外務委員会

1980-04-01 参議院 全186発言

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会議録情報#0
昭和五十五年四月一日(火曜日)
   午前十時六分開会
    —————————————
   委員の異動
 三月二十七日
    辞任         補欠選任
     小野  明君     竹田 四郎君
 三月二十八日
    辞任         補欠選任
     熊谷  弘君     二木 謙吾君
 三月二十九日
    辞任         補欠選任
     竹田 四郎君     小野  明君
 四月一日
    辞任         補欠選任
     小野  明君     和田 静夫君
    —————————————
  出席者は左のとおり。
    委員長         石破 二朗君
    理 事
                稲嶺 一郎君
                戸叶  武君
                渋谷 邦彦君
    委 員
                大鷹 淑子君
                亀長 友義君
                町村 金五君
                小野  明君
                田中寿美子君
                塩出 啓典君
                立木  洋君
                藤井 恒男君
                田  英夫君
   国務大臣
       外 務 大 臣  大来佐武郎君
   政府委員
       科学技術庁原子
       力安全局次長   宮本 二郎君
       外務省北米局長  淺尾新一郎君
       外務省中南米局
       長        大鷹  正君
       外務省経済局長  手島れい志君
       外務省経済協力
       局長       梁井 新一君
       外務省条約局外
       務参事官     山田 中正君
       海上保安庁次長  沼越 達也君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        山本 義彰君
   説明員
       科学技術庁原子
       力局調査国際協
       力課長      石塚  貢君
       環境庁企画調整
       局環境管理課長  平尾多久雄君
       環境庁水質保全
       局企画課長    原  健彦君
       外務大臣官房審
       議官       矢田部厚彦君
       外務大臣官房外
       務参事官     井口 武夫君
       資源エネルギー
       庁長官官房原子
       力産業課長    熊野 英昭君
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  本日の会議に付した案件
○原子力の平和的利用における協力のための日本
 国政府とカナダ政府との間の協定を改正する議
 定書の締結について承認を求めるの件(内閣提
 出)
○廃棄物その他の物の投棄による海洋汚染の防止
 に関する条約の締結について承認を求めるの件
 (内閣提出)
○廃棄物その他の物の投棄による海洋汚染の防止
 に関する条約の紛争の解決に関する改正の受諾
 について承認を求めるの件(内閣提出)
○関税及び貿易に関する一般協定の譲許表の変更
 に関する第四確認書の締結について承認を求め
 るの件(内閣提出、衆議院送付)
○関税及び貿易に関する一般協定のジュネーヴ議
 定書(千九百七十九年)の締結について承認を
 求めるの件(内閣提出、衆議院送付)
○関税及び貿易に関する一般協定第六条、第十六
 条及び第二十三条の解釈及び適用に関する協定
 の締結について承認を求めるの件(内閣提出、
 衆議院送付)
○貿易の技術的障害に関する協定の締結について
 承認を求めるの件(内閣提出、衆議院送付)
○民間航空機貿易に関する協定の締結について承
 認を求めるの件(内閣提出、衆議院送付)
○政府調達に関する協定の締結について承認を求
 めるの件(内閣提出、衆議院送付)
○関税及び貿易に関する一般協定第六条の実施に
 関する協定の締結について承認を求めるの件
 (内閣提出、衆議院送付)
○関税及び貿易に関する一般協定第七条の実施に
 関する協定の締結について承認を求めるの件
 (内閣提出、衆議院送付)
○関税及び貿易に関する一般協定第七条の実施に
 関する協定の議定書の締結について承認を求め
 るの件(内閣提出、衆議院送付)
○輸入許可手続に関する協定の締結について承認
 を求めるの件(内閣提出、衆議院送付)
    —————————————
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石破二朗#1
○委員長(石破二朗君) ただいまから外務委員会を開会いたします。
 まず、委員の異動について御報告いたします。
 去る三月二十八日、熊谷弘君が委員を辞任され、その補欠として二木謙吾君が選任されました。
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石破二朗#2
○委員長(石破二朗君) 原子力の平和的利用における協力のための日本国政府とカナダ政府との間の協定を改正する議定書の締結について承認を求めるの件、廃棄物その他の物の投棄による海洋汚染の防止に関する条約の締結について承認を求めるの件、廃棄物その他の物の投棄による海洋汚染の防止に関する条約の紛争の解決に関する改正の受諾について承認を求めるの件、関税及び貿易に関する一般協定の譲許表の変更に関する第四確認書の締結について承認を求めるの件、関税及び貿易に関する一般協定のジュネーヴ議定書(千九百七十九年)の締結について承認を求めるの件、関税及び貿易に関する一般協定第六条、第十六条及び第二十三条の解釈及び適用に関する協定の締結について承認を求めるの件、貿易の技術的障害に関する協定の締結について承認を求めるの件、民間航空機貿易に関する協定の締結について承認を求めるの件、政府調達に関する協定の締結について承認を求めるの件、関税及び貿易に関する一般協定第六条の実施に関する協定の締結について承認を求めるの件、関税及び貿易に関する一般協定第七条の実施に関する協定の締結について承認を求めるの件、関税及び貿易に関する一般協定第七条の実施に関する協定の議定書の締結について承認を求めるの件、輸入許可手続に関する協定の締結について承認を求めるの件、以上十三件を便宜一括して議題といたします。
 まず、政府から順次趣旨説明を聴取いたします。大来外務大臣。
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大来佐武郎#3
○国務大臣(大来佐武郎君) ただいま議題となりました原子力の平和的利用における協力のための日本国政府とカナダ政府との間の協定を改正する議定書の締結について承認を求めるの件につきまして、提案理由を御説明いたします。
 現在、わが国とカナダとの間には、昭和三十四年に署名され、その翌年に発効した原子力の平和的利用における協力のための協定が締結されております。わが国は、この協定の発効以来、わが国の原子力発電に必要な天然ウランの大半をカナダから購入しておりますが、カナダは、昭和四十九年五月のインドの核実験を契機として、自国産のウラン等に対する規制を強化する政策をとり、わが国等の諸国に対して原子力協定の改正を申し入れてまいりました。政府は、カナダのこの新政策を勘案しつつ、わが国の原子力の開発と利用を促進し、また、天然ウラン等の核物質供給に関する両国の協力関係を維持し、さらにこれを拡大するとの基本方針で、カナダと交渉を行いました。その結果、昭和五十三年八月二十二日に東京において、園田外務大臣とカナダ側ホーナー通産大臣との間で現行協定を改正する議定書の署名を行った次第であります。
 この議定書は、第八十七回国会及び第八十八回国会に提出されましたが、審議未了となったものであります。
 この議定書は、本文七カ条から成り、これによる主な改正内容は、次のとおりであります。すなわち、現在規制の対象となっている核物質、原子炉等に加えて、濃縮、再処理等に関する情報をも第三国移転に関する規制の対象としたこと、ウランの二〇%を超える濃縮及び一定の核物質の長期にわたる貯蔵を供給国の事前同意の対象としたこと、協定の対象核物質を盗難、不法な奪取等から防護するための措置をとることとしたこと、いわゆる平和目的の核爆発に使用するものを含め、協定の対象核物質をいかなる核爆発装置の製造にも使用してはならないことを明示的に規定したこと、核拡散防止条約に基づく保障措置協定による保障措置が適用されることを明示したこと等であります。
 この議定書の締結によって日加両国が原子力に関する協力関係をさらに発展させるための基礎を整備することは、核拡散防止のための国際的努力に協力しつつ、わが国の原子力平和利用推進に必要な天然ウラン資源を確保するとの観点より、きわめて大きな意義を有するものと考える次第であります。
 よって、ここに、この議定書の締結について御承認を求める次第であります。
 次に、廃棄物その他の物の投棄による海洋汚染の防止に関する条約の締結について承認を求めるの件につきまして提案理由を御説明いたします。
 海洋環境保全の必要性なかんずく産業活動等の活発化に伴って生ずる海洋汚染を防止することの必要性は、つとに認識されてきたところでありましたが、海洋の汚染原因の一つである海洋投棄の規制に関する条約を作成することにつきましては、昭和四十七年六月にスウェーデンのストックホルムにおいて開催されました第一回国連入間環境会議におきましてもその重要性が強調されました。この条約は、昭和四十七年十一月にロンドンにおいて開催されました条約作成会議において採択され、わが国は、昭和四十八年六月にこの条約に署名いたしました。
 この条約は、昭和五十年八月に効力を生じ、現在フランス、ドイツ連邦共和国、ソビエト連邦、連合王国、アメリカ合衆国を含め四十を超える国が締約国となっております。
 この条約は、第八十七回国会及び第八十八回国会に提出されましたが、審議未了となったものであります。
 この条約は、人の健康に危険をもたらし、生物資源及び海洋生物に害を与え、海洋の快適性を損ないまたは他の適法な海洋の利用を妨げるおそれがある廃棄物その他の物の投棄による海洋汚染を防止することを目的とし、海洋投棄の禁止及び規制、違反行為を防止するための措置等締約国がとるべき措置について規定するとともに、地域的取り決めの締結、技術等の分野での援助等国際的な協力についても定めております。
 わが国がこの条約を締結することは、わが国の沿岸海域を含むすべての海洋の環境の保全に資することになるとともに、この分野における国際協力の推進のためにも望ましいと考えます。
 よって、ここに、この条約の締結について御承認を求める次第であります。
 次に、廃棄物その他の物の投棄による海洋汚染の防止に関する条約の紛争の解決に関する改正の受諾について承認を求めるの件につきまして提案理由を御説明いたします。
 廃棄物その他の物の投棄による海洋汚染の防止に関する条約は、その締約国協議会議において、同条約の解釈及び適用に関する紛争の解決のための手続について検討する旨規定しております。この改正は、以上の規定に基づく検討の結果昭和五十三年十月にロンドンにおいて採択されたものであります。この改正は、条約の締約国の三分の二がこの改正の受諾書を機関に寄託した後六十日目の日に、この改正を受諾した締約国について効力を生ずることとなっており、まだ発効いたしておりません。この改正の受諾につきましては、第八十七回国会及び第八十八回国会に提出されましたが、審議未了となったものであります。
 この改正は、条約の解釈または適用に関する締約国間の紛争であって交渉その他の方法によって解決することができなかったものについて、紛争当事国間の合意により国際司法裁判所に付託しまたは一方の紛争当事国の要請により仲裁に付託すると定めております。また、その仲裁の手続については、紛争当事国が別段の合意をしない限り、新たに追加された付録に定める規則に従うと定めており、付録において仲裁裁判所の構成、費用の負担、裁判手続等について規定しております。
 わが国は、従来から、条約の解釈または適用に関して発生することが予想される紛争が公平かつ確実に解決されることが望ましいとの見地から、これらの紛争が最終的に国際司法裁判所または仲裁裁判に付託されるべきであるとの立場をとって、きておりますが、この改正の内容は、このようなわが国の立場に合致するものであります。
 よって、ここに、この改正の受諾について御承認を求める次第であります。
 最後に、関税及び貿易に関する一般協定の譲許表の変更に関する第四確認書の締結について承認を求めるの件、関税及び貿易に関する一般協定のジュネーヴ議定書(千九百七十九年)の締結について承認を求めるの件、関税及び貿易に関する一般協定第六条の実施に関する協定の締結について承認を求めるの件、関税及び貿易に関する一般協定第六条、第十六条及び第二十三条の解釈及び適用に関する協定の締結について承認を求めるの件、関税及び貿易に関する一般協定第七条の実施に関する協定の締結について承認を求めるの件、関税及び貿易に関する一般協定第七条の実施に関する協定の議定書の締結について承認を求めるの件、貿易の技術的障害に関する協定の締結について承認を求めるの件、輸入許可手続に関する協定の締結について承認を求めるの件、民間航空機貿易に関する協定の締結について承認を求めるの件並びに政府調達に関する協定の締結について承認を求めるの件につきまして、一括して提案理由を御説明いたします。
 貿易に関する障害の漸進的な撤廃を通じて世界貿易の拡大及び一層の自由化を達成することを目的として昭和四十八年に開始されました多角的貿易交渉すなわち東京ラウンドにおきまして、ガット史上第七回目の関税の引き下げのための交渉及び非関税面の貿易障害の軽減のための交渉が行われてまいりましたが、これらの交渉の妥結により、関税引き下げ交渉に関連してジュネーブ議定書が、また、非関税面の貿易障害に係る交渉に関連して関税及び貿易に関する一般協定第六条の実施に関する協定を含め七の協定及び一の議定書が作成されました。また、この関税引き下げ交渉を推進する上で新たな確認書の作成が望ましいとの認識から交渉が行われました結果、第四確認書が作成されました。
 これらの議定書、協定等は、関税及び非関税の両面にわたる貿易障害を軽減し、今後の国際貿易の一層の拡大、長期にわたる開放貿易体制の基盤強化を図る上で最も基本的かつ包括的なものであります。
 以下、簡潔に個々の内容について御説明いたします。
 関税及び貿易に関する一般協定の譲許表の変更に関する第四確認書は、現在のわが国のガット税率の品目の分類を組みかえたものであり、そこで掲げられた関税率が東京ラウンドでの関税引き下げの起点となっております。
 関税及び貿易に関する一般協定のジュネーブ議定書は、各国の関税引き下げを収録しておりますが、この中でわが国は、工業品約二千四百品目及び農産品約二百品目の関税引き下げを約束いたしました。参加国全体の関税引き下げ品目の貿易額は、昭和五十一年の実績によれば、工業品千百億ドル、農産品百五十億ドルとされております。
 関税及び貿易に関する一般協定第六条の実施に関する協定は、ダンピング防止税について一般協定第六条の規定の解釈を明確にするとともに、この規定の適用に関する詳細な規則を定めたものであります。
 関税及び貿易に関する一般協定第六条、第十六条及び第二十三条の解釈及び適用に関する協定は、相殺関税及び補助金について、一般協定第六条、第十六条及び第二十三条の規定の解釈を明確にするとともに、これらの規定の適用に関する詳細な規則を定めたものであります。
 関税及び貿易に関する一般協定第七条の実施に関する協定は、一般協定第七条の規定の実施について国際的に一層画一性及び確実性を与えるため、関税評価の方法を国際的に統一するための規定を設けております。また同協定の議定書は、同協定実施について開発途上国に一定の特例を認めたものであります。
 貿易の技術的障害に関する協定は、産品に係る規格及び認証制度が国際貿易に不必要な障害とならないようにするための規則を定めたものであります。
 輸入許可手続に関する協定は、輸入許可手続が貿易の阻害要因とならないよう、その公正かつ衡平な運用について定めています。
 民間航空機貿易に関する協定は、民間航空機等の関税の撤廃その他民間航空機貿易の公正かつ平等な競争の機会を確保するための規定を置いております。
 政府調達に関する協定は、政府調達に係る国内法令、手続等に対して内国民待遇及び無差別待遇の原則を適用すべきことを定めています。
 これらの議定書、協定等は、多角的貿易交渉の枠組みの中で作成されたものとして、また、ガットの目的である関税その他の貿易障害を実質的に軽減し、及び国際通商における差別待遇を廃止することを目指したものとして、相互に実質的に密接な関係を有しております。したがって政府としては、これらの議定書、協定等を同時に締結することとした次第であります。
 多角的貿易交渉の成果であるジュネーブ議定書、協定等を早期に締結しかつ誠実に実施することの必要性につきましては、昨年六月に東京で開催されました主要国首脳会議においても確認されたところであります。また、国際経済が困難な局面にある中で、保護主義の圧力を抑えて世界貿易の安定的な発展を図るためには、各国が交渉成果を早く実施に移し、開放貿易体制の基盤を揺るぎないものにしておくことが急務となっております。このような意味からも、特に多角的貿易交渉の主要な推進国であるわが国の早期締結は、強く期待されているところであります。
 よって、ここに、関税に係る第四確認書及びジュネーブ議定書並びに非関税面の貿易障害に係る七の協定及び一の議定書の締結について御承認を求める次第であります。
 以上十三件につき、何とぞ御審議の上、速やかに御承認あらんことをお願いいたします。
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石破二朗#4
○委員長(石破二朗君) 以上で趣旨説明は終わりました。
 これより質疑に入ります。
 質疑のある方は順次御発言を願います。
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戸叶武#5
○戸叶武君 グローバルな時代に、それにふさわしいような貿易関係の協定等も推進されてきておりますが、一番おくれているのは、今日においては各国間における総合的な理解が深められておらず、外交、防衛等の問題においてきわめてちぐはぐな動きがなされている点であります。こういう問題に関連して大来さんは先般アメリカ訪問もなされたのでありまして、この問題に関してはまだ多くの人からいろいろな質問がなされることと信じますが、私は、現在世界の有力な国々及び発展途上国等において、経済的利害や宗教やイデオロギーの違いにおいていろんな理解を欠いた行き過ぎが行われていると思うのであります。これでは平和共存への道というものが険しい道になってしまって、われわれ先進国間においてなされているベネチア・サミットへの道も、なかなかそこに至るまでの間、道中においていろいろな問題が起きるのではないかということ、それが心配であります。しかしながら、この二、三日前に、二、三日前というか去る三十日に、イランの最高指導者ホメイニ氏にカーター米大統領が親書を寄せられた旨の発表がありました。このアメリカにおけるカーター大統領の率直な反省と見られるような発言に対しては、世界の人々が目をみはっておるのであります。あらかじめこのことは日本政府においてもすでに察知していたことと思うのでありますが、大来外務大臣はいつごろからこのことを知っておられたのか。日本側においては伊東官房長官が三十一日、ゆうべの記者会見で、大平首相がこのほどイランのバニサドル大統領に対し、アメリカ大使館の人質の早期解放が可能な方向へ導くよう努力してほしいという親書を送られたことを明らかにしたということの発表がなされておりますが、外務大臣はいつごろからこのことはおわかりだったんでしょうか。
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大来佐武郎#6
○国務大臣(大来佐武郎君) いまのお尋ねの件につきましては、政府に対して正式な通報はございませんので、私どもも最近のニュースによって承知するという状況でございます。ただ、せんだってワシントンに参りましたときに、バンス長官がイラン問題は何とかして解決しなきゃならないということを強く言っておったことは記憶にございます。
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戸叶武#7
○戸叶武君 伊東官房長官の発表によりますと、大平首相はこのほどイランのバニサドル大統領に対し、アメリカ大使館の人質の早期解放が可能な方向に導くよう努力してほしいという親書を送っているということでありますが、伊東官房長官のこれは発表ですが、このことは大来外務大臣ともあらかじめ御相談の上において出されたのか、それとも独自な形において大平首相並びに伊東官房長官の手によってそういう親書が出されたのか、この間のいきさつを承りたいと思います。
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大来佐武郎#8
○国務大臣(大来佐武郎君) これは重要な外交案件でございまして、外務省、私の方にも相談の上出されたものでございます。
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戸叶武#9
○戸叶武君 重要な案件であるというふうに外務大臣も受けとめておりますが、これは大平首相なり大来外務大臣が自主的な意思によってこれをなされたのか、それともアメリカ側の懇請に基づいてなされたのか、その間の事情を承りたいと思います。
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大来佐武郎#10
○国務大臣(大来佐武郎君) これは自主的な意思によって出されたものでございます。
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戸叶武#11
○戸叶武君 伊東官房長官は、人質問題の解決が長引いたのでアメリカ側でもいらいらしているので、米国や西欧諸国がイランに送ったメッセージと同じような趣旨でこれを送ったというのでありますが、同じような趣旨というのでは、欧米諸国の国々の人々と御相談の上にこれは歩調を合わせてやったものでしょうか。
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大来佐武郎#12
○国務大臣(大来佐武郎君) ただいまの件につきましては、日本政府といたしましても欧州諸国と絶えず情報を交換いたしておりますので、そういう意味では相互の連絡がとられてまいったわけでございます。
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戸叶武#13
○戸叶武君 また伊東官房長官の御見解によると、六月のベネチア・サミットでエネルギー問題にイランの人質問題が中心課題となるということを憂慮して、そこで西側先進国と足並みをそろえて解決を図りたいという共通の意思によってその行動に出たんだと述べておりますが、大来外務大臣も同じような見解でしょうか。
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大来佐武郎#14
○国務大臣(大来佐武郎君) その点も理由の一つでございまして、官房長官と同じ意見でございます。
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戸叶武#15
○戸叶武君 カーター米大統領は二月十六日にすでにアメリカの雑誌編集者との会見の際に、一、アメリカが過去のイラン政策について自己批判をする、二、内政に干渉しないようにする、三、パーレビ元国王を訴追するイランの権利を認めること、この三つを挙げて自分の心境を吐露しておりますが、そのころからカーター米大統領は今日のような行動にやがて出たいということを考えておったものと思われるので、必しもとっぴな行為ではないと思いますが、アメリカの大統領が今回ほど率直に自己批判をして、過去のことに対しては余り触れないでもらいたいがという念願も秘めながらも、過去においてアメリカがいろんな、自分とは関係がないが、誤解を生むような行動にも出ておった。それはそれとしてそういう微妙なあばき立てはしないが、まあ事を円満に運んでいくためにお願いするという、アメリカとしては珍しい謙虚な姿勢でこのメッセージというものは送ったと思うのでありますが、そういうそこまで苦悩しそこまで決断するまでにはいろんなプロセスがあったと思うんですが、アメリカの大統領としてアメリカのいままでのプライドをあるところまで捨てて、これまでに真実に訴えをなして、相手国の行き方に対していろんな批判もしないで耐え忍んでとにかく人質問題にしぼって問題を打開しようというような試み、これはアメリカ外交の中においてはいまだかつて例を見ないようなやり方と私は思うのですが、こういう動きに対して日本では、前に国務長官からお会いしたときに話はあったと言いますが、大来さんもすでにこのことは察知しておられたでしょうか。
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大来佐武郎#16
○国務大臣(大来佐武郎君) アメリカ政府といたしましては、国連のワルトハイム事務総長のあっせん、それによる調査委員の派遣というようなことによっての事態の解決を望んでおったと思うのでございますが、御承知のようにこの調査委員会の派遣が十分な成功を見ないで帰って戻ってまいったわけでございまして、その後にさらに引き続き何とか解決をしなければならないということが今回のような動きになったのではないかと考えております。私どもとしても自国の国民、大使館が占領され五十人の人質がこれだけ長期にわたって取られておる状況におきまして、米国政府が忍耐強く交渉の態度を維持してきたということは高く評価すべきものだと考えております。
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戸叶武#17
○戸叶武君 私も二月に欧州会議の代表者十二名と日本の国の代表者、国会の代表者十二名とでストラスブールで話し合いをしましたが、そのときの空気を見ても、ソ連のアフガンに対する軍事的な進出に対してはこれに反対であるが、しかしアメリカのイランに対する人質問題は重要であるにしても、いきなり経済封鎖、食料断交あるいはオリンピック反対という矢継ぎ早のこの一連の強圧に対してはそのままうのみにできないというような良識がみなぎっておったと思うんです。ソ連のアフガン問題に対しては、欧州議会においてはそれをデタントの方向へ戻すように決議を、イギリスの外務大臣の熱心な努力等を通じて全体的な合意を得たのでありますが、それと同時にアメリカのいきり立つ気持ちはわかるが、何か力ずくで押さえつけようという行き方においては問題解決にはほど遠いものになるんじゃないかという憂慮があったようであります。この間において、アメリカの軍部関係の人や何かは、とにかくアメリカとソ連との対立抗争が激化したならば日本は軍事的な意味の協力も必要である、もっと軍備を責任を持って強化しろというようなアメリカからの要請、その他貿易の面でも食糧の面でもああいう荒っぽい押しつけ方だと、これはいまイランに対しては人質問題で謙虚な形で反省に出ておりますが、力を持っているアメリカは時としては感情的に何をやらかすかわからないというような不安感を国民が抱いた点においては、ソ連と同様の私は不信感を国民の中にまき散らしたと思うんです。
 大来さんがアメリカに行き、これから大平さんもアメリカへ行くが、自動車の関係で大平さんも初めから余り行きたくなかったようですが、どうも民間側において承知しないからと、民間にだけ責任を転嫁するわけじゃないでしょうが、アメリカに都合のよいようなことだけを言って相手をひねりつぶそうというやり方に対しては、国民の中にもにがにがしい感情というものがいま横溢していると思うんです。アメリカではそれをやってみて後まずかったらまた謝るという手も、今度を見ればアメリカの手はいろいろ損だということはわかりましたが、こういうくせがついてしまうとなかなか日本のいままでのような卑屈な外交なり折衝においてはアメリカになめられるばかりであって、アメリカ自身も相手の立場などということを考慮なしに暴走していくと、ソ連と同じように、私は世界の人から孤立する危険性があると思うんです。
 パートナーシップというのはやっぱり言うべきものは言い、そうしてアメリカに改めてもらいたいことは改める。人質を取ったから、人質が大変だからこの辺で平謝りに謝ってイランの怒りを避けようというような、そういう小手先だと、アメリカへの不信感というものはさらに私は強まっていくと思うんですが、その問題はなかなか言いづらい点があるけど、けさのニュースの報道を聞いて、大平さんも余り行きたがっていなかったけれども、大来さんでもあの程度やられるんだから、まあベネチア・サミットの後でもあれば別だけれども、もう少し日本の国民の感情や何かというものもくみ取ってやらなきゃ動きが取れぬというところへ来ているんじゃないかと思いますが、大平さんのことまで測定することはあなたにはできないかもしれませんが、やはりあなた自身もアメリカへ行って非常に苦労してきたと思うんです。言いたいことを言わしておくのは勝手ですが、そういう言いたいことをやたらに勝手に言うという悪いくせに対しては、こっちではこれに対するこたえべき言葉がなくなってしまうんじゃないかと思うんですが、その辺は苦労人の大来さんはどういうふうに打診してまいりましたか。
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大来佐武郎#18
○国務大臣(大来佐武郎君) アメリカのお国柄、一つには言論の自由があり、いろいろな方面の人が自分の考えをある意味では勝手に発言するというような事情もある。これはまあデモクラシーの一つの性格、特質でもあると思いますが、同時にやはり長い目で目れば違った意見に対して寛容だというデモクラシーの長所も持っておるように思うのでございまして、イランの問題につきましても西欧諸国なり、日本なりいろいろな形で意見を従来からアメリカ政府にも伝えてまいったわけでございますが、多少そういう西欧なり日本なりの意見というものもアメリカ政府の政策に影響を与えておるように私どもは感じておるわけでございます。世界の問題についてもいろいろ違った見方、立場があるわけでございまして、この各国の間での意見交換が率直に行われるということが大きな危険を避ける意味で非常に大事だと感じております。
 ただいまの日米関係につきまして、自動車問題あるいは防衛問題等について非常に圧力が一方的にあるのではないかというお話もございました。これは確かにいろいろな方面でいろいろな意見が言われておることではございますけれども、しかし政府の当局者はかなり日本の立場についての理解に基づいた発言をいたしておる。日本の国内の問題あるいは平和憲法の問題あるいは自動車問題につきましても、今度の会談の節も、先方で、これはアメリカの自動車工業が大型から小型に切りかえるタイミングと決断を誤ったためにこういう結果になったんだということをアメリカ側の高官が発言いたしておりましたけれども、まあ一方的に意見を押しつけるということにはならないように日本側としてもできるだけ日本の立場、見方というものを先方に伝える、今回もそういう努力をやってまいったつもりでございます。非常に破壊的な何でも反対ということではやっぱりコミュニケーションがうまくいかないと思いますが、筋の通った問題については違った意見を率直に向こう側に申し述べるという努力は、今後も日米関係においてきわめて重要だと思いますし、米国もそれに聞く耳を持たないという態度ではなくて、かなりの程度そういう意見を聞きながら考えていこうという態度はあるように思います。問題によりまして非常に国民の感情が高ぶる、人質問題、そういう場合に先方の政府としてもなかなかむずかしい問題があるようでございますが、基本的にはやはり他人の意見、違った意見にも耳を傾けるという態度はあると私は感じておるわけでございます。
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戸叶武#19
○戸叶武君 いま大来さんが言うように、ソ連から見ればアメリカの方がずいぶん表現はラフな表現であっても、話せばわかるという面は多少あると思います。ソ連だって全然わからないことはないと思います。今度のアフガンに対する軍事的進出はやはりひいきの引き倒しでソ連の軍隊を、戦車をあそこに導き入れることによってアメリカの先制攻撃を封じるんだというような一部の人たちの考え方がソ連のアフガン問題を誤らせた原因ではないか。アメリカがまたパキスタンやその他における陽動作戦においてペルシャからアフガンをつこうというようなアフガンの一部の軍部を抱き込んでのやり方というようなものが過大に見られたところもある。そういう点、どうもアメリカとソ連はあれだけ話し合いができているのになぜ問題を突っ込んであそこまでいけないでほうり出してしまったかというのには、どちらも相手と話し合いができるようなかっこうだけはしているけれども、どちらも相手をやはりけ飛ばしていけという本能的なものがひそんでいるところに、そういう一つの相互理解を欠いて対立の方向へ一気に持っていくような、勇み足というか、そういうものも出てくるんだと思います。
 そういうところに、私は中国のようにいきなりソ連とアメリカは覇権主義の国家だというふうにまでは言い切れないにしても、それに近い面が今度はソ連においてもアメリカにおいても露呈して、それが各国のひんしゅくを買い、警戒を持たれたという点においてはアメリカもソ連も非常に損をしているし、損をしたことによってそれをとことんまで言わないで、これがアメリカから今度見られるような反省となり、ソ連からも、やがてがんこと言われながらもやっぱり一つの孤立した形において独走すると危険だということの危険信号が感ぜられるようになれば、暫定的にしろやはり今回における災いを転じて福となすことも若干できると思うんですが、それにもかかわらず軍縮の問題なり原子兵器の制限の問題なり軍備の拡張の問題なり、お構いなく一面においては相手を仮想敵国のように考えて、そうして近所隣にも迷惑をかけて暴走していく限りにおいては、今度よりももっと私は不信感が強い災いが起きないとも限らないと思うんですが、大来さんも日本における防衛費をもっと増額しろという点において、外務省は〇・九%から一%まで持っていくのも大変だ、大蔵省もそれに呼応して慎重論を説いた。外務省はNATO並みの計算だと軍人恩給というようなものも入れてとにかく一・五%程度の軍事費が日本においては積み重ねられているんだというような発表もしていたが、最終的にはやっぱり一%に、アメリカの言うことに応じないと貿易その他の方も緊張しているので、あれもだめだこれもだめだというのじゃやはりどうにもならないから、この辺で適当に妥協し手を打とうかという考え方に戻ってきてしまった。行きはよいよい帰りはこわいで重荷をしょってきたようですが、その辺のいきさつは非常に微妙な点がありますが、大来さんはそれで仕方がないと思っていますか。
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大来佐武郎#20
○国務大臣(大来佐武郎君) このアメリカ側との会談、今夏参りましたのは、別に交渉して物事を決めてくるというわけではございませんで、意見の交換ということを目的に参ったわけでございます。そういう意味では特別に一%とか具体的な問題について約束をして帰ってきたわけではございませんで、アメリカ側が日本に対して希望しておることを率直に聞き、こっちも日本の立場を率直に申すということで帰ったわけでございます。今度は一%という問題は向こう側から出なかったわけでございますし、こちらからも言わなかったわけでございます。ただ、防衛庁の持っております中期業務見積もりというものを前倒しといいますか、一年短縮して実現してもらえると望ましいと思うというような希望の表明があったわけでございますが、私としてはこれは日本政府全体、特に総理大臣なり防衛庁当局なり財政当局なりの十分な検討を経なければ何も決まったことは言えない問題だと、したがって、そのアメリカ側の希望は承って、これをそれぞれいまのようなところにお伝えいたしますということで帰ってきたわけでございまして、そういう意味では約束をしてまいったわけではございません。
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戸叶武#21
○戸叶武君 そういうふうな行き方においては、アメリカの大使のマンスフィールドさんにしても大来さんにしても非常に経験豊かな練達の士であるから、相手の考え方を全部無視しないで相手の言うことも聞き、こっちの言うことも言い、そして慎重な形で問題をまとめていこうという考え方の模様ですから、人によっては向こう側はこう考えているんだというのを率直に伝言するので、何だそんなことを押しつけたり、のんできたんじゃないかという誤解も招くようですが、いまの話を聞いて、やはり非常に慎重な配慮がなされているということを承ってやや安心なのですが、現在世界の動きの中で私たちがEC九カ国の人々の代表と接触した感じでも、ヨーロッパにおいては各国の利害が錯綜して、言いたいことは言っているが、しかしその限界点ははっきりしておって、そしてお互いにチームワークをとってむずかしい問題もざっくばらんな話し合いを行って、お互いの合意を得て共同の行動に出ようというような新しい一つのルールが確立し、いままでの議会主義において足りなかった面が九カ国という拡大された範囲内においての共同の合意というものをつくり上げるためにうまく運営されていると思います。その点がかつてお互いに血を流して戦ったドイツとフランスの中においてもわれわれが想像する以上な融和ができておる。それから見ると日本はアジアにおける唯一の先進国であり、中国とのパートナーシップはアメリカと違う意味においてつくり上げられたが、なかなか物の考え方や行動においてもそれから発展段階の相違においても、今後、むずかしい面が、ヨーロッパ並みとはいかないような、先進国同士の間における相通ずるものとはそのまま同じような形じゃないものがやはり出てくる危険性はあると思うんです。
 ソ連に対してでも、あれほどアメリカ以上に憎しみを持ってソ連を警戒した中国が、最近においてはイデオロギー的にはやはりソ連の共産主義の内政というものは高く評価しなけりゃならないというような意見もずっと出てきているし、それによって果たして近代化の道というものがうまくいくかどうかということは、次の実験において問題が展開されるんでしょうが、イデオロギーや宗教に対してわれわれは関与すべきではないけれども、今日はイデオロギーや宗教というものの全体主義的な、絶対主義的な物の考え方がどちらかと言えば薄らいで、何が国民のために、国民の繁栄のために必要か、何が平和への方向づけを行っているか、きわめて具体的な政策を通じて政治がわれわれの生活に、人民の心に直結した具体的なものに変わりつつあるときに、全体主義かあるいは民主主義かというような議論はさておいて、やはりそこに外交上においてもいろいろな錯綜した動きがあると思うんですが、私たちはアメリカとのパートナーシップの中において、アメリカに迎合するんではなく、アメリカに対しても時として苦言をも呈する。中国においてもしかり。ソ連においても、いたずらに警戒し、敵対的な、仮想敵国的な形に持っていくのでなくて、ソ連も変わらざるを得ないというような——変わらないかもしれないけれども、変わらざるを得ないという信念を持って、相手の一つの、人民という名においていつも物を言っているけれども、何といっても全体主義的な国家、絶対主義的な政治哲学というものが根底をなしているんだから、そういう点においてナチと同じにソ連を見ることはできないにしても、危険は、私たち民主国家からするならば、われわれが危険と見るような面はなきにしもあらず。どこか薄気味の悪いところがやはりちらちらするのは事実だと思うんです。ざっくばらんに物の言えない、そしてフリーな形において、自由があるんだ、これが本当の自由だと力んでみても、何かサハロフの問題でもさわらない方がいいかもしれないが、とにかくミリタントなヒューマニストを遇するの道というのはやはり欠けている点がある。
 こういう点において、ヨーロッパ諸国においても民主主義と全体主義の対立においては、ソ連とはなかなか溶け込めない面がある。しかし、それを戦争へという方向へ持っていくことは御免だというところで、まあいろいろな押し合いがなされていると思うんですが、日本においては、ヨーロッパ以上に非常な単純な形で敵か味方か、直ちに仮想敵国にしてわれわれは軍事的な力で相手をやっつけようなどという考えを起こしておったのでは、やはり一つのナチズムの復活であり、ファシズムへの方向づけであり、非常な危険なものに日本自体が見られて、世界から孤立する危険性もあると思うんです。その辺のことは今後の外交の歩みにおいてもデリケートな問題ですが、やっぱり率直に私は相手と話し合って、われわれの考え方に敵なしというだけの明朗濶達な、一つのおずおずしない外交路線をつくり上げてもらいたいと思うんですが、大来さんはその方にくみすると思うんですけれども、やはりデタントへの道を歩む以外に、戦争への道を歩むことによってわれわれの運命は開けないんだということの信念を国民全体が持ち、内閣も政党も、いまのようなわけのわからない、とにかくばくち打ちまで国会でのさばるというような、こういう変な世相を根絶させるところへ持っていかなけりゃやっぱり人は信用しないんですから、そういう点を外交上においても、いいかげんというのはチャランポランという意味で、かげんがいいという意味じゃないんですから、そこいらはきちっとすべきところはきちっとしていかないと、うんだのかつぶれたのか何かわからないような八方位外交だと、日本は一体何を考えて何をやっているんだろうかという不信感を買う危険性も出てくると思うんですが、大来さんはそれをどういうふうに見ておりますか。
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大来佐武郎#22
○国務大臣(大来佐武郎君) 私も今回も先方で申してきたことでもございますけれども、日本はやはり第二次大戦後選んだ、日本国民の世界の中での生き方というものがある。たとえばそれはまあ基本的には平和的に世界の中で生きるということでございまして、防衛という問題を取り上げても、あくまでもこれは自分の国を守るという専守防衛の立場、この基本的な立場から踏み出すことはできないし、また踏み出すべきでない。平和憲法というものを持っておる国民でございますし、そういう大きな枠組みを日本人が現在変える意思はない。その大きな枠組みの中でいまやれること、やるべきことがあれば、これは国民のコンセンサスのもとにやっていくべきことだと思うという趣旨のことはブラウン長官にもバンス長官にも直接話したわけでございます。
 やはり一つは、日本が各国の公正と信義に依存して憲法第九条を設けたということでございますが、まあ世界情勢全体として必ずしも武力を外交の手段に使わないという保証、他の国々が武力を外交の手段に使わないという保証、現実の人間社会の動きというものがまだそこまでどうも行っていない面もある。武力を外交手段に使うケースはしばしば起こっておるということを踏まえて考えますと、他の国が仮に日本に対して武力攻撃をするような場合にも、それは非常に高くつくという意味での抑止力。こちらは絶対に他の国に攻撃する意思はない。これはもう日本国民の決意だと私は思いますが、しかし、他の国の国家なり国民がすべて日本と同じような考え方をしているかどうかということは、やっぱり第二次大戦後三十数年の世界の動きを見ますと、どうもまだ人間社会、そこまでは達していない。武力を外交手段に使うケースも起こってくるかもしれないということに対して最小限に備えるということは、よその国から言われることではなくて日本人自身がいかにして基本的にわれわれあるいはわれわれの子孫まで含めての安全を確保するかと、そういう立場から考えるべき性質の問題だろうと思います。そういうことで、いわゆる専守防衛に徹してある程度の備えをしておくということがこの日本の防衛問題の中心でございまして、世界的な防衛戦略といいますか、軍事戦略の一環になっていくということは日本国民の願わないところだろうと思います。そういう意味で、日本のとるべき道はあくまでも自主的な国民の安全という立場、この点は繰り返しアメリカその他の国々に対しても主張するといますか、日本の立場を明らかにすべきことだろうと考えるわけでございます。
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戸叶武#23
○戸叶武君 いま、この前に起きた事件としては、イランの国王がアメリカの言うなりになる国と思われているパナマ国からエジプト国へ移った事実を世界の人々は奇異な感じでながめておりましたが、私は、エジプトに行きまして、エジプトにおける最高の知性人と言われているカイロ大学の総長のターレブ国会議長と三回ほど会い、いろんなお話も突っ込んでいたしましたが、アラブ全体にはやはりアラブの大義、回教国圏においては共通の物の考え方が、キリスト教的な世界観とは異なった形において、一つの法律分野においても物の考え方においても存在しているのが事実だと思うのであります。パーレビ元の国王を庇護するという形でなく、やはりイランにおいて王並びに王を取り巻いた、祖国を裏切った腐敗政治に対してアメリカがこれに加担をしておった、アメリカの重要な人物、これこれの人物が加担しておったということをすでに発表し、イギリスの帝国主義的なアラブ分裂政策の支配に対する不信感と同様に、イギリス帝国主義にかわったアメリカのやり方に対しては相当露骨に暴露戦を行ってきております。しかしながら、このアメリカ大使館の人質問題をめぐって問題が展開されてきたのは、法治国家として法において裁くというような声明もなされておるので、それがワンクッションになってやはりアラブの大義、アラブの人たち、回教徒の人たちがイランの人々をも含んで納得するような一つの法的なものを基礎として問題を追及しようという構えが出てきている。それには、アラブの国において一番律法者が多いエジプトにおいてなされることが一番妥当でないかというような考えもひそんでおるのじゃないかと思われる節もあるのです。
 御承知のように、アレクサンドリアの文化というものの中には、キリスト教社会において通用しなかった独善的な宇宙観に対しても、コペルニクスやガリレオの地動説は大体アレクサンドリアの学者からすでにいち早く提示せられておったし、その後の実証主義的な学問というものもなかなかやはり近代への道において貢献するところは多かった。われわれはアラブという国よりもキリスト教的な世界観に影響されるところが多いが、キリスト教自体のつくり出してきたキリスト教徒のルネッサンスなり宗教革命なり、あれほどの残虐な形において民族的な要求と結びついてボヘミアの僧を十字架にかけたり、神の名によって宗教戦争を農民の苛斂誅求を糊塗しながら断行したり、ずいぶん中世紀においてでもえげつない、われわれが見るようなルネッサンスのいい面だけじゃなく、えげつない面もあったと思うんです。今日、第一次世界戦争、第二次世界戦争の間におけるイギリス帝国主義の行き方、ドイツの帝国主義やナチの行き方、あるいはアメリカの行き方が非常に美化されて表現されておるけれども、虐げられた民族にとってはなかなか納得のできない面が多々あるので、それを具体的に指摘して、そのことをある意味において率直に受けとめなければ問題解決の糸口は解けないと思って、カーターが行った今回の勇気というものは、カーターは変わり身が早過ぎるんでまたかという感じはしますけれども、私は、素朴なアメリカのやはりいい面を、軽率と思われる面もあるが、気取った面じゃなくて、率直に悪いことは悪いこととして反省しようという意図があの中にはひそんでいるという善意な解釈もできるんですが、私は、やはり今後の舞台はイラン及びアフガンだけでなく、ソ連及びアメリカの両強大国だけじゃなく、戦争と暴力革命と恐慌で非常な苦しい経験を持っているヨーロッパと、敗戦によって絶望的なところにまで追い込まれた日本、こういうものの反省の中から新しい私は世界秩序への方向づけが生まれてくるんじゃないかと思うんです。
 それについては、やはり外務省の情報網というものは表面に場合によって出せないものもあるでしょうが、なまはんか、変な賄賂をもらいながら買ってくるような飛行機には魂が入っていませんから、あんなものを余り並べるのよりも、戦争をなくさせる方向に対してもっと積極的なとりでを外務省は持っていくことが必要だと思うんです。この経験を見ても、アメリカさえも変わるんだ、ソ連ですらも変わらざるを得なくなったんだということになると、変な戦車を並べるよりも、航空母艦を持っていってアメリカよ帰れと沿岸諸国から言われるよりも、もっと私はその方が今後の日本にとっては重要なことだと思うんですが、これは外務大臣ぐらいになると、われわれ野党の人間のようにざっくばらんに物を言うと、物を言わばくちびる寒し秋の風だけじゃなく、春の風も寒いと思いますから言えないでしょうが、どうなんです、この点はもっと正確な情報をキャッチしないと、まあ園田君なんか、イランに入ろうという意気込みもいいが、入らなくてよかったんじゃないか。やっぱり自主的に中東の人たちが、ひとりよがりじゃなくて、やはり近代国家をつくることというのがいかにむずかしいか、それから、けんかはやすいけれども、戦争まで持っていったら収拾がつかぬ、どうやってこれを、融和点を見出すかということで苦労しているときにはそれなりの苦労をさせて、わきからそれに対する協力をやっていくということで相手の自主体制を崩さないでいく方が私たちは成果が上がるのではないかと思うのですが、あんまり余計なおせっかいをし過ぎるとかえって変なものも派生的にしょい込まなきゃならないと思いますが、外務大臣、みずからはどう考えておりますか。
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大来佐武郎#24
○国務大臣(大来佐武郎君) ただいま御指摘のように、各国、各民族の動きがございまして、特に第三世界の人々が国際社会の中で自己の存在、独立性というものを要求する、これはやはり世界の、歴史の大きな流れの方向だと思うのでございまして、世界の強大国がそういう第三世界の意思を無視して他の国に押しつけるということ、これは十九世紀は当然のこととされておったと思うのですけれども、二十世紀後半のいまの時代、これはたとえアメリカであろうとソ連であろうと、自国の意思を他の国々に押しつけるということに対しては世界の広い範囲での反発があるのではないかというふうに思いますので、中東の問題も含めてそういう地域の人々の欲するところ、願っておるところに対して協力していくということが特に日本のような立場にある国としてはとるべき大きな方向だろうと考えます。
 外務省の情報につきましてはいろいろ不十分な点もあるわけでございますが、私も外務大臣になって五カ月ばかりの間、各地からの電報に目を通しておるわけでございまして、決して十分とは言えませんけれども、しかし、出先もかなり努力して情報を集めておるということは感ずるわけでございます。こういう情報の時代ですから、ある意味では多過ぎる情報の中から何が正しい情報か、何がバリュー、価値のある情報かという選択をしていくことも大変重要なことだと、そういう意味では単に情報を集めるというだけでなくて、情報をしっかり分析するということをやはり日本の外交の面でもこれから充実していく必要がある。ですから、そういう意味ではむしろ東京における、日本における分析能力を高める、これも公開された資料の持つ情報も非常にたくさんあるわけでございますが、そういう面の努力も必要だろうというふうに考えておるわけでございます。
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戸叶武#25
○戸叶武君 キッシンジャーの回想録なんかを読んでみていても、やはり彼は、メッテルニヒが西ドイツ、ラインの沿岸から出て神聖ローマ帝国の伝統を守っていくが、オーストリアの国家の宰相になった、あのようなけんらんたる宰相としての役割りをやはり理想としているかと思われる節もありますが、中国でもやはり六国が個々に戦国時代に滅ぼされたときにおいても、秦の始皇帝の覇権主義をめぐって蘇秦、張儀のような人が合従連衡の策を提案してそうして戦国時代の一個の謀略屋として最高の地位を占めたが、しかし、蘇秦、張儀などによってどれだけあの秦の始皇帝の時代に中国の民衆が苦悩を重ね悩まされたかわからないんで、ああいう十八世紀においてならば通用したような権謀術策のけんらんたる外交よりも、やはり日露戦争に負けたときに軍部や何かの野心家が収拾がつかなくて、野にあったウイッテ伯を起用してポーツマス条約において小村寿太郎にひけをとらない外交展開をやらせたのを見ればわかるように、私はいまのアメリカにおいても、キッシンジャーでもシュレジンジャーでも相当な人であるに相違ないが、やはり自分たちの能力、学識、やらんかなの精神を過大評価して、そうして世界をやはり何かの実験場のように騒がせている一つの人物が輩出しているのは、やはり大統領なり一国のリーダーなりに、さっき、情報に対する選択なり操作の問題を大来さんは挙げておりますが、そのステーツマンシップ、リーダーシップというものがないから、こういう権謀術策主義の中に事が過たれていくんじゃないかということをしみじみと私たちはいま感じさせられています。
 いまの日本においても非常に危ないのは、やっぱりこの力の政治、力の外交、押しの政治、押しの外交、相手の立場に対する思いやりというもの、相手の言い分も聞こうという側隠の情がないところに——徳の最たるものは側隠の情ですが——非常に相互の不信感というものを不必要ほど私はまき散らしているんじゃないか。そういう意味ではもっと、いま外務大臣や何か世界を飛び歩いていますが、トインビーが言っているんじゃないけれども、やはり体で接触して、触れ合って、そうして相手をいたわる気持ち、相手の立場をも理解する気持ちが浸透しなければ、私は外交において一番大切な信義というものも確立しないのじゃないかと思っておるのであって、いまいろんな意味における外交献策はいろいろ出されておるけれども、そういうのは二流、三流の政治屋がやることであって、やっぱり一流の政治家というものはもっと大きく世界の中における日本のあり方、また、日本の一挙手一投足がどういうふうに影響して万波を生ずるかということまでの配慮がなされなければ、真の外交の成果というものは上がらないんじゃないかと思います。
 そういう意味において、今度のベネチア・サミットにおいては、石油の問題代替エネルギーの問題、通貨の問題、基準通貨の問題あるいは貿易に必要な通貨の安定の問題、いろいろ私は出てくると思いますが、特に欧州において重視しているのは水の問題です。環境整備の問題です。きれいな環境をつくるためにはきれいな水を流していかなけりゃならない。下水を整備していかなけりゃならない。また、本当にインディビデュアルな精神、自由をたっとぶ精神、人間を愛する精神を培うためには、やはり自分で責任を持つような個室を子供たちにも与えるような住宅政策が整備されていかなけりゃならない。そういうものが、生活環境における暮らしを健全にさせる方向づけが文明生活の要素として現実に要請され、具体化されているが、日本はECの官僚が皮肉ったように、ウサギの寝床みたいなところに住まっている。そこに何か一つの人間的な、都市生活においても潤いかない。モラルが欠けていく。人を殺すなんかは何とも思わなくなってしまうというような、一つの内部的な崩壊がいま出てきていると思うんですが、そういう点において、日本がいまのようなアセスメント法案を、いいかげんなものを出し、今度できるやつだって、財界の一喝を食らってよろめいてつくったんだから、できていいやら悪いやら、わけのわからないような不完全なものができるんじゃないかという心配もありますが、それは外交の問題とは離れているようですが、一事が万事、一番重要な自分たちの日常生活、そういうところに心が至っていないというところが、相手から、文明国、先進国として、サミットの会なんかで大口をたたく資格がないんじゃないかという軽べつ感で見られる危険性もあると思いますが、外務大臣並びに環境庁における責任ある人の答弁をいただきたい。ベネチア・サミットにおいては、意外にそういう面で、私は日本は、この国が先進国の資格ありやなしやというようなABCの問題で——このころはどうも大学の入学まで賄賂を取って片づける時代になっとるんだからあれですか——そういうところで恥をかくんじゃないかと思いますが、そういうところは万般、ベネチア・サミットへ、油の問題だけで夢中になっておると、これは逆な面から恥をかく点があることになるんですが、外務大臣並びに環境庁の責任ある人からその答弁を聞きたいと思います。
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大来佐武郎#26
○国務大臣(大来佐武郎君) ただいまの問題につきましては、一九七二年のストックホルム環境会議、まあ私もあの会議に出席いたしましたが、あの前後、日本の環境政策の取り組みに対する国際的批判はかなり出ておったように思います。日本は環境を守るためのコストを節約して、産業に投資して、それによって国際競争力を強くしているんじゃないかというような議論がスウェーデンの学者などによっても書かれたことがございますが、ここ数年間にやはり日本が環境、特に大気汚染等に対してとった政策、それが実際上かなりの成果も上がってきている面は最近かなり国際的に評価されておると。私どもよく合う外国人が、まあ日本はスモッグで東京は大変だと思ったが、来てみると、案外空気もいいじゃないか、富士山も見えるじゃないかというようなことも言われることがございます。日本人は、とにかく何かやろうとするとかなり一生懸命にやる面もございまして、近年この点も徐々に改善しておるとは思います。
 ウサギ小屋の問題もございますが、住宅はまだ余り自慢にならないわけでございますけれども、しかし、農村まで含めて住宅の質の向上というのはかなり日本の場合起こっておるわけでございまして、環境問題、あるいは国民生活の福祉の問題、こういう問題が同時にその国の国際的なイメージにつながるという意味で、ご指摘のように、ある意味では大切な外交上の問題でもあると私も考えておりますが、同時に、やはり生産的な面での努力というものが非常に怠られるということになりますと、これはまたこういう資源のない国でございますし、国民の生活の維持ということにも困難を起こすということになってもいけないかと思いますが、生産面における努力、あるいは技術の進歩、環境の改善、こういう面で努力を続けていくことは外交面における日本の立場もそれだけ高めるといいますか、評価を受け得るような条件になると考えております。
 なお、具体的な点につきましては環境庁の方の御答弁にまちたいと思います。
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平尾多久雄#27
○説明員(平尾多久雄君) 御質問の問題につきましては国際的な関係があるわけでございまして、すでに一九七四年の十一月でございますが、OECDの環境担当閣僚会議といったものが開かれまして、重要な公共及び民間事業の環境への影響の分析に関する理事会勧告というものが採択され、勧告されているわけでございます。これを受けまして、その後引き続きOECDでもいろいろ検討がなされまして、昨年の五月八日に、環境に重要な影響を与える事業の評価といいますか、OECD理事会の勧告が出されているわけでございます。このOECD理事会の勧告の中には、OECD加盟国が環境影響及びその他の影響の評価をすでに実施しているか、またはこれを組み込み得る多様な法律的、制度的及び行政枠組みを有していることを認識し云々ということがございまして、各国のそういう法律なり、行政なり、そういった仕組みの中でそれぞれの各国において検討をすべきものと、こういうふうなことで具体的な提案がなされているわけでございます。
 わが国におきましては、すでにもう五年前からこの環境影響評価制度の確立といったことで関係省庁の間でいろいろ検討が行われてきておりますし、また、中央公害対策審議会の方でもいろいろ御検討いただきまして、実は昨年七月十日に答申をいただいておるわけでございます。わが国の実情に即した実効ある制度として答申をいただいておりまして、現在この中央公害対策審議会の答申の趣旨に沿いまして鋭意努力いたしておるわけでございます。この制度をどういうような仕組みにするかということにつきましては、現在関係省庁の間で詰めておりますし、また、各方面の御意見もありますので、十分それを踏まえて努力してまいりたいと、かように考えている次第でございます。
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戸叶武#28
○戸叶武君 私は二つの事例で感心したんですが、フランスのストラスブールはラインの下流にありまして、ローマの植民地時代から二千年の古い歴史を持っております。人口はわずか三十三万とか四万程度だということですが、水の都として、古都として非常な理想的な町づくりをやろうというので、町の財政だけではやり切れないところを国からも大きな援助があって、そうしてきれいな水を流し、池を残し、緑地地帯を設け、水には水鳥が浮かび、緑地地帯には大木が保存される。町においては古いいろんな記録や何かを掘り下げて、古い建物を、新しい建物をつくる以上の金をかけて復活さしていくというような形で、一つのフランスの理想的な町づくりをやっております。やはり私の友人である数学者の吉田洋一君、吉田夏彦君の弟さん夫婦ですが、何かもうパリよりは、やはり若いときに留学したトスラスブールの生活というものが本当に楽しい、あそこへ行って泊ることにしていると言いますが、かつてアルザス・ロレーヌのドイツ、フランスが入り乱れて、血を流してきたいやな歴史が残っているところにおいてすら、そういう一つのドイツとフランスの融和の上に、自然と人間との調和というものをつくられてきております。日本は、京都でも奈良でもりっぱなところがありますが、東京の近くにも鎌倉なりあるいは利根川べりなり、そういうようなところに、霞ヶ浦でもそうですが、もっと私たちは自然と人間とが溶け合っているような美しい環境をやはり保存するために努力しておかなければならないんじゃないか。これはストラスブールで感じたことの一つであります。
 またもう一つは、やはりイギリスのケンブリッジを一番で出た——一番で出ようがびりで出ようがそのことは問題じゃないが、イギリスの社会主義の影響を受けたリー・クアンユーがシンガポールでやっている政策の重点は住宅政策です。徹底してあの貧民窟をなくさせて住居の改革をやった。りっぱな建物に入っていると、こっぱずかしくて淫売なんかできなくなる。あるいは麻薬なんかを吸うこともできなくなる。やっぱりここでは健全な働きがいのある仕事をしないと近所隣に対してもかっこうがつかないというような形で、居が人間の生活に新しいモラルをつくり上げていく。しかも水を大切にし、緑地を大切にし、かつてのジャングルを保存していくというようなことを一都市国家のモデルとしてりっぱなものをつくり上げてきたので、シンガポールには前から幾たびか行っておりますが、こんなに短かい間にこうも改革したのかなあと思ってびっくりしている。変な金を使わなくても、リー・クアンユーの党は、とにかくこの住居も、この公園も、この緑地帯もわれわれがつくったというだけの具体的事実を市民に知らせるだけで、野党なしのすべてが与党になってきてしまった。
 こういうふうに、具体的な事実をつくり上げるということがいまの新しいタイプの政治においては必要なのじゃないか、ということをつくづく私感じておりますので、そういう点を、やはり外務大臣にしても非常に国際的な感覚を持っている方ですから、あるいは環境庁なんかも百聞は一見にしかずで、びりぐそをたれ流しのインドネシアからやはりシンガポールの土地、一衣帯水の地に存在してこうも違うのかという感を深くするのですけれども、そういうちぐはぐな形の東南アジアにおいても、日本がもう少し現地の人々と協力していくならば、もっと理想郷の拡大というものができるのじゃないかと思うので、そういうことは、やはり今後外交においても、技術・経済協力においてもあるいは環境整備の問題でも私たちはしてもらいたいということをお願いする次第です。
 それからエジプトにおいても、世界一の観光地は、イタリアよりも、エジプトから昔のカルタゴのあたりじゃないかと思いますが、いまヨーロッパではやはり肉食は害がある、たばこは四十以上は余り吸っちゃいけないというような形で、肉よりも菜食が勧められているが、日本同様野菜は高くてなかなか買えない。果物を食べろと言う。果物はスペインや南仏やイタリアだけでなく、地中海のかなたのアフリカのかつてのカルタゴのあたりから、やはりずいぶんおいしい果物が送られてくるというふうに、食生活の変化も出てきているんですが、やはり環境整備ということは、生活の変化に対応しながら、やはりそれにふさわしい環境づくりということが重要でして、生活がきれいになると心もきれいになるので、外交の方も変なつまらない権謀術策をやるだけの外交じゃなく、明るい太陽のようなやっぱり光り輝く外交というものが精彩を放つときがくると思うんです。
 そういう意味において、外務省あたりも、外務大臣が来ているからあれですが、環境庁あたりは寄せ集めの感じがして、意欲はみんな持っているが、意欲を発散すべきチャンスに恵まれていないというような点がありますけれども、やはり今後は、一つは外交上の問題と、もう一つは自分たちの日常生活における原点としてのそこに婦人その他が参加して、市民闘争が直接政治につながるものとして活発になり、西ドイツのグリーンパーティーのような動きというものが新しい青年、婦人、インテリ、そういうような人からやはり起きてきて、いままでのような薄汚い政治と違ったフレッシュなものが出てくるんじゃないかと思いますが、ひとつ外務大臣あたりもいまの中東の問題の後は東南アジアの問題にもなり、また日本をひっくるめてのアジアにおける環境整備の問題にも問題が転換してくる。その一番発火点は、水の都ベネチアのサミットから起きるのではないかと思いますが、そういう点で、ベネチア・サミットへ行くまでの道、これは険しい道ですが、中東の若い経験を基礎とし、そしてアジアの現実をながめて、ヨーロッパのように先進国的な基盤の上に立っていないまちまちの面があるアジアにおいて、ただASEAN体制と言うけれども、スローガンだけかASEAN体制で、足が地に着かないようなASEAN体制では何にもならないと思うんですが、そこいらはやはりアジアにふさわしい連帯をつくり上げてもらいたいと思うんですが、外務大臣から、ベネチアへ行ってから考えてもらっても差し支えないんですが、水の都で心を澄まして、油だけに埋没しないで、われわれの水、われわれの生活、われわれの平和、そういうものを保つことが大切だという先取りをやはりいまから考えて臨んでもらいたいと思いますので、外務大臣から最後の質問としてこのことを承っておきたい。
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大来佐武郎#29
○国務大臣(大来佐武郎君) ただいまの問題、まあいろいろ広範な問題があると思いますが、私も東南アジアへ従来何度も参りまして、いろいろ向こうの人たちとも話し合う機会が多かったのでございますが、環境の問題については、特にこの一部の国ではシフティング・カルティベーションといいますか、木を切ってそれを畑に変える、その後が浸食をしてまいる、土壌が流れ去る、あるいはまあ漁業資源、森林資源等につきましての将来どうなるかという問題等もございますし、水の有効利用、土地の有効利用、これは日本もいままでずいぶんいろいろな経験を積み重ねてきました点でございまして、これからやはり他のアジア諸国でも、そういった意味でのコンサーベーションといいますか、これがだんだん重視される時代に入ってまいるように思います。そういう面でも日本の技術なり経験が役に立つということになれば、これはやはり外交の面にもいろいろな影響も出てまいると思いますが、日本は何といってもアジアの一国でございますし、このアジア地域との関係というものを日本の外交でも重視していかなければならない。最近この数カ月、少しほかの方がいろいろ問題が出てまいりまして、足元のアジアに多少注意が十分回らないというような点もあるかと思いますけれども、ただいま御注意がありましたように、私どもとしてもアジア諸国との関係をさらに重視してまいりたいと存じます。
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