外務委員会

1980-04-04 衆議院 全335発言

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会議録情報#0
昭和五十五年四月四日(金曜日)
    午前十時三十四分開議
 出席委員
   委員長代理 理事 奥田 敬和君
   理事 志賀  節君 理事 高沢 寅男君
   理事 土井たか子君 理事 渡部 一郎君
   理事 野間 友一君 理事 渡辺  朗君
      石原慎太郎君    上草 義輝君
      鯨岡 兵輔君    佐藤 一郎君
      東家 嘉幸君    中村  靖君
      宮澤 喜一君    岡田 利春君
      浅井 美幸君    玉城 栄一君
      榊  利夫君    林  保夫君
 出席国務大臣
        外 務 大 臣 大来佐武郎君
 出席政府委員
        外務政務次官  松本 十郎君
        外務大臣官房領
        事移住部長   塚本 政雄君
        外務省アジア局
        外務参事官   三宅 和助君
        外務省中南米局
        長       大鷹  正君
        外務省経済協力
        局長      梁井 新一君
        外務省条約局外
        務参事官    山田 中正君
        特許庁長官   川原 能雄君
        特許庁特許技監 松家 健一君
        特許庁総務部長 和田  裕君
 委員外の出席者
        科学技術庁計画
        局計画課長   今村陽次郎君
        外務省アジア局
        外務参事官   渡辺 幸治君
        外務省欧亜局外
        務参事官    堂ノ脇光朗君
        外務省国際連合
        局外務参事官  関  栄次君
        外務省情報文化
        局外務参事官  平岡 千之君
        大蔵省主税局国
        際租税課長   源氏田重義君
        国税庁調査査察
        部調査課長   谷   始君
        通商産業省生活
        産業局文化用品
        課長      水野  哲君
        特許庁審査第四
        部長      社本 一夫君
        海上保安庁警備
        救難部長    野呂  隆君
        自治省税務局企
        画課長     吉住 俊彦君
        参  考  人
        (国際協力事業
        団総裁)    有田 圭輔君
        参  考  人
        (国際協力事業
        団理事)    佐々木正賢君
        外務委員会調査
        室長      高杉 幹二君
    ―――――――――――――
委員の異動
四月四日
 辞任         補欠選任
  中川 一郎君     上草 義輝君
  中山 正暉君     中村  靖君
同日
 辞任         補欠選任
  上草 義輝君     中川 一郎君
  中村  靖君     中山 正暉君
    ―――――――――――――
四月三日
 ILO未批准条約等の批准促進に関する請願
 (上坂昇君紹介)(第三三七五号)
 同(佐藤観樹君紹介)(第三三七六号)
 同(斉藤正男君紹介)(第三三七七号)
 同外二件(中村茂君紹介)(第三三七八号)
 同(藤田高敏君紹介)(第三三七九号)
 同外一件(武藤山治君紹介)(第三三八〇号)
 同(米田東吾君紹介)(第三三八一号)
は本委員会に付託された。
    ―――――――――――――
本日の会議に付した案件
 参考人出頭要求に関する件
 日本国とフィリピン共和国との間の友好通商航
 海条約の締結について承認を求めるの件(条約
 第二三号)
 日本国政府とアルゼンティン共和国政府との間
 の文化協定の締結について承認を求めるの件
 (条約第二四号)
 所得に対する租税に関する二重課税の回避のた
 めの日本国とイタリア共和国との間の条約を改
 正する議定書の締結について承認を求めるの件
 (条約第二五号)
 所得に対する租税に関する二重課税の回避及び
 脱税の防止のための日本国とグレート・ブリテ
 ン及び北部アイルランド連合王国との間の条約
 を改正する議定書の締結について承認を求める
 の件(条約第二六号)
 所得に対する租税に関する二重課税の回避のた
 めの日本国とハンガリー人民共和国との間の条
 約の締結について承認を求めるの件(条約第二
 七号)
 所得に対する租税に関する二重課税の回避のた
 めの日本国とポーランド人民共和国との間の条
 約の締結について承認を求めるの件(条約第二
 八号)
 所得に対する租税に関する二重課税の回避及び
 脱税の防止のための日本国とフィリピン共和国
 との間の条約の締結について承認を求めるの件
 (条約第二九号)
 特許手続上の微生物の寄託の国際的承認に関す
 るブダペスト条約の締結について承認を求める
 の件(条約第三六号)
 絶滅のおそれのある野生動植物の種の国際取引
 に関する条約の締結について承認を求めるの件
 (条約第三七号)
 絶滅のおそれのある野生動植物の種の国際取引
 に関する条約第十一条3(a)の改正の受諾に
 ついて承認を求めるの件(条約第三八号)
     ――――◇―――――
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奥田敬和#1
○奥田委員長代理 これより会議を開きます。
 本日は委員長所用のため、委員長指名により私が委員長の職務を行います。
 日本国とフィリピン共和国との間の友好通商航海条約の締結について承認を求めるの件、日本国政府とアルゼンティン共和国政府との間の文化協定の締結について承認を求めるの件、所得に対する租税に関する二重課税の回避のための日本国とイタリア共和国との間の条約を改正する議定書の締結について承認を求めるの件、所得に対する租税に関する二重課税の回避及び脱税の防止のための日本国とグレート・ブリテン及び北部アイルランド連合王国との間の条約を改正する議定書の締結について承認を求めるの件、所得に対する租税に関する二重課税の回避のための日本国とハンガリー人民共和国との間の条約の締結について承認を求めるの件、所得に対する租税に関する二重課税の回避のための日本国とポーランド人民共和国との間の条約の締結について承認を求めるの件、所得に対する租税に関する二重課税の回避及び脱税の防止のための日本国とフィリピン共和国との間の条約の締結について承認を求めるの件、特許手続上の微生物の寄託の国際的承認に関するブダペスト条約の締結について承認を求めるの件、絶滅のおそれのある野生動植物の種の国際取引に関する条約の締結について承認を求めるの件及び絶滅のおそれのある野生動植物の種の国際取引に関する条約第十一条3(a)の改正の受諾について承認を求めるの件の各件を議題といたします。
 この際、参考人出頭要求に関する件についてお諮りいたします。
 日本国政府とアルゼンティン共和国政府との間の文化協定の締結について承認を求めるの件のため、本日、国際協力事業団総裁有田圭輔君及び理事佐々木正賢君に参考人として御出席を願い、御意見を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
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奥田敬和#2
○奥田委員長代理 御異議なしと認めます。よって、さよう決定いたしました。
    ―――――――――――――
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奥田敬和#3
○奥田委員長代理 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。高沢寅男君。
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高沢寅男#4
○高沢委員 私は最初に、菌寄託ブダペスト条約について、まずお尋ねをいたしたいと思います。それからその後租税関係の五条約についてお尋ねをする、こういうふうな順序で進めてまいりたいと思います。
 まず、ブダペスト条約でありますが、これは外務省からいただきましたこの条約に関する各国の署名状況という資料を拝見いたしますと、これには日本はまだ署名済みということになっていない、つまり日本は署名をしていない、こういう現状であるわけですが、これはなぜかということをまずお尋ねをしたいと思います。
 そして同時に、いまこういうふうに審議が行われているわけでありますが、この国会でこの条約の承認が行われて批准の手続がとられるということになると、ブダペスト条約にそれがどういう結果をもたらすか、こういうことについてまず第一にお尋ねをいたしたいと思います。
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関栄次#5
○関説明員 お答え申し上げます。
 先生御指摘のとおり、わが国はまだこの条約に署名いたしておりません。その理由といたしましては、署名して批准書を寄託する、それから加入書を寄託する、この二つの方法があるわけでございますが、そのいずれをとるかということは各国の判断に任せられております。ただ、条約上の効果といたしましてはいずれの方法をとりましても全く同じでございますけれども、わが国といたしましてはこの条約作成のための専門家会議、それから外交会議に積極的に参加してまいってきておりましたし、またこの条約の締結につきましても積極的に取り組むという方針でいままで臨んでまいりました。
 ただ、条約が採択されました当時の状況では、必ずしも早期にこの条約が発効するというめどが立っていなかったこと、また、さらに先ほど申し上げましたようなどちらの方法でわが国がこの条約に加入するかということにつきましても、効果につきましてはいずれにしましても法的には同じでございますものですから、政府といたしましては署名批准の方法でなく加入の方法をとるということで臨んできたわけでございます。そういうことで、署名はまだいたしておりません。
 それから今後の加入手続あるいは見通しでございますけれども、国会の御承認が得られますれば加入の閣議決定を経まして、わが国が加入書を世界知的所有権機関の事務局長に寄託することになるわけでございます。
 現在この条約の締約国といたしましては、ハンガリー、ブルガリア、アメリカ合衆国、さらにフランス、この四カ国がすでに加盟いたしておりまして、この条約の第十六条の規定によりますと、五カ国目の批准書または加入書が寄託された日から三カ月で効力を生ずるということになっておりますので、あと一カ国が批准書または加入書を寄託すればその後三カ月で効力を生ずる、そういうことになっておりまして、もしわが国が加入書を寄託できますれば発効要件を満たすことになりまして、わが国が加入書を寄託した日の後三カ月で効力を発生するということになろうかと思います。
 ただ、現在西ドイツ、イタリア、スペイン等がやはりこの条約に加入することを検討いたしているようでございまして、もしこれらの国がわが国に先立ちまして批准書等を寄託いたしますと、この条約はこれらいずれかの国の批准書等の寄託の後三カ月で効力を生ずるということになるわけでございます。
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高沢寅男#6
○高沢委員 この条約ができるにわが国が非常に積極的な役割りを果たした、こういうふうにお聞きしております。そういたしますと、われわれの気持ちとしても日本がその五番目の加入国になってそこで発効したというような形になるのが大変望ましいというような感じがいたしますが、いま言われたほかの国の手続の進行状況等を見て、日本が五番目になる可能性、あるいはもしかしてどこか別の国が先にいって日本が六番目になる可能性というような、可能性の見通しはいかがでしょうか。
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関栄次#7
○関説明員 先生御意見のとおり、日本ができるだけ早くこの五番目の加入国になることが望ましいわけでございますけれども、ただいま申し上げましたように西独、イタリア、スペイン等の国も加入の意図を持ちまして現在検討中のようでございます。それで政府といたしましては、国会の御審議を得て国会の御承認が得られれば、できるだけ早く加入の手続をとりまして、なるべく五番目の加入国となりたい、そういう気持ちで積極的に努力いたしたいと思っております。
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高沢寅男#8
○高沢委員 わかりました。それでは私たちもできるだけそうなるようにひとつ努力をいたしたい、こう考えます。
 それで、この内容に入るわけでありますが、その内容に入る前の一種の総論のような問題をお聞きしたいと思います。
 最近は工業所有権の分野で非常に国際化が進んでおります。わが国は昭和五十年の四月に世界知的所有権機関設立条約に加盟いたしました。また五十一年の八月に国際特許分類に関するストラスブール協定に加入をいたしました。五十三年の十月には特許協力条約に加盟をいたしました。こういう形で非常に国際化を推進してきた立場にあるわけですが、こうした工業所有権分野の国際化というものは今後も一層進むでありましょうし、また進めなければいけない、こう思いますが、こういう問題に対する基本的なお考え、お立場、また今後どういうふうに対応していくか、こういうことについてお尋ねしたいと思います。
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川原能雄#9
○川原政府委員 最近の国際的な経済交流、それから技術交流が非常に活発化してきたことに伴いまして、工業所有権制度の国際化、これは非常に進展しつつございます。特にただいま先生御指摘がございましたように、特許協力条約、それから国際特許分類に関しますストラスブール協定、商標登録条約、それから本ブダペスト条約等々工業所有権に関する手続の統一化でありますとか簡素化といったようなことを目的にいたしました多数国間の条約の成立、それから発効へ向けての動きといったようなものには、まことに顕著なものがございます。また、工業所有権制度をめぐります国際協力といいました面におきましてもいろいろな進展がございます。
 わが国といたしましては、従来から国際化のためには積極的に対応してきておるところでございまして、お話のございましたように、昭和五十二年にはストラスブール協定、五十三年には特許協力条約に加盟、それから現在商標登録条約につきましても真剣に検討をしておるところでございます。
 また、国際協力の面におきましても、中国、それから韓国、ASEAN等の諸国から研修生の受け入れをしておりますとともに、当方からは専門家の派遣、審査の協力といったようなことを積極的に行っているところでございます。わが国といたしましてはアジアにおける唯一の特許大国ということから、今後とも引き続きまして積極的な対応をしてまいりたいというふうに考えておるところでございます。
 ついでに、われわれ特許庁といたしましても、これらの問題に適切に対処していくという目的のもとに、国際協力及び条約に関する事項を処理するための調査官等の機構を設けておりますとともに、庁内におきましても、必要な語学の研修等も積極的に行っているところでございます。さらに、ジュネーブ等の在外公館でありますとか世界知的所有権機関等への職員の派遣、海外への留学、国際会議への積極的参加ということ等も行っておるところでございまして、今後とも特許庁といたしましては引き続きこれらの問題に積極的に対応してまいりたいというふうに考えておるところでございます。
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高沢寅男#10
○高沢委員 いま特許庁の長官から意欲的な見解の表明をいただいたわけでありますが、私、特許庁でこういう出願される特許の審査などを担当される技官の方々とか、いろいろ知り合いや友人もいるわけでありまして、その人たちはまたその人たちでそういう一つの研究グループをつくってお互いに研さんを進めておられる、こういうことも承知しておりますが、そういう出願の審査のそれだけの件数との関係において人手が果たして十分間に合っているのかどうか。あるいはまた最近の国際化の中では特に語学の力が要求される。いま長官も言われましたが、そういう面の研修、養成の体制はどうか。あるいは国際機関へ派遣されてそこで堂々と国際舞台で外国の人たちと伍して仕事がやれる、そういう、何といいますか、専門家の養成等々の点において、恐らく特許庁としてもいろいろな希望を持っておられる、こう思います。これは年々、具体的には対大蔵省の予算要求とか等々のことになってくるかと思いますが、そういう面において、格別にいまこういうふうなことを希望したい、こういうことにネックがあるんだというような問題点があれば、この機会にひとつお聞かせをいただきたいと思います。
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川原能雄#11
○川原政府委員 いまの先生のお言葉は、特許庁に対する御激励の意味も含ましていただいておるのではないかというふうに、大変喜んでおるところでございます。
 現在、日本の工業所有権制度、それから特許庁の従来の行政というものを見てみますと、従来は特許に関する仕事と申しますのは、どちらかと言いますと各国がインデペンデント、独立の立場でやってまいったということで、比較的各国との交流は薄かったわけでございます。ところが、戦後、特に最近になりまして、各国との接触が非常にふえてきた。それから、後進国、発展途上国に対する経済協力等の要請も非常に強くなってきたわけでございます。そういいましたことから、世界的に見ましても、特許大国でございます日本としましては、これに対する応分の対応、それから協力というものが必要になってきたということでございます。私どもも、こういう問題が発生いたしましてから、庁内外で非常にいろいろ努力をしてまいったところでございます。
 御承知のように、日本の特許出願と申しますのは、日本の高度成長期を受けまして非常に激増いたしまして、それのためにこれを審査する審査官、それから審判官の増強ということが戦後は最大の問題であったわけでございます。私どもも、できる限りの審査の促進、それから人員の増強といった両面で、まだ十分ではございませんけれども、当時のへ審査に非常に期間のかかったころから比べますと、かなり改善をしてきたというふうに思っております。
 これと並行いたしまして、こういった国際化の問題に対応していくということになりまして、特許庁といたしましては、まず要員の養成、それから庁内の体制の強化ということに力を入れる必要があったわけでございます。そういうことで、現在その積み重ねをやっておるところでございます。まだ十分ではございませんけれども、庁内での語学研修、それから海外への派遣といったようなことに力を入れております。特に、先ほど申し上げましたように、世界知的所有権機関等には特許庁の職員が直接派遣されておりまして、中の職員としてほかの国の人たちと十分対応しながら仕事をやるようなところに来てまいっておるというふうに考えております。現在のところまだ十分ではございませんけれども、今後とも力を入れてまいりたい。
 それから庁内におきましても、機械化の促進といったようなこと、それから審査の適正化といったようなことで、なるべく審査の期間を短縮いたしながら国際化の方へ余力を振り向けていくということで、言うなれば全面的に、特許庁としては国際化への対応のためにあらゆる努力をしておるというのが現状でございます。
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高沢寅男#12
○高沢委員 ひとつさらにしっかりやっていただきたいと思います。
 次に進みます。
 先ほど私言いましたが、五十三年の十月に特許協力条約にわが国は加盟したわけであります。その際の審議には私も外務委員会で参加した一人でありますが、この条約は、日本国民が外国において特許権を取得する場合の手続上の負担を軽減する、あるいは各国の審査の重複を省く、こういうふうな目的の条約であって、これに加盟したわけですが、聞いてみると、どうもその後これに基づく出願の状況は必ずしも多くはない、こういうふうに聞いているわけであります。その理由は一体どうかということが一つであります。
 それからもう一つは、いま審議のブダペスト条約も、その点においては微生物に関する特許の出願の手続を国際的な面において簡素化する、目的は共通する面があると私は思いますが、そうすると、この特許協力条約の体制と今度のブダペスト条約の体制の両者の間には当然相互関連があるかと思いますが、その辺を結びつける運用というものをどういうふうにお考えになっておるか、あわせてお尋ねをしたいと思います。
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川原能雄#13
○川原政府委員 わが国におきまして特許協力条約は昭和五十三年十月一日から発効しております。それで、昨年中のわが国における出願件数は三百二十六件でございます。この件数でございますが、各国からの全出願件数のうち約一二%を日本が占めておるわけでございまして、これはアメリカに次いで第二番目ということでございます。
 先生から御指摘がございましたように、出願の絶対件数は確かに多いということは言えないわけでございますけれども、その理由といたしましては、まだ加盟国が多くない、現在二十七カ国でございまして、特にカナダでありますとか、ベルギー、イタリアといったような先進国がいまなお未加盟であるというふうなこと、それからさらに発効後日がまだ浅いということで、出願人それから代理人両方がともにまだ手続に習熟していないといったようなことが理由になっているのではないかと考えております。
 いま御説明申し上げましたように、日本がアメリカに次いで第二位であるということからもおわかりでございますように、これらの理由は日本のみの理由ということではないと私どもは考えております。特許庁といたしましては、従来からこのPCTの利用促進につきましていろいろ説明会の開催等々をやってきておりますし、またこのPCTの事務局でございます世界知的所有権機関におきましても、各国でユーザーのミーティング等を実施して、そのPRに努めているところでございまして、今後とも私どもといたしましては引き続き積極的に特許協力条約の一層の利用を図るように努めてまいりたいと考えております。
 それから先生の御質問で御指摘がございましたように、特許協力条約、PCTの中には微生物に関する場合についての国際出願の特別の規定がないわけでございます。したがいまして、微生物に関する国際出願をしたいという者は各指定国の国内法令を一々調べました上で各国の国内法令上の要件を満たすように国際出願の書類に記載しなければならないといったような現実の不便がございます。このために、これを何とか整合性のある、手続的にもきちんとしたものにしなければいけないという観点からその面での検討が現在各国の間で進められておりまして、日本も参加し積極的にその審議に加わっておるというのが現状でございます。
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高沢寅男#14
○高沢委員 いま長官も、日本は世界的に言えば特許大国、こう言われているわけでありますが、そういう立場からすると、特に発展途上国に対する協力の責任が非常に大きい、こう思うわけでありますが、その関係で、聞くところによりますと、最近パリ条約の改正外交会議が行われまして、そしてそこで先進国側と途上国側の間に非常な意見の対立があったということで、結局その会議の結果としては失敗に終わったやに聞いているわけでありますが、これはどういうことで対立があったのか、またその問題は結局会議の結果どういうふうな結論になったのかというような関連をお尋ねいたしたいと思います。
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松本十郎#15
○松本(十)政府委員 今回のパリ条約の改正の外交会議、開発途上国への技術移転の促進と開発途上国における自主技術開発の推進等を図るために、特許の不実施に対する制裁の強化、各国間の特許情報の交換、開発途上国国民に対する優遇措置等を審議することを目的として開催されたことは先生御承知のとおりと存じますが、会議の冒頭から、議決方法をどうするかなど手続事項につきましての話し合いが難航いたしまして、これらの実体規定の審議はほとんど行われないで終わったようなわけであります。
 しかしながら、これら実体規定の審議の前提であります改正条約の採決のための議決方法について検討が重ねられました結果、各国の妥協によりまして新たな議決方法が合意されたことは、各国の利害が異なる現下の状況にかんがみまして成果があったと言えるのではないかと考えております。
 また、今回の外交会議、これをさらに継続することが決定されておりますが、日本といたしましては、今後もこの分野での先進国として、国際協力が促進される観点からも、実体規定の審議に当たりまして可能な限り貢献してまいりたい、こういうふうに考えております。
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高沢寅男#16
○高沢委員 いま政務次官、可能な限り貢献していきたいと言われたんですが、そういう会議で対立が出た。その対立は、直接的には議決の仕方とか、いわば議事運営のやり方についての対立であったように聞いておりますが、しかしその背景には、国の数としては圧倒的に多数な途上国側が先進国に対する何か不信感がある。先進国から自分たちに対する技術移転あるいは経済の協力というふうなものは必ずしも十分じゃない、こういう不満感、不信感というものが根底にあるんじゃないかと思います。したがって、そういう点をまとめていくためには、わが国が貢献するとすれば、わが国としては先進国グループの先頭に立って、そういう途上国に対する協力体制というものを、前向きなものをよほど示していかなければいかぬじゃないか、こういう感じがいたしますが、その点について重ねて具体的な御見解をお聞きしたいと思います。
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川原能雄#17
○川原政府委員 今回のパリ条約の改正会議が難航いたしまして、これは先生の御指摘のとおりでございます。難航いたしました理由も、議決方法をめぐって非常に紛糾をしたということが実情でございます。それで、発展途上国の人たちがなぜ議決方法といったようなものに非常に固執をしたかということを含めまして、やはり発展途上国がパリ条約そのものについてどういうふうに見ておったかということが問題になるかと思いますが、私どもといたしましては、やはり発展途上国といたしましては、先進国からいろいろ財政上、技術上の援助というものを戦後受けてきたけれども、かなり時間がたってもなかなか先進国から途上国への技術移転というものが進まない。その一つの非常に大きな原因として、現在の先進国中心と見られておるパリ条約というものに基本的な問題があるのではないかといったようなこと、発展途上国側にそういう発想が出てきたのではないかと思います。
 そういうことで、今回の改正に当たりまして、実体規定の改正項目はいろいろございますけれども、中でも先進国から途上国へ特許出願をする、その場合に、その特許権が後進国において現実に生産活動等に使われないまま眠っておる。しかも、途上国側で同じような生産活動をしようとする場合に、すべて先進国側の特許に抑えられて何もできないといったようなことから、途上国側としては、そういった先進国からの出願でその国で工業化されていないもの、これを途上国側で召し上げて自分たちの手で工業化に移したい、そのために、現在のパリ条約の改正をしたい、一番大きな眼目として改正をしたいというのが途上国側の一番強い要請であったのではなかろうかというふうに推測するわけでございます。そういった改正を途上国側として少しでも有利なものとするために、やはり議決方法について非常な紛糾が続いたのではなかろうかというふうに考えておるわけでございます。
 一方、先生おっしゃいましたように、日本はアジアにおける唯一の特許大国、世界的に見ましても非常に大きな特許大国でございます。しかもアジアにあるということで、これから日本としてはいろんなことをこういった途上国のために考えていかなければいけないというふうに思っておりますけれども、なかんずく、いま申し上げました工業所有権制度の途上国における整備、その有効な活用といったようなことが必要だというふうに考えておりまして、こういった観点から、開発途上国、発展途上国で工業所有権法を新たに制定したいというふうな場合でありますとか、制定当初なかなか審査がうまくいかないといったようなときにわが国から審査の協力をするということでありますとか、さらにはこれらの国々からの研修生を積極的に受け入れる。受け入れて、特許庁で、日本で工業所有権についての講義、審査の方法というものをよく教えるといったようなことを、これからも今後ますます積極的に行っていく必要があろうというふうに考えておるところでございます。
 先進国の一員としましてという立場、それからさらに発展途上国への協力と、二つの立場がございます。それで、日本といたしましては、パリ条約の改正といったようなことに当たりましては、やはり第一には、日本の国益を損なわないということを念頭に置かなければなりませんけれども、同時に、非常に高いウエートをもちましてこれら発展途上国の工業所有権制度の発達に寄与していくということが大切であろうかというふうに考えておるところでございます。
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高沢寅男#18
○高沢委員 それでは次へ進みますが、本条約は、微生物に関する特許出願に当たっての必要な微生物の寄託手続を簡素化する、こういう条約であるわけですが、この条約ができた場合にどういうメリットがあるのかということとの関係で、この条約のできるまでのいままでに、わが国で微生物に関する特許出願は大体どのぐらいあったのか、まずそういう実態をお尋ねしたいと思います。
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川原能雄#19
○川原政府委員 まず、微生物ないし微生物工業といったようなものの実態から、恐縮でございますが、ちょっと御説明をさせていただきたいと思います。
 微生物というものでございますが、通常肉眼では見えないという非常に小さな生物のことを微生物というふうに総称しておるわけでございます。それで、現在非常に種々の産業に利用されておる。それから、非常な将来性を持っておるということでございます。
 それから、微生物に関する発明でございますが、従来からのものを挙げてみますと、たとえばみそ、しょうゆ、お酒といったような伝統的な発酵食品に関するものがございます。それからまた、昭和三十年代からは特定の物質の生産のためにこの微生物を活用するという方向に来ておりまして、このような発明の例といたしましては、化学調味料、それからあるいは医薬として有用なアミノ酸、それから医薬、農薬として有用な抗生物質といったようなものに関するものがございます。
 それから、最近でございますが、これらのものに加えまして廃棄物処理に非常に有用な微生物が発見されておりまして、たとえばプラスチックを処理する微生物とかアルコール製造といったような代替エネルギーに関する微生物工業というものがございます。
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高沢寅男#20
○高沢委員 従来の微生物に関する特許の出願件数はどのぐらいあったのか、出願の状態です。
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川原能雄#21
○川原政府委員 微生物に関する出願状況でございますけれども、日本から外国への微生物に関する特許出願の状況につきましては、昭和五十年から五十二年までの三年間を例にとってみますと、日本人の国内特許出願総件数は千九百十一件でございます。このうち二百七十一件が外国に出願されております。ちなみに申しますと、主要諸外国への特許出願件数につきましては、アメリカ二百四十四件、イギリス百八十一件、西独百七十七件でございます。この外国出願率と申しますのは一四・二%に当たりまして、一件当たりの平均外国出願件数は五・五件ということになります。全分野の特許出願についての外国出願率六・七%、一件当たりの平均外国出願件数三・五件というものに比較いたしますと非常に高い割合になっております。
 それから、外国から日本への微生物に関する特許の出願件数でございますけれども、同じように昭和五十年から五十二年までの三年間をとってみますと、三百九十九件でございまして、外国人特許出願率は微生物に関する特許出願総件数の二千三百十件のうち一七・三%を占めております。ちなみに申しますと、主要諸外国からの出願件数を見てみますと、アメリカが百六十五件、イギリスが四十三件、西独が五十八件というふうになっております。
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高沢寅男#22
○高沢委員 詳細な御説明どうもありがとうございました。
 そういう従来の実態の上に今度のブダペスト条約が発効する、わが国が加盟する、こうなるわけでありますが、その場合に、わが国のこういう微生物の特許を出願しようとする人にとってどういうメリットがあるか、そういう条約の効果、メリット、この面をひとつ御説明いただきたいと思います。
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川原能雄#23
○川原政府委員 先ほど御説明申し上げましたように、日本の微生物工業でございますが、国際的に見ましても非常に高い技術水準にあるわけでございます。微生物に関する特許の外国出願も、さきに申し上げましたように、一件当たりで平均五・五カ国へ出願されておるわけでございます。
 それで、微生物に関する特許出願に当たりまして、各国ごとに寄託を行うというふうにいたしますと、非常に繁雑な手続を必要とするばかりでなく、多額の費用負担をしなければならないわけでございます。これに対しまして、ブダペスト条約に加入いたしますと、日本の出願人は日本の国際寄託当局一カ所だけに寄託を行えばよいということになるわけでございまして、手続的な繁雑さもなくなり、また経済的な負担も少額で済むということになるわけでございます。
 以上のような効果によりまして、わが国出願人による微生物に関する外国特許出願は従前よりもはるかに容易になり、ひいてはわが国の国民の研究開発成果の保護、研究開発の発展に非常に寄与することになるのではないかというふうに期待されておるわけでございます。
 また一方、この条約の目的から見てみまして、できるだけ多くの国がこの条約の加盟国になることが望ましいというふうに考えておるわけでございますが、微生物に関する研究開発の成果が特許によって保護されるということが大きな意味を持ちますためには、実際にはこの分野で技術の進んだ国が多数参加しておる、それによってこのメリットがますますふえていくことが必要であるというふうに考えておるところでございます。
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高沢寅男#24
○高沢委員 この条約の効果に関係するわけですが、現在世界には百数十カ国の国があります。その中で、今度のブダペスト条約の成立のための外交会議へ出席した国の数は二十九カ国、こういうふうに聞いているわけであります。二十九カ国が全部加盟したとしても、いまの世界の国の総数に比べればまだ一部じゃないかという感じがしますが、その場合、この条約の効果というものは一体どういうふうにお考えか、お尋ねしたいと思います。
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川原能雄#25
○川原政府委員 二十九カ国というのは、確かに、先生から御指摘がございましたように、世界の非常に多数の国の中から言えば一部ということになるわけでございます。そういった一部の国の間で条約を結び便宜を図り合っても、その効果には非常に限界があるのではないかという気がするわけでございますが、実際には、この二十九カ国というのは、世界の微生物工業に関します先進国がほとんど全部網羅されておりまして、この二十九カ国の間でこの条約が有効に動き出すということになりました暁には、微生物関係の特許出願人にとりましては非常に大きなメリットを得るということで、条約の効果といたしましてはほとんど問題がないというふうに考えておるわけでございます。
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高沢寅男#26
○高沢委員 その点はわかりました。
 次に、微生物を寄託する国際寄託当局ですが、これについて条約第六条の定めを見ますと、「国際寄託当局としての地位を取得するためには、寄託機関は、いずれかの締約国の領域内に存在していなければならず、また、当該寄託機関が存在する締約国が当該寄託機関につき(2)に定める要件」、つまり国際寄託機関としての要件、この「要件を満たしており及び引き続き満たすとの保証を与えなければならない。」 つまり、締約国が、自分の国の中にある寄託機関について、これは国際的な寄託当局としての資格がありますという保証を与えればそれでよろしい、こういう規定になっているわけであります。
 その場合お尋ねしたいことは、わが国では、寄託当局になるのは当然工業技術院のそういうちゃんとした公的な機関が予定されると思いますが、民間機関でもこういう寄託当局になり得るのかどうか、公的機関と民間機関とのその関係はどうなのかということをお尋ねしたいと思います。
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川原能雄#27
○川原政府委員 条約上は、いまおっしゃいましたような民間機関でありましても国際寄託機関になり得るというように定められております。
 ただ、わが国がブダペスト条約に加入いたしました際に、いまおっしゃいましたように、当面は工業技術院の微生物工業技術研究所を寄託機関として指定したいというふうに考えておるわけでございますが、将来の問題といたしましては、この微生物工業技術研究所のほかに適当な寄託機関というものを指定することが必要であるかどうか、それからその際にどういうふうな指定の仕方をするか、要件をどのようにするかというふうなことも含めまして、検討をしてみたいと考えておる次第でございます。
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高沢寅男#28
○高沢委員 いま、将来はこういうことも検討してみたい、こう言われたわけですが、それは要するに、非常に微生物寄託の出願の件数が多いとかということになってくると、現在の工業技術院の微生物工業技術研究所だけでは間に合わなくなって、そうするともう一つまたそういう国際寄託機関を指定しなければならぬようになる、こういうことからそれが出てくると理解してよろしいですか。
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川原能雄#29
○川原政府委員 微生物工業技術研究所でございますけれども、これは現在筑波にございまして、非常にりっぱな施設に生まれ変わっておるわけでございます。そこにおきましては保管その他の施設の面では十分なものを持っておりまして、当面微生物工業技術研究所によります寄託受託ということで間に合っていくだろうと考えております。
 ただ、日本の微生物工業、微生物産業自体は、東京周辺だけではございませんで、関西方面その他でも非常に高い水準の工業があるわけでございます。そういったこともございまして、そういった地域的な便利さ、それからそこにおきますいろいろな条約に基づく寄託機関としての要件、それから責任、こういったものが新たに加わることになると思いますので、将来のそういった他地域におきますいろいろな要請、それからいろいろな条約上の責任というものにたえられるようになるのかどうか、そういった点も勘案いたしまして、将来の検討課題というふうにいたしたいと考えておるわけでございます。
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