大平正芳の発言 (本会議)

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○国務大臣(大平正芳君) 藤田さんにお答えいたします。
 第一の御質問は、世界のわが国に対する期待は単に経済的な援助だけではなく、わが国の力量にふさわしい政治的、外交的貢献でなければならない、防衛面におきましてもそれにふさわしい防衛体制の確立でなければならぬと思うがどうかという御質問でございました。
 御指摘のとおり、わが国の国際的な比重は年とともに高まってまいっております。わが国に対する国際社会の期待はますます強まりつつあるように私も認識をいたしております。わが国といたしましては、仰せのように、経済面のみならず、政治、外交面におきましてもその国際的地位にふさわしい責任と役割りを果たしていかなければならぬと考えております。防衛面におきましても、日米安保条約の持つ抑止力を背景としながら、自衛のために必要な限度において質の高い防衛力の整備に努めまして、わが国にふさわしい防衛体制の確立を図ってまいる必要があると考えております。
 第二の御質問は、米国、カナダ、西独等の先進民主主義諸国の指導者と国際情勢についてどのような話をしたか、そして、そういう話を通じましてわが国の外交の進路についてどういう認識を強めたかという意味の御質問でございました。
 第一の話の内容でございますが、ただいま御報告申し上げましたように、各国首脳との間でイラン問題、アフガニスタン問題を中心に意見の交換を行いましたが、この二つの問題は、性質は違っておりますけれども、基本的な国際秩序に対する脅威でございまして、先進民主主義諸国が一致協力してこれに当たる必要があるということで意見の一致を見たわけでございます。また、その事態に対応するために一層国際的な協調関係が必要であるという認識においても一致いたしたわけでございます。これらのことは、わが国がこのような国際的な行動を通じまして今後みずからの自由と安全を確保しながら国際社会全体の平和と安定に寄与していくというわが国の外交進路に沿ったものであると私は考えております。
 第三の藤田君の御質問は、今日国際情勢はきわめて厳しい状態にあるわけであるけれども、カーター大統領並びに西独のシュミット首相とはその問題についてどういう突っ込んだ話し合いを行ったかという御質問でございました。
 藤田さんが御指摘になるように現在、米ソ間の軍事バランスが必ずしも米国が相対的に劣っておるとはわれわれは判断いたしておりません。総合的に判断すれば、依然として米国が優位を占めておると判断いたしておりまするけれども、近年のソ連による着実かつ著しい軍事力の強化と、また、中東地域を中心として不安定な状況が醸成されつつあることは周知のことでございまして、このような国際情勢、新たな情勢に対応するため、米国もそれは米国として対応いたしておりまするけれども、先進民主主義諸国との協調を一層強めて対応能力を高めてまいる必要を感じておるようでございます。カーター大統領との会談におきましては、かかる認識を背景といたしまして、政治、経済その他各般の分野において何をなすべきであるか、何をなすべきでないかにつきまして意見の交換を行った次第でございます。
 また、シュミット首相との会談の中心は、イラン、アフガニスタン問題等現下の国際情勢に対処するに当たり、日独双方が米国の努力を支援しながら先進民主主義諸国の連帯を強めていくことが必要であるということで意見の一致を見た次第でございます。
 次に、藤田君の御質問は、私が同盟国という言葉を使っておるし、世間もまたこれに対して日米安保条約が変質したのではないかという疑問が出ておるが、これに対してはどう考えておるかという意味の御質問でございました。
 藤田君も御案内のように、日米関係はわが国外交の基軸でございます。米国にとりましても日米関係はアジア外交の最も重要な柱であると先方も申しておるところでございます。まさに日米両国はパートナーの関係にあると考えております。米国の対日防衛義務を定めました安保条約もまたまさにそういう関係に根底を置いたものであって、有効な抑止力として、またアジアの平和と安定の基本的な枠組みとして機能いたしておると考えておるわけでございます。私はそういう事実を踏まえた上で同盟という言葉を使ったわけでございます。同盟国という言葉は、日本と米国との特別な緊密な関係を意味したものでございますし、種々の困難な問題を抱えておる国際社会におきまして相互に協力いたしまして世界の平和と国際経済の発展のために貢献していく責任を持ち合っておるということをあらわしたつもりでございます。
 次の御質問は、野党の一部に、今次の日米首脳会談は日米軍事同盟を強化するとか、あるいはわが国の軍事大国化を目指すものではないかという中傷めいたお話があるが、これに対してどう考えておるかということ、それからわが国の安全保障政策の基本はどのように考えておるかという意味の御質問でございました。
 私は、わが国の安全保障につきましては、かねがね総合的な対応でなければならぬと申し上げておるわけでございます。平和的な国際環境をつくり上げる外交努力と、秩序正しい内政の充実を図りながら、日米安全保障体制の持つ抑止力を背景にいたしまして、自衛のために必要な限度において質の高い防衛力の整備に努めていくという考え方を持っておるわけでございまして、この考え方に変化はございません。私は、従来から、わが国の防衛力整備は「防衛計画の大綱」に従いましてわが国の自主的判断に基づいてやってまいるべきものと考えておりまして、この考えは現在も変わっていないわけでございます。
 防衛庁の中期業務見積もりがいま論議の種になっておりますけれども、これをそのまま政府レベルの計画とするような考えは持っていないのでございます。防衛力の整備は、毎年毎年の真剣な予算編成過程を通じまして毎年度の予算編成の中で責任ある結論を出していかなければならぬと考えておるわけでございます。したがいまして、わが国の外交・防衛政策の根幹は私の今回の外遊によって何ら変更はないと御承知を願いたいと思います。(拍手)
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発言情報

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発言者: 大平正芳

speaker_id: 28089

日付: 1980-05-14

院: 参議院

会議名: 本会議