中村茂の発言 (建設委員会)
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○中村(茂)議員 私は、日本社会党を代表して、ただいま議題となりました住宅保障法案につき、その提案理由と内容の概要を御説明申し上げます。
公共料金の引き上げを初め諸物価の高騰は、勤労国民の生活に重くのしかかり、インフレの進行とともに、だれもが将来の生活に不安を感じつつ、今日の生活に追われる毎日を送っておりますが、とりわけ、住宅問題は深刻であります。ライフサイクル論が一時流行し、住宅においても民間アパートから公共賃貸住宅へ、そして持ち家への住みかえが示され、勤労国民に夢を与えましたが、今日の状況は、狭小、劣悪な民間木賃アパート、「高」「狭」「遠」の公共賃貸住宅、ローン地獄の持ち家など、健康で文化的な住宅に、家族構成に応じ、他の家計消費を圧迫しない程度の負担で居住することは不可能となっております。
政府は、国民が一戸建て持ち家を希望しているとして持ち家政策を推進しており、第三期住宅建設五カ年計画では、第二期計画と比べ公共賃貸住宅は約二十万戸減少、持ち家融資である住宅金融公庫住宅は約八十三万戸増加となっております。ちなみに進捗率は、公共賃貸住宅が約七〇%に対し、公庫住宅は一三〇%となっております。まさに、政府としては持ち家政策に力を入れてきたと言えます。そのための宅地確保についても地主や不動産業者等に対する土地税制の緩和措置を講じてこられたと考えます。
しかし、こうした政府の施策、そしてその結果である現状について国民はどう考えているかといいますと、建設省が五年に一度実施されています「住宅需要実態調査」の一九七八年の結果、全世帯三八・九%に当たる千二百五十六万世帯が住宅困窮を訴えております。政府が力を入れてきた持ち家の所有者のうち三〇%以上が住宅困窮を訴えています。住宅ローンの負担を原因とする事故は多く、最も悲惨な場合は、自殺、心中に至っています。住宅の確保を持ち家という個人の自助努力にゆだねていることにより不動産市場は非常な混乱に陥り、安く早く供給するということで欠陥住宅が建設され、業者間の競争と操作によって土地価格は異常な高騰を示し、狭小でも劣悪でも利潤が上がるということでミニ開発が進行しています。
二戸建て住宅あるいはマンションの価格は大都市圏ではすでに勤労者の手が届かない高価格となり、取得しても一生を住宅ローンに追われることになっています。
政府が行ってきた住宅政策は、勤労国民に幻想こそ与えたものの現実の生活の中では苦しみを与え、支持を失うとともに、土地問題に象徴されるように日本経済の健全な向上に大きな障害をもたらしていると言わざるを得ません。
住宅が人間生活にとりまして生存権、生活権にかかわる重要な問題であるとして、世界人権宣言、ILO報告等でも取り上げられていることにも示されるように、住宅政策は欧米諸国では、政権が国民に信を問う際のなくてはならない政策の柱となっており、住宅政策の国の基本方針を示す法律が制定され、住宅の公的保障、国が国民の住宅について責任を負うという考え方が確立されており、こうした考え方はいまや国際的通念となっております。
わが国においては、住宅政策の基本と方向、その理念を示す法律は存在せず、住宅の種別によって個別の法律が定められているにすぎず、住宅の確保はもっぱら個人の努力に課せられており、日本経済のさまざまな矛盾の波をかぶる中で、多くの勤労国民が住宅問題に苦しんでいると言えます。
基本的方針を持たず、国の責任を明確にしないままに、勤労国民の苦しみを拡大することはもはや許されないと考えます。政府は再三にわたり住宅基本法案の国会提出を約束しながらいまだに提出しておりません。第三期計画策定の際にも住宅審から答申されましたが、基本方針なくして第四期住宅建設五カ年計画はあり得ないと考えます。以上のような状況にかんがみ日本社会党は、住宅保障法案を提案した次第であります。
次に本法律案の概要を御説明申し上げます。
第一に、本法の目的でありますが、すべての国民に対し健康で文化的な生活を営むに足りる住宅を保障するため、国の住宅政策の目標を明らかにするとともに、その目標達成のため国及び地方公共団体が講ずべき施策の基本を定め、住宅対策を強力に推進し、もって国民生活の安定と社会福祉の増進に寄与することといたしております。
第二に、国の住宅政策の目標でありますが、すべての国民が、適正な居住水準が確保され、かつ良好な環境を備えた住宅に、適正な住居費の負担において居住することができるようにすることといたしております。
第三に、国、地方公共団体、国民、事業主のおのおのの責務と協力を規定いたしております。
第四に、国民の住生活の基準につきまして、住宅の規模、構造、設備、環境、住居費負担の基準を明らかにいたしております。特に、居住規模については標準世帯で八十平米、住居費負担については標準世帯で賃貸住宅の場合、世帯主所得の一〇%と基準値を明記しております。
第五に、住宅供給の促進についてでありますが、地方公共団体主導の長期計画の策定、計画においては公的資金住宅の事業を明らかにすること、公的資金住宅の事業費の二分の一以上は公共賃貸住宅といたすこと、また、民間住宅への指導と援助、関連公共公益施設の整備等につきましておのおの規定いたしております。
第六に、住宅困窮者に対する公共住宅への優先入居、住宅費補助を行うための住宅困窮者登録制度の実施を行うことといたしております。
第七に、国及び地方公共団体は住宅、宅地取引の公正の確保について必要な施策を講ずることにいたしております。
第八に、住宅行政を強力に推進するため行政組織の整備と行政運営の改善を図ることといたしております。
第九に、総理府に付属機関として、住宅宅地政策審議会を置くこととし、本法施行に関する重要事項を調査審議することとしております。委員は衆参両議院の同意を得て内閣総理大臣が任命することとし、住宅供給を受ける勤労者の代表、供給を行うものの代表、学識経験者によって構成することといたしております。
以上、この法律案の提案理由及びその内容につきまして御説明申し上げました。
各委員の御理解をいただきまして速やかに御可決あらんことをお願い申しあげます。(拍手)