嶋崎譲の発言 (文教委員会)

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○嶋崎委員 通信教育と夜間学部を置くということとは質的に違うものがあるんですよ。働きながら勉強する人と、学部の夜間並びに昼夜兼ねたものに出かけていって勉強するのとでは、片一方の場合には非常に勤務との関係がむずかしくなる。最後に問題にする教育有給休暇ないしは教育休暇というものをどうするかという問題と、学部に出かけていって授業を聞いて単位を取るということと非常に深い関係がある。それだけに通信教育というものは、勤労青年や老人、婦人が勉強しようというときには大変重要な意味を持っているわけですが、そっちの方がお留守になっているということにいまだに対応していないわけであります。
 しかも、いまの公開講座でもふえてはいるけれども、いまの公開講座であれ、大学の夜間の学部の場合であれ、通信教育の場合でも、これはみんな古いいままでの伝統的な大学観の上に立った教育なんです。そうですね。ですから、いまの新構想大学というのは、ある意味ではこれからの新しいタイプの大学になるわけです。しかも今度の新構想大学は、関東一円から始めてよその地域にはいつどうなるか、まだ計画が莫然としているわけであります。そうしますと、関東を含めた人たちは、学習歴の要求にこたえるために放送大学が利用できる、学校歴でも利用できるという面が一面あっても、全国の学習要求にはとても放送大学の当面の企画ではこたえられないということになるわけであります。
 国の財政事情がこんな悪いときに放送大学に莫大なお金を突っ込んでいくということは、今度は他の文教予算に対してしわ寄せが来ますから、この大変な学習歴の要求をいままでの既存の大学観の中で処理していくためには、そちらも一方で充実しなければならないという課題をどう担うかという点を追求しなければならない。
 そういう意味で、今後、大変な財政事情ではありますけれども、政府がこれだけ熱心に放送大学構想で学習歴、学校歴の要求にこたえる努力をするのならば、他方で、学校教育法五十四条、五十四条の二ないしは六十九条の公開講座などで既存の伝統的大学の中で国民の要求にこたえなければならない諸課題を法律で決めているわけですから、並行してこれらを充実するという方向に積極的に取り組まないと、三百五十万も学習歴の要求があって、学校歴の要求だって——これは文部省の統計のとり方が非常に作為的なとり方ですから、学校歴の要求が急に高まっただけであって、当てにならないけれども、莫然とした学習歴の要求ということになれば三百四、五十万いることだけははっきりしているわけです。
 そうしますと、いままでの伝統的な大学の上に立ってやるべきこと、たとえば一つ重要なのは私学の助成ですが、私学助成ということを通じてなるべく金がかからぬでやれる。それに奨学金制度、これを一方で充実しながらこういう教育要求にこたえるにはどうするか、これが一つ。これはいままで私学助成法その他でわれわれ委員会で追及してきたが、飛躍的にやるにはどうするか、一方でそれを考えなければなりません。
 もう一つは、社会人の大学入学、これも私立大学はやっているけれども、国立大学はまともにやっていません。だから、社会人の大学入学という意味での大学開放の問題を、それぞれの大学が自主的に判断するようにするにはどうするか、このテーマも追求しなければなりません。
 それから、学校歴ではないけれども、学習歴の要求が非常に高いわけでありますから、今度は社会教育の側では、公のそれを受ける体制として地方自治体の社会教育というものがある。この間も委員会で言いましたけれども、日本の社会教育の考え方というのは、ヨーロッパから見たらひっくり返っておるのです。先に社会教育法をつくって公民館をこしらえて、後で図書館ができて、それから博物館とかいうものができるのです。これは逆なんです。つまり、国民の中に文化の伝統をつくるときには、一番先に博物館があって目で見てさわれる文化でみんなが身につける。それをコピーしたものを図書館で勉強する。公民館に集まったときはそこで討論をするわけです。討論する場所ばかりいっぱいつくってみたって、その背後にある目で読む、勉強をしなければならない図書館が充実していない、その背後にあるさわってみたり目で見たりする文化や科学技術の伝統みたいなものをつかみきれぬ。だから、転倒しているわけです。そういう意味で、社会教育は先進国に比べて非常にプアなわけですね。
 そして片一方は、大学というのは受験地獄にさらされて十八歳から試験を受けるというかっこうで、なかなか受け入れ体制がないものだから、結局そこに教育における受験地獄や人間疎外の問題が今日非常な社会問題になっている構造がある。
 そういう意味で、ここで大臣にひとつ決意をお聞きしたいのだが、いままで長い議論をしましたから、きょうはこの前みたいに長い議論をしません、結論だけ申し上げますが、いまのような私学の問題、大学における社会人入学の問題、通信教育、夜間の問題、それから社会教育の充実、こういう四点について、一方で放送大学というものを構想して莫大な金をかけなければならぬ要請があるくらいならば、既存の大学や既存の教育の体系の中で、法律でできるものをもっともっと積極的にやった上でこういう新しい問題の立て方をすべきだと私は思います。
 そういう意味で大臣、いままで新構想大学以外にこれだけ国民の学習歴要求というものがある段階で、いま言った一連の問題について積極的な対応をするということについての御意見を承りたいと思います。

発言情報

speech_id: 109305077X00519801029_022

発言者: 嶋崎譲

speaker_id: 860

日付: 1980-10-29

院: 衆議院

会議名: 文教委員会