社会労働委員会医療保険制度に関する小委員会

1979-03-07 衆議院 全64発言

⚠️ 発言のコピー・転載時は出典元URL(kokkai.ndl.go.jpおよびkokkai-data.com)を必ず残してください。改変・出典削除は禁止です。 詳細は利用規約をご確認ください。

会議録情報#0
昭和五十四年三月七日(水曜日)
   午後二時八分開議
 出席小委員
  小委員長 戸井田三郎君
      相沢 英之君    川田 正則君
      木野 晴夫君    竹内 黎一君
      戸沢 政方君    友納 武人君
      水平 豊彦君    向山 一人君
      湯川  宏君    大原  亨君
      金子 みつ君    川本 敏美君
      村山 富市君    古寺  宏君
     平石磨作太郎君    和田 耕作君
      浦井  洋君    工藤  晃君
 出席政府委員
        厚生大臣官房審
        議官      吉村  仁君
        厚生省保険局長 石野 清治君
        社会保険庁医療
        保険部長    此村 友一君
 小委員外の出席者
        厚生省保険局企
        画課長     小林 功典君
        厚生省保険局保
        険課長     坂本 龍彦君
        厚生省保険局医
        療課長     竹中 浩治君
        社会労働委員会
        調査室長    河村 次郎君
    ―――――――――――――
三月七日
 小委員大原亨君及び工藤晃君二月二十七日委員
 辞任につき、その補欠として大原亨君及び工藤
 晃君が委員長の指名で小委員に選任された。
同日
 小委員和田耕作君及び浦井洋君二月二十八日委
 員辞任につき、その補欠として和田耕作君及び
 浦井洋君が委員長の指名で小委員に選任され
 た。
同日
 小委員金子みつ君及び平石磨作太郎君同月一日
 委員辞任につき、その補欠として金子みつ君及
 び平石磨作太郎君が委員長の指名で小委員に選
 任された。
    ―――――――――――――
本日の会議に付した案件
 医療保険制度に関する件(給付と負担に関する
 問題)
     ――――◇―――――
この発言だけを見る →
戸井田三郎#1
○戸井田小委員長 これより医療保険制度に関する小委員会を開会いたします。
 医療保険制度に関する件について調査を行います。
 前回御報告申し上げましたように、医療保険制度改革の基本的問題につきましては、大きく五項目に分類して順次取り上げていくことになっておりますが、本日は、そのうち給付と負担に関する問題について調査を進めます。
 まず、厚生省当局から、本問題に関する考え方について説明を聴取いたします。小林保険局企画課長。
この発言だけを見る →
小林功典#2
○小林説明員 それでは、お手元にお配りしました資料を御説明申し上げます。
 順番が入れかわって恐縮ですが、一番最後のところに、一枚紙の「医療保険制度の現況」という資料がございます。これから御説明いたします。
 これはもう皆様方御承知のことですので、詳しくは申しませんが、現在、わが国の医療保険制度は、この一番左の欄にございますように、政管健保、組合健保、船員保険、日雇い健保、それから各種の共済組合、そして国民健康保険、こういう制度に分かれております。この上の五つ、政管健保から各種共済組合まで、これが被用者保険あるいは職域保険と呼ばれる保険でございます。それに対しまして、一番下の国民健康保険は地域保険と呼ばれる保険でございます。
 それで保険者は、政管はもちろん国でございますが、組合管掌健康保険は各健康保険組合、それから船保、日雇いはいずれも国、それから各種共済組合、これは各共済組合が保険者になっております。それから国民健康保険は、市町村の経営する国民健康保険と国民健康保険組合で行う国保がございます。ちなみに、組合管掌健康保険はいま保険者が千六百六十六ございます。それから共済組合は御承知のとおりに国家公務員の共済組合、それから地方公務員の共済組合、それから公企体職員の共済組合、それから私立学校の職員の共済組合と、こういう四種類に分かれておりまして、それぞれまた保険者が分かれていますので、保険者数でいきますと八十二組合でございます。それから国保は市町村が三千二百七十二、国民健康保険組合が現在百八十二ございます。
 それぞれの加入者でございますが、次の欄にありますように、政管が本人、家族を合わせまして二千九百万、組合健保が二千六百万、船保が七十万、日雇い健保が六十万、各種共済組合が千二百四十万、国保は市町村と国保を合わせまして四千四百万、こういう構成になっております。
 それから保険給付でございますが、ここにありますように、まず医療給付につきましては、本人の療養給付、これは、被用者保険の方は全部十割給付でございます。それから家族の療養費でございますが、これは全部一応七割になっておりますが、括弧書きで書いてありますように、組合健保と共済組合につきましては付加給付がございます。たとえば家族療養費付加金とか、そういった形で七割以上になる付加給付がございます。これに対しまして、地域保険であります国民健康保険は、本人、家族と言いますよりむしろ世帯主、世帯員と言った方がいいんですが、世帯主、世帯員とも七割ということになっております。それから医療給付で高額療養費制度がございまして、これは被用者保険、地域保険を通じまして全部共通でございます。自己負担が三万九千円を超えた場合にはその超えた額を後から保険者が償還する、こういう仕組みで、これは各制度とも全く共通でございます。
 それから現金給付ですが、被用者保険グループにつきましては、傷病手当金、出産手当金、分娩費これは全く一緒であります。ただここでも、組合健保と共済組合につきましては付加給付が認められております。国保も同じように助産費、葬祭費、育児手当金、こういうものの給付が法律で決まっておりますけれども、法律上これは任意給付とされております。強制的ではなくて任意的な給付とされております。しかし、助産費とか葬祭費はもうほとんど大部分の各保険者が実施しております。育児手当金は約半数ぐらいが実施しているということでございます。ただ、支給額は被用者保険に比べて大分落ちるという現状でございます。
 それから財源の中で、一つは保険料率でありますが、政管健保は御承知のように千分の八十で、八%でございます。それに、現在は特別保険料としましてボーナス等に一%の保険料が掛けられております。それから組合健保は、各組合によってばらばらでございます。大分幅がありますけれども、全組合健保を平均いたしますと七・七%になります。それから船員保険は六・二%でございますが、御案内のように船員保険は、健保、労災、失保、年金の四部門を総合的に実施するいわば総合保険でございますので、その中から職務外の事由による疾病分、つまり健保に並ぶ分を引き出しますと六・二%になる、こういうことでございます。それから日雇いは、一種特異な形態になっておりまして、定額制でございますが、賃金に応じまして一級から八級までランクがございまして、最低六十円、最高の八級で日額六百六十円という保険料になっております。それから各種共済組合も、各共済組合によって違っておりますが、大体五・六四%から上は一〇・六%ぐらいの問に分布しております。それから国民健康保険は、こういう料率というかっこうでとらえられませんので一応額で示してありますが、五十二年度の一世帯当たりの平均の年額でございますが、六万一千七百七十一円ということになっております。
 それから財源の中でその次の国庫負担でございますが、政管は給付費の一六・四%、それから組合健保はこういう定率の補助はございませんで、五十三年度十二億円の定額の補助でございます。なお、これは五十四年度予算では十五億円の予算をいま計上しております。それから船員保険につきましても同様でございまして、定率の国庫補助はございませんで、定額の十二億円でございます。これは五十三年度でございます。これも、五十四年度予算におきましては十五億円に増額するように計上をしております。それから日雇い健保は給付費の三五%でございます。それにプラス六億円の定額の補助がございます。定率と定額の組み合わせというかっこうになっております。各種共済組合は国庫負担はございません。それから国民健康保険でございますが、まず市町村に対する国庫負担としましては医療費の四五%の補助がございます。詳しく申しますと、この四五%といいますのは四〇%部分と五%部分に分かれまして、最初の四〇%部分は医療費に一律にかけられる補助金でございます。残りの五%は各国保の保険者の財政力、市町村の財政力を調整するという意味で、財政調整交付金というかっこうで五%が配分される、こういうことでございます。両方合わせまして医療費の四五%を国が持っている、こういうことでございます。そのほかに、ここにありますように臨時財政調整交付金と申しまして、定額でありますが、五十三年度で千百二十一億円ほどの補助金が出ております。それから国保の組合の分でございますが、これは括弧書きで書いてありますように、医療費の下は二五%から上は四〇%の範囲内でその保険者の財政力に応じて配分がなされるというのが一つと、それからそのほかに臨時調整補助金というのが、五十三年度では五十九億円でございますが、これが別に国庫から出されるということになっております。
 それで、この国庫負担の額をトータルいたしますと、五十三年度で全部で約二兆円でございます。二兆八百億円が五十三年度の国庫負担の総額でございます。これは五十四年度予算におきましては二兆三千百八十億円ほどになります。
 最後の欄は、御参考までに七十歳以上のいわば老齢者の占める割合を掲げたものでありますが、被用者保険は平均で三・三%、そのうち政管はやや平均より高目になっておりまして三・六%、組合はやや平均より低目になっておりまして二・七%、国保が老齢者の占める比率が非常に高くて、七・五%が七十歳以上の者の占める割合だ、こういうことでございます。
 以上が、わが国の医療保険制度の概況でございます。
 次に、縦長の「給付と負担の問題に関する考え方」という資料を御説明いたします。
 これは、先ほど小委員長からお話がございましたように、最初に検討なさいます給付と負担に関する問題について、内容を少し分析いたしまして細分化いたしまして、それぞれの考え方あるいは問題点を一応私どもの方として整理をしたものでございます。
 まず1の給付水準でございますが「平均的給付率」というのは本人、家族をならしたところの平均的な給付率というふうに御理解いただきたいのですが、「給付水準についてどのように考えるか」という問題でございます。
 まず(1)は、そもそも「社会保障としての医療保険の給付率はどの程度が妥当か。」という問題提起でございます。ここには(備考)としまして、お手元にお配りしてありますけれども、四十六年並びに五十二年の社会保険審議会の答申をつけておきました。簡単に言いますと、この両答申では本人、家族とも十割給付が目標である。「目標」という言葉と「目指すべきである。」という言葉があるわけでございますが、十割が目標である。しかし純然たる十割給付ではなくて、適切な自己負担はやむを得ないということでございます。それだけを書いてありまして、本人、家族をあわせて平均何%ぐらいの給付率がいいかというその絶対値といいますか、具体的な給付水準の率はこの答申には明記されておりません。
 それから(2)として「医療保険各制度間の給付格差をどう考えるか。」という問題でございます。その中には、一つは被用者保険における先ほど述べましたような付加給付、つまり健保組合と共済組合に認められております付加給付を認めるべきかどうかという問題。三つ目としまして、これも先ほどの資料でお話ししましたように、被用者保険と国民健康保険の給付水準の差があっていいのかどうかという問題でございます。
 (3)は「負担との関係で給付水準をどの程度とするか。」給付水準だけ決めるわけにまいりませんで、社会保険でございますから、給付水準を決める場合にはどうしても負担を同時に考えなければならぬということは当然でございますが、その負担を頭に入れて給付水準をどの程度にするのがいいかという問題でございます。そこには幾つかの考え方があると思いますけれども、一応a、b、cと三つを並べておきました。
 まず「a 保険料負担率が大幅に増加しても給付水準を現行より引き上げる。」それから「b 保険料負担率の大幅な上昇を避けるため概ね医療保険全体の現行給付水準程度とする。」現行給付水準というのは現在大体八割程度でございます。被用者保険、地域保険、ならしまして全部を平均しますと大体八三%ぐらいになるのですが、おおむね八割給付程度、これが大体現行水準でございます。それから「c 保険料負担率をほぼ現行程度とすることを前提として、給付水準を定める。」これは、保険料負担額というのは当然これから上がっていくのはやむを得ないのですけれども、そうは言っても負担率が、率においては大体現行どおりとすることが正しいということであれば、それを前提として給付水準を逆に決めるという考え方があろうかと思います。これで参りますと、大体逆算いたしますと、保険料負担率をほぼ現行程度とするという前提で組みますと、給付水準はおおむね七・五割ぐらいになります。
 そこで(備考)としてつけておきましたのは、昭和五十八年度に給付水準に対応した保険料がどうなるかという資料でございまして、給付水準についてはいろいろな御意見がございますので、十割給付から下は七割五分給付まで各ランクをつけまして、こういう給付率の場合には、昭和五十八年度には、政管と国保がこれくらいの保険料が要るというのを試みに出したものでございます。「注」にありますように、まず前提としまして、ここで計算しました際には老人医療費は別に計算しております。老人医療分というのは除外いたしまして、残った分について計算をしております。
 そこで、これでまいりますと、ごらんいただけばわかりますが、たとえば十割給付をやろうといたしますと、五十二年度は千分の七十三程度でよろしいわけです。これは先ほど申しましたように老人は除いておりますから、現在の千分の八十という保険料率よりも下がるわけでございますが、現在千分の七十三、それが、十割給付を実施するといたしますと、政管の場合五十八年度には千分の百十一ぐらいの保険料率になる。国保は、現在五十二年度ベースで年額約五万円の保険料でございますが、それが五十八年度に二十一万六千円、現在の四・三倍ぐらいの保険料を払っていただかぬと十割給付はできない、こういうかっこうになります。以下、同じように見ていただけばいいのですが、たとえば八割給付ぐらいにいたしますと、政管の場合には五十八年度で千分の七十七、国保では十一万五千円でございますから、現行の約二・三倍ぐらいになるということでございます。ただ「注」で申しましたように、これは老人を一応外して試算しておりますので、老人分をこれに加算して考えないと、国民の負担感というのはわからないわけでございます。
 それで困りましたのは、老人医療をどうするかということが現在まだ決まっておりませんので、どういうかっこうの負担になるかわかりません。そこで、ごく粗っぽい計算でございましてこれは正確ではございませんけれども、老人医療にかかる分から国とか地方公共団体で見るようなものを除きまして、大体四五%ぐらいは保険料でカバーしなければならぬという仮定を一応置きまして、それを政管健保の標準報酬で割り返して出したのが千分の十一でございます。これは相当粗っぽい数字であることは御勘弁いただきたいのですが、この千分の十一前後は先ほどのたとえば十割給付の場合の千分の百十一に上積みされる、つまり千分の百二十二ですか、その程度の負担を覚悟してもらわぬと十割給付はできませんよ、こういうことを示している資料であるということでございます。
 二ページへ参りまして、「2 本人・家族の給付格差をどうするか」という問題でございます。
 これは二つ考え方がございまして「a 給付の平等の見地から本人・家族の給付率に差を設けない。」という考え方、もう一つは逆に「一家の支柱である本人の給付に重点をおき、本人の給付を厚くする。」という考え方、この二つでございます。
 これも、先ほど御紹介しました社会保険審議会の答申の中でも、本人、家族をあわせて十割を目標とすべきである、その際自己負担はやむを得ない、こう言っておりまして、直接本人と家族に差があっていいかどうかという問題についてはコメントがございません。ただ、お配りしてございませんが、四十六年の制度審議会の答申に、本人と家族の間に格差を残しているのは問題であるという指摘がございます。これは家族の七割給付実現前でございます。家族が五割時代の答申でございますので、いま通用する問題かどうか疑問がないことはございませんが、そういうのが一つあるだけで、ほかはみんな本人、家族間の差について審議会はコメントをしておりません。
 それから「3 患者負担のあり方についてどう考えるか」という問題でございます。
 (1)は「家計負担を考慮して給付率に差を設けるべきか。」という問題でありまして「a 重症の給付率を軽症の給付率より高くする。」という考え方、それから「b 入院の給付率を外来の給付率より高くする。」こういう二つの考え方があろうかと思います。ただ、aの重症、軽症の区別というのは、家計に与える負担がたとえば重症だから重い、軽症だから軽いというふうには直ちに結びつかないという問題がございます。つまり、病気の種類と家計負担への反映ということとは直接一致しないという面がございます。もう一つ、仮に無理をして疾病の種類で分けましても、それじゃどの辺から分けるかという具体的な問題として考えます場合には、非常に技術的にむずかしいという問題がありますので、一応御参考までに(備考)をつけておきました。
 それから(2)の「患者負担の方法をどうするか。」でございますが、これは三つほど書いてございます。
 一つはいわゆる定率の患者負担、たとえば医療費の二割相当額を患者負担とする、こういう意味でございます。二つ目は一定額、たとえば初診時千円、入院時千円というような定額で患者負担を決めるという考え方、三番目には政策的な配慮から特定の物、たとえば薬というようなものですが、これについて患者負担とするという三つの方式がございます。この(備考)にありますような社会保険審議会の意見書は、適正な範囲内においては一部負担はやむを得ないというのが大体一貫したトーンでございます。ただ五十二年十一月には、その社会保険審議会の意見書の中に、一部負担の項の最後のところに、たとえば外来投薬時の一部負担なんかについても検討すべきであるというコメントがついております。これはcの考え方をとったものだと思われます。
 それから、次の三ページへいきまして、これも(備考)でございますが「一部負担割合の事例」としまして掲げております。これはイの「事項別一部負担の場合」でございますが、これは「一部負担割合」と書いてあります。一部負担の割合というのは、言いかえれば、こういう一部負担を取った場合には給付率ではどういう割合の影響があるかという、給付率への影響度合いというふうに考えていただけばいいと思うのですが、それを示したのがこの「一部負担割合」でございます。ただ、これはあくまで御審議の参考までに掲げたものでございまして、厚生省がこれを考えているとか、そういう主観的な判断を交えたものでないことはひとつ御理解いただきたいと思います。たとえば初診時千円を負担してもらうといった場合には、三・六%給付率に影響する。つまり、たとえばこの初診時千円だけを一部負担させた場合には、給付率は一〇〇から三・六を引いた九六・四%になりますか、九六・四%給付というかっこうになるわけです。それから、たとえば投薬時一部負担の薬剤費二分の一負担、一番下の欄で申しますと、一四・八%の影響度がございますので、これだけをとれば給付率は八五・二%になる、こういうふうにお読みいただきたいと思います。それから口の「外来、入院を区別して給付率を定めた場合」これもあくまで参考として示したものでございまして、仮に外来を八割にした場合、入院との組み合わせばこうであるということを示したものでございます。たとえば外来八割で入院を十割にすれば全体的に見ると給付率は八六・八%になる、こういうふうに見ていただけばよろしいわけでございます。
 最後の②の「薬剤比率の推移」は、過去十二年間の医療費の中に占める薬剤費の比率の推移を示したものでございます。
 それから四ページにまいりまして、4の「保険料負担をどう考えるか」という問題でございます。
 まず一つは「医療保険における保険料率はどの程度が限度か。」大変むずかしい問題提起でございますが、よく保険料はもう限度であるというようなことが言われますけれども、果たして、医療保険における保険料率の限度というのはどの程度かという問題。
 それから(2)は「累進料率制をとることは妥当か。」という問題。
 (3)は、保険料率の労使折半負担の原則、これは果たして妥当かどうかという問題提起でございます。
 (4)は「保険料算定の基礎となる報酬の上限をどう考えるか。」それには三つほど考え方がございまして、一つはaとして「応能負担の原則を徹底し、報酬の上限は設定しない。」つまり青天井にするという考え方も一つございましょう。それからbとして「医療保険における受益の面を考慮して、報酬に一定の上限を設ける。」つまり、医療保険の場合には拠出分と受益分というのが必ずしも相リンクいたしません。そういうことも考えますと、全然上限なしの青天井で保険料を取るというのは、果たしてどうであろうかという考え方もございます。そういう意味で、一定のところで限度を決めたらどうかという意見でございます。第三番目はcとして「報酬には一定の上限を設定するが、賃金の伸び等に応じて改定する。」これにつきましては、五十二年の十一月に社保審の意見書が出ておりまして「標準報酬の上下限の改定は可能な限り迅速に行われるべきである。」というようなことが書いてございます。私ども、改正法案ではこの考え方をとっているということでございます。
 それから(5)の「保険料算定の基礎となる報酬の範囲をどう考えるか。」ということでありますが、これにも二つ考え方がございまして、一つはaとして「負担の公平の見地から賞与も対象とする。」つまり、決まって支給される給与以外のボーナス等も対象にする方が負担の公平であるという考え方と、bの現行どおり標準報酬制を維持するのだという考え方がございます。私どもは、改正法ではこのaの立場をとっているわけでございます。
 それから5の問題でございますが「国庫補助についてどう考えるか」であります。
 まず一つは「医療保険における国庫補助のあり方について、社会保険の性格、今後の国家財政を考慮しつつ、どう考えるべきか。」という問題がございます。これは大変むずかしい問題提起でございますが、そもそも社会保険でございますから、西ドイツ、フランスのように、国庫補助を当てにしないで保険料で賄うのが原則だという考え方もございます。それから、それは別にしましても、今後の国家財政、つまり国債依存度が非常に高い国家財政の将来を考えます場合に、そう国庫補助を当てにするわけにいくまい、そういう考え方がございます。そこら辺も考え合わせて、果たして、この国庫補助というもののあり方をこれから、どう考えていくべきかという問題でございます。
 (2)は、しからばその「国庫補助の方式をどうするか。」ということでございますが、一つは「定率国庫補助」、いまの政管健保にとられておりますような定率の国庫補助、それからもう一つは「定額国庫補助」、これはいまの健保組合とか船保にとられておりましたような定額の国庫補助がいいかどうか。それからcは「財政力格差を是正するための財政調整交付金による補助」、つまり一律補助じゃなくて、財政力格差に応じてそれを是正するような意味で国庫補助を配分する。これは先ほど申しました国民健康保険に対する財政調整交付金、あれと同じような考え方をとるのはどうか。大体三つくらいの方式があろうかと思います。
 それから(備考)に書きましたのは、国民医療費に対していま国庫補助額がどういうふうになっておるか、御参考までにつけております。五十三年度の見込みの欄をごらんいただきますと、国民医療費が十兆二千億、それに対しまして五十三年度見込みでは国庫補助額は全部で三兆円、これは保険だけでございません、公費負担医療なんかも全部入っていますから三兆円でございます。そうしますと、国庫補助率は国民医療費に対して二九・九%、つまり三割を国庫補助で持っている、こういうかっこうになります。
 6番目の問題でございますが「差額ベッドについてどう考えるか」という問題でございます。
 これについては、一つは「すべてを保険の対象とすることが望ましいので、一切の保険外負担の解消を図る。」という考え方がございます。(備考)で書きましたのは、現在保険外負担になっているもの、これは正確な数字はわかりませんが、推計でございますけれども、大体千二百億くらい差額ベッドの保険外負担があるという推計をされておりますが、それを仮に保険の方へ取り込むということにいたしますと、当然のことながら保険料の引き上げが必要になります。それからさらに、差額ベッドを保険に取り込む場合に、じゃ診療報酬を具体的にどういうふうに決めるか、これは大変むずかしい問題でございます。さらに、たとえば一人部屋、二人部屋を保険で見るというようなことにいたしました場合に、じゃ実際にどういう患者をどこへ入れるかという、患者の選別と申しますか、そういう問題が非常に実際問題としてはむずかしいということでございます。これは御参考までに(備考)で書いておきました。
 それから②としまして「差額ベッドの解消状況」でございますが、これは一人部屋、二人部屋、三人部屋に分けまして四年間の解消状況を掲げたものでありますが、最近差額ベッドの解消を強く求めるように行政指導を強化しておりまして、五十三年七月で見ますと、特に三人室以上の差額ベッドの解消を重点的に私どもも努力しているわけですが、二・一%の減になっております。その前は〇・三程度の解消率でございましたが、二・一%の減になっておるということでございます。全部合わせまして計で一・九%、かなり小さいように見えますが、従来の傾向から見るとかなり大幅な改善が図られているということが言えるかと思います。
 それから(備考)の三番目は、診療報酬つまり点数表において室料がどういうふうに変わってきたかという問題でございますが、現在五十三年二月では百点、つまり千円でございます。四十七年に三十六点でありましたから、約五年間で三倍に引き上げられているということになります。
 それから、この差額ベッドにつきましてもう一つの考え方は「患者の病室に対する特別な需要があることから、ある程度の保険外負担は認める。」という考え方であります。先ほど申しましたように、私どもはこのbの方の考え方をとっております。つまり全部が全部禁止するというのは必ずしも妥当ではないので、患者に需要がある限りにおいては、それが過度にわたってはいけませんけれども、ある程度の保険外負担というのはあっていいのではないかという考え方を私どもはとっております。
 それについて三つほど考え方がありまして、一つは、現行より差額ベッドの規制をさらに強化するという考え方。それから、現行どおりとする。現在は一人部屋、二人部屋以外は差額ベッド、室料差額をとってはならぬ、こういうことを言っておりますけれども、そういうことで現状どおりとするという考え方。それからもう一つの考え方は、三人室以上の大部屋、これは室料差額を認めていないわけですけれども、これであっても、たとえば設備が非常にいいとか、あるいは建物が新しいとか、あるいは地域差というようなことを考えて、三人室以上というその収容人員以外の要素も加味して、差額ベッドのあり方を再検討すべきではないかという意見もあろうかと思います。
 それから、7番目の問題は「付添看護に関する保険外負担をどう考える」かという問題でございます。
 まず(1)の「基準看護病院について」でございますが、現在私どもは、基準看護病院においては付添看護は認めないということで行政指導を強化しておりますけれども、この基準看護病院につきまして、まず一つは「基準看護病院では必要な看護が行われることになっているので、当該病院では付添看護を認めない。」という考え方。それからbとして「基準看護病院においても特別な事情がある場合においては、付添看護を認める。」という考え方もあるかもしれません。
 それから(2)として「基準看護病院以外の病院」は、現在私どもは付添看護を別に禁止しておりません。禁止していないばかりではなくて、それが一定の条件に当てはまれば後から看護料、つまりこれは療養費払いでありますが、一定の基準に従って被保険者に一種の償還をするということでいまやっておりますけれども、それについて、ここではaとして「できるだけ基準看護病院としていく。」という考え方。それからbとして「従来どおり療養費払い制とし、単価を引き上げていく。」ということ。この二つが考えられるということでございます。
 それから(備考)は御参考までに、診療報酬つまり点数表における基準看護料と基準看護加算、これがどういうふうに移り変わってきたかという推移が載せてあります。基準看護料は四十七年に三十点、つまり三百円でありましたのが五十三年二月の改定で九十一点、九百十円に引き上げられております。約三倍に引き上げられております。それから基準看護加算の方もごらんのとおりでございまして、特に四十九年からは特二類という、上に一つランクが積まれたということがございますが、特一類それから一類、二類、三類、全部四十七年以降ずっと引き上げられております。
 それから最後に8として「その他」でございますが「分娩の現物給付化についてどう考えるか。」という問題がございます。これはいま現金給付になっておるわけでございますが、これをaとして「分娩の現物給付を行う。」という考え方と、bとして「現行どおり、分娩費の支給を行うこととし、実情に即してその額を改定する。」という考え方と二つございます。
 ただ、ここにはちょっと御参考までに書きましたが、分娩費の現物給付という問題につきましては、一つは基準料金を設定するのが非常にむずかしいという問題。特に、一般医療の診療報酬とのバランスというものを考えて料金を設定しなければいかぬわけですが、これがなかなかむずかしい。それからもう一つは、医療機関以外の助産婦による分娩、助産所などにおける分娩が現にありますので、そういったものの格づけをどういうふうにしたらいいかという、技術的にはなかなかむずかしい問題がございます。
 以上で説明を終わります。
この発言だけを見る →
戸井田三郎#3
○戸井田小委員長 ただいまの説明に対し、質疑の申し出がありますので、順次これを許します。
 なお、お一人の発言時間はおおむね五分程度でお願いしたいと思います。
 相沢君。
この発言だけを見る →
相沢英之#4
○相沢小委員 いま給付と負担の問題に関する考え方を拝見して、問題を大変網羅的に挙げていただいているので結構だと思うのですけれども、これは意見になりますが、これから先の審議期間を考えますと、これだけの問題を全部端からやっていくのもなかなか容易なことではないので、ある程度しぼる必要があるのじゃないかと思われることと、それからもう一つ、いろいろ考え方を出しているわけですが、たとえば二ページに「家計負担を考慮して給付率に差を設ける」そのやり方として、重症と軽症の給付率に差を設ける、あるいは入院と外来で給付率の差を設けるというような考え方が出ていますけれども、備考に書いてあるように、実際問題としてこういうことはなかなか実行できないのじゃないか。つまり、区分の基準として給付費の額によって差を設けるということは考えられても、そういう重症とか軽症とか、入院とか外来とかというようなことでは非常に設けにくい。ですから、こういうことは検討の対象としては余り適当でないのじゃないかという気がするので、これは意見ですけれども、最初に申し上げておきたいと思います。
 そこで、五分なので、あと時間は余りないのであれなんですけれども、被用者保険についての付加給付の問題についてです。私は、被用者保険については付加給付というのは当然認めていいのじゃないかと思うのですけれども、厚生省としてはそれをどうお考えになるのかということと、それから付加給付といってもずいぶん態様は分かれていると思うのですね。その実態がどういうふうになっているか、これはその実態をひとつ知らせていただきたい。
 それから、本人と家族の給付格差をどうするかという問題について、本人と家族に給付格差があるのは、長い過去における歴史があるわけですけれども、その格差を設けるという考え方の基本はどこにあるかということをお聞きしたいのです。いままで設けておったその考え方ですね。
 それからもう一点、差額ベッドの問題ですけれども、現在は一人もしくは二人の場合は――一人室というのですか。一人室もしくは二人室の場合は保険給付の対象としない。つまり、これは差額ベッドという表現が不適当なんで、どっちかと言えば差別ベッドというのですかね。ですから考え方としては、そういう場合も保険給付になる限度を越えるところについてのみ患者負担とするという考え方はできないのだろうかと、私はどうもその方が合理的じゃないかという感じがするのですけれども、その点。
 それからもう一つ、一人とか二人ということが原則としてもう保険給付の対象にならないということですが、特別な場合というのは、どういうことか。これは私は実態を知らないからお聞きするのですけれども、ごく重症の患者でもう臨終に近いというような人については、当然これは一人の部屋ということを保険給付の対象と考えてもいいのじゃないかと思うわけです。
 それからもう一つ、将来医療水準というか生活水準の上昇ということとあわせて考えれば、最近は宿屋でも昔みたいな相部屋というのはだんだん利用者がなくなってくる、受験生でもみんな一人部屋に泊るという時代ですから、患者の状況にもよりますけれども、やはりそういう一人部屋とか二人部屋というものも、方向としてできるだけ保険の給付の対象として考えていっていいんじゃないか。その点についてどう考えるか。
 もう一つだけ、基準看護病院ということについて原則は付添看護を認めない、そういうたてまえでやるんだというのが厚生省のお考えのようですが、しかし病院の実態から言えば、特に重態の患者については付き添いがないという状態ではいられないと私は思うのですね。私も親などについて経験がありますけれども、それは基準看護病院だからいいんだというのは、どうも考え方として無理があると思う。だから、むしろそれは付添看護を認める、医者の判断が必要でしょうけれども認める、そういうことにもなっているようですけれども、原則をはっきりして、その看護料も保険給付の対象と考えていくべきじゃないか、こういうふうに思います。
この発言だけを見る →
坂本龍彦#5
○坂本説明員 最初の付加給付の関係について、お答え申し上げます。
 付加給付につきましては、御承知のように政府管掌健康保険では認められておりませんが、健康保険組合では認められております。また、他の法律でございますけれども、各種の共済組合でも認められておるわけでございます。結局、そういった保険者が違うことによって給付に差が出てくる、こういうことはいかがなものであろうかというのが私どもの考え方でございまして、付加給付を受けられる方の方から見ますと、これはいかにもそれだけの負担をして付加給付を受けるのであるからと、当然のことのようにお考えの面がございますけれども、付加給付を受けられないという制度にいる方のことを考えますと、給付の公平という観点からいたしまして、少なくとも医療給付という面においては平等にいたすのがむしろ今後の方向ではなかろうか、こう考えておるわけでございます。
 ただ、付加給付の内容として、医療給付のほかに傷病手当金あるいは分娩費というような現金による給付もございまして、この給付につきましては、いろいろと勤務の状態あるいは各事業所における給与の問題、そういったものもかなり差がございますので、一律にこれを全部外してしまうということもまた実態から見ていかがかな、こういう感じもいたしまして、少なくとも医療に関する給付はできるだけ平等に、それから現金給付に関するものにつきましては、ある程度そういった実態を考慮しながら考えていくのが適当ではなかろうか、こう思っております。
 なお、現在の付加給付の状況につきましては、一番代表的な例は、家族が医療を受けたときの通常の三割自己負担、これに対する家族療養付加金の支給でございます。これも組合によりまして、そのうちのどれだけを支給するかというのはさまざまでございますけれども、これは多いところでは、給付率がちょうど十割になる程度給付をしておるところもございます。ただ通常の場合、満額ではなくてある一定額を差し引いた額を支給しておるようでございます。そのほかには、傷病手当金につきまして一日の支給額を法律で決めております額よりもふやす、あるいは支給期間を法定の期間よりも延長する、あるいは分娩費、埋葬料につきまして金額を法定の額を上回った額にする、そういったような種類のものがございます。
この発言だけを見る →
小林功典#6
○小林説明員 第二番目の本人、家族の格差の問題でございますが、これは実は、健保制度が当時できますときは家族給付はございませんでした。いわば労働者保険として出発したものでございますから、本人だけでございました。それがその後、家族につきましても付加給付のかっこうで給付ができまして、その後に本人、家族とも法定給付、こういうふうにいま移り変わってきたという沿革的な理由がございます。だから、本人、家族に差がついているのは恐らくそういう沿革的な理由によるものではなかろうかと思います。
 ただ外国には、こういう本人、家族別扱いにしている国は、私ども知っている範囲においてはございませんが、日本ではややそういう傾向があると思いますのは、たとえば国保なんかも時代によっては、世帯主と世帯員を給付率を違えていた時期がございます。あるいは過渡的にそういう本人、家族を差をつけていたということはあるかもしれません。ただ皆保険ができてから十数年たってみますと、果たして現段階で本人と家族の差があっていいかどうかという問題を考えますと、私どもは本人、家族は差がない方が妥当であると考えまして、今度改正法案でも、格差を改正するような法案の御審議をお願いしている、こういうことでございます。
この発言だけを見る →
竹中浩治#7
○竹中説明員 差額ベッドと付添看護の問題でございますが、差額ベッドにつきましては、御承知のように現在一人部屋、二人部屋というようなところに入りました場合は、点数で定められております室料だけ、いま百点で千円でございますが、その分だけが保険から支給される。したがいまして、病院側が本来取りたいと思っております室料のうち、保険から給付されます千円を除いた残りの部分を、室料差額として病院が徴収しておるというのが実情でございます。
 そこで一人部屋、二人部屋の場合、特別な場合、つまり重症でございますとか、病院の側が医療上の必要から一人部屋、二人部屋に入れるという場合には差額を取ってはならない、これは保険給付の範囲内でやってもらいたいという指導をいたしております。
 それから将来の問題として、一人部屋、二人部屋をできるだけ対象にすべきではないかという御意見でございますが、確かに全体といたしまして、病院の病室そのものをより近代化していく、より高度化していくということは当然必要でございますけれども、現時点で直ちに一人部屋、二人部屋を保険給付の対象とするということにつきましては、先ほど企画課長が御説明いたしました六ページのaの備考にありますような問題もございますので、直ちにはなかなかむずかしいのじゃなかろうかと思っております。
 それから付添看護の問題でございます。これもなかなかむずかしい問題でございますけれども、私どもといたしましては、家族が付き添うというのはやむを得ないといたしましても、それ以外にいわゆる付添婦がつくということは、医療上そういうことが必要であれば当然保険で給付すべきであるということでございますので、基準看護病院で付添看護を保険給付とするということについては、なかなか問題があるのじゃないか。もう一つは、病院の管理上の問題もございますので、基準看護の病院について付き添いを認める、あるいは保険給付とするということについては、検討すべき問題がいろいろあるのじゃないかと思っているわけでございます。
 以上でございます。
この発言だけを見る →
相沢英之#8
○相沢小委員 差額ベッドということだから、そういうような御説明の実態だと思ったのですが、文章に「特別な場合を除き、一人若しくは二人室の場合は保険給付の対象としない。」と書いてあるので、ぼくはそうかなと思ったのです。この表現はちょっとおかしい。
この発言だけを見る →
竹中浩治#9
○竹中説明員 おっしゃいますように確かに表現が若干妥当ではございませんので、差額が問題にされているということでございます。
この発言だけを見る →
戸井田三郎#10
○戸井田小委員長 大原君。
この発言だけを見る →
大原亨#11
○大原(亨)小委員 あとで同僚委員からも、一回りしまして質問が行われますが、私から三、四点質問いたします。
 日本医師会の武見氏も負担と給付の公平ということを言っているし、それから齋藤幹事長と武見会長の第二項にもそういうことを言っているわけです。これについては原則的に私は異議ないのですね。小沢厚生大臣のときも言っておりました。ただ問題は、長い演説はやめますけれども、つまり所得に応じて個人や法人から税金で保険料を取って保険財政を賄って、今度は必要に応じて公平に給付をしていく、こういう制度から言えば、保険制度ではなしに保障制度が好ましい、いまのように負担と給付の公平ということになれば。そこで、武見氏が言うように、制度間の財政調整から保険の統廃合へという、統廃合の構想なんですが、その考え方は、突き詰めていきますと、やはり私どものそういう考え方を実現する以外には実現のしようがない。しかし私どもは、そういう理念は持っておりますけれども、現実には社会保険の制度を是正するしかないのではないかという議論です。
 そこで第一の質問は、この間ちょっと議論になりましたが、この議論をする前提として、社会保険制度、保険主義の保険制度のメリットをどのように理解しておるか、どのように認識をしておられるかということを列挙してもらいたいと思います。
 それから問題は、給付の公平ということは当然なんですが、給付の公平ということは給付の金額だけではないのではないか、給付の内容が問題ではないのかということですね。たとえば給付の中身の中に、不正請求で出ていくものや水増しで出ていくものや、常識、基準を逸脱したような薬づけとか検査づけとかいうふうな、昭和五十四年度は十兆六千三百億円ですか、その医療給付の中にむだがいっぱいあるということが問題ではないか。
 そのことに関連をいたしまして、政府管掌健康保険と組合管掌を自主的にそれぞれやっておるわけですが、組合管掌の中の中小企業を対象としている、たとえば全国印刷などは三十名ぐらいが一事業所の経営規模ですが、その総合健康保険と政府管掌との中における給付の公平という観点から見ての比較について、適確な資料は後で出してもらってもいいけれども、概括的な理解についてどういうふうに考えているかという点を聞きたい。
 第三としましては、ここにはいろいろな格差についての問題、不平等の問題が出ておりますが、地域間の格差についてどのように実態を把握して、その原因について理解をしているかということですね。たとえば政府管掌でありましても、東京だけが独立をして政府管掌をやりますと黒字になるだろうという、つまり一人当たりの医療費とか一件当たりの医療費について、先般もちょっと質問をいたしましたけれども、それを比較してみて、地域間の格差はまさに給付の格差、十対六、七の程度ですから、これを単なる悪平等的に、給付だけを上に上にそろえるだけではいけないのではないかということですね。
 それから第四で、政府管掌の一番悪い点は、つまり政府管掌へ健康保険組合、共済から労使が負担した保険料をならしていって、そこで払え、こういう議論ですが、給付の中身は、厚生大臣がやっている政府管掌の健康保険が一番悪いと私は思っている。そこでやはり、健康管理について政府管掌健康保険は金を使っていないのではないか。それは制度が悪いのかどうか。それから、審査はほとんど支払い基金で素通りになっておるのではないか。こういう面がぴしっとしなければ、給付とか負担の公平ということを言っても、国民の立場から納得できないのではないかという観点で、政府管掌健康保険における状況について答弁をいただきたい。
 ほかにありますけれども、基本的な問題について質問をいたしておきます。時間が来ましたから、あとは答弁をしてもらって、あとの小委員もおりますから、また質問してもらいたいと思います。
この発言だけを見る →
小林功典#12
○小林説明員 最初の御質問でございますが、要するに社会保険方式のメリットということでございますが、この間も御説明したように、諸外国の例でも、一つはナショナル・ヘルス・サービス方式、税金でお金を集めてそれで一種の国営あるいは県営で給付をする、こういうスタイルもございますし、それから西ドイツ、フランスのように社会保険方式をとるところもある。それはいずれも成り立つ案だと思います。
 ただ、私どもは長年社会保険方式でやってきましたし、社会保険方式でメリットといいますのはいろいろございましょうけれども、やはり一口で言えば、均質な一つのグループをつくって、そのグループの中でいわば相扶共済といいますか、相助け合うという思想のもとに保険を運営していく、これが一番スムーズに医療を確保する道ではないか、こういう考え方が社会保険方式をとる国々の根底にある考え方、こう思いますので、そういう問題と、それから沿革的に長年日本においては社会保険方式でやってきたという、両面あわせまして、私どもは社会保険方式を踏襲する方がいいんではないかという考え方をとっております。考え方はいろいろあると思います。
この発言だけを見る →
坂本龍彦#13
○坂本説明員 第二番目の総合組合健保と政管健保の比較でございますが、総合健保も実態としてはいろいろございますが、平均的な数字として見てまいりますと、たとえば平均年齢につきましては、政府管掌健康保険の場合三十八・三歳、それから総合健康保険組合におきましては三十五・七歳ということで、若干総合健保が低くなっております。それから平均標準報酬月額を五十二年度の平均で見てみますと、政管健保の場合が十三万三千七百二十八円、それから総合健保組合が平均で十六万九十五円ということで、若干総合健保の平均が高くなっております。それから一人当たりの法定医療給付費をちょっと比較してみますと、五十二年度の平均でございますが、政管健保では被保険者一人当たり十三万二千四百十五円、それから総合健保組合の場合には十一万五百八十四円ということで、総合健保の法定医療給付費が若干低くなっております。それから保険料率でございますが、政管健保の場合には五十三年の三月で千分の八十を取っております。これに対しまして総合健康保険組合の全体の平均は五十三年三月で千分の七十八・六五ということで、保険料率も総合健保が若干低くなっております。
 なお、総合健保も、どちらかといいますと中小企業の事業所が共同してつくっておる組合でございますので、いわゆる大企業というのは、それぞれ独自に一つ一つの会社が一つの健康保険組合をつくっておるいわゆる単一健康保険組合という形になっております。したがって、総合健康保険組合の事業所が平均的にどれぐらいの従業員を抱えているかという数字が一つ参考として出てくるわけでございますが、これを政管と比較してみますと、五十三年の三月時点で、政府管掌健康保険の場合一事業所当たり平均して十七人ということになっております。これに対して、総合健康保険組合の場合には平均して一事業所当たり四十人、こういう実態でございまして、若干総合健保組合の方が事業所の規模としては大き目である。
 まあ、大体こういうような違いが出ておるわけでございます。
この発言だけを見る →
大原亨#14
○大原(亨)小委員 国庫負担は……。
この発言だけを見る →
坂本龍彦#15
○坂本説明員 国庫負担につきましては、政府管掌健康保険の方が給付費の一六・四%、それからボーナス保険料に対しまして賞与額の〇・二%というものが出ておるわけでございますが、健康保険組合に対しましては、給付費の補助は、財政状況のごく悪いところに対する臨時的な補助金として、健康保険組合全体に対して五十三年度の場合には十二億円という補助額が支出されておるわけでございます。これは健康保険組合全体でございますから、総合健康保険組合に幾らという基準はございません。健康保険組合全体で五十三年度の予算では十二億円。なお政府管掌健康保険の方は五十三年度の予算で約四千億円の補助額になっております。
この発言だけを見る →
此村友一#16
○此村政府委員 一つは地域間の格差の問題でございますが、これは大原先生御案内のとおり、たとえば五十二年度で被保険者一人当たりの医療給付費を見ました場合、給付費の高い県は奈良、徳島、高知、京都、長崎、低い県は沖繩、東京、山形、静岡、新潟、こういうふうになっておりまして、この問題につきましては、一つには老齢化指数の問題、それからもう一つは医療機関の集中度、その他の問題がいろいろ複雑に絡まり合っておると思います。なおこの中で、受診率につきましては、現実に事業所ベースでとりますと若干変わってまいりますので、私の方ではそういう面の検討もいたしておりますが、いま申しましたようにいろいろな要素が複雑に絡まり合っておる、かように考えております。
 それから第二番目の、政管の健康管理についてどういうふうにやっておるかという問題でございますが、健康管理につきましては、従前から、事業所を対象にいたしまして中高年の疾病予防のための検査を実施しております。それから、昨年からは特に健康づくり対策の一環といたしまして、健康づくりのための諸施策を行っているわけであります。
この発言だけを見る →
大原亨#17
○大原(亨)小委員 そんな答弁、いいよ。
この発言だけを見る →
此村友一#18
○此村政府委員 はい。もう一つは、さっきおっしゃいました審査の関係の問題でございますが、はっきり申しまして、私どもの方はレセプトの点検を実施したいと思っております。五十二年度では百六十六億円の効果を見ておりますが、これは具体的に、たとえば健保組合の場合には資格喪失なんかがわりあいに把握しやすい、そういうような問題があると思いますが、私どもの方もそういう管理面の問題もできるだけ克服するということで鋭意進めておる、そういう点を一生懸命やっておる、こういうことでございます。
この発言だけを見る →
大原亨#19
○大原(亨)小委員 もう時間がないので一つだけ。この中の問題点として一地域間格差が十対六ぐらいあるね。その地域間格差をどうして是正するかという問題を取り上げなかったら、国民から見て負担の公平と給付の公平をすることができないじゃないか。なぜ取り上げないのか、どう考えているのかという質問なんです。それを質問したわけですが、それに答えていない。
この発言だけを見る →
石野清治#20
○石野政府委員 地域間格差の問題は実態としてはつかめるわけでございますけれども、その原因そのものが十分見きわめてきない、そうしませんとまたその対策も出ないわけでございますので、そういう問題点を挙げての一体どうするんだという場合の結論が出しにくい、こういう判断もあったわけでございまして、私、これは全部問題点の主なものを挙げたわけでございますので、もしそういう御意見であれば、それは問題点として挙げるのは結構だと思います。
この発言だけを見る →
戸井田三郎#21
○戸井田小委員長 古寺君。
この発言だけを見る →
古寺宏#22
○古寺小委員 最初に、これは古い資料で私、見ているんでございますが、一九七〇年の国民一人当たりの医療費の比較でございます。これはNHKの海外取材番組で「世界の医療より」という資料によるわけでございますが、日本は当時は非常に低いわけでございまして、日本の医療費の中に占める薬剤費が四二%、イギリスは一〇%、スウェーデンが一二%、アメリカも一二%、こういうふうになっているのですが、アメリカの当時の国民一人当たりの医療費を十万円と見ますと、日本の場合は三万円にまだ到達しておりません。これを今度は国民一人当たりの薬剤費の実額で見ますと、これは社会保障ハンドブックのナンバー六百八十と六百八十一でございますが、日本は一万五百円、アメリカが一万二千円、スウェーデンが九千六百円、こういうふうに出ているわけでございまして、この薬剤費の実額と、それから医療費に対する薬剤費の比率を計算してまいりますと、日本の国民一人当たりの医療費というものは、一九七〇年の時代では非常に低い医療費だったわけでございますが、それから大分年代も過ぎておりまして、日本は経済大国になったわけでございますので、医療費も相当伸びていると思うのでございますが、日本とイギリスとスウェーデンとアメリカの国民一人当たりの医療費の比較表、これをぜひひとつ御提出をしていただいて比較をしてみたいと思いますので、よろしくお願い申し上げたいと思います。
 それから次に、これは保険年鑑の資料でございますが、健保組合と政管健保の収支の比較を見ますというと、付加給付費と保健施設費というのがございます。それから実際にいわゆる医療に使われている部分とありまして、私の手元の資料によりますと、健保組合は昭和五十年度におきましては九百三十六億が医療費、六百四十五億が付加給付費、八百十四億が保健施設費、五十一年度におきましては、これが一千百二十億、七百二十八億、八百九十六億、五十二年度になりますと、一千六百六十八億、七百七十四億、保健施設費は九百七十六億、こういうふうになっているわけでございまして、いわゆる付加給付とそれから保健施設費が占める割合というものは非常に高いわけでございますが、先ほど御提出をいただきました「医療保険制度の現況」の中にはちょこちょこっと「付加給付あり」、これしか書かれてございませんので、この付加給付を加算した場合に家族の療養費というものは何割給付になるのか、それからまた、この保健施設費というものを医療の方に全部これを割り当てた場合には、それでは全体の給付率というものはどのくらいになるのか、こういうものを出していただきませんと比較ができないわけでございますので、ぜひこれを出していただきたいと思います。
 それから、時間が余りございませんのであれでございますが、入院料の問題でございます。この入院料の中には暖房費あるいは冷房費というものが含まれているのかどうか。もし含まれていないとすれば、そういう暖房費あるいは冷房費というものについてはこれは保険外負担として認めるのかどうか、この点についてお伺いしたいと思います。
この発言だけを見る →
小林功典#23
○小林説明員 最初のアメリカ、スウェーデンを含めた外国の国民医療費の比較でございますが、これは資料として提出いたします。
 それから、二番目の健保組合の関係につきましても、ここで御説明するのもちょっとなにですから、資料として提出させていただきます。
この発言だけを見る →
竹中浩治#24
○竹中説明員 入院料の中に暖房費、冷房費が含まれているかどうかという御質問でございますが、御承知のように北海道には特別療養手当というのがございまして、療養担当手当でございますが、これは御承知のように大変古い歴史のあるものでございまして、これを除きますれば、いまのところ、暖房、冷房に要する経費については入院料の中でお考えをいただきたい。したがいまして、暖房に要する経費、冷房に要する経費を保険外負担として徴収することは因りますということで、医療機関に申し上げておるわけでございます。
 なお、今後暖房、冷房の問題は恐らくもっと普及することになろうかと思いますが、それについてどう扱っていくかということに関しましては、今後点数改定の際に、入院料をどうするか、暖房、冷房も含めてどう考えていくのかということで検討したいと思っております。
この発言だけを見る →
戸井田三郎#25
○戸井田小委員長 和田耕作君。
この発言だけを見る →
和田耕作#26
○和田(耕)小委員 国庫補助の問題についてお伺いしたいのでありますけれども、この前勉強しましたドイツとかフランスの場合には国庫補助という形の経費は非常に少ない、きわめて補足的な意味しか持っていない。日本の場合は、同じ保険制度を基盤にしておりながら、いまのままだと国庫補助の額がどんどんふえていくということになりかねないと思うのですけれども、この問題を将来の問題としてどのようにお考えになっておるのかということですね。たとえば、きょうは給付と負担の問題ですけれども、老人保健制度というのがもう計画の中に入ってきておると思うのですが、こういう問題を考えてみないと、なかなか各制度間の給付等の問題についても考えにくい問題があるわけです。国庫補助というものは、たとえば老人保健制度を創設する場合に大きな金がかかる、こういうふうなものに国庫補助を主として充当していく、あるいは差額ベッドあるいは付添看護婦という保険外負担の問題もできるだけ早く解消しなければならないけれども、こういう問題に国庫補助の資金を充当していくというふうに考えるのが私は本当じゃないかというふうに思うわけです。したがって、国庫補助を今後は、各保険制度に定率とか定額とかいう形でバランスをとることを考えるよりも、そういうところには保険料を上げるとかあるいは一部負担を導入するとかいろいろなことをやってバランスをとりながら、抜本改正をする場合においてこれから新しくやらなければならない問題、あるいは臨時にたくさんのお金がかかるような問題に国庫補助を投入するとか、そういう考え方ができないものか、こういう問題についてお伺いしたいのです。
この発言だけを見る →
石野清治#27
○石野政府委員 大変むずかしい問題でございますけれども、いま先生がおっしゃったように、確かに、現在の医療保険制度が社会保険方式をとりながら相当多額の金額を投入しているという面はございます。これは国保を除きますと、まあ国保は別でございますので国保を除いて考えなければいかぬわけでございますけれども、そういう場合でもなおかつ四千億以上のものをつぎ込むことが、本当にそれがいいのかどうかという反省は確かにございます。しかしやはり、政府管掌健康保険というのは御存じのように体質的に非常に弱い体質のものでございますので、その体質の差によって、ある程度の国庫負担を導入するという考え方はこれはとらざるを得ない。問題は、それを無制限に伸ばしていっていいのかということになった場合に、これは反省しなくちゃならない問題がございまして、そういう場合に、いまおっしゃったように、何といいますか、医療給付費ではなくて保険外負担とか新しいものをやるときに国庫負担を導入するという考え方は、確かに成り立ち得ると思います。
 いままでの国庫負担がふえてきましたのはやはり給付改善をする、その給付改善をする場合にむやみに保険料を上げられない、そこで国庫負担でもある程度導入して、五割を七割にするとかいうことをやってきたわけでございますね。そういう意味での一つの反省というものは私どももしておりますけれども、これもいままでやむを得ない事情もあったと思うのです。問題は、これ以上にどんどんこのまま伸びていけるのかどうかということについては私どもも疑問を持っております。いまのお考え方、確かに一つの考え方ではあると思いますけれども、これはなかなか合意を得るのがむずかしい面もございますので、大いに議論をしていただきたい、こういうように考えております。
この発言だけを見る →
和田耕作#28
○和田(耕)小委員 この問題は、特に各保険制度にわたって具体的に検討してもらいたいと私は思うのです。これは現在の国庫負担を減らせということを言っているわけではなくて、これ以上ふやさないで、そういういままで申し上げたような方向に金を使う、そして一部負担のことも、私どもも、かなり政府案よりも物によっては多くの一部負担を考えている問題がありますけれども、いわゆるいろいろな現在の医療制度のゆがみなどを直すためには、国庫補助を出すことじゃ直らないのです。やはり本人に適正な負担をしてもらうとか、そういうことが必要なんです。ただ、問題がある、要求があるからといって国庫補助という形で解決するようにしないで、もっと内部的な問題点も改革していくというふうにしながら、と同時に、国庫補助を全体としてはもっともっとたくさん出さなければいけないと思うのです。供給体制の問題もあります。それからいろいろな健康管理の問題もあります。全体としては国庫補助、国庫負担をもっともっと多くしなければならないけれども、その負担はやはり、いまのような形の保険料にかわるようなものであったり、あるいは強い者が要求したらその要求を聞くようなものであったり、何かそうなることを変えていかなければならないというふうに私は思うのです。ぜひともひと?一の問題を、いろいろ大変問題が起こってくるわけですけれども、こういう問題に入っていかないと抜本の問題には入っていけないという感じもしますので、御検討賜りたいと思うのです。
この発言だけを見る →
石野清治#29
○石野政府委員 よくわかりました。ぜひ検討させていただきます。
この発言だけを見る →
← 戻る