまして、世界における重質油精製技術の現状について十分調査をさせようと思いまして、いまその準備をいたしております。それから同時に、重質油の分解精製をいたしますといろいろな副製品が出てまいりますので、その市場を開拓するにはどうしたらいいかということもあわせて関係者に研究をしていただいております。そういうことを背景といたしまして、重質油に日本全体が対応できるような政策を強力に進めておりますが、その過程におきまして中国油の問題を解決していきたいと考えております。
 なお、電力業界のお話が出ましたが、電力業界は現在原油、重油、ナフサ等の石油類を年間約八千万トン消費しております。その中で原油の生だきと言われるものが約二千二百万トンございまして、その一部が中国油を使用しておるというのが現状でございます。
 ただ、原則として申し上げたいことは、これからの発電所は、大体原子力発電、LNG発電、石炭火力、それから水力、地熱、こういうものが中心になりますので、石油火力発電というものは若干ふえますけれども、まずほとんどふえないというのが現状でございますので、全体の石油使用量八千万トンというものは今後全体としては余りふえない、こういうことになっておりますが、その中におきましても、先ほど申し上げましたように世界全体が重質油の傾向にありますので、中国石油引き取り等についても、いろいろな角度から電力業界に協力してもらう分野は大変多いと思います。先般、一部の新聞に電力業界が協力をしない云々という記事が出ておりましたが、必ずしもそういうわけではございませんで、いろいろな角度から協力方につきまして検討していただいておるところでございます。
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小林進#12
○小林(進)委員 私は、ともかく通産大臣の御答弁は半分はちょうだいいたしますけれども、電力、エネルギーの問題で、石油がないからどうしても原子力発電に依存しなければならない、そういう主張がもう根底から崩れたにもかかわらず、なおかつそれに固執するという考え方は、私は了承できない。
 科学技術庁長官、時間がないから、私は、残念ながらあなたに質問できない。あなたの科学技術の電力行政などというものは、私はもっと言いたいことがあるのでありまするが、これは残念ながら言えないから、ただ通産大臣に言いますけれども、その重質油の分解が、これが調査委員会の決定に基づくと、一般的には、一年間に二百万トン処理の重質油の分解設備をつくるのに九百億円の金がかかる。これはポピュラーに、多量になれば減るでしょうけれども、これをずっと平面的に考えておいて、いま、あなたが中国で一応話をしていらっしゃいました、一九八二年までに年間四千万トンの中国原油を輸入すると仮定すると、これは二百万トン設備二十カ所で一兆八千億円の金がこの分解設備にかかる勘定になる。この金が多いか少ないかという問題になる。これも含めて、中国に対する莫大な補償料、賠償金を払う気持ちになれば、そんなものは国内で設備をする、そうしていまから分解装置も含めて中国の石油を受け入れる体制をつくり、これをいわゆる行政のルートに乗せるべきだ。私はこれを言いたい。早くその設備をつくりなさい。もう五十四年度の予算にそういう援助とか協力の金が出てきてよろしい。このくらいのことは電力会社に少しくらい援助してやってもよろしいと思っております。これが一つ。
 それから第二番目は、残念ながら時間がありませんが、あなたは中国に行かれて李先念さんと、ココムの規制に対して大緩和することを約束してこられました。いまココムの会議がパリで行われておりましょう。日本は何か五十三品目かの削減、アメリカは六十九品目を解除することをいま提案されておるというけれども、こういう人為的なココムなどというものは、これは本来、存置せしめておることがおかしい。あなたは北京で約束されてきたのでありますから、一挙にこういうものは廃止すべきであるという主張を日本側からやるべきではないか。これはあなたに対する要望です。
 それから、私は輸銀の総裁にもきょう来ていただいておりますけれども、日中の貿易には輸銀が大きく役割りを演じてもらわなければならぬ。プラントの問題、プラントにいまガイドラインなどといって、これまたつまらない人為的な規約があって、長期のプラント輸出をするときの貸し付けの利息までアメリカが中心で決めておる。そんなものは廃止すべきじゃないかと私は思うが、この問題はどうなのか。特にこれは民間の銀行等も中国に対する預託預金というような形で、民間資本も活用しなければならぬ。こういう方向を一体日本銀行総裁はどう――これは時間がなくなりましたからよろしゅうございます。いまの問題は答弁は要りません。いまのことは要望にいたしておきます。
 通産大臣に対する要望、日本銀行総裁に対する要望、輸銀の総裁に対する要望、これを要望しておきまして、次の問題に移ります。
 次に、私は、先ほども申し上げましたが、国連総会における外務大臣の公式な演説は歴史に残る名演説であると思う。本人を前にしてほめるのは私は余り好きじゃないのでありますけれども、その中で、あなたは、平和への決意、国際協調をもととする外交力を強化することによって核を世界からなくしたいと、そういう訴えをされた。広島、長崎の悲劇を述べて、再びこれを繰り返さぬことを世界に訴えられた。りっぱでしたよ。私は、いままでずっと日本の首相ないし外務大臣等の国際舞台における晴れの演説を聞いているが、その中で国民が常に念願していたことは、日本は平和憲法を持っているのだ、国際紛争解決のための武力を持たないのだ、これをだれか誇りを持って世界に訴えてくれる人がいないか。いままでだれもいなかった。第二番目は、広島、長崎。世界における唯一の被爆国として、この日本国民の経験を再び繰り返してはならない。この生々しい日本の経験を世界の舞台でだれが訴えてくれるか。これは私だけじゃないのです。日本国民が全部これを祈ったのです。いままで一人もいなかった。腰抜けだ。平和憲法なんか持っていることを世界に訴えることはむしろ恥だぐらいに思っている日本の外務官僚政治の中で、あなたは勇ましくもこの二つを訴えてくれた。誇りを持って日本は平和憲法を持っているということを高らかに訴えてくれた。広島、長崎の原爆の悲劇を再び繰り返してはいけないということをあなたは訴えられた。世界の平和のためにわが日本は先駆者として歩くのだという誇りある演説をあなたはしたのです。りっぱでしたよ。何回繰り返してもいい。本当にりっぱでしたよ。
 りっぱではあったが、それに対して日本の新聞は全部批判をした。何と批判したか。内容は非常にあるけれども具体性がないと、こういう批判をしているのであります。これもまた、私はもっともだと思うのです。しかし、あの限られた演説の中で、その演説の内容を具体的に一々述べていては一日もやらなくてはならない。新聞なんていうものは勝手なもので、批判をしなくちゃ悪いからと言えばそういう受け取り方でもいいけれども、しかし、私がいまあなたに問わんとするのはその先なんです。新聞で批判したその具体性をこれからどう進めていくかということをあなたに聞きたい。
 いいですか。「人類の先覚者としての誇り高き憲法の精神に立脚して、」とあなたは言われた。「わが国は、他国に脅威を与えるような軍事大国には絶対なりません」とあなたは訴えられたが、そのあなたの主張を具体的に進めていくために一体どの手段があるか。幾つもあなたは項目をお挙げになりましたけれども、その中で一番重要だと思う点を私は三つ挙げてお聞きしたい。
 一つは、あなたは国連の演説で、憲法の精神にのっとって非核武装地帯を設置するということを訴えられておる。非核武装地帯を設置する。これが第一番です。第二番目には、いわゆるSALTの締結だ。米ソ二大国の戦略核兵器制限交渉、このSALTの交渉の成功を私はどうしても祈らなければならぬと訴えられた。これらの問題について私はあなたに申し上げたい。
 第一番に、非核武装地帯を設置するということに対してどういう具体的な方法をお進めになるか、お聞かせ願いたい。
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園田直#13
○園田国務大臣 私が提案いたしました非核武装地帯の設定についての構想は、適切な条件がそろっている地域において、その地域の国々の提唱によって非核地帯が設定されることは核拡散防止等の目的に資し得るものと考えております。
 なおまた、したがって、その地域を設定せんとする国及び核を持った国との間に合意ができた地域から一歩ずつ醸成していこうという考え方であります。
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小林進#14
○小林(進)委員 それは抽象論です。私はそれをもっと具体的に聞きたいのです。
 それをもっと具体的に聞きたいという私の提案の理由は、私はこの委員会でも何回も繰り返した。日本と中国とアメリカとの間に、アジア太平洋地域においてお互いに覇権国家にはならないぞ、覇権を主張する国家に対してはともにわれわれは反対すると、こういう三大国の中の合意ができているじゃないですか。このアジア太平洋地域においてその条件がそろえばとあなたは言うけれども、条件をつくることをやってもらいたい。
 そのいま一つの条件は何かと言えば、ソ連ですよ。いま三つの国の中ででき上がった反覇権の協定の中にソ連を加えて、アジア太平洋地域において覇権を行うことは反対だという協定をつくったらどうか。私はそれを申し上げます。いいですか。
 それは私は、ここで思いつきで言っているのじゃないのですよ。これはもう昭和四十九年から数回、三木内閣から続けて私はこの予算委員会で論じかけている。それに対し三木総理も、ソ連とアメリカの協定がある――覇権という言葉は使っていないけれども、一九七二年に締結されたアメリカとソビエト社会主義共和国との関係の基本原則に関する協定がある。その十一条に、「米国およびソ連は世界の問題における如何なる特権または優越に対する要求もしないものとし、また他の何者のかかる要求も認めない。双方はすべての国家の主権の平等を認める。」と、こういう協定ができている。これはやはり反覇権の条項ですよ。米ソの間にもこういう反覇権の条項ができているんだから、これをひとつこのアジア太平洋地域に生かして、四大国の中で覇権に反対するという協定をつくれば非核武装地帯をつくるだけの基盤ができ上がるじゃないか。米ソの間ででき上がっているこの反覇権の協定を日ソの間でできないか。日中平和条約をつくったあなたの高邁な外交哲学をソ連と日本との間に、米ソの間にできたようなこの原則、反覇権の条項を締結するために、あなたは、これはアメリカと事前に連絡をとってもよろしい、中国と連絡をとってもよろしい。両国の理解を得ながら、ソ連に対して反覇権の協定を結ぶだけの具体的な行動をお起こしになる意思がないかどうか、承っておきたいのであります。
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園田直#15
○園田国務大臣 条件をつくりつつ一つずつ積み重ねていくということは、今般の日中友好条約について、侵し侵されずという原則が確立したわけであります。
 ソ連についても、将来平和条約その他が逐次進んでいく段階でそういう問題は話し合うべきことであるとは考えております。
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小林進#16
○小林(進)委員 それじゃ、ともかく具体的に進めてもらいたいと思います。
 この問題は、政府の外交じゃない。立法府においても、この反覇権をひとつ日本とアメリカとソ連の間にやろうじゃないかという動きがあった。一九七五年十一月一日から十日間、当時の予算委員長の荒舩清十郎氏を団長としてアメリカへ行った。一行が行ったのです。国会代表が行ったのです。衆議院代表が行ったのです。そのときに持っていった用件は二つだ。一つは、核が一体日本に存置するかどうか、これを議員同士の話の中で確認してこようという意味が一つあった。いま一つは、いまの覇権問題。アメリカへ行って、この三大国、ニクソンが結んだこの覇権反対を、ソ連を引き入れて、アジア太平洋地域における四つの国が反覇権でひとつ心を合わせようじゃないか、アメリカはどうだ、日米が一緒になってやろうじゃないかという話をやった。
 そのときにおける荒舩団長の熱意というものは、いまでも驚くほど非常に熱情にあふれていた。そして交渉した。いいですか。その話を進めたときに、アメリカは一体何と答えたか。時間がないから駆け足で言いますけれども、アメリカのマクギー上院議員はこう言っている。「中ソの対立が激しいのでむずかしいと思うけれども、中国はNATOの同盟に代表を送り協力的であるのに比べ、ソ連はアジアにおいて緩和政策をとろうとしないのは残念である。中ソの最近の話がどうなっているか知らぬが、ソ連を四大国の覇権主義反対の仲間入りをさせることは全く賛成である。もしソ連がこれに協力しなければ米日中間の関係はさらに緊密の方向に向かうことは間違いなく、ソ連は結局孤立することになりましょう」と、こういう見解を示しておる。
 ジャビッツ、これは日本へ何回も来ましたが、ジャビッツ上院議員は次のように言っている。すなわち、「私も全く賛成である。ソ連にはオファーを出して、ドアを開いておいて、仲間に入りたいときはいつでも入れるようにしておくことが大切」と、こう答えている。
 下院議員で、当時、下院の軍事、委員会小委員である、これは日本へ何回も来ましたが、ストラットン議員は次のように言っている。「覇権主義反対は全く賛成である。ソ連をこの仲間に入れることは全く賛成だ。しかし、アメリカはソ連を説得する力があるかといえばいまはない。アメリカの力には限度がある。覇権主義に反対するアメリカの態度は、国家も議会も真剣に話し合いをしてその実現を願っておる。そしてフォード大統領も北京においてこれを確認している。われわれはソ連がこれに賛成してくれることを心から願っておるから、これはひとつ一緒にやりましょう」という答弁をしているのでありまして、これは荒舩委員長の覇権反対に対する、アメリカ議会に対する交渉の内容の一部です。顔に似合わず荒訟さんという人は実にすぐれた政治家であると私は心から敬服をいたしておるところであります。
 ここまでいっているのでありますから、これはひとつ軌道に乗せることを私はいま一度総理に、あなたに確認をしておきたいと思うのでありますが、いかがでありましょうか。もしソ連と日本との間に覇権反対のこの協定ができれば、その協定の上に立って、今度は核不使用の話し合いもできるでしょう。あるいは、何といいますか、日米安保条約を空洞化することもできましょう。アジア太平洋地域に非核武装地帯をつくるという、その話にまで進展していくことができましょう。そのときこそ日本がこのアジア太平洋の中に武器一つ持たずして裸で昼寝できるという、日本の安全が永久に確保せられるのであります。その基盤づくりなんです。
 総理大臣、あなたに聞いているのですが、いかがでしょう。
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福田赳夫#17
○福田内閣総理大臣 よく検討いたします。
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小林進#18
○小林(進)委員 情けないような声ですが、外務大臣、いかがですか。いま少し具体的に私はあなたの所見をお聞きしたい。
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園田直#19
○園田国務大臣 各国はその方向に努力をしているところでありますから、逐次積み重ねていきたいと考えております。
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小林進#20
○小林(進)委員 ともかく、こういう大国が錯綜しているアジア太平洋地域に非核武装地帯をつくるというのは、それは言葉で言うほど簡単でないこともわかっておりますけれども、一歩一歩やはり努力をしていくところに道は開かれるのですから、大いに私はやっていただきたいと思います。
 それから、第二番目に、これに関連いたしまして、時間がないから私は急ぎますけれども、日本と中国との間に核不使用、少なくとも日本と中国の間には核を使わぬぞという不使用の協定をお結びになる考えがあるかどうか。われわれの国は核はないのだから、そんなことを結ぶ必要はないとあなたはおっしゃるかもしれませんけれども、日本と中国が、日中平和友好条約ができて覇権国家にならないという基盤の上に立って、両国はお互いに核兵器を使わぬぞというこの宣言的協定を結ぶことは、アジア並びに太平洋、世界に対する影響がどんなに大きいかということを考える場合に、私はこれを政治の舞台に乗せてもらいたいと思う。
 私がなぜそれを言うかといいますと、これは一九七二年一月二十一日でありますが、周恩来総理が、いまは亡くなられたが、社会党・総評の代表団が北京に行ったときにわが党の代表に言われた。「中国は核実験を十三回やり、そのうち一回は失敗した。日本政府が日台条約をやめ、中国との戦争状態を終結して国交を開けば、中国政府は日本政府の要請に応じ核の不使用に関する取り決めに調印できる。そうなれば日中は同じ側に立って米ソに同じ要求ができる。」と言われた。これをやろうではないか。どうですか。平和友好条約ができたら、その日本政府の要請に応じて核の不使用に関する取り決めに中国は調印しますよ。もし日中の間にそれができれば、同じ側に立って一緒になって米ソにその要求ができるではないか。やろうではありませんか。私は実に崇高な提案であると思う。
 外務大臣、あなたはこれに対してどうお答えになりますか。これは社会党使節団に対する要請でありましたが、あなたは外務大臣として、あなたに中国政府からこういう要請があったら、あなたは何とお答えになりますか。お答えを願いたいと思います。
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園田直#21
○園田国務大臣 友好条約の主眼は、アジアの平和と安定のために日中両国がお互いに侵し侵されない、覇権を行わない、こういうことが必然でありますから、お互いに鉄砲を撃たないというのに、核を使用するかしないかということは必要はないと存じますけれども、また一面、先ほどの非核武装地帯をつくるということから考えれば、そういう段階も必要が来るかもわかりませんから、十分検討いたします。
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小林進#22
○小林(進)委員 あなたは私の言っていることを半分ぐらい理解されて、まだ半分ぐらいどうも理解の足りないような気がしますけれども、それはアジア太平洋地域において覇権国家にならない、平和原則を守るというのは、あれは総論です。それは橋をかけただけだ。その橋を今度は具体的に渡るときの各論だ。こういう各論を一つ一つ推していくことによって日本の平和、アジアの平和は保たれるのであります。時間がないのは残念でありますけれども、どうしてもこれはひとつ具体的に外交ルートに乗せてもらいたいと私は思います。周恩来さんが亡くなって、せっかく遺言としていま残っておるのでありますから、やりましょうと言っているのでありますから、ひとつやってくださいよ。これもきょうここであなたに確約をとれないけれども、この問題はまだ繰り返しここでやりますから、私の生きている限りこれをやりますから、そのつもりでひとつ考えておいていただきたい。これはやるべきです。大いにやらなくちゃならぬ。
 次に、時間もありませんけれども、第三番目は、あなたが国連の中で約束せられたSALT交渉に関する問題であります。「核兵器の廃絶という目標の達成のためには、すべての核兵器国の積極的貢献が不可欠であります。」とあなたは言っておられる。「しかるに、核兵器国による核軍備の削減のための努力はほとんど進展を見ておりません。」「ことに二つの核大国は、この点について特別の責任を有すると考えます。」これがいいところです。あなたの演説の中の一番白眉だ。そして、「わが国は、米ソ両国がこの特別の責任を自覚して、第二次戦略兵器制限交渉を、速やかに妥結せしめるとともに、更に戦略兵器の実質的削減を目標とする次の交渉を遅滞なく開始するよう強く要請致します。」と、こう言っておられる。
 これはいいのだ。いいが、具体的に言ってどうしようというのだ。いま世界の五十億の人民をふるえ上がらせているものは、インドに核があるとか、フランスに核があるとか、中国が核実験したなんて問題じゃない。米ソ二大強国が、このSALTの戦略兵器制限の名のもとに、どんどんとこの恐るべき核兵器を増大していることが人類をおびえさせている。地球の人類を七回絶滅してもまだ余りあるような兵器を二つの超大国が持っているということが、これが人類に無限の恐怖を与えておる。これを抑えるのが政治です。これが外交です。
 いみじくも、あなたはこれを国連の場で言われた。りっぱですよ。いままでの外務省の官僚なんかが言えないことをあなたはずばずばと言われた。実にりっぱだが、何をやるか。何にもない。一体、米ソに対してこれをあなたはどう要求されるのか、具体的な見解をひとつ承っておきたいと思う。抽象論は要りませんよ。具体的な話を、私は政治を論じているのでありますから……。
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園田直#23
○園田国務大臣 SALT交渉についてはいろいろ経緯がありますが、米ソ両国で逐次話が煮詰まっておりまして、九月二十九日の国連総会のバーンズ国務長官の演説においては、今年末までには協定の決定の見通しがつく、こういう演説をやっております。私は、演説だけではなくて、バーンズ国務長官その他の方々と会う場合には、それに対する成功と期待に対する意見を具申し、努力をいたしております。
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小林進#24
○小林(進)委員 それは米ソ両国の交渉の内容を三者的立場で私はお聞きしようと言うのではない。その交渉が成功するかしないかは、やってみなくちゃまだわかりません。それに対して、あなたが国連の場で発言したからには、具体的に米ソに対してあるいは申し込みをするとか、あるいは核を持たない国に共同的な体制をつくりながら何かのタイドをつくるとか、これをどう政治の日程に乗せるかということを私はお聞きしている。いいですか。向こうの情報をお聞きしているのじゃないのです。一体、日本の政府の外交日程にどうお乗せになるかということを聞いているのであります。
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園田直#25
○園田国務大臣 バーンズ国務長官にもソ連の方にもそれぞれ、この協定の成功についてのそれぞれの意見を申し述べて努力をいたしております。
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小林進#26
○小林(進)委員 私は、その程度の御発言では、まだ満足をするわけにはいきませんけれども、残念ながら時間がありませんので次の問題へ移ります。みんな半端になってしまって私は非常に残念なのでありますけれども、やむを得ません。
 次に私は、金大中事件についてお尋ねをいたします。
 日本と朝鮮半島との問題をあなたたちが平和裏に解決をしようとおっしゃるならば、この日本と朝鮮半島、日本と韓国との問題の解決ののど仏に食いついているのは金大中事件です。この問題を日本国民ののどに差し込んでおいて韓国との平和問題をのめのめと言ったところで、のめる問題ではありません。外務省などというあのつまらぬ――つまらぬ省と言ってもいいでしょう。もはや金大中事件は済んだなどと言っている。どこに済んだのですか。
 私は、警察庁長官にお尋ねいたしたいと思いますが、金大中事件の捜査はその後どうなっているのか、お答えを願いたい。
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鈴木貞敏#27
○鈴木政府委員 お答えいたします。
 警察といたしましては、現在約二十名の捜査員をもちまして継続捜査中でございます。
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小林進#28
○小林(進)委員 二十三名が二十名に減ったのは残念でありますけれども、少なくとも形式的な捜査ではなくて、一体捜査員を置いたというが、もはや五年の歳月が経過している。その中で一人の犯人も挙がりましたか。一人の容疑者も出ましたか。一人の犯人も出ない。容疑者も出ない。その中で二十人を抱えて一体何をされているのか。国費の乱費じゃないですか。何かその後の実績が上がりましたか。経過についてお尋ねいたしたい。
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鈴木貞敏#29
○鈴木政府委員 警察といたしましては、あらゆる可能性を推測しながら、事実を積み重ねまして、慎重に捜査をしているわけでございますけれども、いまの段階におきましては、たびたび国会においてもお答えしておりますように、金東雲元一等書記官の指紋による割りつけ及び劉永福副領事の自動車が連行に使われたという疑いがきわめて濃いという以外におきましては、その後の捜査におきまして具体的な事実は出しておりません。
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