文教委員会

1980-10-29 衆議院 全320発言

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会議録情報#0
昭和五十五年十月二十九日(水曜日)
    午前十時三十二分開議
 出席委員
   委員長 三ツ林 弥太郎君
   理事 谷川 和穗君 理事 中村喜四郎君
   理事 三塚  博君 理事 森  喜朗君
   理事 嶋崎  譲君 理事 馬場  昇君
   理事 有島 重武君 理事 和田 耕作君
      臼井日出男君    浦野 烋興君
      小澤  潔君    狩野 明男君
      久保田円次君    高村 正彦君
      近藤 鉄雄君    坂田 道太君
      野上  徹君    長谷川 峻君
      木島喜兵衞君    中西 積介君
      長谷川正三君    湯山  勇君
      鍛冶  清君    栗田  翠君
      山原健二郎君    小杉  隆君
 出席国務大臣
        文 部 大 臣 田中 龍夫君
 出席政府委員
        文部政務次官  石橋 一弥君
        文部大臣官房長 鈴木  勲君
        文部省初等中等
        教育局長    三角 哲生君
        文部省大学局長 宮地 貫一君
        文部省学術国際
        局長      松浦泰次郎君
        文部省社会教育
        局長      高石 邦男君
        郵政省電波監理
        局長      田中眞三郎君
 委員外の出席者
        郵政省電波監理
        局放送部長   富田 徹郎君
        労働省婦人少年
        局年少労働課長 金平 隆弘君
        労働省職業安定
        局業務指導課長 若林 之矩君
        参  考  人
        (日本放送協会
        理事)     田中 武志君
        文教委員会調査
        室長      中嶋 米夫君
    —————————————
十月二十五日
 小樽運河及び周辺の石造倉庫群保存に関する請
 願(五十嵐広三君紹介)(第四〇一号)
 同(池端清一君紹介)(第四〇二号)
 同(岡田利春君紹介)(第四〇三号)
 同(菅直人君紹介)(第四一七号)
 同(小林恒人君紹介)(第五二七号)
 高校新増設に対する国庫補助増額等に関する請
 願(岩垂寿喜男君紹介)(第四〇四号)
 同外二件(河野洋平君紹介)(第五二五号)
 同外一件(高橋高望君紹介)(第五二六号)
 金沢大学教育学部に養護教諭養成課程新設に関
 する請願(嶋崎譲君紹介)(第四〇五号)
 同(嶋崎譲君紹介)(第四五六号)
同月二十七日
 高校新増設に対する国庫補助増額等に関する請
 願(市川雄一君紹介)(第六四五号)
 小樽運河及び周辺の石造倉庫群保存に関する請
 願(横路孝弘君紹介)(第六四六号)
は本委員会に付託された。
    —————————————
本日の会議に付した案件
 連合審査会開会に関する件
 参考人出頭要求に関する件
 放送大学学園法案(内閣提出第四号)
     ————◇—————
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三ツ林弥太郎#1
○三ツ林委員長 これより会議を開きます。
 内閣提出、放送大学学園法案を議題といたします。
 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。嶋崎譲君。
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嶋崎譲#2
○嶋崎委員 放送大学法案についての当委員会における審議は、三度にわたっての国会で議論が行われておりますし、相当突っ込んだ議論が行われてまいりましたが、まだ最後の詰めといいますか、この法案の問題点はかなり浮き彫りになってきているとは思いますが、その問題点をいまのままの形でいくのか、それとも一定の、委員会でもし詰まることがあれば、それに基づく修正などが考えられるかどうか、そういうような問題がまだ残っているように思いますので、要点をかいつまんでもう一度問題を整理して提出をしたいと思います。私が足りない分は、わが党の各委員に後で補っていただくことにしたいと思いますので、よろしくお願いをいたします。
 先般の九十一国会の衆議院の文教委員会で、私が、この放送大学の問題が日程に上った時期から法案が出てくるまでの過程について幾つか質問をいたしました。繰り返して質問をいたしませんで、要約して質問を申し上げますが、要するに今度特殊法人放送大学学園が設立するこの放送大学が、いままでの伝統的な大学の考え方の上に立ってできる大学なのか、それとも新しいタイプの大学なのか、この点について前回は佐野局長と議論をいたしましたが、どういうふうに大学局長、文部大臣はお考えですか。
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宮地貫一#3
○宮地政府委員 御質問は、伝統的な大学なのかそれとも新しい大学なのかというお尋ねでございますが、先生御案内のとおり、この放送大学は放送による教育を行う、ただし行う中身としては大学そのものである、学校教育法第一条の大学として設置をするという形のものでございます。したがいまして、正規の大学であるという意味では従来の大学と同じところにはまるわけでございますが、教育形態その他におきましては、ただいま申し上げましたように放送を利用する大学でございます。そういう意味では新しい大学になる、かように考えております。
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嶋崎譲#4
○嶋崎委員 まあ伝統的な大学というよりも大学観ですね、伝統的な大学観の上に立った大学かそれとも新構想の大学かというふうに質問をした方が正確なのではないかと思いますが、この間の委員会での議論では、伝統的な大学における教育という意味で、放送メディアというものを使う使い方には二つのタイプがあったということをお互いに確認したと思います。
 一つは、クローズドサーキット方式と言われる、たとえば医学部でお医者さんが手術しているところをテレビに撮っておいて、それを再生しつつ大学教育の一つの糧としてメディアを使うという方式であります。もう一つは、イギリスのオープンユニバーシティーの方式でありまして、オープンユニバーシティーの方式は、御承知のようにイギリスの伝統的なチューターを中心にした小サークルの先生と学生の緊密な討議のもとで教育をやっていくという、チュータラリズムというのでしょうかね、チューター主義と一方に言っておきましょう、そういうチューターというものを中心にしてやる考え方。並びにスクーリング、それから通信教育、こういう幾つかの大学におけるいままでの基本的な教育のあり方の中に一つの教育の方法としてメディアを導入する、やはりBBCとオープンユニバーシティーが協議して、テレビを使いまして不特定の人たちにこれを放映するというやり方ではありますが、しかし、オープンユニバーシティーは、あくまでスクーリングやチューター主義や通信教育というものを基本にきちっと据えておいて、その中の一つ、ワン・オブ・ゼムですね、その中の一つとしてテレビを使うという方式だということは、すでに委員会で明らかにされてきたと思います。
 これに対して今日の内外の情勢、特に日本の国内の情勢は、大変な国民の教育要求というものが高まってぐる中で、その高まった教育要求というものにこたえるために、高等教育レベルのいわば教養的なものを求める学習歴の要求、学習を求めていくという要求にこたえなければならない。それにこたえるためにすでにNHKは、市民大学講座その他でもって、かなり高等レベルのいわば教養的なものを取得することが可能になるような実験や現実の放送を行ってきた。そういう意味で、NHKのやっている教養大学、市民大学型のいわば大衆的要求にこたえるタイプが一つありまして、もう一つは、いまここで問題になっています放送大学という方式。
 そういう意味で、伝統的な大学観の上に立ってマスメディアを使うタイプというのは、クローズドサーキット方式やオープンユニバーシティーのタイプであり、それに新しい大衆的な教育要求に基づいて一方でNHKの教養大学的、市民大学的なものと、いまここでわれわれが問題にしようとする正規の放送大学、こういう対応が問題になってきているというふうに言えるのではないか。したがって、ここでわれわれが問題にしようとしておる放送大学のタイプは、伝統的な大学観の上に立った大学におけるマスメディアの利用の仕方とは違った新しいタイプの大学だという意味で、新しいタイプの大学と言えるのではないか、こういうふうにこの間の委員会では討論していく過程で問題か整理されたように思いますが、これでよろしいですか。
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宮地貫一#5
○宮地政府委員 大学観というお言葉で御指摘をいただいたわけでございますが、前回の速記録も読ましていただきましたが、先生と前局長とのやりとりではただいま先生が御指摘のような形で整理をいただいて結構かと思います。
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嶋崎譲#6
○嶋崎委員 それに当たりまして、いまのような議論にいく過程で、放送大学という問題が一番最初に取り上げられた時期は、昭和四十五年の七月の、文部省の中に設置されました放送大学準備調査会が行った答申「放送大学の設立について」というのが最初だということを確認したと思いますが、その確認でよろしいですね。
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宮地貫一#7
○宮地政府委員 結構でございます。
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嶋崎譲#8
○嶋崎委員 社会教育局長、それと並行して昭和四十四年の段階に社会教育審議会の「映像放送およびFM放送による教育専門放送のあり方について」という答申が出ているということを前回確認をいたしましたが、そのとおりですね。
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高石邦男#9
○高石政府委員 そのとおりでございます。
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嶋崎譲#10
○嶋崎委員 ここで問題なのは、社会教育審議会の答申で映像放送、FM放送による教育専門放送というものを問題にしたときの問題の立て方は、社会教育という乳幼児から大学に至るまでの広範な教育の中で教育専門、ある意味では高等教育的レベルの教育にこのメディアを使うという意味で社教審の答申は出されたと判断をいたしますが、いかがですか。
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高石邦男#11
○高石政府委員 そのとおりに理解しております。
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嶋崎譲#12
○嶋崎委員 片や文部省の方は「放送大学の設立について」ということで、今度は新しいタイプの大学として正規の四年制で単位を与える大学を構想して放送大学の設立を放送大学準備調査会が答申をした。つまり、並行して社会教育審議会の方一は広く社会教育一般の中でメディアをどう使うか、片一方は今度はそれを新構想大学として動き出した、こういう過程になっておるということも前回確認したところでありますが、そのとおりですね。
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宮地貫一#13
○宮地政府委員 御指摘のとおりでございます。
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嶋崎譲#14
○嶋崎委員 その際の問題はどこにあったかといいますと、国民が教育要求というものを持っている、その教育要求はだんだん高等レベルの教育を教養的な意味で要求している、いわゆる学習歴の要求、自分はこれだけ勉強したということを成果として確認するという学習歴の要求と、四年制の大学を出て大卒という資格を求める要求、これを学歴ないしは学校歴と呼ぶならば、学習歴と学校歴のこの二つの要求が、実は広範な国民大衆の中から、調査では三百四、五十万の人たちから学習歴と学校歴を兼ねたような形の高い教育要求が出てきている。そのために社会教育審議会の方は、国民の教育要求というのはいまどんな形で爆発的に出ているかという調査を五十三年に行いまして、「民間における社会教育文化事業の概観」という資料をおまとめになったと思いますが、そのとおりですね。
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高石邦男#15
○高石政府委員 いま御指摘のような形の考え方で調査をしたわけでございます。
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嶋崎譲#16
○嶋崎委員 そうしますと、一方、社会教育審議会の延長線上で社会教育局の方では、いかに国民の教育要求、学習歴、勉強したいという要求が出ているかということで、公の施設で吸収できないから結局教育産業という新しい産業が出てきて、たとえば朝日カルチャーセンターだとかそういうものが無数にできてきて、それにとうとうと学習歴の要求が流れているという調査をなさったわけであります。そうすると問題は、国民の広範な学習歴の要求は、それが直ちに大卒の学校歴ないしは学歴を要望するものだという前提に立って新しい大学を構想したということはございませんか。
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宮地貫一#17
○宮地政府委員 先ほども御説明申し上げましたように、御提案申し上げております放送大学は、もちろん正規の大学として構想しているわけでございます。そうでございますが、御案内のように学生を受け入れる場合には、非常に大きなシェアを、いま御指摘の単位の取得を希望する科目とか、あるいは専科履修生のために割いている。つまり、先生御指摘の学校歴ではなくて学習歴が非常に高い、それも大学レベルの学習歴が非常に高いということを、結果としては放送大学そのものがやはり受けとめることになるというような形で私どもとしてはこの放送大学を考えているわけでございます。つまり、大学の学生として登録をしていないでももちろん自由視聴する人たちがたくさんいるわけでございまして、そういう人たちが放送大学の講義の中身をいわば学習歴としての要求として勉強するということは、当然にこの大学が予想しているところでございます。
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嶋崎譲#18
○嶋崎委員 そこで二つ問題が出てくるわけです。一つは何かといいますと、五十三年の社会教育局の調査にもありますように、国民の中に大変な学習歴要求、かなり高等専門教育的なレベルの学習歴要求がある。では、それをいまの法体系や既存の教育の体制で受け入れる努力をしたことがありますか。
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宮地貫一#19
○宮地政府委員 従来の大学でただいま御指摘のような学習歴といいますか、高い勉強を求める一般社会の方々に対する受け入れを従来どう対処してきたかというお尋ねでございますが、先生御指摘のように、そういう要求が社会全体から非常に強く望まれているということは、たとえばカルチャーセンターというようなものが盛況をきわめているというようなことからも見られるとおりでございます。
 そこで、既存の大学でどういうことをやってきたかというお尋ねでございますが、文部省といたしましては、そのために従来からたとえば夜間学部でございますとか通信教育の充実あるいは大学とか大学院への社会人の積極的な受け入れ、また大学で行います大学講座の拡充等に努めてきているわけでございます。従来からもそういうような形でいろいろ対応してきておるわけでございますが、お願いしておりますこの放送大学ができますれば、もちろん社会の要請に積極的に応じて門戸を開いていく、そして生涯教育の一つの場としての役割りを果たしていく、かように考えているわけでございます。
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嶋崎譲#20
○嶋崎委員 学校教育法五十四条「大学には、夜間において授業を行う学部を置くことができる。」、五十四条の二項「大学は、通信による教育を行なうことができる。」、これの対応をしたとおっしゃるんですね、いつやりましたか。この法律ができて三十年以上もたっているのに、夜間において授業を行う学部を置くことができるということに対して、これは大学側が自主的に決めることであって文部省が指導して上から押しつけることではありませんけれども、この法律があるのに国立大学では、少なくとも行政府としてはこの五十四条の夜間において授業を行う学部を置く努力を今日までしたと言えない。むしろ夜間の学部は廃止の方向にすら動いてきたじゃありませんか。そういう意味で、最近になって夜間学部の問題が全国的に問題になっていますから、少しずつ対応を始めているにすぎない。これは前委員会でも、最近のことでごまかそう、ごまかそうとするから、それはあかんとぼくは言っておきました。
 通信による教育を行うことができるという場合でも、国立大学がまともな通信教育のシステムを今日持っているでしょうか。たとえば慶応の通信とか私立大学はかなり努力をしておりますが、今日の私学助成の中にも、通信教育に対する経費は不実はあれは項目としてじゃなくてその他の中で大学院と同じような中に突っ込みでしか予算は組まれておりません。そういう意味で、通信による教育を行うことができるというこの条項に即して今日までまともな努力をしているとは言えないと思う。この点が一つあります。
 特に大学教育法の六十九条には「大学においては、公開講座の施設を設けることができる。」、二項に「公開講座に関し必要な事項は、監督庁が、これを定める。」と書いてある。この法律ができて何十年たっているか。前委員会でも監督庁がこれを定めるということについて努力をせよと言いましたが、努力をしましたか。
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宮地貫一#21
○宮地政府委員 まず初めのお尋ねの、夜間学部等についての努力は、従来必ずしも十分な取り組みではなかったではないかという御指摘でございますが、その点は先生御指摘のとおり、夜間学部等の整備状況について私ども具体的に取り組んでいっておりますのは、ここ数年来特にそういう点で取り組んでいるということは、前回も御説明申したわけでございます。そういう意味で、取り組みとしては比較的最近のことであるということは御指摘のとおりでございます。
 ただ具体的には、前回も御説明申し上げた点でございますけれども、夜間学部の整備状況といたしましては、昭和五十二年度にたとえば広島大学法学部、経済学部等で人員増を図りますとか、あるいは九州工業大学工学部、長崎大学商業短期大学部等で人員増を図るというような取り組みをいたしました。それから五十三年度は岡山大学の法学科、経済学科で人員増を図りますとか、あるいは神戸大学経営学部での人員増を図る、新潟大学商業短期大学部の人員増を図る。それから五十四年度では九州工業大学工学部で人員増を図るというようなことで、御指摘のように確かに取り組みとしてはここ数年のことでございますけれども、やはり社会全体の要請にこたえるように夜間学部の整備等についても取り組みはいたしておるわけでございます。
 そのほか、たとえば昼夜開講制というようなことで、千葉大学の工学部でございますとか、あるいは福島大学経済学部、愛媛大学法文学部等におきまして、具体的には昼夜開講制の四年制の学部というようなものについて、これもそれぞれ五十一年度、五十三年度、五十四年度の開設でございますけれども、そういう取り組みをいたしてきております。
 これらは先生御指摘のように、最近のことではないかということではございますか、私どもとしては、既存の大学でもそういう取り組みはいたしてきております。
 それから、第二点の通信についての国立大学の取り組みはどうかということでございますが、通信についての学部を国立について置いているのは実はございません。それで、ただいま御提案申し上げておりますこの放送大学そのものが、形体として言えばまずは通信による学部という形になる、したがいまして、これはぜひそういう形で私どもに取り組みをさしていただきたいということで御提案を申し上げておるわけでございます。
 それから、学校教育法第六十九条に「公開講座に関し必要な事項は、監督庁が、これを定める。」と規定してあるが、その規定ができているかということでございます。
 前回も御説明を申し上げたわけでございますが、この規定については、まだ規定はできておりません。それで、私どもとしては、公開講座についてすでに現在、社会に対する大学開放の一つのあり方といたしまして大学公開講座の問題があるわけでございます。昭和五十四年度で申し上げますと、大学の公開講座の開設状況でございますが、国立で七十大学、公立で十二大学、私立で百十九大学ということで二百一大学が開設をいたしております。具体的な開設の講座の数でございますが、国立が三百五十三、公立が五十、私立が七百七十八、計千百八十一講座ということになっております。
 具体的な開設日数で申し上げますと、国立で二千九百日余り、公立で約三百日余り、私立が六千七百日ということで、日数で申し上げますと約一万日、一講座当たりで言いますと、平均的には一講座当たり八・五日というような数字になっております。
 そして国立の場合の予算額でございますが、予算額といたしましても、累年増額に努力をしてきておりまして、五十四年度は一億を超える一億五百万余り、五十五年度は一億二千三百万余りの予算を計上しているというのが現状でございます。
 つまり、具体的には各大学はそれぞれ社会の要請にこたえまして公開講座を実施している、そういう状況は、ただいま申しましたように、累年開設数等についても増加の方向に向かってきております。これは既設大学におきましても、そういう社会の要請にこたえる姿をやっているわけでございます。つまり、そういう中で監督庁が公開講座に関し必要な事項を定めていないというのは、確かに先生御指摘のように、形として監督庁が定めをしていないという点については、何と申しますか十分な取り組みでないではないかというおしかりでございますが、現実の実態としては、そういうぐあいに公開講座そのものは行われているわけでございます。
 そこで具体的に一この監督庁の定めにつきましても、私どもこれから検討はいたしたい、かように考えております。ただ、すでにこれだけ大学においても公開講座が行われているわけでございまして、むしろ監督庁の定め方が非常に慎重でなければいけない、かように考えております。具体的に言えば、現にやっております公開講座がより伸びていくような形で決める必要があるわけでございまして、何らか監督庁が基準を決めることによってそれが枠をはめられるというような形であってはならない、かように考えておりまして、規定の決め方としては非常に慎重でなければならない、かように考えております。
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嶋崎譲#22
○嶋崎委員 通信教育と夜間学部を置くということとは質的に違うものがあるんですよ。働きながら勉強する人と、学部の夜間並びに昼夜兼ねたものに出かけていって勉強するのとでは、片一方の場合には非常に勤務との関係がむずかしくなる。最後に問題にする教育有給休暇ないしは教育休暇というものをどうするかという問題と、学部に出かけていって授業を聞いて単位を取るということと非常に深い関係がある。それだけに通信教育というものは、勤労青年や老人、婦人が勉強しようというときには大変重要な意味を持っているわけですが、そっちの方がお留守になっているということにいまだに対応していないわけであります。
 しかも、いまの公開講座でもふえてはいるけれども、いまの公開講座であれ、大学の夜間の学部の場合であれ、通信教育の場合でも、これはみんな古いいままでの伝統的な大学観の上に立った教育なんです。そうですね。ですから、いまの新構想大学というのは、ある意味ではこれからの新しいタイプの大学になるわけです。しかも今度の新構想大学は、関東一円から始めてよその地域にはいつどうなるか、まだ計画が莫然としているわけであります。そうしますと、関東を含めた人たちは、学習歴の要求にこたえるために放送大学が利用できる、学校歴でも利用できるという面が一面あっても、全国の学習要求にはとても放送大学の当面の企画ではこたえられないということになるわけであります。
 国の財政事情がこんな悪いときに放送大学に莫大なお金を突っ込んでいくということは、今度は他の文教予算に対してしわ寄せが来ますから、この大変な学習歴の要求をいままでの既存の大学観の中で処理していくためには、そちらも一方で充実しなければならないという課題をどう担うかという点を追求しなければならない。
 そういう意味で、今後、大変な財政事情ではありますけれども、政府がこれだけ熱心に放送大学構想で学習歴、学校歴の要求にこたえる努力をするのならば、他方で、学校教育法五十四条、五十四条の二ないしは六十九条の公開講座などで既存の伝統的大学の中で国民の要求にこたえなければならない諸課題を法律で決めているわけですから、並行してこれらを充実するという方向に積極的に取り組まないと、三百五十万も学習歴の要求があって、学校歴の要求だって——これは文部省の統計のとり方が非常に作為的なとり方ですから、学校歴の要求が急に高まっただけであって、当てにならないけれども、莫然とした学習歴の要求ということになれば三百四、五十万いることだけははっきりしているわけです。
 そうしますと、いままでの伝統的な大学の上に立ってやるべきこと、たとえば一つ重要なのは私学の助成ですが、私学助成ということを通じてなるべく金がかからぬでやれる。それに奨学金制度、これを一方で充実しながらこういう教育要求にこたえるにはどうするか、これが一つ。これはいままで私学助成法その他でわれわれ委員会で追及してきたが、飛躍的にやるにはどうするか、一方でそれを考えなければなりません。
 もう一つは、社会人の大学入学、これも私立大学はやっているけれども、国立大学はまともにやっていません。だから、社会人の大学入学という意味での大学開放の問題を、それぞれの大学が自主的に判断するようにするにはどうするか、このテーマも追求しなければなりません。
 それから、学校歴ではないけれども、学習歴の要求が非常に高いわけでありますから、今度は社会教育の側では、公のそれを受ける体制として地方自治体の社会教育というものがある。この間も委員会で言いましたけれども、日本の社会教育の考え方というのは、ヨーロッパから見たらひっくり返っておるのです。先に社会教育法をつくって公民館をこしらえて、後で図書館ができて、それから博物館とかいうものができるのです。これは逆なんです。つまり、国民の中に文化の伝統をつくるときには、一番先に博物館があって目で見てさわれる文化でみんなが身につける。それをコピーしたものを図書館で勉強する。公民館に集まったときはそこで討論をするわけです。討論する場所ばかりいっぱいつくってみたって、その背後にある目で読む、勉強をしなければならない図書館が充実していない、その背後にあるさわってみたり目で見たりする文化や科学技術の伝統みたいなものをつかみきれぬ。だから、転倒しているわけです。そういう意味で、社会教育は先進国に比べて非常にプアなわけですね。
 そして片一方は、大学というのは受験地獄にさらされて十八歳から試験を受けるというかっこうで、なかなか受け入れ体制がないものだから、結局そこに教育における受験地獄や人間疎外の問題が今日非常な社会問題になっている構造がある。
 そういう意味で、ここで大臣にひとつ決意をお聞きしたいのだが、いままで長い議論をしましたから、きょうはこの前みたいに長い議論をしません、結論だけ申し上げますが、いまのような私学の問題、大学における社会人入学の問題、通信教育、夜間の問題、それから社会教育の充実、こういう四点について、一方で放送大学というものを構想して莫大な金をかけなければならぬ要請があるくらいならば、既存の大学や既存の教育の体系の中で、法律でできるものをもっともっと積極的にやった上でこういう新しい問題の立て方をすべきだと私は思います。
 そういう意味で大臣、いままで新構想大学以外にこれだけ国民の学習歴要求というものがある段階で、いま言った一連の問題について積極的な対応をするということについての御意見を承りたいと思います。
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田中龍夫#23
○田中(龍)国務大臣 ただいま今日までの経過につきまして、先生の大変詳細なお話を承りました。私もまた啓発されるところがあるのでありますが、ただいま御提案申し上げておりますこの放送大学学園の法律は、文教に携わる皆様方といたしましても、われわれといたしましても、非常に夢を持った新しい時代に対応した構想である、かように存ずる次第でございます。同時に、既存の大学におきます通信教育あるいはその他の経過というものもございましょうけれども、これは両々相まっていきたいものである、かように存ずるのでございます。
 ただいま財政上の諸案件逼迫の当面ではございますけれども、しかしながら、過去十年にわたりましてわれわれはこの問題の貫徹を期して今日も御提案申し上げておる次第でございまして、本当にこの放送大学学園というものが開かれた大学、しかもライフサイエンスと申しますか、社会全般の欲求というものも、これらの教養につきましては非常に待望いたしておる、こう思うのでありまして、社会的な要望にこたえてわれわれはこの放送大学の構想をぜひ実現させていただきたい。同時にまた、既往の諸制度につきましても、私は、充実を図ってまいらなければならぬだろう、両々相まって貫徹をいたしたいものだ、かように考えております。
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嶋崎譲#24
○嶋崎委員 ぼくは、大臣に後の方は聞いていないんですよ、放送大学はいまから議論するんですから。いまお聞きしているのは、いままでの法律の体系や社会教育や学校教育の体系の中でいま爆発的に起きている教育要求というもの、まだこなさなければならぬ問題がいっぱいあるから、放送大学はその中の一つのタイプとしてそれを受け入れるわけなんです。これは一つのタイプなんです。だから、そういう意味でいまの既存の体制の中でもっと充実発展させるということをやらないと、放送大学だけでは受け入れられない、放送大学は危険性を一面持っていますから。既存の大学の考え方に立った、ないしは社会教育の考え方の中にもっと充てんすべきものを一方で先に補っておかないと、放送大学は取ってかわられませんよ。そっちの方の充実の決意があるかということを聞いているのです。
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田中龍夫#25
○田中(龍)国務大臣 もちろん先生の冒頭から申されました大学観というものからいたしましても、われわれも全く同感でございます。と同時に、またあわせて私は新しい理想を追いたい、かように考えております。
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嶋崎譲#26
○嶋崎委員 では、後の方へ言ってからまた聞きます。
 放送大学準備調査会が「放送大学の設立について」という答申をやったのは昭和四十五年ですね、そして文部省が国民にこういう大学をつくることが必要かどうかの調査をまともにやったのは五十年なんです。その前にやったのは四十五年なんです。つまり文部省が先に、どうも国民は放送大学のような大学を要望しているらしい、なぜならば、社会教育から見ると、すでにメディアを使わなければならぬという答申が出ていて、乳幼児から大学に至るまでメディアが要るよ、そうなれば高等レベルの大学でもメディアが要るよ、しかし、そのメディアは放送大学になるのか、NHKの教養市民大学でいいのか、大学の中のつまりクローズドサーキットシステムでいいのか、ここはまだはっきりしていなかった、そのときに文部省は直ちに新しい構想大学として放送大学を一つの方法として打ち出したわけです。打ち出しておいて、これが国民の要求にかなうかどうかという調査は後回しにしておるわけだ。調査なくして大学設立の位置を示したということなんです。
 これは大変国民的な性格を持った新しい大学なんですから、こういうものをつくるかどうかについては、国民にどういう要求があり、その要求にどうこたえたらいいかという観点で大学設立を慎重に考えるべきであるのに、調査なくして大学の構想を先に打ち出したわけです。そういう意味で上からつくった大学なんです。文部省主導型大学なんです。だから、上からつくった大学という意味で、その後行りた調査の仕方も、この間の委員会で詰めましたように非常にインチキな調査をやっている。四十五年の調査は学習歴を前提にした調査であった。五十年の調査は、今度は大学をこしらえるという前提に立って調査すればそっち側の数字がはね上がるのはあたりまえなんですよ。それを一つの根拠にして、やはりわれわれの構想は正しかった、こういうふうに理屈づけたのです。そういう意味で、国民の真の要求に即した大学のつくり方であったかどうかについて経過上一つの問題がある。これは前回の委員会で明らかにしたところであります。
 そうしますと、いま大臣に質問した意味は、この放送大学が、いまから議論する放送というメディアが大変重要な役割りを持つ大学であって、スクーリングもはっきりしていない、学習センターの仕組みもはっきりしていない、教授会との関係もはっきりしていない、教授会と評議会の関係もはっきりしていない、これから出てくる放送大学の組織や運営というものはみんな大学に任すというだけであって、何も基本を決めてないわけです。そうすると、上からつくる大学であって、その大学が大学自治や学問の自由という観点からどういうふうに実現されるかについての構想がないまま、上からつくると言って、それで、それが国民の要求だという理屈をつけて、そして放送大学法案に走ってきたわけです。
 ですから、もし放送大学法案に盛られた、放送学園という特殊法人が設立する大学、そして放送局をこれまた設立するわけですから、放送局と大学を一つに兼ね備えた放送大学というものができたときに、その放送大学が国民の学習要求というものをここで囲い込んでしまう、極端に言いますと。囲い込んでしまって、社会教育や既存の大学の開放や私学の助成やそっちの方がお留守になると、もしこの大学が誤った形を持ったり危険なことがあったとしたら、これは将来国民にとって大変な大問題になるのです。だから、そういう意味で大臣にお聞きしたのです。
 つまり、いまの法体系や社会教育の体系の中で国民にこたえてやれるべきことがある、それを十分にやっておいて、その中の一つ、ワン・オブ・ゼムなんです、放送大学というのは。それを、放送大学があたかもすべて社会教育的なものから大学教育に至るものも含めてやれるという前提に立って、これだけに全体のいわば予算をつぎ込んでやっていった場合に、うまくいった場合はいいけれども、もしいまから問題になるようないろいろな一連の問題が起きてくると、国民にとっては大変な問題を起こすことがあり得るからです。
 そういう意味で、並行してと大臣はおっしゃいますが、こっちに一生懸命未来に対して希望を持つのもいいけれども、やるべきことをきちっと一方にやりながら、そのうちのワン・オブ・ゼム、放送大学というものをどう位置づけるかというふうに議論をしないと、放送大学があたかもそういう物事を含めて並行で、そしてこれを充実しさえすればこっち側の問題も解決できるという問題の立て方をすると、社会教育や大学開放や私学助成や夜間大学や通信教育やそういう多くの問題が軽視されがちになると、実は本来の学習歴の要求や学校歴の真の要求にこたえ得ない危険性をはらんでくる。
 現に放送大学ができるのは関東だけでしょう、当分地方はないのですから。それでは地方の人たちの持っているこの学習歴の要求はどこがこたえるかと言えば、社会教育的に対応するか地方の大学が対応するかして一時対応していかなければ国民の要求にはこたえていけないという意味で、文部行政全体としては失格だと言わざるを得ない。そういう意味でお聞きしているわけであります。もうこれには大臣いいです。また後でまとめてやってもらいます。
 そこで、今度は放送大学の中身に入りますが、いままでの議論の中で放送大学というものを考えるときに、問題が整理されないまま議論されたきらいがどうも法案提出の過程にあるように思うのですが、放送大学という大学は、大学における大学なんですか、大学レベルの教育をやるところなんですか、どっちですか。
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宮地貫一#27
○宮地政府委員 放送大学そのものは、学校教育法上の正規の大学というぐあいに私どもは位置づけをいたしております。
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嶋崎譲#28
○嶋崎委員 そうしますと、大学における教育ですね。
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宮地貫一#29
○宮地政府委員 そのとおりでございます。
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