川原能雄の発言 (外務委員会)
⚠️ コピーしたテキストを転載する際は、転載元URL(kokkai-data.com)および原典URL(kokkai.ndl.go.jp)を必ず残してください。発言内容の改変・出典削除は禁止です。
詳細は利用規約をご確認ください。
○川原政府委員 今回のパリ条約の改正会議が難航いたしまして、これは先生の御指摘のとおりでございます。難航いたしました理由も、議決方法をめぐって非常に紛糾をしたということが実情でございます。それで、発展途上国の人たちがなぜ議決方法といったようなものに非常に固執をしたかということを含めまして、やはり発展途上国がパリ条約そのものについてどういうふうに見ておったかということが問題になるかと思いますが、私どもといたしましては、やはり発展途上国といたしましては、先進国からいろいろ財政上、技術上の援助というものを戦後受けてきたけれども、かなり時間がたってもなかなか先進国から途上国への技術移転というものが進まない。その一つの非常に大きな原因として、現在の先進国中心と見られておるパリ条約というものに基本的な問題があるのではないかといったようなこと、発展途上国側にそういう発想が出てきたのではないかと思います。
そういうことで、今回の改正に当たりまして、実体規定の改正項目はいろいろございますけれども、中でも先進国から途上国へ特許出願をする、その場合に、その特許権が後進国において現実に生産活動等に使われないまま眠っておる。しかも、途上国側で同じような生産活動をしようとする場合に、すべて先進国側の特許に抑えられて何もできないといったようなことから、途上国側としては、そういった先進国からの出願でその国で工業化されていないもの、これを途上国側で召し上げて自分たちの手で工業化に移したい、そのために、現在のパリ条約の改正をしたい、一番大きな眼目として改正をしたいというのが途上国側の一番強い要請であったのではなかろうかというふうに推測するわけでございます。そういった改正を途上国側として少しでも有利なものとするために、やはり議決方法について非常な紛糾が続いたのではなかろうかというふうに考えておるわけでございます。
一方、先生おっしゃいましたように、日本はアジアにおける唯一の特許大国、世界的に見ましても非常に大きな特許大国でございます。しかもアジアにあるということで、これから日本としてはいろんなことをこういった途上国のために考えていかなければいけないというふうに思っておりますけれども、なかんずく、いま申し上げました工業所有権制度の途上国における整備、その有効な活用といったようなことが必要だというふうに考えておりまして、こういった観点から、開発途上国、発展途上国で工業所有権法を新たに制定したいというふうな場合でありますとか、制定当初なかなか審査がうまくいかないといったようなときにわが国から審査の協力をするということでありますとか、さらにはこれらの国々からの研修生を積極的に受け入れる。受け入れて、特許庁で、日本で工業所有権についての講義、審査の方法というものをよく教えるといったようなことを、これからも今後ますます積極的に行っていく必要があろうというふうに考えておるところでございます。
先進国の一員としましてという立場、それからさらに発展途上国への協力と、二つの立場がございます。それで、日本といたしましては、パリ条約の改正といったようなことに当たりましては、やはり第一には、日本の国益を損なわないということを念頭に置かなければなりませんけれども、同時に、非常に高いウエートをもちましてこれら発展途上国の工業所有権制度の発達に寄与していくということが大切であろうかというふうに考えておるところでございます。