小林功典の発言 (社会労働委員会医療保険制度に関する小委員会)
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○小林説明員 それでは、お手元にお配りしました資料を御説明申し上げます。
順番が入れかわって恐縮ですが、一番最後のところに、一枚紙の「医療保険制度の現況」という資料がございます。これから御説明いたします。
これはもう皆様方御承知のことですので、詳しくは申しませんが、現在、わが国の医療保険制度は、この一番左の欄にございますように、政管健保、組合健保、船員保険、日雇い健保、それから各種の共済組合、そして国民健康保険、こういう制度に分かれております。この上の五つ、政管健保から各種共済組合まで、これが被用者保険あるいは職域保険と呼ばれる保険でございます。それに対しまして、一番下の国民健康保険は地域保険と呼ばれる保険でございます。
それで保険者は、政管はもちろん国でございますが、組合管掌健康保険は各健康保険組合、それから船保、日雇いはいずれも国、それから各種共済組合、これは各共済組合が保険者になっております。それから国民健康保険は、市町村の経営する国民健康保険と国民健康保険組合で行う国保がございます。ちなみに、組合管掌健康保険はいま保険者が千六百六十六ございます。それから共済組合は御承知のとおりに国家公務員の共済組合、それから地方公務員の共済組合、それから公企体職員の共済組合、それから私立学校の職員の共済組合と、こういう四種類に分かれておりまして、それぞれまた保険者が分かれていますので、保険者数でいきますと八十二組合でございます。それから国保は市町村が三千二百七十二、国民健康保険組合が現在百八十二ございます。
それぞれの加入者でございますが、次の欄にありますように、政管が本人、家族を合わせまして二千九百万、組合健保が二千六百万、船保が七十万、日雇い健保が六十万、各種共済組合が千二百四十万、国保は市町村と国保を合わせまして四千四百万、こういう構成になっております。
それから保険給付でございますが、ここにありますように、まず医療給付につきましては、本人の療養給付、これは、被用者保険の方は全部十割給付でございます。それから家族の療養費でございますが、これは全部一応七割になっておりますが、括弧書きで書いてありますように、組合健保と共済組合につきましては付加給付がございます。たとえば家族療養費付加金とか、そういった形で七割以上になる付加給付がございます。これに対しまして、地域保険であります国民健康保険は、本人、家族と言いますよりむしろ世帯主、世帯員と言った方がいいんですが、世帯主、世帯員とも七割ということになっております。それから医療給付で高額療養費制度がございまして、これは被用者保険、地域保険を通じまして全部共通でございます。自己負担が三万九千円を超えた場合にはその超えた額を後から保険者が償還する、こういう仕組みで、これは各制度とも全く共通でございます。
それから現金給付ですが、被用者保険グループにつきましては、傷病手当金、出産手当金、分娩費これは全く一緒であります。ただここでも、組合健保と共済組合につきましては付加給付が認められております。国保も同じように助産費、葬祭費、育児手当金、こういうものの給付が法律で決まっておりますけれども、法律上これは任意給付とされております。強制的ではなくて任意的な給付とされております。しかし、助産費とか葬祭費はもうほとんど大部分の各保険者が実施しております。育児手当金は約半数ぐらいが実施しているということでございます。ただ、支給額は被用者保険に比べて大分落ちるという現状でございます。
それから財源の中で、一つは保険料率でありますが、政管健保は御承知のように千分の八十で、八%でございます。それに、現在は特別保険料としましてボーナス等に一%の保険料が掛けられております。それから組合健保は、各組合によってばらばらでございます。大分幅がありますけれども、全組合健保を平均いたしますと七・七%になります。それから船員保険は六・二%でございますが、御案内のように船員保険は、健保、労災、失保、年金の四部門を総合的に実施するいわば総合保険でございますので、その中から職務外の事由による疾病分、つまり健保に並ぶ分を引き出しますと六・二%になる、こういうことでございます。それから日雇いは、一種特異な形態になっておりまして、定額制でございますが、賃金に応じまして一級から八級までランクがございまして、最低六十円、最高の八級で日額六百六十円という保険料になっております。それから各種共済組合も、各共済組合によって違っておりますが、大体五・六四%から上は一〇・六%ぐらいの問に分布しております。それから国民健康保険は、こういう料率というかっこうでとらえられませんので一応額で示してありますが、五十二年度の一世帯当たりの平均の年額でございますが、六万一千七百七十一円ということになっております。
それから財源の中でその次の国庫負担でございますが、政管は給付費の一六・四%、それから組合健保はこういう定率の補助はございませんで、五十三年度十二億円の定額の補助でございます。なお、これは五十四年度予算では十五億円の予算をいま計上しております。それから船員保険につきましても同様でございまして、定率の国庫補助はございませんで、定額の十二億円でございます。これは五十三年度でございます。これも、五十四年度予算におきましては十五億円に増額するように計上をしております。それから日雇い健保は給付費の三五%でございます。それにプラス六億円の定額の補助がございます。定率と定額の組み合わせというかっこうになっております。各種共済組合は国庫負担はございません。それから国民健康保険でございますが、まず市町村に対する国庫負担としましては医療費の四五%の補助がございます。詳しく申しますと、この四五%といいますのは四〇%部分と五%部分に分かれまして、最初の四〇%部分は医療費に一律にかけられる補助金でございます。残りの五%は各国保の保険者の財政力、市町村の財政力を調整するという意味で、財政調整交付金というかっこうで五%が配分される、こういうことでございます。両方合わせまして医療費の四五%を国が持っている、こういうことでございます。そのほかに、ここにありますように臨時財政調整交付金と申しまして、定額でありますが、五十三年度で千百二十一億円ほどの補助金が出ております。それから国保の組合の分でございますが、これは括弧書きで書いてありますように、医療費の下は二五%から上は四〇%の範囲内でその保険者の財政力に応じて配分がなされるというのが一つと、それからそのほかに臨時調整補助金というのが、五十三年度では五十九億円でございますが、これが別に国庫から出されるということになっております。
それで、この国庫負担の額をトータルいたしますと、五十三年度で全部で約二兆円でございます。二兆八百億円が五十三年度の国庫負担の総額でございます。これは五十四年度予算におきましては二兆三千百八十億円ほどになります。
最後の欄は、御参考までに七十歳以上のいわば老齢者の占める割合を掲げたものでありますが、被用者保険は平均で三・三%、そのうち政管はやや平均より高目になっておりまして三・六%、組合はやや平均より低目になっておりまして二・七%、国保が老齢者の占める比率が非常に高くて、七・五%が七十歳以上の者の占める割合だ、こういうことでございます。
以上が、わが国の医療保険制度の概況でございます。
次に、縦長の「給付と負担の問題に関する考え方」という資料を御説明いたします。
これは、先ほど小委員長からお話がございましたように、最初に検討なさいます給付と負担に関する問題について、内容を少し分析いたしまして細分化いたしまして、それぞれの考え方あるいは問題点を一応私どもの方として整理をしたものでございます。
まず1の給付水準でございますが「平均的給付率」というのは本人、家族をならしたところの平均的な給付率というふうに御理解いただきたいのですが、「給付水準についてどのように考えるか」という問題でございます。
まず(1)は、そもそも「社会保障としての医療保険の給付率はどの程度が妥当か。」という問題提起でございます。ここには(備考)としまして、お手元にお配りしてありますけれども、四十六年並びに五十二年の社会保険審議会の答申をつけておきました。簡単に言いますと、この両答申では本人、家族とも十割給付が目標である。「目標」という言葉と「目指すべきである。」という言葉があるわけでございますが、十割が目標である。しかし純然たる十割給付ではなくて、適切な自己負担はやむを得ないということでございます。それだけを書いてありまして、本人、家族をあわせて平均何%ぐらいの給付率がいいかというその絶対値といいますか、具体的な給付水準の率はこの答申には明記されておりません。
それから(2)として「医療保険各制度間の給付格差をどう考えるか。」という問題でございます。その中には、一つは被用者保険における先ほど述べましたような付加給付、つまり健保組合と共済組合に認められております付加給付を認めるべきかどうかという問題。三つ目としまして、これも先ほどの資料でお話ししましたように、被用者保険と国民健康保険の給付水準の差があっていいのかどうかという問題でございます。
(3)は「負担との関係で給付水準をどの程度とするか。」給付水準だけ決めるわけにまいりませんで、社会保険でございますから、給付水準を決める場合にはどうしても負担を同時に考えなければならぬということは当然でございますが、その負担を頭に入れて給付水準をどの程度にするのがいいかという問題でございます。そこには幾つかの考え方があると思いますけれども、一応a、b、cと三つを並べておきました。
まず「a 保険料負担率が大幅に増加しても給付水準を現行より引き上げる。」それから「b 保険料負担率の大幅な上昇を避けるため概ね医療保険全体の現行給付水準程度とする。」現行給付水準というのは現在大体八割程度でございます。被用者保険、地域保険、ならしまして全部を平均しますと大体八三%ぐらいになるのですが、おおむね八割給付程度、これが大体現行水準でございます。それから「c 保険料負担率をほぼ現行程度とすることを前提として、給付水準を定める。」これは、保険料負担額というのは当然これから上がっていくのはやむを得ないのですけれども、そうは言っても負担率が、率においては大体現行どおりとすることが正しいということであれば、それを前提として給付水準を逆に決めるという考え方があろうかと思います。これで参りますと、大体逆算いたしますと、保険料負担率をほぼ現行程度とするという前提で組みますと、給付水準はおおむね七・五割ぐらいになります。
そこで(備考)としてつけておきましたのは、昭和五十八年度に給付水準に対応した保険料がどうなるかという資料でございまして、給付水準についてはいろいろな御意見がございますので、十割給付から下は七割五分給付まで各ランクをつけまして、こういう給付率の場合には、昭和五十八年度には、政管と国保がこれくらいの保険料が要るというのを試みに出したものでございます。「注」にありますように、まず前提としまして、ここで計算しました際には老人医療費は別に計算しております。老人医療分というのは除外いたしまして、残った分について計算をしております。
そこで、これでまいりますと、ごらんいただけばわかりますが、たとえば十割給付をやろうといたしますと、五十二年度は千分の七十三程度でよろしいわけです。これは先ほど申しましたように老人は除いておりますから、現在の千分の八十という保険料率よりも下がるわけでございますが、現在千分の七十三、それが、十割給付を実施するといたしますと、政管の場合五十八年度には千分の百十一ぐらいの保険料率になる。国保は、現在五十二年度ベースで年額約五万円の保険料でございますが、それが五十八年度に二十一万六千円、現在の四・三倍ぐらいの保険料を払っていただかぬと十割給付はできない、こういうかっこうになります。以下、同じように見ていただけばいいのですが、たとえば八割給付ぐらいにいたしますと、政管の場合には五十八年度で千分の七十七、国保では十一万五千円でございますから、現行の約二・三倍ぐらいになるということでございます。ただ「注」で申しましたように、これは老人を一応外して試算しておりますので、老人分をこれに加算して考えないと、国民の負担感というのはわからないわけでございます。
それで困りましたのは、老人医療をどうするかということが現在まだ決まっておりませんので、どういうかっこうの負担になるかわかりません。そこで、ごく粗っぽい計算でございましてこれは正確ではございませんけれども、老人医療にかかる分から国とか地方公共団体で見るようなものを除きまして、大体四五%ぐらいは保険料でカバーしなければならぬという仮定を一応置きまして、それを政管健保の標準報酬で割り返して出したのが千分の十一でございます。これは相当粗っぽい数字であることは御勘弁いただきたいのですが、この千分の十一前後は先ほどのたとえば十割給付の場合の千分の百十一に上積みされる、つまり千分の百二十二ですか、その程度の負担を覚悟してもらわぬと十割給付はできませんよ、こういうことを示している資料であるということでございます。
二ページへ参りまして、「2 本人・家族の給付格差をどうするか」という問題でございます。
これは二つ考え方がございまして「a 給付の平等の見地から本人・家族の給付率に差を設けない。」という考え方、もう一つは逆に「一家の支柱である本人の給付に重点をおき、本人の給付を厚くする。」という考え方、この二つでございます。
これも、先ほど御紹介しました社会保険審議会の答申の中でも、本人、家族をあわせて十割を目標とすべきである、その際自己負担はやむを得ない、こう言っておりまして、直接本人と家族に差があっていいかどうかという問題についてはコメントがございません。ただ、お配りしてございませんが、四十六年の制度審議会の答申に、本人と家族の間に格差を残しているのは問題であるという指摘がございます。これは家族の七割給付実現前でございます。家族が五割時代の答申でございますので、いま通用する問題かどうか疑問がないことはございませんが、そういうのが一つあるだけで、ほかはみんな本人、家族間の差について審議会はコメントをしておりません。
それから「3 患者負担のあり方についてどう考えるか」という問題でございます。
(1)は「家計負担を考慮して給付率に差を設けるべきか。」という問題でありまして「a 重症の給付率を軽症の給付率より高くする。」という考え方、それから「b 入院の給付率を外来の給付率より高くする。」こういう二つの考え方があろうかと思います。ただ、aの重症、軽症の区別というのは、家計に与える負担がたとえば重症だから重い、軽症だから軽いというふうには直ちに結びつかないという問題がございます。つまり、病気の種類と家計負担への反映ということとは直接一致しないという面がございます。もう一つ、仮に無理をして疾病の種類で分けましても、それじゃどの辺から分けるかという具体的な問題として考えます場合には、非常に技術的にむずかしいという問題がありますので、一応御参考までに(備考)をつけておきました。
それから(2)の「患者負担の方法をどうするか。」でございますが、これは三つほど書いてございます。
一つはいわゆる定率の患者負担、たとえば医療費の二割相当額を患者負担とする、こういう意味でございます。二つ目は一定額、たとえば初診時千円、入院時千円というような定額で患者負担を決めるという考え方、三番目には政策的な配慮から特定の物、たとえば薬というようなものですが、これについて患者負担とするという三つの方式がございます。この(備考)にありますような社会保険審議会の意見書は、適正な範囲内においては一部負担はやむを得ないというのが大体一貫したトーンでございます。ただ五十二年十一月には、その社会保険審議会の意見書の中に、一部負担の項の最後のところに、たとえば外来投薬時の一部負担なんかについても検討すべきであるというコメントがついております。これはcの考え方をとったものだと思われます。
それから、次の三ページへいきまして、これも(備考)でございますが「一部負担割合の事例」としまして掲げております。これはイの「事項別一部負担の場合」でございますが、これは「一部負担割合」と書いてあります。一部負担の割合というのは、言いかえれば、こういう一部負担を取った場合には給付率ではどういう割合の影響があるかという、給付率への影響度合いというふうに考えていただけばいいと思うのですが、それを示したのがこの「一部負担割合」でございます。ただ、これはあくまで御審議の参考までに掲げたものでございまして、厚生省がこれを考えているとか、そういう主観的な判断を交えたものでないことはひとつ御理解いただきたいと思います。たとえば初診時千円を負担してもらうといった場合には、三・六%給付率に影響する。つまり、たとえばこの初診時千円だけを一部負担させた場合には、給付率は一〇〇から三・六を引いた九六・四%になりますか、九六・四%給付というかっこうになるわけです。それから、たとえば投薬時一部負担の薬剤費二分の一負担、一番下の欄で申しますと、一四・八%の影響度がございますので、これだけをとれば給付率は八五・二%になる、こういうふうにお読みいただきたいと思います。それから口の「外来、入院を区別して給付率を定めた場合」これもあくまで参考として示したものでございまして、仮に外来を八割にした場合、入院との組み合わせばこうであるということを示したものでございます。たとえば外来八割で入院を十割にすれば全体的に見ると給付率は八六・八%になる、こういうふうに見ていただけばよろしいわけでございます。
最後の②の「薬剤比率の推移」は、過去十二年間の医療費の中に占める薬剤費の比率の推移を示したものでございます。
それから四ページにまいりまして、4の「保険料負担をどう考えるか」という問題でございます。
まず一つは「医療保険における保険料率はどの程度が限度か。」大変むずかしい問題提起でございますが、よく保険料はもう限度であるというようなことが言われますけれども、果たして、医療保険における保険料率の限度というのはどの程度かという問題。
それから(2)は「累進料率制をとることは妥当か。」という問題。
(3)は、保険料率の労使折半負担の原則、これは果たして妥当かどうかという問題提起でございます。
(4)は「保険料算定の基礎となる報酬の上限をどう考えるか。」それには三つほど考え方がございまして、一つはaとして「応能負担の原則を徹底し、報酬の上限は設定しない。」つまり青天井にするという考え方も一つございましょう。それからbとして「医療保険における受益の面を考慮して、報酬に一定の上限を設ける。」つまり、医療保険の場合には拠出分と受益分というのが必ずしも相リンクいたしません。そういうことも考えますと、全然上限なしの青天井で保険料を取るというのは、果たしてどうであろうかという考え方もございます。そういう意味で、一定のところで限度を決めたらどうかという意見でございます。第三番目はcとして「報酬には一定の上限を設定するが、賃金の伸び等に応じて改定する。」これにつきましては、五十二年の十一月に社保審の意見書が出ておりまして「標準報酬の上下限の改定は可能な限り迅速に行われるべきである。」というようなことが書いてございます。私ども、改正法案ではこの考え方をとっているということでございます。
それから(5)の「保険料算定の基礎となる報酬の範囲をどう考えるか。」ということでありますが、これにも二つ考え方がございまして、一つはaとして「負担の公平の見地から賞与も対象とする。」つまり、決まって支給される給与以外のボーナス等も対象にする方が負担の公平であるという考え方と、bの現行どおり標準報酬制を維持するのだという考え方がございます。私どもは、改正法ではこのaの立場をとっているわけでございます。
それから5の問題でございますが「国庫補助についてどう考えるか」であります。
まず一つは「医療保険における国庫補助のあり方について、社会保険の性格、今後の国家財政を考慮しつつ、どう考えるべきか。」という問題がございます。これは大変むずかしい問題提起でございますが、そもそも社会保険でございますから、西ドイツ、フランスのように、国庫補助を当てにしないで保険料で賄うのが原則だという考え方もございます。それから、それは別にしましても、今後の国家財政、つまり国債依存度が非常に高い国家財政の将来を考えます場合に、そう国庫補助を当てにするわけにいくまい、そういう考え方がございます。そこら辺も考え合わせて、果たして、この国庫補助というもののあり方をこれから、どう考えていくべきかという問題でございます。
(2)は、しからばその「国庫補助の方式をどうするか。」ということでございますが、一つは「定率国庫補助」、いまの政管健保にとられておりますような定率の国庫補助、それからもう一つは「定額国庫補助」、これはいまの健保組合とか船保にとられておりましたような定額の国庫補助がいいかどうか。それからcは「財政力格差を是正するための財政調整交付金による補助」、つまり一律補助じゃなくて、財政力格差に応じてそれを是正するような意味で国庫補助を配分する。これは先ほど申しました国民健康保険に対する財政調整交付金、あれと同じような考え方をとるのはどうか。大体三つくらいの方式があろうかと思います。
それから(備考)に書きましたのは、国民医療費に対していま国庫補助額がどういうふうになっておるか、御参考までにつけております。五十三年度の見込みの欄をごらんいただきますと、国民医療費が十兆二千億、それに対しまして五十三年度見込みでは国庫補助額は全部で三兆円、これは保険だけでございません、公費負担医療なんかも全部入っていますから三兆円でございます。そうしますと、国庫補助率は国民医療費に対して二九・九%、つまり三割を国庫補助で持っている、こういうかっこうになります。
6番目の問題でございますが「差額ベッドについてどう考えるか」という問題でございます。
これについては、一つは「すべてを保険の対象とすることが望ましいので、一切の保険外負担の解消を図る。」という考え方がございます。(備考)で書きましたのは、現在保険外負担になっているもの、これは正確な数字はわかりませんが、推計でございますけれども、大体千二百億くらい差額ベッドの保険外負担があるという推計をされておりますが、それを仮に保険の方へ取り込むということにいたしますと、当然のことながら保険料の引き上げが必要になります。それからさらに、差額ベッドを保険に取り込む場合に、じゃ診療報酬を具体的にどういうふうに決めるか、これは大変むずかしい問題でございます。さらに、たとえば一人部屋、二人部屋を保険で見るというようなことにいたしました場合に、じゃ実際にどういう患者をどこへ入れるかという、患者の選別と申しますか、そういう問題が非常に実際問題としてはむずかしいということでございます。これは御参考までに(備考)で書いておきました。
それから②としまして「差額ベッドの解消状況」でございますが、これは一人部屋、二人部屋、三人部屋に分けまして四年間の解消状況を掲げたものでありますが、最近差額ベッドの解消を強く求めるように行政指導を強化しておりまして、五十三年七月で見ますと、特に三人室以上の差額ベッドの解消を重点的に私どもも努力しているわけですが、二・一%の減になっております。その前は〇・三程度の解消率でございましたが、二・一%の減になっておるということでございます。全部合わせまして計で一・九%、かなり小さいように見えますが、従来の傾向から見るとかなり大幅な改善が図られているということが言えるかと思います。
それから(備考)の三番目は、診療報酬つまり点数表において室料がどういうふうに変わってきたかという問題でございますが、現在五十三年二月では百点、つまり千円でございます。四十七年に三十六点でありましたから、約五年間で三倍に引き上げられているということになります。
それから、この差額ベッドにつきましてもう一つの考え方は「患者の病室に対する特別な需要があることから、ある程度の保険外負担は認める。」という考え方であります。先ほど申しましたように、私どもはこのbの方の考え方をとっております。つまり全部が全部禁止するというのは必ずしも妥当ではないので、患者に需要がある限りにおいては、それが過度にわたってはいけませんけれども、ある程度の保険外負担というのはあっていいのではないかという考え方を私どもはとっております。
それについて三つほど考え方がありまして、一つは、現行より差額ベッドの規制をさらに強化するという考え方。それから、現行どおりとする。現在は一人部屋、二人部屋以外は差額ベッド、室料差額をとってはならぬ、こういうことを言っておりますけれども、そういうことで現状どおりとするという考え方。それからもう一つの考え方は、三人室以上の大部屋、これは室料差額を認めていないわけですけれども、これであっても、たとえば設備が非常にいいとか、あるいは建物が新しいとか、あるいは地域差というようなことを考えて、三人室以上というその収容人員以外の要素も加味して、差額ベッドのあり方を再検討すべきではないかという意見もあろうかと思います。
それから、7番目の問題は「付添看護に関する保険外負担をどう考える」かという問題でございます。
まず(1)の「基準看護病院について」でございますが、現在私どもは、基準看護病院においては付添看護は認めないということで行政指導を強化しておりますけれども、この基準看護病院につきまして、まず一つは「基準看護病院では必要な看護が行われることになっているので、当該病院では付添看護を認めない。」という考え方。それからbとして「基準看護病院においても特別な事情がある場合においては、付添看護を認める。」という考え方もあるかもしれません。
それから(2)として「基準看護病院以外の病院」は、現在私どもは付添看護を別に禁止しておりません。禁止していないばかりではなくて、それが一定の条件に当てはまれば後から看護料、つまりこれは療養費払いでありますが、一定の基準に従って被保険者に一種の償還をするということでいまやっておりますけれども、それについて、ここではaとして「できるだけ基準看護病院としていく。」という考え方。それからbとして「従来どおり療養費払い制とし、単価を引き上げていく。」ということ。この二つが考えられるということでございます。
それから(備考)は御参考までに、診療報酬つまり点数表における基準看護料と基準看護加算、これがどういうふうに移り変わってきたかという推移が載せてあります。基準看護料は四十七年に三十点、つまり三百円でありましたのが五十三年二月の改定で九十一点、九百十円に引き上げられております。約三倍に引き上げられております。それから基準看護加算の方もごらんのとおりでございまして、特に四十九年からは特二類という、上に一つランクが積まれたということがございますが、特一類それから一類、二類、三類、全部四十七年以降ずっと引き上げられております。
それから最後に8として「その他」でございますが「分娩の現物給付化についてどう考えるか。」という問題がございます。これはいま現金給付になっておるわけでございますが、これをaとして「分娩の現物給付を行う。」という考え方と、bとして「現行どおり、分娩費の支給を行うこととし、実情に即してその額を改定する。」という考え方と二つございます。
ただ、ここにはちょっと御参考までに書きましたが、分娩費の現物給付という問題につきましては、一つは基準料金を設定するのが非常にむずかしいという問題。特に、一般医療の診療報酬とのバランスというものを考えて料金を設定しなければいかぬわけですが、これがなかなかむずかしい。それからもう一つは、医療機関以外の助産婦による分娩、助産所などにおける分娩が現にありますので、そういったものの格づけをどういうふうにしたらいいかという、技術的にはなかなかむずかしい問題がございます。
以上で説明を終わります。