中島通子の発言 (外務委員会)
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○中島参考人 お答えいたします。
確かにA規約に関しましては、第二条におきまして漸進的な達成ということが明記されております。その意味で、プログラム的な性格を有することを否定するものではありませんが、しかし、これは「立法措置その他のすべての適当な方法によりこの規約において認められる権利の完全な実現を」達成するため、各国が必要なことを行動するということを約束しているものであります。特にこの規定に基づきまして各国が行ったことについては二年ごとに報告をすることが義務づけられておりまして、中でもA規約の中の労働権に関する保障は、段階的に申しまして最も早い時期に報告を義務づけられている内容のものであります。
問題は、これを実施するための方法というものが、いま読み上げました第二条の中では、単に立法措置だけに限らず、「その他のすべての適当な方法」というようなかなり広い意味での広い規定を設けでいることであります。それに対して、私は、先ほどから立法措置でなければならないのだということを強調いたしたわけですけれども、その理由とすることを少し敷衍させていただきたいと思います。
この点に関しましては、その国のさまざまの条件によっては必ずしも立法が必要ではない場合がございます。たとえば男女平等、特に雇用における男女平等という点に関しましては、スウェーデンとかあるいは西ドイツなどにおいては、法律という形をとらずに、労働組合の労働協約を通じてかなりの程度達成しております。しかし、それはなぜかというと、これらの国々においては、労働者の大多数が労働組合に組織化されているということであります。しかも、特にスウェーデンにおきましては、その労働組合自身が、男女平等に関して非常に深い認識のもとに積極的な政策をとって行動を起こしております。これらの条件によって、必ずしも立法措置をとらなくても男女平等が達成される可能性があるわけでありますが、しかし、翻って日本の状態を見てみますと、まず日本では、労働組合の加入率、組織率が大変低うございます。特に女性は、わずか二六・八%の女性が組合に組織化されているにすぎません。しかも、この組合は、企業内組合という性格を色濃く持っております。企業を超えた全国的な労働条件の統一を図るということは、非常に望み薄いという現状であります。加えて、日本の企業は企業間格差が大変著しい。ところが、日本の働く女性の四〇%は二九%以下の企業で働いております。これらの小企業あるいは個人企業と言われるような企業では、労働条件の確保を労働組合を通じて行うということはほとんど不可能な状態になっております。さらに、パート、臨時など、組合加入自体が否定されている女性労働者が非常に多い。しかも雇い主が、あるいはときには労働組合の幹部の側にも、女性に対する差別意識、性別役割り分担意識というものが大変根強くあります。これらのわが国の条件を見るならば、単なる組合の労使の交渉あるいは行政指導などによって、職場における男女平等を実現するということは非常に困難であると言わざるを得ないわけであります。したがって、私が先ほど申し上げましたことは、もちろんこのA規約そのものを否定するものではないどころか、A規約の早急な批准を求めるものでありますし、いま申し上げたような国内的な立法措置がとられない以上A規約を批准することができないなどと言うつもりは毛頭ございませんが、しかしA規約を批准した以上、しかもその実現を各国が義務づけられている以上、いま申し上げたような立法措置が特に日本においては必要とされるのだということを申し上げたのであります。