戸叶武の発言 (外務委員会)

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○戸叶武君 日本側で当初考えていた経済問題、特に貿易関係のアンバランスの是正の問題よりも、イラン、イラクの問題から急転直下防衛問題に、防衛強化の問題に入ったということはうなずけるのでございますが、それだけにこの受けとめ方が非常に問題だったと思うのであります。
 この首脳会談における大平首相のねらいは、やはりアメリカの土を踏むと同時に、防衛問題並びに石油の問題がメキシコ、カナダ等の訪問を通じてもなかなか簡単には片づかない問題であるということをいやというほど知らされたと思うんです。しかし、いま大来さんが問題点を整理して指摘しましたように、総理の訪米によって問題となった点は、第一に、議会民主主義による政治運営を行っているところの日本、米国及び欧州の先進国間には、共通の連帯があるという一つの認識の上に立って、まず日米首脳会談がなされたのだと思います。
 第二に、イラン問題について平和的手段による解決を求めるというこの日本側の主張は、かねがねECの動き等もにらみ合わせて、日本が自主的外交を進めるだけでなく、国際的連帯の足がかりとしてEC諸国とも打ち合わせをして、アメリカに軍事的な暴挙をなさせないような私はかなり強い要望もなしたと推定されておるのです。どうも新聞には全部を話ししない、話ししないから新聞側の推定も加わったところに両方のギャップが私は大変あるのじゃないかと思います。
 それから、第三に、防衛問題はわが国民が自主的に決める問題だというふうに大来さんはいま言っておりますし、大平さんもそう考えている模様でありますが、最近の自民党におけるタカ派の日米間におけるこの揺すぶりのやり方及び政府におけるところの一貫しない政治姿勢、これは総裁選挙にも絡みついて、タカ派と言われる暴論をも暴論であるというふうに片づけられない惨めさが、そういうこの不安定な状況を醸し出しているのであると思うのでありますが、この問題に対してはもう少しやはり自民党内においても問題を整理し、みずからの主体性をつくり上げ、野党においてもただ批判だけするのでなくて、北方領土の問題などにおきましても、原則として日本の固有の領土をソ連から返還してもらわなければ、次の平和を保障すべき条件を具備しなければ平和条約を結べないという一点において、共産党すらも大体近寄ってまいったのでありますから、こういう問題は社会党あたりも断固たる統一的な見解を持して、そうして国論を一定した方向に最小限度持っていって、その上に立って立場立場の違いをも、注文をもつくべきであると思うのですが、第一に、内閣、自民党がみずからの日本国における自主外交の主体性を確立しないところにいろいろな憶測が生まれるのだと思います。
 それから第四の、中期業務見積もりということでなく、カーターさんの言ったのは、日本国の中にあるところの中期防衛計画というものをもっと早期に促進してもらいたいものだという程度のものであったというふうにされておりますが、この受けとめ方は、新聞においても、新聞記者会談における大平さんの発表、向こう側に言ったこと、国内でいままでまだそのことは一片の計画書であって政治議題にはなっていないのだと言ったこととの間に非常なちぐはぐなものがあるのであります。こういうふうにもうろう的な形において、日本の外交、防衛の問題に責任を持つ内閣としていけると思うかどうか。
 この問題は後から質問いたしますが、大来さんは、専守防衛という受け身の形でおって、平和憲法の枠内からはみ出すようなことはないというふうに言われておりますが、大平さんなり、あなたにはそういう見解が根本にはあると思うのであります。それだけにいままで防衛庁長官あたりの部内からの突き上げかどうか知らないが、あるいはアメリカにおける軍部の人たち、あるいは前のシュレシンジャーも日本に遊説に来ておりますが、あるいはブレジンスキー、こういう人たちの接触によって思わず出した発言が日本にはね返ってきているものだとも感じられるのですけれども、その辺に一貫した統一ある見解というものを政府が持たなければ、八岐の大蛇的存在であっては国民も安心してこの外交、防衛の問題をいまの政府にはお任せできないし、海外も、日本の政府は何を考え、何をやろうとしているのかわからぬという不信頼を私は醸し出す大きな原因になると思うのでありますが、そこで、まず第一に個条的に質問いたしますが、議会民主主義は基本においてだれも賛成していますが、いまのアメリカの大統領選挙のあり方、日本の次の総理大臣を生む母体ともなりつつある自民党の総裁選挙のあり方、あの金権腐敗、利権と絡みついた不明朗な形、あれが議会民主主義において、これでいいのだというふうに肯定できるかどうか。国民はすでに、アメリカの知識人も日本の知識人もあきれ返って、この腐敗の極をきわめた選挙、並びに政治のあり方に愛想を尽かしているのですが、大平さんはこの第一の質問において、ただ抽象的に議会民主主義と言っても、このように腐って堕落してしまった非能率なこの議会民主主義をこのままでよいか、それともファシストのえさに上げるか、あるいは暴力革命にゆだねるかというような非常な危険なところにまで来ているということに対して、どのような御認識でありますか。

発言情報

speech_id: 109113968X00819800513_009

発言者: 戸叶武

speaker_id: 23841

日付: 1980-05-13

院: 参議院

会議名: 外務委員会