松本操の発言 (交通安全対策特別委員会)
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○松本(操)政府委員 ニアミスの問題につきまして、ついせんだっても新聞紙上で報道されましたので、この際、お許しを得まして、ニアミスに関連いたします概況、対策等について包括的な御報告をさせていただきたいと思います。
御案内のように、去る昭和四十六年の七月、雫石事故が発生をいたしましたことにかんがみまして、航空路とこの航空路の周辺、あるいはこれを横断して飛行いたします飛行との間に分離を図るということを、まず緊急対策要綱をもって打ち出しました。これをもとにいたしまして訓練空域、これは自衛隊及び民間を問わずでございますが、訓練空域と航空路の分離をいたしました。さらに、特別管制空域と申しまして、有視界飛行方式で飛んでおる飛行機でありましても、その空域の中では特段に管制を受けなければならないように措置をする空域の拡充を図るとか、あるいは運輸省と自衛隊との間におきます航空業務上の取り決めを改定するとか、そういった緊急の措置をとったわけでございます。
さらに昭和五十年には航空法の改正を国会にお諮りいたして、これが成立いたしましたことによりまして、操縦者の見張り義務というものをはっきりと航空法の中に入れたわけでございます。さらにまた、管制圏の中におきます通過飛行を原則として禁止をいたしますとか、あるいは高度が一定の高さ以上の空域で、管制区、管制圏であって、運輸大臣が告示で指定をいたしました空域の中を飛ぶ飛行機に対しましては、原則として二次レーダーの反射器をつけさせるというふうな措置を講じますとか、あるいは管制圏及び管制区のうち、一定の高度以下の空域については航空機の速度を制限をいたしまして、ジェット機とプロペラ機との間に無用の摩擦が起こらないようにするとか、こういうふうな措置をとったわけでございます。さらに、航空法の改正におきまして、機長に対し異常接近に係る報告の義務づけをいたしました。これは機長が運航中相手機との間に異常に接近をしたというふうな感じを受けましたときにはこれを報告をするという制度でございます。
この制度によりまして、昭和五十年から五十四年までの五年間にいわゆる機長報告という形で出てまいりました数字は合計七十四件でございました。これらの七十四件につきまして、私どもとしては逐一実態について詳細な調査をしたわけでございます。その結果、現実に空中衝突等のおそれがあったのではないか、さらに具体的に申し上げますならば、非常に接近して交差をいたしましたために、ほとんど回避動作をする暇がなかったというふうな場合、あるいは相手機を発見して回避操作をとったものの十分な回避をし切れないまま至近距離ですれ違った、こういったようなものにつきましては、まさに本当の異常接近であるというふうな判断をいたしまして、これらについてはその都度公にしてまいったわけでございますが、ちなみにその数字を申し上げますと、暦年でございますが、五十年におきましては、二十三件の機長報告に対し、そのようなものは幸いにしてございませんでした。五十一年は十五件の報告中二件がこれに該当し、五十二年は十三件中一件が該当し、五十三年は十七件中三件が該当し、五十四年はやや報告件数が減ったわけでございますが、六件中一件がこれに該当するという状態でございました。本年になりましてから十一件の報告が出されておりますが、これらのうち一件につきましては、いま申し上げましたように空中衝突のおそれがあったものとして公表しておりますが、なお現在調査中のものが二、三件あるわけでございまして、これらも明らかになり次第、原因その他を付して公にすることにいたしております。
このような異常接近は幸いにしてふえるという形は必ずしもとっていないわけでございますけれども、しかし、御案内のように場合によっては現実に空中衝突のおそれがあるわけでございますので、その都度原因を究明し、関係機関に対し注意を喚起してまいっておるわけでございますが、さらに抜本的な対策といたしまして、施設の整備あるいは運用面での技術の向上、こういうふうな措置をとってきておるわけでございます。
たとえば施設面の改善といたしましては、従来航空路を飛びます航空機につきましては、管制官が無線でパイロットと話をしながらその飛行機の高さ、方向あるいは何時何分にどこを通過するというふうなことを聞き取りまして、これをもとに管制ストリップというものを使って管制をしておったわけでございますが、これを航空路監視レーダーを用いまして、現実に飛行機の機影をレーダーのスコープの上で見ながら確実に管制ができるようにしていくということに踏み切ったわけでございます。その結果、従来は箱根とそれから九州北部の三郡山の二カ所にしかございませんでした航空路監視レーダーが、現在、関東地方の山田、沖繩の八重岳、宮城県の上品山、函館の北側の横津岳、近畿地方の三国岳、九州南部の加世田、中部地方の岡崎に整備をされました。これらの航空路監視レーダーによる覆域がほとんど全国をカバーするところまで至っております。しかしながら、これらは機械施設でございますので、万が一の場合に故障して動かないというふうな場合には飛行機をレーダーで見ることができなくなりますことから、二重覆域と私ども言っておりますけれども、一つのレーダーが落ちてももう一個のレーダーで必ずこれをカバーできるようにするというふうなことを念頭に、新潟の近辺あるいは沖繩県の宮古島さらには四国、こういうところに二重覆域のためのレーダーの設置を鋭意進めているところでございます。
さらに、従来のレーダーは飛行機の映像をただ単にスコープ上に示すだけでございましたが、これをコンピューターで処理をいたしまして、飛行機の映像だけでなくてこれにたとえば日本航空の何便で高さが幾らである、あるいはスピードが幾らであるというふうなことを数字とアルファベットをもってスコープの上に表示できる、つまり私どもが言うところの目で読む管制ができるというふうな形に整備を進めてまいっておるわけでございます。
さらに、管制をいたします根本は、計器飛行方式で飛びます飛行機が出す飛行計画にあるわけでございますが、この飛行計画も、従来人手で処理をしておりましたものを、同じくコンピューターで処理をさせるというふうなことをしておるわけでございます。
さらに、空港には空港の周辺五十ないし六十マイル、九十キロから百キロぐらいの範囲を管制いたしますためのレーダーがあるわけでございますが、このレーダーも従来使っておりますものは飛行機の映像が二本の線になって見えるだけでございます。これをやはりコンピューター処理をいたします、私どもARTSと呼んでおりますが、こういうふうなものを五十一年から東京、大阪の両空港に採用いたしました。さらに、成田につきましては五十六年度から運用開始ということで、目下整備を進めておるわけでございます。
このようなことによりまして、レーダーによる管制というのはかなり徹底をしてまいりました。これによります利点といたしましては、管制官の方がわりあいにゆとりを持って管制ができるというふうなことと、それから同じ空域の中に安全度を高めたままでより多くの飛行機を入れることができる、つまり効率的な管制ができるというふうなことであろうかと思います。
しかし、これらの異常接近報告を見ておりますと、いわゆる管制官のうっかりミスあるいはぽかミス、私どもこういうふうに内部で呼びならわしておりますが、ちょっとしたことからついうっかり見逃してしまう、それである高度で飛んでおります飛行機の目の前を別の飛行機を上昇させてしまうというふうなことが、年に一回か二回ぐらいないわけではございません。
こういうふうなものを防止いたしますためには二つの方法があろうかと思っております。一つは、管制官に対して注意義務を強化していくと同時に、ダブルウォッチと申しましょうか、直接レーダーを見ております管制官のほかに副主任のようなものを配置いたしまして、これが後ろから随時見ておる。何かぐあいが悪いのではないかというふうなときにはそれを指示してやるというふうなことが一つでございます。これは制度的に定着させる方向で目下鋭意進めておるわけでございます。もう一つは、設備そのものを改良いたしまして、せっかくコンピューターを使っておるわけでございますので、それを使ってある一定の距離の中に二台の飛行機が入ってまいりました場合には、レーダーの上で警告を発するようにする、こういうふうな装置でございます。これも五十三、五十四の二カ年間にわたりまして開発を終わりまして、目下試験運用に入った段階でございます。
以上申し上げましたような措置を、一つの方法ですべてのニアミスを防止できるというわけにもなかなかまいりませんので、人的な面あるいは施設的な面、両々相まってこのニアミスの危険をあくまで減らしていくということのために、私どもせっかく努力をしているつもりでございます。今後とも、飛行機の大型化、高速化あるいは航空路の複雑化というふうなことは進んでまいるわけでございますので、それに対処してニアミスというものが起こらないような抜本的な対策というものを私どもとして鋭意努力をしてまいりたい、このように考えておる次第でございます。
以上、簡単でございましたが、最近におきますニアミスの状況及びこれに対しまして私どもとしてどのような対応をしておるかということの概況を御説明申し上げて、御報告にかえさせていただきます。ありがとうございました。