大来佐武郎の発言 (外務委員会)
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○国務大臣(大来佐武郎君) ただいま議題となりました原子力の平和的利用における協力のための日本国政府とカナダ政府との間の協定を改正する議定書の締結について承認を求めるの件につきまして、提案理由を御説明いたします。
現在、わが国とカナダとの間には、昭和三十四年に署名され、その翌年に発効した原子力の平和的利用における協力のための協定が締結されております。わが国は、この協定の発効以来、わが国の原子力発電に必要な天然ウランの大半をカナダから購入しておりますが、カナダは、昭和四十九年五月のインドの核実験を契機として、自国産のウラン等に対する規制を強化する政策をとり、わが国等の諸国に対して原子力協定の改正を申し入れてまいりました。政府は、カナダのこの新政策を勘案しつつ、わが国の原子力の開発と利用を促進し、また、天然ウラン等の核物質供給に関する両国の協力関係を維持し、さらにこれを拡大するとの基本方針で、カナダと交渉を行いました。その結果、昭和五十三年八月二十二日に東京において、園田外務大臣とカナダ側ホーナー通産大臣との間で現行協定を改正する議定書の署名を行った次第であります。
この議定書は、第八十七回国会及び第八十八回国会に提出されましたが、審議未了となったものであります。
この議定書は、本文七カ条から成り、これによる主な改正内容は、次のとおりであります。すなわち、現在規制の対象となっている核物質、原子炉等に加えて、濃縮、再処理等に関する情報をも第三国移転に関する規制の対象としたこと、ウランの二〇%を超える濃縮及び一定の核物質の長期にわたる貯蔵を供給国の事前同意の対象としたこと、協定の対象核物質を盗難、不法な奪取等から防護するための措置をとることとしたこと、いわゆる平和目的の核爆発に使用するものを含め、協定の対象核物質をいかなる核爆発装置の製造にも使用してはならないことを明示的に規定したこと、核拡散防止条約に基づく保障措置協定による保障措置が適用されることを明示したこと等であります。
この議定書の締結によって日加両国が原子力に関する協力関係をさらに発展させるための基礎を整備することは、核拡散防止のための国際的努力に協力しつつ、わが国の原子力平和利用推進に必要な天然ウラン資源を確保するとの観点より、きわめて大きな意義を有するものと考える次第であります。
よって、ここに、この議定書の締結について御承認を求める次第であります。
次に、廃棄物その他の物の投棄による海洋汚染の防止に関する条約の締結について承認を求めるの件につきまして提案理由を御説明いたします。
海洋環境保全の必要性なかんずく産業活動等の活発化に伴って生ずる海洋汚染を防止することの必要性は、つとに認識されてきたところでありましたが、海洋の汚染原因の一つである海洋投棄の規制に関する条約を作成することにつきましては、昭和四十七年六月にスウェーデンのストックホルムにおいて開催されました第一回国連入間環境会議におきましてもその重要性が強調されました。この条約は、昭和四十七年十一月にロンドンにおいて開催されました条約作成会議において採択され、わが国は、昭和四十八年六月にこの条約に署名いたしました。
この条約は、昭和五十年八月に効力を生じ、現在フランス、ドイツ連邦共和国、ソビエト連邦、連合王国、アメリカ合衆国を含め四十を超える国が締約国となっております。
この条約は、第八十七回国会及び第八十八回国会に提出されましたが、審議未了となったものであります。
この条約は、人の健康に危険をもたらし、生物資源及び海洋生物に害を与え、海洋の快適性を損ないまたは他の適法な海洋の利用を妨げるおそれがある廃棄物その他の物の投棄による海洋汚染を防止することを目的とし、海洋投棄の禁止及び規制、違反行為を防止するための措置等締約国がとるべき措置について規定するとともに、地域的取り決めの締結、技術等の分野での援助等国際的な協力についても定めております。
わが国がこの条約を締結することは、わが国の沿岸海域を含むすべての海洋の環境の保全に資することになるとともに、この分野における国際協力の推進のためにも望ましいと考えます。
よって、ここに、この条約の締結について御承認を求める次第であります。
次に、廃棄物その他の物の投棄による海洋汚染の防止に関する条約の紛争の解決に関する改正の受諾について承認を求めるの件につきまして提案理由を御説明いたします。
廃棄物その他の物の投棄による海洋汚染の防止に関する条約は、その締約国協議会議において、同条約の解釈及び適用に関する紛争の解決のための手続について検討する旨規定しております。この改正は、以上の規定に基づく検討の結果昭和五十三年十月にロンドンにおいて採択されたものであります。この改正は、条約の締約国の三分の二がこの改正の受諾書を機関に寄託した後六十日目の日に、この改正を受諾した締約国について効力を生ずることとなっており、まだ発効いたしておりません。この改正の受諾につきましては、第八十七回国会及び第八十八回国会に提出されましたが、審議未了となったものであります。
この改正は、条約の解釈または適用に関する締約国間の紛争であって交渉その他の方法によって解決することができなかったものについて、紛争当事国間の合意により国際司法裁判所に付託しまたは一方の紛争当事国の要請により仲裁に付託すると定めております。また、その仲裁の手続については、紛争当事国が別段の合意をしない限り、新たに追加された付録に定める規則に従うと定めており、付録において仲裁裁判所の構成、費用の負担、裁判手続等について規定しております。
わが国は、従来から、条約の解釈または適用に関して発生することが予想される紛争が公平かつ確実に解決されることが望ましいとの見地から、これらの紛争が最終的に国際司法裁判所または仲裁裁判に付託されるべきであるとの立場をとって、きておりますが、この改正の内容は、このようなわが国の立場に合致するものであります。
よって、ここに、この改正の受諾について御承認を求める次第であります。
最後に、関税及び貿易に関する一般協定の譲許表の変更に関する第四確認書の締結について承認を求めるの件、関税及び貿易に関する一般協定のジュネーヴ議定書(千九百七十九年)の締結について承認を求めるの件、関税及び貿易に関する一般協定第六条の実施に関する協定の締結について承認を求めるの件、関税及び貿易に関する一般協定第六条、第十六条及び第二十三条の解釈及び適用に関する協定の締結について承認を求めるの件、関税及び貿易に関する一般協定第七条の実施に関する協定の締結について承認を求めるの件、関税及び貿易に関する一般協定第七条の実施に関する協定の議定書の締結について承認を求めるの件、貿易の技術的障害に関する協定の締結について承認を求めるの件、輸入許可手続に関する協定の締結について承認を求めるの件、民間航空機貿易に関する協定の締結について承認を求めるの件並びに政府調達に関する協定の締結について承認を求めるの件につきまして、一括して提案理由を御説明いたします。
貿易に関する障害の漸進的な撤廃を通じて世界貿易の拡大及び一層の自由化を達成することを目的として昭和四十八年に開始されました多角的貿易交渉すなわち東京ラウンドにおきまして、ガット史上第七回目の関税の引き下げのための交渉及び非関税面の貿易障害の軽減のための交渉が行われてまいりましたが、これらの交渉の妥結により、関税引き下げ交渉に関連してジュネーブ議定書が、また、非関税面の貿易障害に係る交渉に関連して関税及び貿易に関する一般協定第六条の実施に関する協定を含め七の協定及び一の議定書が作成されました。また、この関税引き下げ交渉を推進する上で新たな確認書の作成が望ましいとの認識から交渉が行われました結果、第四確認書が作成されました。
これらの議定書、協定等は、関税及び非関税の両面にわたる貿易障害を軽減し、今後の国際貿易の一層の拡大、長期にわたる開放貿易体制の基盤強化を図る上で最も基本的かつ包括的なものであります。
以下、簡潔に個々の内容について御説明いたします。
関税及び貿易に関する一般協定の譲許表の変更に関する第四確認書は、現在のわが国のガット税率の品目の分類を組みかえたものであり、そこで掲げられた関税率が東京ラウンドでの関税引き下げの起点となっております。
関税及び貿易に関する一般協定のジュネーブ議定書は、各国の関税引き下げを収録しておりますが、この中でわが国は、工業品約二千四百品目及び農産品約二百品目の関税引き下げを約束いたしました。参加国全体の関税引き下げ品目の貿易額は、昭和五十一年の実績によれば、工業品千百億ドル、農産品百五十億ドルとされております。
関税及び貿易に関する一般協定第六条の実施に関する協定は、ダンピング防止税について一般協定第六条の規定の解釈を明確にするとともに、この規定の適用に関する詳細な規則を定めたものであります。
関税及び貿易に関する一般協定第六条、第十六条及び第二十三条の解釈及び適用に関する協定は、相殺関税及び補助金について、一般協定第六条、第十六条及び第二十三条の規定の解釈を明確にするとともに、これらの規定の適用に関する詳細な規則を定めたものであります。
関税及び貿易に関する一般協定第七条の実施に関する協定は、一般協定第七条の規定の実施について国際的に一層画一性及び確実性を与えるため、関税評価の方法を国際的に統一するための規定を設けております。また同協定の議定書は、同協定実施について開発途上国に一定の特例を認めたものであります。
貿易の技術的障害に関する協定は、産品に係る規格及び認証制度が国際貿易に不必要な障害とならないようにするための規則を定めたものであります。
輸入許可手続に関する協定は、輸入許可手続が貿易の阻害要因とならないよう、その公正かつ衡平な運用について定めています。
民間航空機貿易に関する協定は、民間航空機等の関税の撤廃その他民間航空機貿易の公正かつ平等な競争の機会を確保するための規定を置いております。
政府調達に関する協定は、政府調達に係る国内法令、手続等に対して内国民待遇及び無差別待遇の原則を適用すべきことを定めています。
これらの議定書、協定等は、多角的貿易交渉の枠組みの中で作成されたものとして、また、ガットの目的である関税その他の貿易障害を実質的に軽減し、及び国際通商における差別待遇を廃止することを目指したものとして、相互に実質的に密接な関係を有しております。したがって政府としては、これらの議定書、協定等を同時に締結することとした次第であります。
多角的貿易交渉の成果であるジュネーブ議定書、協定等を早期に締結しかつ誠実に実施することの必要性につきましては、昨年六月に東京で開催されました主要国首脳会議においても確認されたところであります。また、国際経済が困難な局面にある中で、保護主義の圧力を抑えて世界貿易の安定的な発展を図るためには、各国が交渉成果を早く実施に移し、開放貿易体制の基盤を揺るぎないものにしておくことが急務となっております。このような意味からも、特に多角的貿易交渉の主要な推進国であるわが国の早期締結は、強く期待されているところであります。
よって、ここに、関税に係る第四確認書及びジュネーブ議定書並びに非関税面の貿易障害に係る七の協定及び一の議定書の締結について御承認を求める次第であります。
以上十三件につき、何とぞ御審議の上、速やかに御承認あらんことをお願いいたします。