坂本龍彦の発言 (社会労働委員会医療保険制度に関する小委員会)
⚠️ コピーしたテキストを転載する際は、転載元URL(kokkai-data.com)および原典URL(kokkai.ndl.go.jp)を必ず残してください。発言内容の改変・出典削除は禁止です。
詳細は利用規約をご確認ください。
○坂本説明員 私から、三ページ以下を御説明申し上げます。
三ページは医療保険制度の疾病予防等の状況でございます。
まず、政府管掌健康保険でございます。
ここに事業の内容として保健指導宣伝費、疾病予防費、体育奨励費と分けまして、五十年度から五十二年度までの金額が示してございます。
保健指導宣伝費といたしましては五十年度四千万円、五十一年度五千万円、五十二年度五千万円でございます。これは各種の健康思想の普及宣伝あるいは被保険者教育というものでございます。それから、疾病予防費といたしましては五十年度十八億四千万円、五十一年度十八億四千万円、五十二年度十八億七千万円でございますが、これは下にもございますように、中高年齢者の被保険者四十歳以上の人につきまして、いわゆる成人病、
これの予防検査を実施いたしております。それから、インフルエンザの罹患を予防するために、インフルエンザウイルスワクチンの予防接種も実施いたしております。また、結核につきましても早期発見のための検診を実施いたしております。それから、体育奨励費といたしましては、各種の体育行事でございますが、五十年度三千万円、五十一年度三千万円、五十二年度三千万円、こういう状況でございます。
四ページにまいりまして、健康保険組合関係でございます。
ただいま申し上げましたのと大体同じような内容で実施をいたしております。保健指導宣伝費が五十年度七十六億円、五十一年度八十二億円、五十二年度九十一億円。疾病予防費が五十年度二百六十七億円、五十一年度三百八億円、五十二年度三百三十二億円。体育奨励費が五十年度七十七億円、五十一年度八十一億円、五十二年度八十八億円でございます。
なお、健康保険組合におきましては、保健婦を設置いたしておるところが五十二年十二月末で百三十三組合、保健婦の数が三百八人でございます。活動の例といたしましては、下に書いてございますように健康診断、健康相談、健康教育、訪問活動、その他というように、できるだけきめ細かく、各種の需要に応じて疾病予防活動を行っておるわけでございます。
次に五ページにまいりまして、国民健康保険でございますが、これは各市町村及び国民健康保険組合の全体の数字でございます。
五十年度が二百九億円、五十一年度が二百二十九億円、五十二年度が二百五十八億円。これだけの保健施設費を使って活動をやっておりますが、内容は大部分が保健婦の活動でございます。ただ、注にございますように、五十三年度からは国保保健婦は市町村保健婦として活動することになりましたので、五十三年度以降は主としてその活動費だけを計上することになるわけでございますが、ここでは具体的な例を二、三お示ししてございます。
茨城県の茨城町におきましては未熟児出生、乳児死亡、歯科疾患、胃腸疾患、脳卒中後遺症による寝たきり患者が多いというような問題がございますので、保健婦ステーションを拠点にいたしまして、母子健康相談、家庭訪問、血圧相談、生活機能訓練活動、こういうものを実施いたしまして、こういった疾病に係る死亡等が減少をいたしたという効果が見られておると聞いております。
富山県の入善町におきましては、老人医療費が非常に国保財政を圧迫しておるということから、特に寝たきり病人の訪問や実態調査をいたしまして、保健婦ステーションを拠点として民間組織の全面的な協力によって、町ぐるみの保健活動を行っているということでございます。
それから、静岡県の佐久間町でございますけれども、山合いの非常に狭い土地でございまして、妊産婦の併発症、乳幼児の死亡件数、慢性疾患の治療中断、こういったようなものが多いという実態がございまして、母子健康センターを拠点として、大学の公衆衛生学教室あるいは隣接県の関係機関の協力を得まして、母子保健活動、僻地巡回検診、健康相談、個別保健指導等をきめ細かく実施いたしまして、新生児の死亡ゼロというような結果をもたらしておるのでございます。
六ページにまいりまして、大きな項目の第二番目でございます。健康保険組合におきまして家族療養費等がどういう状況になっているかということでございます。
一番上に被扶養者の診療費とございます。これは実は推計でございまして、その下の法定給付費のうちの家族療養費、これが実は五十二年度の決算として出ておりますが五千七百五十九億六千五百万、これは七割給付でございますので、一番上の被扶養者の診療費はこれの七分の十という推計でございます。これが被扶養者に係る診療費の合計でございまして、それに対しまして、高額療養費が二百六十八億一千七百万円支給されるわけでございます。そういたしますと、この高額療養費が被扶養者の診療費に対する割合といたしましては、右にございますように三・三%に相当いたします。したがって、高額療養費を含めた給付率としては七三・三%ということになるわけでございます。
なお、一番下に家族療養附加金が六百七億五千七百万円と出ておりまして、これを被扶養者の診療費との比較で見ますと、七・四%に相当するわけでございます。
それから、注にございますように、保健施設費につきましては、五十二年度で組合全体で九百七十四億八千万円支出されております。
次に七ページにまいりまして、政管健保と健保組合の比較でございます。
政管健保と組合健保全体、それから、組合健保の中でも比較的中小企業が多いと言われております総合健保組合を別掲でお示ししてございます。それぞれ平均年齢、扶養率、平均標準報酬月額、平均保険料率、被保険者一人当たり保険料額、法定保険給付費、法定医療給付費、一事業所当たり被保険者数、給付費補助金、被保険者一人当たり給付費補助金、こういう項目のほかに、診療諸率といたしまして、被保険者、被扶養者ごとにそれぞれ数字を示してございます。
概して見ますと、政管健保は平均年齢が健保組合より高うございますが、総合健保組合は政管健保と組合健保の中間あたりになっておるようでございます。
扶養率につきましては、政管健保よりも組合の方が高いという傾向がございます。
平均標準報酬月額は健保組合が一番高いわけでございますが、総合組合は政管健保と組合全体との中間ぐらいのところに位置しております。
平均保険料率につきましては、政管健保が千分の八十、健保組合全体では千分の七十七・三でございます。総合健保がその中間にございます。以下、被保険者の一人当たりの金額等につきましても、大体政管健保と健保組合全体の間に総合健保組合が来ているというような状況がうかがわれるわけでございます。
ただし、給付費の補助金につきましては政管健保に圧倒的に定率で出ているわけでございまして、健保組合は予算補助で定額を八億円、五十二年度に交付してございます。この八億円のうち二億五千万円が、総合健保組合に結果的に支給されたという形でございます。
なお、診療諸率の方につきましては、被保険者一人当たりの件数、いわゆる受診率でございますけれども、これは政管健保が組合健保よりも高くなっております。一件当たり日数もやはり政管健保が組合よりも高くなっておりますし、一日当たり金額、これはむしろ総合健保組合が一番高いという結果がございます。一件当たり金額といたしましては政管健保が高くなっておりまして、総合健保組合が政管と組合全体の中間に来ております。
被扶養者につきましては、むしろ健保組合の方が被扶養者一人当たりの件数が多いようでございます。一件当たり日数は政管が高くなっておりますが、一日当たり金額も同様政管が高い、また一件当たり金額も政管が高い、こういう傾向が見られるわけでございます。
次にまいりまして八ページでございますが、制度の管掌別に、診療報酬の審査・支払いの件数と手数料の額をお示ししてございます。
第一番目に、社会保険診療報酬支払基金の取り扱いでございますけれども、政管健保、船員保険、日雇健保、共済組合、健保組合ごとに、五十二年度の取り扱い件数と審査・支払い手数料、これは一件当たり四十九円となっておりますので、件数にその単価を掛けた金額でございます。一番右には、そのうちの審査のみの手数料を再掲で掲げてございます。審査のみの手数料は二十三円七十銭、こういう単価になっております。
なお、制度ごとに被保険者数に相当の差がありますので、備考として被保険者数と被扶養者の合計の数をお示ししてございます。
それから二番目に、国民健康保険の方でございますけれども、これは各県の国民健康保険団体連合会で審査・支払いを行っております。国民健康保険の診療の取り扱いは、一番左から二番目の件数でございます。その次に審査・支払いの手数料でございますが、これはちょっと字が読みにくうございますけれども、全国平均三十八円十四銭となっております。これは下にございますように、都道府県によって単価が異なっておりますので、これは全国の平均数値でございます。そういたしまして、この取り扱い件数に単価を掛けたものが審査・支払いの手数料でございます。
なお、国民健康保険関係の被保険者、これは本人、家族の別はございませんで、全部の合計の数字が約四千四百万人、こういう状況でございます。
それから九ページにまいりまして、各制度別の診療件数及び受診率の推移、制度ごとにいわゆる病人の率が多いかどうかという一つの参考になるかと思います。厳密な病人という数はちょっと出にくいわけでございますが、いわゆる受診率ということで大体の傾向はおわかりになるのではないかと思ったわけでございます。
四十八年度から五十二年度まで、政管健保と組合健保と国保に分けまして、政管と組合はそれぞれ被保険者、被扶養者ごとに一人当たりの受診率を出しております。これで見ますと、いわゆる受診率は年を追って若干伸びておるようでございます。各制度とも微増の状態と言ってよろしいかと思うわけでございます。
なお、各制度別に見ますと、大体受診率から見まして、四十八年度から五十二年度まで政管健保の本人が一番高いわけでございまして、国保が一番低いわけでございます。なお、被扶養者につきましては政管健保よりも組合健保の方が少し高くなっております。大体、各制度間の比較はおおむね毎年度そのような状況にあろうかというふうに思われるわけでございます。
次に十ページにまいりまして、六番目でございますが、各制度の六十五歳以上加入者の割合をお示ししてございます。制度ごとにいわゆる老人の加入割合というのは相当違うのではないかということでございますが、六十五歳から六十九歳までの人と七十歳以上の人に分けまして、さらにそれらを合わせまして、六十五歳以上全部という数字を比率でお示ししてございます。これは被保険者と被扶養者とを合わせた数でございます。
政管健保が六十五から六十九までは二・四%、七十歳以上が三・六%、六十五歳以上全部では六・〇%でございます。組合が六十五歳から六十九歳が一・六%、七十歳以上が二・七%、六十五歳以上では四・三%であります。日雇健保は六十五歳から六十九歳が六・九と高くなっております。また七十歳以上も七・九というふうに高くなっておりまして、六十五歳以上一四・八%という比率でございます。船員保険は六十五から六十九は二・〇、七十歳以上は四・〇、六十五以上は六・〇でございます。国民健康保険は六十五から六十九が五・一、さらに七十歳以上は七・五というふうに高い数字でございまして、六十五歳以上が、一二・六%と、これも相当高い比率になっておるわけでございます。
次に十一ページにまいりまして、七番目でございますが、主要国の国民医療費の比較でございます。
外国の国民医療費につきましてはいろいろと資料を探してみたわけでございますが、一九七〇年と一九七五年に、アメリカ、イギリス、スウェーデンと日本の比較の数字がございます。ただ、これは、注にございますように、各国におきまして国民医療費の内容というのが非常に差がございまして、日本の国民医療費と相当違う面がございますので、この比較につきましてはいろいろと一概には言えない面もあろうかと存じますが、数字につきましては、一番左に、国民医療費そのものを各国通貨で表示してございます。それと人口の数でございます。そういたしますと、これはもちろん人口によって規模が違いますので、やはり一人当たりの国民医療費というのが一番比較しやすいわけでございまして、一番右にございます円換算の数字というのが実質的な比較になろうかと思います。
一九七〇年が日本で約二万四千円、アメリカが八万九千円、イギリスが三万一千円、スウェーデンが十一万円という数字でございます。また一九七五年におきましては日本が約五万八千円、アメリカが約十二万四千円、イギリスが約六万一千円、スウェーデンが約二十六万二千円となっております。
下の(注)にございますように、国民医療費はアメリカでは病院医療費、医師及び歯科医師による診療費、薬剤費、こういうものでございますけれども、非常に自由診療の部分が多いという状況がございます。また、イギリスの国民医療費につきましては公衆保健サービス及び管理運営費を含んでおりますし、スウェーデンの国民医療費につきましては公衆保健サービス、分娩サービス、両親手当、移送・交通費、管理運営費、つまり病院の建設費等につきましてははっきりいたしませんけれども、こういった要素を含んでいるということでございます。
なお、参考といたしましてNHKの「世界の医療」「社会保障ハンドブック」という資料があるわけでございまして、前回御議論の中にこの資料の名前が出たわけでございますけれども、私どもで調査いたしました結果では、一九七〇年におきまして一人当たりの医療費が、概算でございますけれども日本では二万五千円、アメリカで十万円、イギリスで三万円、スウェーデンが八万円、こうなっております。ただし、この数字の出典と総医療費あるいは一人当たりの医療費の算出方法はちょっと私どもでは明らかにし得なかったということでございます。
十二ページにまいりまして、八番目に社会保険方式のメリットというのはどういうものがあるかということでございます。私どもの方で審議会の御意見等を参考にいたしましてまとめたものが、これでございます。
社会保険方式のメリットといたしましては、公共保健サービス方式との比較において次のようなものが考えられます。
第一に、社会保険方式では、均質の集団を単位といたしまして、自己責任の精神と相互扶助の精神にのっとった運営が行われ、一般的に保険者の運営努力と加入者の連帯意識が期待できますので、保険集団の属性に適した運営方法をとりやすいということでございます。
なお、社会保障制度審議会の昭和二十五年の「社会保障制度に関する勧告」におきましては「社会保障の中心は、国民の自主的責任の観念を害することがあってはならないことから、自らをしてそれに必要な経費を拠出する社会保険制度でなければならない」こう述べられております。
第二に、社会保険方式では、負担と給付の関係が明確であるために、保険料負担についての認識が得られやすいという点がございます。また、租税を財源とする場合のように、他の施策との競合関係というものがありませんので、安定した自主財源が確保できるというメリットがございます。
第三に、欧米諸国の例によって見ますと、社会保険方式をとっている国は自由開業医制でございますけれども、公共保健サービス方式をとっている国は公営医療となっているというのが通例のようでございます。したがいまして、公営医療化の実現が困難な事情にある国におきましてはどうしても社会保険方式をとるということになるようでございます。
なお、社会保障制度審議会の昭和三十一年の「医療保障制度に関する勧告について」の中におきまして「医療保障制度の理想的形態については意見の分れるところであるが、いま直ちにわが国において、英国流の公営医療を実現することは恐らく至難であろう。」途中を略しまして「わが国の医療保障制度が保険主義をとり、しかも当分の間は二本建をとらなければならないのは、一つには、わが国の医療制度が英国のような公営医療を実現し得るような体制になっていないことに基づく。今日多くの国が公営医療主義よりは保険主義をとっているのも、全くかかる理由からである。すなわち、原則として医師を公務員もしくはこれに近い地位に置き変えない限り、公営医療の実現は困難であるからにほかならぬ。」
また「公共保健サービス方式を採用しているイギリスでは、医師は自由に開業することはできず、一般家庭医として開業することができても、当該開業医に登録された地域住民の診療のみを行う仕組みとなっている。専門的な治療や入院施療は病院の担当とされているので、日本のように医師が個人で入院施設を持つことはできない。また、医師の報酬は出来高払いではなく、原則として人頭払いである。」ということになっております。
最後に、十四ページに参考といたしまして、現在、欧米諸国でとられている社会保険方式と公共保健サービス方式の違いをお示ししてございます。
運営主体につきましては、社会保険方式は保険の主体たる各保険者、公共保健サービス方式は政府あるいは地方公共団体でございます。
給付の範囲につきましては、社会保険方式では、保険の原理から、予測可能な疾病予防等は原則として保険の対象外となり、公衆衛生等他の施策の対象とされるわけでございますが、公共保健サービス方式では、疾病予防からリハビリテーションまで含んだ包括的医療を一つの制度で行っております。
医療供給形態といたしましては、社会保険方式は原則として自由開業医制でございますが、公共保健サービス方式は公営医療体制、医師の公務員化等でございます。
患者に関する制約といたしましては、社会保険方式では原則として制約はございません。医師は患者が自由に選択することになっております。公共保健サービス方式では人頭登録制、あるいは入院する場合の制約といったような規制がございます。
財源は、社会保険方式では原則として保険料でございますが、公共保健サービス方式では租税でございます。
なお、欧米諸国のうちで社会保険方式を採用している国は、西ドイツ、フランス及びアメリカでございます。公共保健サービス方式を採用している国は、イギリス及びスウェーデン。ただし、スウェーデンについては入院のみ公共保健サービスでございまして、外来は社会保険方式をとっております。
以上で、資料の御説明を終わります。
—————————————