大平正芳の発言 (本会議)
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○国務大臣(大平正芳君) 和田さんの最初の御質問は、今日、財政が多額の国債を抱えて体質が悪化いたしておるが、政府は、財政法を依然として堅持するつもりか、それとも財政法の手直しを考えておるかという御質問でございました。
御指摘のように、今日の財政が財政法第四条の規定から外れまして、特例公債の発行を余儀なくされて、毎年毎年国会の御審議で特例法案をお願いしなければならぬという事態に立ち至っておりますことは、御指摘のとおりでございます。しかし、政府といたしましては、この異例な状態を正常な状態に帰すべく財政再建をして、特例公債の発行を必要としない財政状態、すなわち財政法第四条の指向する方向にわが国財政を持っていくことに力点を置いて努力をいたしておるところでございまして、財政法の原則を手直しするというような考えは持っておりません。
第二に、現在のようなしかし財政危機を招いた反省と責任はどうかという御質問でございました。
この点につきましては、たびたび本院におきましても申し上げておりますとおり、石油ショックを契機とする経済の停滞によりまして、五十年度以降毎年大幅の税収の落ち込みがございましたし、その後の税収も伸び悩みでございました。しかし、一方におきまして国民生活は防衛しなければなりませんし、景気は回復を急がなければなりませんし、雇用は維持してまいらなければならぬという要請がございましたので、政府はやむなく公債政策を選択いたしましてこれに対応せざるを得なかったわけでございます。幸いに、この公債政策の運用によりまして、わが国の経済の息の長い、彫りの深い不況は回復されて、国民の生活と雇用は守られたわけでございます。したがって、政府のこの政策的選択は過ちであったと私は考えておりません。
しかし、残りました後遺症、巨額の特例債を残しておるということ、また、依然として特例債からの脱却に大変苦労がございますということでございますので、これに対しましては、財政再建は厳しい課題でございますけれども、これを断行いたしまして、いち早く財政をノーマルな状態に帰さなければならぬと考えて、五十五年度予算におきましても公債の発行を減額してまいるという決意をいたしておるわけでございます。
第三の御質問は、一般消費税の導入、所得税の増税等についてどう考えておるか、あいまいなことは許されないのではないかという御指摘でございました。
政府といたしましては、国民の前にあいまいな財政運営をやろうとは考えていないわけでございまして、増税を国民にお願いするということは大変なことでございますので、歳出、支出の関係をどのように切り盛りしていくかということの関連において、幅広く、本院の御決議にもありますように、歳入歳出両面から財政構造の健全化を図るという努力の道程におきまして、増税が必要か必要でないか、必要とすればどの程度必要かというような問題に対しまして、国民の納得を得ながら進めてまいらなければならぬものと考えております。
第四の御質問は、財政投融資計画につきまして、五十三年度の財政投融資に巨額の不用額を出しておるような始末であるので、現在の制度は再検討せなければならないのではないかという意味の御質問でございました。
仰せのように、五十三年度の財政投融資は巨額の不用額を生じたことでございます。御指摘のとおりでございますが、これは、内外の経済情勢の低迷によりまして資金需要が伸び悩みましたこと、それから金融緩和によりまして多額の繰り上げ償還が行われたこと、それから日本住宅公団における建設計画の再検討が行われた等のために生じたものでございまして、五十四年度財政投融資計画におきましてはさような不用額は生じないものと考えております。
五十五年度におきましては、資金の効率的配分に遺憾なく対応してまいるつもりでございますので、制度的な改正をいまお願いしようとは政府は考えておりません。
第五番目の御質問は、鉄建公団、KDD等の不正経理問題が起こっておるが、特殊法人の予算、決算制度について改革を考えるべきではないかという御指摘でございました。
KDDにつきましては、御指摘のとおり、政府におきましても、事業計画に加えまして決算と資金計画につきまして主務大臣の認可を求めることにいたしました。それから財務諸表を新たに提出を求めることにいたしました。さらに、会計検査院の検査対象にKDDを加えることにいたしまして、関係法案を提出いたしまして御審議を願っておるところでございます。他の特殊法人につきましては、制度の問題と申しますよりは、運営、運用上十分気をつけていきたいと考えておりまして、制度上の改正はいま特に考えておりません。
行政改革につきまして内閣直属の機関を設けるべきではないか、オンブズマン制度についてどう考えておるかというお尋ねでございました。
今日、政府は、内閣に行政管理庁長官を本部長とする行政改革本部がございます。それから産業界、言論界、労働界等各界の代表的な民間有識者六人による行政監理委員会がございまして、その上に随時関係閣僚会議を設けまして行政改革の推進に当たっておるところでございまして、いまこのほかに別な制度を設ける考えは特に持っておりません。
オンブズマン制度でございますが、これは諸外国ではそれぞれ固有の背景がございまして導入されておるものと承知しておりますけれども、わが国におきましてはすでに国会の国政調査の制度が確立いたしておることでもあり、必ずしも諸外国と同一には論じられないものと考えております。しかしながら、この問題につきましては近年各界から関心が寄せられております。昨年九月の航空機疑惑問題等防止対策協議会におきましても、わが国の風土に合ったオンブズマン制度のあり方について検討してはどうかという意見が出されておりまして、現在、政府におきまして鋭意検討いたしておるところでございます。
最後に、防衛費の増額問題につきまして、国民的課題であるので参議院選挙で国民に賛否を問うべきでないかという御主張でございました。
アメリカの方でアメリカ自身も防衛力の整備に努めておるし、西欧諸国もそうであるので、日本側におきましても防衛費の増額、防衛力の整備についてアメリカ側から一般的な要請が参っておることは事実でございます。
しかし、これらの問題は申すまでもなく日本自体がその分別において考えるべき問題でございまして、いま政府といたしましては、従来防衛力整備の大綱という目安を持っておるわけでございまするし、安保条約でございますとかその関連する協定を改定する企ては全然ないわけでございますので、特にいま国民に問わなければならぬような大きな環境変化があるとは考えていないわけでございまして、既定のフレームの中で国民の御納得を得ながら、財政状況をにらみながら、年々歳々防衛予算を誠実に積み上げてまいるという努力を重ねてまいることで必要で十分でないかと考えておるわけでございまして、改めてこれを争点に問うというような考えは持っておりません。(拍手)
〔国務大臣竹下登君登壇、拍手〕