戸叶武の発言 (公害対策及び環境保全特別委員会)
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○戸叶武君 高度経済成長におけるマイナスの面が公害としてあらわれたのは事実であると思います。高度経済の成長なしに日本の前進はあり得なかったでありましょうし、いまでもそのラッパ吹きの下村君あたりがゼロ成長にしろと言うが、ゼロ成長というわけにもいかないでありましょう。そういうときに、私たちは、盾の両面というわけじゃありませんが、やはり高度経済成長によって荒っぽく自然破壊がなされたその傷をどうやって埋めるかというのは政治における重要な課題だと思うのであります。ですから、アセスメント法案を環境庁で幾たびか練っても、高度経済成長の妨害になるのじゃないかというふうなあさはかな考えから、財界の方の人たちからはクレームがついております。政府は、財界に対してはばかに腰が弱くて、国会の方は無視します。国民の声というものが通らないで、一部の人たちの声のみがすぐに敏感に内閣に反映しておりますが、財界の人でも相当見識ある人はそうは言っていられないぞという反省も出ていると私は思うのです。
御承知のように、近代的な労働組合運動が起きる前におけるイギリスの高度経済成長政策が行われた近代資本主義の発展の初期におきましては、大変ひどい労働条件のもとに労働者は働かせられ、機械が発明されても機械のために労働者が首になるというようなことが随所に起きたときには、日本の徳川末期における國定忠次みたいな人間が義賊になってそうして機械を破壊するというようなラッダイト運動などというものも起きたのであります。そういう破壊からは何も結論が生まれないというところに近代的なトレードユニオニズムの発展があったと思うのでありますが、やはりいまの新左翼と言われるような人たちのむちゃくちゃな破壊による革命の絶叫というものはわれわれから見ればどうも頭が変なのじゃないかと思っておりますけれども、こういうふうな矯激な人たちをすらも輩出したというのも、これも公害の一つだと思うのです。政治は、もっとノーマルに、もっと話し合いで具体的に問題を解決するということが処理されていかなければ、私は思わぬ混乱というものが生まれてくると思うのです。
そういう意味において、いまのアセスメント法案は、あなたの言うことだから、あなたから初めて聞くんだから素直に私たちは聞いておりますが、いままでの政府は、言うだけは言って、言い逃れでその場をごまかすという官僚特有の小ずるさがつきまとっておったと思うのです。もうそれでは済まなくなったと思います。そういうところに、私は、石油をめぐるイラン革命以後における世界の発想というものが、アメリカ流の力、ソ連流の力の外交では片づかないところまで来たと思います。力じゃないです。やっぱりお互いの立場立場を理解し合って、どうやってもう一度自然と人間との融合を取り戻すかという重大な課題がこの公害対策の中には含まれております。そういう意味において、あなたは、お人がいいだけじゃなく、なかなか見識人だということを承っているので、やはり何のための環境庁かわからないようなところでいまの各省から出てきたまじめな人たちはいつまでも働いているわけにはいかなくなると思います。あなたの取り上げた感激を与えなければ、政治の躍動というものと発想の転換は出てこないんです。いまが最期のころです。いまの政界のようなヘドロの世界になったら、救いようのない、手直しのできないようなところへ来ちゃって、ここが終点ですからどうぞお降りを願いますということを告げなければならないようなところまで来たのじゃないかと思います。環境庁の方にもここは終点ですからもう解体を願いますと言われない前に、環境庁はまだ生きているんだ、諏訪湖のように死んだ湖にはなっていないというだけの活力をやはりあなたによって取り戻してもらいたいというのが念願ですから、言葉だけでなく、ひとつ未来を先取りするために、戦争と公害の問題は今後における政治の最大の課題です。戦争をなくさせるということと公害をなくするということは。それを御承知の上であなたの大任を果たしてもらいたいと思います。これは希望ですが。
そこで、問題は、勇気を持つ者が——具体的に水資源以外に資源らしきものはなしとまで言われている滋賀県において、滋賀県知事、知事だけの発意ではないでしょうが、一丸となっての県会での宣言がなされました。あの琵琶湖の富栄養化阻止条例、十月十六日の、このことが成立したことは、燐を含んだ合成洗剤の販売、使用を禁止し、工場、事業所の排水に対し、窒素、燐を規制する全国で初めての条例でありますから、この影響するところは私は大なるものがあると思います。市民闘争と結びついて、いまのような中央政府が怠慢ならば、主権者である国民の力を結集してこれに対応しようというようなコミュニティーのコミュニケーションを通じての市民闘争というものが私は随所に起きてくると思います。一部のいままでの急進的な人々の運動というよりは、大衆運動として日本の政治を新しい角度から揺すぶる一つの勢いがここから生まれてくると思います。その滋賀県における具体的な条例の成立、それがどのように現在各方面に影響しているか、直ちに霞ヶ浦にも波及しているようですが、霞ケ浦だけではない、全国的に私はこの問題が閉ざされた国会をぶち破って直接住民運動と結びついて国民の政治活動に活力を与えるきっかけになると思いますが、どういうふうに環境庁ではそれをとらえておりますか。