大来佐武郎の発言 (外務委員会)
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○国務大臣(大来佐武郎君) 今回の会談では先ほど申し上げたようなことでございますが、先般三月に私がワシントンに参りまして、ブラウン長官と会談の際には、防衛庁の中期業務見積もりの一年繰り上げ達成はできないであろうかという希望表明があったわけでございます。そういう過去の経緯を考えますと、恐らくアメリカが期待しておりますのは、一年繰り上げ程度のことを日本側にやってほしいという気持ちではないかと思います。これは五年の見積もりでございまして、昭和五十五年から五十九年まで、それを五十八年に達成できるかどうかということであろうかと思います。しかし、この中期業務見積もりというのも毎年レビューをしていくし、三年ごとにはつくり変えていくというようなたてまえのように私どもも聞いておりまして、いま非常に何といいますか、きちっとしたそういう業務見積もりというものになっておるわけでもない見積もりであろうと思いますので、そういう点で防衛庁でもいろいろ内容に検討を加えているということを聞いておるわけでございます。しかし全体のこの姿として考えますと、いまの中期防衛見積もりを実行いたした場合には五年後に防衛支出のGNPに対する比率が現在の〇・九から一%に上がる、つまり防衛支出の比率が対GNPで〇・一、五年間で上がるということを意味するわけでございますが、米側ブラウン長官の要請というのは、それを五年でなくて四年でできないだろうかということでございます。
この点については、いろいろ世間に誤解もあると思うのでございますけれども、全般的に見て、そのことが大きく日本の従来の防衛に対する考え方を切りかえるんだとか、福祉をやめて防衛に回すんだとかいうことにはならないのではないか。GNPも年間の成長だけでも名目で一〇%、実質で四、五%経済が年々拡大しておるわけでもございますし、考え得る上限を選んでみましてもそれほど従来の経済力の配分、政策の優先に大きな変化をもたらすというようなものではないと存じますし、一方におきまして財政は、いま財政再建の計画の中でできるだけ一般会計の拡大を抑えている、その際に防衛費の伸びが他の費目より大きくなる、こういう問題は確かに出てくると思いますけれども、これからのこの予算の編成、財政上の考慮、それから国民のコンセンサス、国際情勢というような判断をもとにして五十六年度の予算編成の過程で一体この防衛費についてどこまで考えるのか、政府の意思決定が次第に行われていくことになるのじゃないか、それがいまの防衛費の横ばいでいくのか、多少ふやすのか、あるいは一年繰り上げ程度までいくのか、その旗の中でどこに落ちつくのかはこれからの予算編成の過程で決まってまいる性質のものだと思いますが、いずれにしてもマクロ経済的に見れば、国民経済全体のバランスに大きな影響を与えるような変更ではないと言えることだろうかと考えるわけでございます。