大平正芳の発言 (本会議)

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○国務大臣(大平正芳君) 立木さんの最初の御質問は、私が理解を示したのはアメリカのいかなることなのか、人質奪還作戦への理解を意味するのかという意味の御質問でございました。
 この問題につきましては、私、訪米前からも申し上げておったわけでございますが、人質の拘束が長期にもう半年間にもわたっておりまするし、また、種々の努力にもかかわらず依然として解決の目途が得られない状況のもとで、人質救出という目的に限定して救出行動がとられたことは人道的見地から心情的には理解できるということを申し上げたことから御理解をいただきたいと思います。
 それから第二には、わが国の基地が他国に対する干渉と脅迫のために使用されるようなことはないかということでございます。
 わが国といたしましては、イランの人質問題が早急に交渉を通じて平和的に解決されることが重要であると考えております。そのために国際社会の一員として友好国と相はかりながら可能な努力を続けておりますることは御承知のとおりでございまして、今次訪米に際しましても、米国はあくまでも忍耐強く自制し、その上平和的解決を図るよう要望いたしました。これに対しまして、先ほども御報告申し上げましたとおり、大統領は同感の意を表して、そのために友邦諸国の一層の協力を求められたのでございます。
 米軍の行動でございますが、これは国連憲章の枠内でとられるものであることと、それから米軍によるわが国の施設区域の使用は、安保条約とそれに関連する取り決めに従って行われることでございますので、わが国の施設区域を使用して米軍が第三国に対する干渉や脅迫を行うことなどは考えられないことであると思っております。
 そこで、御指摘もございましたので、本件に関して、四月二十六日、在米大使館を通じて米国防省担当官に対して照会を行いました結果、五月二日回答を得まして、それによりますと、救出行動に従事したC130はすべて米国本土から出動したとのことでございました。
 その次に、モサデク政権打倒以来のアメリカのイランに対する行動をイランの民族自決権を侵す覇権主義と見るべきでないかという御指摘でございました。
 イランにおける過去の米国の行動につきましては、その内容は明らかになっておりませんので、私からコメントをすることは差し控えたいと思いますが、カーター大統領は、これまでも、人質問題を除きますと、米国はイランという国家、イランの革命及びイラン人民に基本的に反目するものではない旨明らかにしており、イランの民族自決に対して米国が何らの容喙を行っているとは私は考えておりません。
 それから対米協力が日本と中東諸国との友好を妨げる心配はないかという意味の御質問でございました。
 わが国は、国際政治経済に占める中東諸国の重要性、また、わが国とこれら諸国との間に存在する相互依存関係を考慮いたしまして、これら諸国との友好協力関係の強化をこれまでも積極的に進めてまいったつもりでございます。このように、わが国の中東政策は、わが国みずからの自主的な判断によりまして推進されておりまして、米国に追随してやっておるわけではございません。いずれにいたしましても、わが国の中東外交の姿勢がわが国とこれら諸国との友好関係を妨げるとは考えておりません。
 ただ、イラン政府が人質の拘束を容認していることにつきましては、国際社会の基本的秩序を脅かすものであり、それもあなたも御容認されたようでございますが、人質が急速に解放されねばならないという点に関し中東諸国も一致した認識を持っておることを指摘いたしたいと思います。
 また、ソ連のアフガニスタンに対する軍事介入について、わが国は、国際法及び国際正義に反する行為であってきわめて遺憾であると考えておりまして、ソ連の速やかな撤退を要求するとの立場をとっております。このようなわが国の立場もまた中東諸国の支持を得ておるものと考えております。
 次に、イランの対日石油供給停止についての御質問でございました。
 これは、先ほどもお答え申し上げましたように、イランがオファーした値段でわが国が引き取るということは、わが国の経済にとって重大な影響を及ぼすばかりでなく、世界の石油マーケットに対しまして大きな脅威にもなりまするので、われわれといたしましてはイランに反省を求め続けておるわけでございまして、イラン側に再考を求めておるにすぎないわけでございまして、米国とイランとの関係に絡む政治的な問題ではない、私どもはこれとは全く別個の問題であると考えております。
 それからその次は防衛問題でございますが、中期業務見積もりは資料にすぎないと言っていたにもかかわらずなぜ真剣に検討すると約束したかということでございます。
 立木さんに御理解をいただきたいのは、アメリカ政府と防衛当局とのやりとりの間でわが方で説明すると、それを対米約束とすぐお受け取りにならぬように願いたいのであります。説明することと実行することとは別なことだと私は思っておるわけでございます。アメリカは日本に対しまして希望を表明する自由を持っておると思うのでございますが、これを実行するのは日本なんでございますので、そのあたりはどうぞかみ分けて御理解をいただきたいと思うのでございます。
 日本の防衛努力につきましては自主的に真剣に検討していくわけでございまして、私は中期業務見積もりを真剣に検討すると言ったのじゃなくて、日本の防衛全体につきましては真剣に検討してまいるということを言ったまでにすぎないわけでございます。
 それから軍事費増強につきまして大来外務大臣も一つの見解を述べておるということでございました。
 その点につきましては先ほど塩出さんにお話を申し上げたとおりでございまして、立木さんからは防衛力の整備に必要な財源につきましてその調達はどういう道をとって考えていくかという御質問でございましたが、先ほど申しましたように防衛力の整備については真剣に検討しなければならないと考えておりますが、防衛費につきましては、国際情勢ばかりでございませんで、財政、経済の状況も十分考えなければなりません。国民の御納得も得なければなりませんので、この回答は全体として明年度の予算案でお答えいたしますと答える以外にいまお答えのしようがないことは御了解いただきたいと思います。(拍手)
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発言情報

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発言者: 大平正芳

speaker_id: 28089

日付: 1980-05-14

院: 参議院

会議名: 本会議