中島通子の発言 (外務委員会)

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○中島参考人 先ほどの御質問にお答えいたします。
 まず、男女の肉体的、生理的条件の違いを無視して機械的に平等にしてもだめなのではないかという御意見だったと思いますが、その点は全く私も異議ございません。これに加えて、現在女性が家事、育児を一方的に一人で負担しているというこれらの条件を無視して、直ちにすべての労働条件を男女同一にするということは、全く現実離れしたゆゆしいことだと考えております。人権尊重というのは、そもそも、母性を持つ女性が母性とその健康を破壊されることなく労働する権利というものを保障することにあるわけでありまして、このようなことが保障されないならば、これは人権の理念に全く反することになります。問題は、そのような女性の持つ条件に基づく保護が差別の理由となっていることであります。これは、たとえば昨年の労働基準法研究会報告をめぐって行われた議論の中で出てきたことでございますが、平等を要求する以上は保護を撤廃するべきであるという議論、両方、保護も平等もというのは甘えではないか、虫がよ過ぎるなどという意見が大分出されました。しかしこのような考え方というものは、女性の労働権というものを基本的人権としてとらえないところから発生しているものであります。
 女性の労働権というものが、その内容につきまして具体的に明らかになり、内容的に深められたのはそう古いことではありません。つまり、一九七五年の国際婦人年に各種の国際会議が行われましたけれども、その中で初めて女性の労働権を基本的人権として深くとらえることができました。特にILOの六十回総会の決議、宣言、あるいは行動計画の中で繰り返し明らかにされていることは、女性の働く権利は人間として奪うことのできない権利であるということであります。その具体的な内容というのは、女性の年齢とか、婚姻関係あるいは子供の有無、家庭責任、これらの事情によって奪われることのない、左右されることのない権利が女性の労働権である、しかもこれは母性保護とは矛盾しないのだ、狭い意味での母性保護だけではなく、男女平等を目指す過渡的時期における積極的な特別取り扱いというのは差別とみなされないのであるということが明確にうたわれております。このような基本的人権としての女性の労働権を考えるならば、女性に一定の保護が認められるということによって差別を認めるということが全く成り立たないということは明らかになると思います。
 しかし、もう一つつけ加えたいと思いますのは、現在の女性だけの保護というものが未来にわたっていつまでもいまの状態でいいのであろうかということであります。この点については私自身は、女性だけが保護される必要がなくなるような労働条件というものを目指さなければならないと考えております。この点については先ほど労働時間の問題を中心にして申し上げたところでございますが、先ほどの御質問の生理休暇の点に関連して申し上げますと、全体の労働時間が短縮して休暇もふえる、そういう労働条件全体の底上げがなされるならば、必ずしもすべての女性が生理休暇をとる必要がなくなることはあり得ると思います。しかしその場合でも、特に個人的な条件の違いによって生理のときに休む必要がある女性はなくならないのであります。この点については先ほど男性の生理休暇というお話がありましたけれども、男性にも体調の悪いときというのはあるわけですから、このようなときにはすべての男女の労働者が何の不安もなく、しかも所得が保障された形での休暇が保障されるということこそ私どもは目指したいと思います。そのような意味では、現在の女性だけの保護は男性全体にも適用、拡大されるという形での男女平等、女性だけの保護の解消を目指したいというふうに考えます。
 もう一点、出産休暇の点でございます。先ほど私もこの点は大分強調したつもりでありますが、一部の女性だけが出産休暇中の所得を保障されるということではなくて、お話しのように中小企業で働く女性あるいは農村の女性も含めて、すべての働く女性が出産休暇を安心して休める、しかも所得が保障されるというような制度を何としても私どもは目指したいと思っております。そのためには先ほど申し上げましたA規約の条項にあるとおり、これは有給休暇という形が困難であるならば、社会保障の中で、すべての働く女性に適用されるような社会保障が確立される必要があると考えております。
 最後に、これはちょっと私に対する質問ではなかったようですけれども、公の休日に関する留保については、私も先ほど述べましたとおり、大変重大な問題だと考えております。その点で、パートや臨時などと言われている労働者が、この留保条項によってますます労働条件が切り下げられ、格差が拡大されることが決してないように、この国会においてぜひ歯どめとなるような何らかの措置をとっていただきたいということを強くお願いしたいと思います。

発言情報

speech_id: 108703968X00919790507_028

発言者: 中島通子

speaker_id: 9461

日付: 1979-05-07

院: 衆議院

会議名: 外務委員会