高沢寅男の発言 (外務委員会)
⚠️ コピーしたテキストを転載する際は、転載元URL(kokkai-data.com)および原典URL(kokkai.ndl.go.jp)を必ず残してください。発言内容の改変・出典削除は禁止です。
詳細は利用規約をご確認ください。
○高沢委員 いま大臣からはフロート制の果たしている役割り、意味を御指摘になったわけですが、私もそのことは認めるわけでありますが、フロート制というのは一つのシステム、一つの制度であって、そのシステム、制度の中身がやはり問題じゃないかと思います。
その中身を考える場合に、国際通貨体制の基軸通貨がドルである、そのドルに非常な問題がある、これが国際通貨制度の不安定性の最大の原因になっておる、こういう立場で、われわれはわれわれの立場からドルの問題を考えていかなければいかぬ。日米の経済関係、通商関係もそこから出されてくる、こういうふうな立場が必要かと思います。
そこで、ドルの抱えている弱点といいますか、いろいろな要因はあると思いますが、私の見解としては、あえて一点にしぼって言えば、よく言われるアメリカのドルのたれ流し、こういうことがその弱点の最大のポイントではないかと思います。ドルが国際通貨であるということから、これはアメリカだけがそういうことができるわけですが、アメリカが国内的ないろいろな経済要因も織り込んでドルという通貨を発行する、そういう貨幣をつくり出す、そのつくり出したドルは、国際的な支払いに当てればどこでも国際通貨で通用するということから、たとえばいま問題の石油の輸入代金、あるいはまたアメリカは全世界に軍事基地や軍隊を展開していますけれども、それには莫大な費用がかかります。こういうものもまたドルの大きな支出の要因になるでしょう。あるいは国際的ないろいろな投資、いわゆる多国籍企業を通じての投資とか援助、とにかくいろいろにドルがアメリカから世界各国へ流れる要因はありますが、結局それを総合して、現在、全世界におけるドルの残高は六千億ドルくらいあるだろうというふうなことも聞くわけであります。言うなればそういうことがドルを弱くさせる。しかもその間、ニクソンの政権の段階ですが、ドルと金の関係は切断されることにもなってくる。こうなればいよいよドルの信用はなくなるということにならざるを得ない、こういうことかと思います。
そこで、一九三五年のアメリカの金準備法で金一オンス三十五ドルと定めて、アメリカ以外の国の通貨当局が求めてくればとにかく一オンス三十五ドルという比率によってドルと金をかえるという仕組みによって公定相場が維持されてきたのが切断された、こうなってまいりまして、しかも世界各国のドルの残高はたくさんあって、それがふえる一方であるというような状態、こういうところから、最近いわゆる金の価格が暴騰しあるいは暴落する、そういう金相場が出てきているというふうに私は思うわけです。
特にその中で、いわゆる産油国に対する莫大なドルの支払い、産油国は、その手持ちのドルが、結局ただ持っていただけでは目減りする、目減りするのを避けるためには金にかえようとか、いろいろなそういうことが出てきて、こういう不安定な金相場になる。それは裏返して言えば、ドルの値打ちが非常に不安定であるというようなことから、われわれの円の問題についても、日本の為替の問題についても、結局それが不安定な要因としてはね返ってくる、こういうことではないかと思います。この金とドルとの、あるいはオイルダラーとの関係を見ると、これは明らかに悪循環という状態になっている、こういうふうに見なければならぬと思うわけでして、それがIMF体制を要するに不安定にさせている最大の要因である、私はそのように思うわけです。
さて、これは昨年の一月二十五日ですが、第八十七国会の施政方針演説で、大平総理大臣は、こういうことも当然頭の中に置かれたと思いますが、こういうふうな演説をされております。「戦後四半世紀にわたって国際経済秩序を支えてきたガット、IMF体制は、いまや、大きい地殻変動に見舞われており、世界は、そのための新しい対応策を模索いたしております。」こういうふうな言葉を述べておられるのですが、それでは、日本としてはどういう対応策を模索すべきなのか。これは、当然日本政府としての責任ある一つの考え方や判断があるべきだと私は思います。これは総理大臣の演説であるわけですが、外務大臣に対して、エコノミストという立場も含めて、いまのこの問題についての基本的な御見解をひとつお尋ねいたしたいと思います。