大来佐武郎の発言 (外務委員会)

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○国務大臣(大来佐武郎君) 防衛問題につきまして、一つの大きな背景といたしましては、この委員会でも申し上げたかとも思いますが、たとえばいまの安保条約ができました二十年前と比べまして、日米経済力の比率は十対一から十対四に変わってきておる。世界経済の中に占める経済力は当時アメリカが三分の一、三〇%強、日本が三%ちょっとというようなことでございましたが、最近ではアメリカが四分の一弱、日本が八%。これは共産圏を含む世界の経済の総生産から見て、そういう相対的な経済力の変化がこの二十年間に起こっておるという事実が一つございます。二十年前にはアメリカが政治的、軍事的、経済的に圧倒的なウエート、比重を世界の中で持っておったわけでございますが、現在でももちろん世界で最強の国であると思いますけれども、相対的に以前に比べればウエートが下がってきておる。それに対して日本の経済力が大幅に大きくなったという現実が一つございます。それから、やはりソ連の軍事力の増強というのが着々と進行してまいりまして、ことに極東地域に大体全軍事力の三分の一が配備されるようになってまいった。また海上兵力の増強が非常に顕著であるというような現実もあるわけでございます。
 まあ、そういった状況のもとで、日本国民としての安全を守るという立場を一体どう考えたらいいかということが基本にあるわけでございまして、これは先ほど来申しておりますように、日本国民自体がどう判断するかということにかかってまいると思いますが、基本的には自衛隊によって最小限の自己防衛能力を維持していく、それから核戦力を中心とするような面での抑止力については日米安保条約というものに依存するということで従来参っておるわけでございまして、この点は今後も変わらないと思うのでございますが、最小限の自己防衛能力というものについてはある程度自分で自分を守るという考え方が必要ではないか。余りよその国に自分の国を守ることをべったりと依存しておるという状態では、自主的な外交ということもなかなかむずかしくなるというような面を考えて、ある程度の増強が必要ではないか。この点で、しかし、そうかといって、平和憲法と専守防衛という大きな枠組み、これは日本国民が戦後行った選択でございまして、これはやはりあくまでも守っていくべきだと。長期的な世界の将来を考えれば、やはり全体的な軍縮と相互の信頼関係における国際関係というものを長期的には目指していかなければならないわけでございまして、そういう意味では日本の立場というのは、あすの世界を先取りする面があると私どもは考えておりますので、一面において自分で自分を守る能力をある程度強める、専守防衛の立場からもう少し強めると。たとえばレーダーサイトが全く攻撃に対して無防備であるとか、海上艦艇が空からの攻撃に対してほとんど防衛能力を持たないという状態では、貴重な税金が本当に有効に使われているかどうかという問題もございます。で、それに対して財政上のいろんな制約がございますが、ある程度のことはこれは国民の持つ優先順位の問題、道路をさらによくする部分を多少いまのレーダーサイトの防衛に回すのがいいのか悪いのかというような問題に具体的にはなってくると思うのでございますが、そういう意味で、大枠を崩さない範囲での防衛能力をある程度強めるということが、やはりいろいろな情勢を考えますと、いまの日本に必要になっておるのではないか。自主的な外交的行動についてもそのことが望ましい面があるのじゃないかというふうに考えるわけでございます。

発言情報

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発言者: 大来佐武郎

speaker_id: 17223

日付: 1980-05-13

院: 参議院

会議名: 外務委員会